要点独占禁止法 20 条の 3 は、差別対価をした事業者のうち、10 年以内に同種の命令を受けた再犯者に対し、公正取引委員会が売上額の 3% の課徴金を命じる規定である。初犯は対象外。
Q · 差別対価をやると、いきなり売上の 3% を課徴金で取られるの?
初犯は対象外、再犯の事業者だけに売上の 3% が科される
独占禁止法 20 条の 3 は、差別対価(2 条 9 項 2 号、不公正な取引方法の一類型)をした事業者のうち、調査開始日から遡り 10 年以内に同種の命令を受けた「再犯者」だけに、違反行為期間中の当該商品の売上額の 3% の課徴金を命じます。初犯は排除措置命令にとどまり課徴金は課されません。さらに完全子会社が過去に受けた命令歴も親会社の再犯判定に算入されます。課徴金額が 100 万円未満のときは命令できません。
同じ商品を、ある取引先には安く、別の取引先には不当に高く売る。あるいは特定地域だけ採算度外視の安値で供給し、その地域の競合を干上がらせる。これが「差別対価」、独占禁止法2条9項2号が定める不公正な取引方法の一つだ。20条の3は、この差別対価をやった事業者に対し、公正取引委員会が課徴金(役所が命じる行政上の金銭ペナルティ、刑事罰の罰金とは別系統)を命じる根拠になる。あなたが経営側なら、押さえるべき急所は三つ。第一に、課徴金は違反行為期間中の当該商品売上額の3%。第二に、いきなり全員に課されるのではなく、過去10年以内に同種の命令を受けた「再犯」の事業者だけが対象。第三に、自社が踏んでいなくても、完全子会社が過去に命令を受けていれば、その前科が親会社にカウントされる。グループのどこか一社が一度線を越えれば、次は本体が売上の3%を取られる構図だ。100万円未満なら命令は出ない、という下限もある。
独占禁止法第 20 条の 3 は、差別対価(不公正な取引方法の一類型)に係る課徴金を定める規定であり、第 19 条違反のうち 2 条 9 項 2 号に該当する行為をした事業者のうち、調査開始日から 10 年以内に同種の命令歴を持つ再犯者に対し、公正取引委員会が売上額の 3% の課徴金納付を命じる仕組みを規律する。
取引先や地域によって不当に対価を差別し、競合の事業活動を困難にさせるおそれのある継続的な行為です。独占禁止法 2 条 9 項 2 号が定める不公正な取引方法の一類型で、19 条で禁止されます。
20 条の 3 では、違反行為期間中に当該事業者が供給した該当商品・役務の売上額に、政令で定める方法で算定した上で 3% を乗じて算出します。利益ではなく売上額が基礎になる点に注意が必要です。
算定した課徴金額が 100 万円未満のときは、公正取引委員会は納付を命じることができません(20 条の 3 ただし書)。小規模な違反には下限による免除があります。
単なる値引きではなく、継続的・差別的な対価で他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるかどうかで判断されます。競合を狙い撃ちにする態様と継続性が境界線です。
違反行為がなくなった日から一定期間(令和元年改正で 5 年から 7 年に延長)を過ぎると、公正取引委員会は課徴金納付命令を出せなくなります(最新の改正状況をご確認ください)。
課徴金減免(リニエンシー)は不当な取引制限(カルテル・入札談合)に係る制度です。差別対価の 20 条の 3 は再犯者のみ対象という別の減軽構造で、初犯は課徴金自体が課されません。
20 条に基づき、公正取引委員会が違反行為の差止めや再発防止措置を命じる行政処分です。初犯はここでとどまりますが、この命令が 10 年間の再犯カウンターの起点になります。
コストや取引量に基づく合理的範囲の数量割引は正常な企業努力です。合理的範囲を超え、継続的に特定の競合を排除する態様に及ぶと差別対価に転びます。
課徴金は公正取引委員会が行政手続で命じる金銭納付(20条の3、手続は第8章第2節)で、裁判所が刑事裁判で科す罰金とは別系統です。罰金には前科がつきますが課徴金にはつきません。業界裏話ヒント:両者は併科されうる。判例は課徴金を不当な利得の剥奪と位置づけ、罰金と二重に取られても憲法39条の二重処罰禁止に反しないとした。だから刑事で罰金を払ったから課徴金は免れる、という発想は通用しない
差別対価(2条9項2号)の課徴金は、調査開始日から遡り10年以内に同種の命令を受けた再犯者だけが対象です(20条の3各号)。初犯は排除措置命令にとどまり、課徴金は命じられません。業界裏話ヒント:だが初回の命令こそが10年カウンターの起点。実務では、この最初の命令を確定させない、あるいは事前に自主是正することが、将来の課徴金リスクを断つ最重要ポイントになる。初犯だから安心、ではなく初犯だから命令歴を残さない、が玄人の発想だ
20条の3は、完全子会社が10年以内に差別対価の命令を受けていれば、その命令歴を親会社の再犯判定に算入すると定めます。グループで違反を分散して逃げる脱法を防ぐ趣旨です。業界裏話ヒント:鍵は完全子会社であること。100%子会社の前科は親に帰属するが、資本構成次第では帰属しない設計もありうる。M&Aやグループ再編のとき、独禁法の処分歴は財務デューデリと同じ重さで確認すべき項目になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象行為 | 差別対価(2 条 9 項 2 号) | — |
| 課徴金率 | 売上額の 3% | — |
| 初犯への賦課 | なし(10 年内の再犯のみ対象) | — |
| 下限による免除 | 100 万円未満は不課 | — |
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