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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 最終改正 収録時点 令和8年10月9日読了 8 分8 分8 分

金融商品取引法 第175条(会社関係者に対する禁止行為等に違反した者に対する課徴金納付命令)

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  1. 第百六十六条第一項又は第三項の規定に違反して、同条第一項に規定する売買等をした者があるときは、内閣総理大臣は、次節に定める手続に従い、その者に対し、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額(次の各号のうち二以上の号に掲げる場合に該当するときは、当該二以上の号に定める額の合計額)に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。
  2. 一第百六十六条第一項又は第三項の規定に違反して、自己の計算において有価証券の売付け等(同条第一項に規定する業務等に関する重要事実の公表がされた日以前六月以内に行われたもの(当該公表がされた日については、当該公表がされた後に行われたものを除く。)に限る。以下この号において同じ。)をした場合次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額
  3. 一当該有価証券の売付け等について当該有価証券の売付け等をした価格にその数量を乗じて得た額
  4. 二当該有価証券の売付け等について業務等に関する重要事実の公表がされた後二週間における最も低い価格に当該有価証券の売付け等の数量を乗じて得た額
  5. 二第百六十六条第一項又は第三項の規定に違反して、自己の計算において有価証券の買付け等(同条第一項に規定する業務等に関する重要事実の公表がされた日以前六月以内に行われたもの(当該公表がされた日については、当該公表がされた後に行われたものを除く。)に限る。以下この号において同じ。)をした場合次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額
  6. 一当該有価証券の買付け等について業務等に関する重要事実の公表がされた後二週間における最も高い価格に当該有価証券の買付け等の数量を乗じて得た額
  7. 二当該有価証券の買付け等について当該有価証券の買付け等をした価格にその数量を乗じて得た額
  8. 三第百六十六条第一項に規定する売買等をした者が、自己以外の者の計算において、当該売買等をした場合(第九項の役員等が同項の売買等をした場合を除く。)次のイ又はロに掲げる当該売買等をした者の区分に応じ、当該イ又はロに定める額
  9. 一運用対象財産の運用として当該売買等を行つた者当該売買等をした日の属する月(当該売買等が二以上の月にわたつて行われたものである場合には、これらの月のうち最後の月)における当該運用対象財産のうち内閣府令で定めるものの運用の対価の額に相当する額として内閣府令で定める額に三を乗じて得た額
  10. 二イに掲げる者以外の者当該売買等に係る手数料、報酬その他の対価の額として内閣府令で定める額
  11. 2.第百六十七条第一項又は第三項の規定に違反して、同条第一項に規定する特定株券等若しくは関連株券等に係る買付け等又は同項に規定する株券等に係る売付け等をした者があるときは、内閣総理大臣は、次節に定める手続に従い、その者に対し、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額(次の各号のうち二以上の号に掲げる場合に該当するときは、当該二以上の号に定める額の合計額)に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。
  12. 一第百六十七条第一項又は第三項の規定に違反して、自己の計算において有価証券の売付け等(同条第一項に規定する公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた日以前六月以内に行われたもの(当該公表がされた日については、当該公表がされた後に行われたものを除く。)に限る。以下この号において同じ。)をした場合次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額
  13. 一当該有価証券の売付け等について当該有価証券の売付け等をした価格にその数量を乗じて得た額
  14. 二当該有価証券の売付け等について公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた後二週間における最も低い価格に当該有価証券の売付け等の数量を乗じて得た額
  15. 二第百六十七条第一項又は第三項の規定に違反して、自己の計算において有価証券の買付け等(同条第一項に規定する公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた日以前六月以内に行われたもの(当該公表がされた日については、当該公表がされた後に行われたものを除く。)に限る。以下この号において同じ。)をした場合次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額
  16. 一当該有価証券の買付け等について公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた後二週間における最も高い価格に当該有価証券の買付け等の数量を乗じて得た額
  17. 二当該有価証券の買付け等について当該有価証券の買付け等をした価格にその数量を乗じて得た額
  18. 三第百六十七条第一項に規定する特定株券等若しくは関連株券等に係る買付け等又は同項に規定する株券等に係る売付け等をした者が、自己以外の者の計算において、当該買付け等又は売付け等をした場合次のイ又はロに掲げる当該買付け等又は売付け等をした者の区分に応じ、当該イ又はロに定める額
  19. 一運用対象財産の運用として当該買付け等又は売付け等を行つた者当該買付け等又は売付け等をした日の属する月(当該買付け等又は売付け等が二以上の月にわたつて行われたものである場合には、これらの月のうち最後の月)における当該運用対象財産のうち内閣府令で定めるものの運用の対価の額に相当する額として内閣府令で定める額に三を乗じて得た額
  20. 二イに掲げる者以外の者当該買付け等又は売付け等に係る手数料、報酬その他の対価の額として内閣府令で定める額
  21. 3.前二項の「有価証券の売付け等」とは、有価証券の売付け、第二条第二十一項第二号に掲げる取引(現実数値が約定数値を上回つた場合に金銭を支払う立場の当事者となるものに限る。)、同項第三号に掲げる取引(オプションを付与する立場の当事者となるものに限る。)その他の政令で定める取引をいう。
  22. 4.第一項及び第二項の「有価証券の買付け等」とは、有価証券の買付け、第二条第二十一項第二号に掲げる取引(現実数値が約定数値を上回つた場合に金銭を受領する立場の当事者となるものに限る。)、同項第三号に掲げる取引(オプションを取得する立場の当事者となるものに限る。)その他の政令で定める取引をいう。
  23. 5.第一項第一号ロの「業務等に関する重要事実の公表がされた後二週間における最も低い価格」とは、第百六十六条第一項に規定する業務等に関する重要事実の公表がされた時から二週間を経過するまでの間の各日における第六十七条の十九又は第百三十条に規定する最低の価格(当該価格がない場合は、これに相当するものとして内閣府令で定めるものをいい、当該重要事実の公表がされた日にあつては、内閣府令で定める額とする。)のうち最も低い価格をいう。
  24. 6.第一項第二号イの「業務等に関する重要事実の公表がされた後二週間における最も高い価格」とは、第百六十六条第一項に規定する業務等に関する重要事実の公表がされた時から二週間を経過するまでの間の各日における第六十七条の十九又は第百三十条に規定する最高の価格(当該価格がない場合は、これに相当するものとして内閣府令で定めるものをいい、当該重要事実の公表がされた日にあつては、内閣府令で定める額とする。)のうち最も高い価格をいう。
  25. 7.第二項第一号ロの「公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた後二週間における最も低い価格」とは、第百六十七条第一項に規定する公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた時から二週間を経過するまでの間の各日における第六十七条の十九又は第百三十条に規定する最低の価格(当該価格がない場合は、これに相当するものとして内閣府令で定めるものをいい、当該事実の公表がされた日にあつては、内閣府令で定める額とする。)のうち最も低い価格をいう。
  26. 8.第二項第二号イの「公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた後二週間における最も高い価格」とは、第百六十七条第一項に規定する公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた時から二週間を経過するまでの間の各日における第六十七条の十九又は第百三十条に規定する最高の価格(当該価格がない場合は、これに相当するものとして内閣府令で定めるものをいい、当該事実の公表がされた日にあつては、内閣府令で定める額とする。)のうち最も高い価格をいう。
  27. 9.第一項(第三号を除く。)の規定は、第百六十六条第一項又は第三項の規定に違反して、上場会社等(第百六十三条第一項に規定する上場会社等をいい、第百六十六条第一項第一号に規定する親会社、子会社、資産運用会社及び特定関係法人を含む。次条第十三項において同じ。)の計算において第百六十六条第一項に規定する売買等をした当該上場会社等の同号に規定する役員等がある場合について準用する。この場合において、第一項中「その者」とあるのは「当該上場会社等」と、同項第一号及び第二号中「自己の計算において」とあるのは「上場会社等の計算において」と読み替えるものとする。
  28. 10.第一項の場合において、次の各号に掲げる者の計算において第百六十六条第一項に規定する売買等をした者は、自己の計算において当該売買等(当該各号に掲げる者が同条第一項又は第三項の規定に違反して、自己の計算において同条第一項に規定する売買等をした場合にあつては、当該売買等と同一のものを除く。)をしたものとみなして、第一項の規定を適用する。
  29. 一当該売買等をした者がその総株主等の議決権の過半数を保有している会社その他の当該者と密接な関係を有する者として内閣府令で定める者
  30. 二当該売買等をした者と生計を一にする者その他の当該売買等をした者と特殊の関係にある者として内閣府令で定める者
  31. 11.第二項の場合において、次の各号に掲げる者の計算において第百六十七条第一項に規定する特定株券等若しくは関連株券等に係る買付け等又は同項に規定する株券等に係る売付け等をした者は、自己の計算において当該買付け等又は売付け等(当該各号に掲げる者が同条第一項又は第三項の規定に違反して、自己の計算において同条第一項に規定する特定株券等若しくは関連株券等に係る買付け等又は同項に規定する株券等に係る売付け等をした場合にあつては、当該買付け等又は売付け等と同一のものを除く。)をしたものとみなして、第二項の規定を適用する。
  32. 一当該買付け等又は売付け等をした者がその総株主等の議決権の過半数を保有している会社その他の当該者と密接な関係を有する者として内閣府令で定める者
  33. 二当該買付け等又は売付け等をした者と生計を一にする者その他の当該買付け等又は売付け等をした者と特殊の関係にある者として内閣府令で定める者
  34. 12.第三項から第八項まで及び前二項に規定するもののほか、第一項(第九項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)及び第二項に規定する有価証券の売付け等又は有価証券の買付け等が第二条第二十一項第二号に掲げる取引である場合の価格及び数量その他第一項及び第二項の課徴金の計算に関し必要な事項は、政令で定める。

この条文の基本情報

会社関係者に対する禁止行為等に違反した者に対する課徴金納付命令とは何ですか?

定義会社関係者に対する禁止行為等に違反した者に対する課徴金納付命令とは、金融商品取引法第175条に定められた規定で、「第百六十六条第一項又は第三項の規定に違反して、同条第一項に規定する売買等をした者があるときは、内閣総理大臣は、次節に定める手続に従い、その者に対し、次の各号に掲…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 金融商品取引法第175条(会社関係者に対する禁止行為等に違反した者に対する課徴金納付命令)は、日本の金融商品取引法に含まれる条文です。
  2. 金融商品取引法第175条の条文原文は「第百六十六条第一項又は第三項の規定に違反して、同条第一項に規定する売買等をした者があるときは、内閣総理大臣は、次節に定める手続に従い、その者に対し、次の各号に掲…」で始まります。
  3. 金融商品取引法第175条は第一節 納付命令に置かれています。
  4. 金融商品取引法の公布日は昭和23年4月13日です。
  5. 金融商品取引法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
  6. 金融商品取引法第175条の前の条は金融商品取引法第174条の3です。
  7. 金融商品取引法第175条の次の条は金融商品取引法第175条の2です。
  8. 金融商品取引法第175条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第175条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025
  • 本サイト収録金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第175条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000025/175

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点金融商品取引法175条は、インサイダー取引規制違反に対し内閣総理大臣が課徴金の納付を命じる規定。算定は公表後2週間の最高値・最安値を基準とし、行政裁量による減免はない。

Q · インサイダー取引の課徴金って、株を売っていなくてもかかるんですか?

かかります。公表後2週間の高値基準で計算されるためです

金融商品取引法175条1項2号は、違反して買付け等をした場合の課徴金額を「重要事実の公表後2週間における最も高い価格 × 株数」から取得価額を控除した額と定めます。実際に売却して利益を確定したかどうかは要件ではありません。保有を続けていても、法が擬制した価格で算定されます。さらに同条10項により、議決権の過半数を保有する会社や生計を一にする者の計算による取引も、自己の計算による取引とみなされます。

解説

インサイダー取引で捕まると刑務所、と多くの人が思っている。実際に個人投資家の身に降りかかる確率が圧倒的に高いのは、こちらだ。金融商品取引法175条の課徴金納付命令。刑事裁判は検察官が「故意」を厳格に立証しなければ起訴できないが、課徴金は違反の事実さえ認定できれば内閣総理大臣(実務上は金融庁、調査は証券取引等監視委員会)が行政手続だけで発動でき、しかも条文は「命じなければならない」と書いてある。裁量の余地がない、つまり情状酌量で見逃してもらう交渉相手が存在しない。金額の計算式も知っておくべきだ。売付けなら「売却価額」から「重要事実公表後2週間の最安値 × 株数」を控除した額、買付けなら「公表後2週間の最高値 × 株数」から「取得価額」を控除した額。あなたが実際に利益確定したかどうかは関係ない。持ち続けていても、公表後2週間の値動きが計算に使われる。さらに10項により、生計を一にする家族名義の口座で取引すれば、それはあなた自身の取引とみなされる。妻名義、親名義、自分の資産管理会社名義、すべて筒抜けである。

法的な位置づけ

金融商品取引法175条は、インサイダー取引規制(同法166条・167条)違反に対する課徴金納付命令の根拠規定である。内閣総理大臣が違反者に対し、条文所定の計算式により算出した額を国庫へ納付するよう命じる行政上の措置であり、刑事罰とは別個の制裁体系に属する。自己以外の者の計算による取引、議決権の過半数を保有する会社や生計を一にする者の計算による取引も適用対象に取り込まれる。

よくある質問 AI による整理

Q1金融商品取引法175条とは何ですか?

インサイダー取引規制(166条・167条)違反に対する課徴金納付命令の根拠条文です。内閣総理大臣が条文所定の計算式で算出した額の国庫納付を命じる行政上の措置で、刑事罰とは別系統の制裁です。

Q2インサイダー取引の課徴金はいつまで課されますか?

課徴金納付命令に係る審判手続開始決定は、違反行為の終了日から一定期間(現行は5年とされる除斥期間)を経過するとできません。最新の改正状況は e-Gov の現行条文でご確認ください。

Q3家族名義の口座で取引したら課徴金の対象になりますか?

なります。175条10項2号は、生計を一にする者その他内閣府令で定める特殊の関係にある者の計算でした売買等を、自己の計算でしたものとみなして1項を適用します。

Q4「重要事実の公表」とはいつの時点ですか?

法定の公表措置がとられた時点です。175条5項・6項は、その公表の時から2週間を経過するまでの各日の最低・最高価格を算定基準にすると定めています。

Q5なぜ公表前6か月以内の取引が対象なのですか?

175条1項各号が、算定対象を重要事実の公表日以前6か月以内に行われた売付け等・買付け等に限定しているためです。公表日については公表後に行われたものが除かれます。

Q6課徴金納付命令は公表されますか?

証券取引等監視委員会の勧告および金融庁の命令は、いずれも公式サイトで公表されるのが通例です。氏名または法人名、銘柄、金額、計算根拠まで閲覧できるため、社会的影響は命令額にとどまりません。

Q7課徴金納付命令に不服がある場合はどうしますか?

審判手続内で要件該当性を争うほか、命令後は行政事件訴訟法に基づく取消訴訟を提起します。出訴期間は処分があったことを知った日から6か月が原則です。

Q8会社が課徴金を払うことはありますか?

あります。175条9項は、上場会社等の計算で役員等が売買等をした場合に1項を準用し、納付義務者を「その者」から「当該上場会社等」に読み替えると定めています。

この条文についての質問 AI による整理

Q1課徴金って、結局いくらくらい取られるものなんですか?

計算式は175条1項各号で決まっており、売付けなら売却額から公表後2週間の最安値ベースの額を控除、買付けなら公表後2週間の最高値ベースの額から取得額を控除した額である。数十万円で済む事案もあれば、数千万円を超える事案もある。実務のポイント:金融庁は課徴金納付命令の勧告・決定をすべてサイトで公表しており、過去事案の氏名・銘柄・金額・計算根拠まで読める。自分のリスク量を測りたいなら、想像で怯えるより、監視委員会の勧告事例一覧で似た取引規模の実額を見るほうが早い

Q2会社から「持株会だから大丈夫」と言われているんですが、本当ですか?

持株会による定時定額の買付けは、金融商品取引法166条6項および関連政令で適用除外とされる類型に当たりうるが、除外されるのは要件を満たす定型的な買付けに限られる。スポット的な増額拠出や、重要事実を知った後の任意の買増しは射程外になりうる。実務のポイント:実務で問題になるのは、ほぼ例外なく「持株会そのもの」ではなく「持株会に加えて個人口座でやった追加の一手」である。会社の説明は持株会の部分しかカバーしていないと理解しておくこと

Q3刑事事件にならなければ、課徴金だけで済むから軽いんですよね?

金額の観点では刑事罰(197条の2:5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、併科あり、法人には両罰規定)より軽く見えることが多いが、課徴金納付命令は行政手続で発動され、故意の立証を要しない分、はるかに広く適用される。実務のポイント:金融機関・上場企業では、課徴金納付命令を受けた事実そのものが内部規程上の懲戒事由になっていることが多い。刑事で不起訴になっても、課徴金が出れば職を失う。二つの制裁は別の軌道を走っている

Q4監視委員会から電話が来ました。正直に全部話したほうが有利になりますか?

課徴金制度には、有価証券報告書虚偽記載等の一部類型を除き、刑事の自首のような一般的な減額規定が用意されていない。したがって「正直に話せば減る」という前提自体が成り立たない類型が多い。事実に反する説明は絶対に避けつつ、要件該当性の評価に関わる部分は弁護士と整理してから回答するのが実務の定石である。実務のポイント:最初の任意照会の段階で、相手はすでに証券会社経由の取引データを持っている。取引の存在自体を争うのは無意味で、争点は常に「重要事実性」「公表時期」「知得時期」の三つに集約される

間違えやすい点 AI による整理

  • インサイダー取引の制裁は刑事罰だと理解している人は多い。だが理解が浅いのはその深刻度のほうだ。課徴金は刑事罰と併科されうる(ただし185条の7第15項等により、罰金刑が確定した場合は課徴金額から罰金相当額が控除される調整規定がある)。さらに課徴金納付命令は公表され、金融庁のサイトに氏名または法人名が載る。勤務先の懲戒、業界からの実質的追放という社会的制裁は、刑事処分の有無とは独立して走る
  • 「利益が出ていないから課徴金もゼロだ」と考えるのは、問いの立て方そのものが誤っている。175条1項2号の計算は「公表後2週間における最も高い価格 × 株数」から取得価額を引く。つまり実際の売却価格ではなく、法が擬制した価格を使う。株を持ち続けていても、公表後に一時的に高値をつけていれば、その高値で計算される。損得の実感と課徴金額は一致しない
  • あなたから見れば「家族の口座は家族のお金」だが、法から見れば175条10項2号の「生計を一にする者の計算」であり、あなた自身の取引とみなされる。この落差が致命的なのは、名義を分散させれば分散させるほど、あなた自身は「自分は取引していない」と信じたまま違反数量を積み上げてしまう点にある
  • 課徴金は「罰金の軽い版」だと思われがちだが、法的性質が違う。行政上の措置であり、故意・過失の立証を要しない。「知らなかった」「意図はなかった」という刑事弁護で有効な主張が、ここでは原則として通用しない。争えるのは「重要事実に該当しない」「公表後の取引である」「そもそも会社関係者に当たらない」という要件そのものであって、心情ではない
比較の観点この条文ほかの条文
制裁の性質金商法175条:行政上の課徴金(国庫納付、故意の立証不要)金商法197条の2:刑事罰(拘禁刑・罰金、故意の立証が必要)
金商法185条の7:課徴金納付命令の決定手続と罰金との調整
違反行為の前提条文175条1項=166条違反、2項=167条違反166条:会社関係者・情報受領者の売買等の禁止
167条:公開買付け等関係者の買付け等・売付け等の禁止
裁量の有無「命じなければならない」=羈束処分、情状による減免なし起訴猶予・量刑による調整の余地あり
罰金刑が確定した場合の控除調整が制度上用意される
名義の貫通10項・11項で議決権過半数保有会社・生計を一にする者の計算を自己の計算とみなす両罰規定により法人にも罰金が及ぶ
9項準用により上場会社等自身が納付義務者になる場合がある

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
證券交易法第157條之1・第171條

台湾は内線交易を刑事罰と民事損害賠償で中心的に規律し、日本のような条文固定の算定式による行政課徴金の枠組みは採っていない。制裁の入口が検察側にある点が日本との最大の差

韓国
자본시장과 금융투자업에 관한 법률(資本市場法)

韓国も刑事罰に加えて과징금(課徴金)型の行政制裁を整備する方向で改正を重ねており、不当利得を基準に算定する点で日本と発想が近い

ドイツ
WpHG § 120 i.V.m. Art. 14 MAR

ドイツは EU 市場濫用規則(MAR)を上位規範とし、BaFin による Bußgeld(過料)と刑事罰の二層構造。売上高連動の上限額を用いる点で、日本の売買価格連動の算定式とは設計思想が異なる

アメリカ
15 U.S.C. § 78u-1(Insider Trading Sanctions Act)

米国は SEC が民事制裁金を求め、得た利益または回避した損失の最大3倍まで科しうる。裁判所の裁量が広い点が、羈束処分である日本の175条と対照的

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 勤務先が大型の業務提携を発表する前週、あなたは NISA 口座で自社株を買い増した。「もともと持株会で毎月買っているから自然だ」と思っている。だが証券取引等監視委員会は売買審査システムで、公表前6か月以内の異常な建玉増加を機械的に拾う。課徴金は公表後2週間の最高値基準で計算される。実際にはまだ売っていなくても、計算上の利益に課徴金がかかる
  • 上場企業の経理部にいる友人から、飲み会で「うちは来月とんでもない数字が出る」と聞いた。あなたは何もしなかったが、その話を妻にした。妻が自分の口座で買った。175条10項の「生計を一にする者」の計算に該当するかが問われ、情報受領者としての166条3項違反の構成が検討される。飲み会での一言が、家庭の家計に直撃する
  • M&A のアドバイザリーをしている法律事務所のパラリーガル。公開買付けの情報に触れる立場にあり、自分では取引していないが、資産管理会社の名義で対象会社株を買った。175条10項1号により、議決権の過半数を保有する会社の計算での取引は「自己の計算」とみなされる。法人格の壁は、この条文には通用しない
  • もし、監視委員会から「取引内容についてお伺いしたい」という連絡が来たとしたら? 任意の事情聴取から審判手続開始決定まで、あなたに残された準備期間は数週間から数か月。審判手続開始決定書が届いた時点で、課徴金額はすでに計算済みで提示される。その前段階で証券会社の取引履歴、社内の情報接触記録、メール、チャットログは全部押さえられている
  • 上場会社の役員が会社の自己株式取得の決定を知りながら、会社の計算で売買等をしたケース。175条9項は、このとき課徴金を払うのは役員本人ではなく上場会社等自身であると定める。役員個人の判断ミスで、会社が国庫に納付する構造になっている

取るべき行動

被害を受けた側:市場の他の参加者として不公正取引の疑いを持った場合、証券取引等監視委員会の情報受付窓口へ、銘柄・日時・取引状況・根拠となる公表資料を添えて申告する。課徴金は国庫に納付されるものであり、個人の損害が填補される制度ではない。自分の損害回復を目指すなら、金融商品取引法157条・158条違反や民法709条を根拠とする別途の民事請求、または発行会社の開示責任(21条の2等)の検討が必要になる。制度の目的が市場の公正確保にある点を最初に理解しておくこと

訴えられた側:1. 監視委員会から連絡が来たら、回答する前に金融商品取引法に精通した弁護士へ。証券会社の担当者や社内の上司に相談する前に、である2. 争点を要件レベルに絞る。重要事実に該当するか(軽微基準、開示府令)、公表がいつ行われたか、知得時期はいつか、会社関係者・情報受領者の定義に当たるか3. 取引記録・社内アクセスログ・メールを改変しない。改変は最も重い心証を招く4. 審判手続開始決定を受けたら、指定期日までに答弁書を提出しなければ、争わないものとして課徴金納付命令が出る

時効(請求できる期限):課徴金納付命令に係る審判手続開始決定は、違反行為の終了日から5年を経過したときはできない(金融商品取引法185条の7第15項系統の除斥期間規定。平成20年改正で3年から5年へ延長、最新の改正状況をご確認ください)。審判手続開始決定書を受け取った後は、決定書に記載された期日までに答弁書を提出しなければ、審判期日を開かずに命令が出される。命令に不服がある場合は行政事件訴訟法に基づく取消訴訟、出訴期間は処分を知った日から6か月

学説

通説的理解:課徴金は違反行為により得られた経済的利得を剥奪する行政上の措置であり、応報を本質とする刑事罰とは法的性質を異にする。したがって刑事罰との併科は直ちに二重処罰の禁止に反しないが、実質的な過重を避けるため罰金相当額の控除調整が置かれていると解される

手続保障重視の立場:裁量を排した羈束処分である以上、正当性は算定式の透明性と審判手続の準司法性によって担保されるべきであり、要件該当性(重要事実性・公表時期・知得時期)の審理を実質化することが制度の要であると説かれる

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.平成16年(2004年) 新設:証券取引法改正により課徴金制度を導入。インサイダー取引等に対し、刑事手続によらず行政手続で金銭的不利益を科す仕組みが設けられた
  2. 2.平成18年(2006年) 改正:証券取引法が金融商品取引法へ改称・再編され、課徴金規定も現行の条文体系に整理された
  3. 3.平成20年(2008年) 改正:課徴金の水準引上げと対象範囲の拡大、除斥期間の延長を含む見直しが行われ、抑止力の強化が図られた

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金融商品取引法の全文を見る所属する編章節を開く:第一節 納付命令

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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