金融商品取引法 第5条(有価証券届出書の提出)
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- 前条第一項から第三項までの規定による有価証券の募集又は売出し(特定有価証券(その投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす情報がその発行者が行う資産の運用その他これに類似する事業に関する情報である有価証券として政令で定めるものをいう。以下この項、第五項、第十項及び第十一項、第七条第四項、第二十四条並びに第二十四条の七第一項において同じ。)に係る有価証券の募集及び売出しを除く。以下この項及び次項において同じ。)に係る届出をしようとする発行者は、その者が会社(外国会社を含む。第五十条の二第九項、第六十六条の四十第五項及び第百五十六条の三第二項第三号を除き、以下同じ。)である場合(当該有価証券(特定有価証券を除く。以下この項から第四項までにおいて同じ。)の発行により会社を設立する場合を含む。)においては、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した届出書を内閣総理大臣に提出しなければならない。ただし、当該有価証券の発行価格の決定前に募集をする必要がある場合その他の内閣府令で定める場合には、第一号のうち発行価格その他の内閣府令で定める事項を記載しないで提出することができる。
- 一当該募集又は売出しに関する事項
- 二当該会社の商号、当該会社の属する企業集団(当該会社及び当該会社が他の会社の議決権の過半数を所有していることその他の当該会社と密接な関係を有する者として内閣府令で定める要件に該当する者(内閣府令で定める会社その他の団体に限る。)の集団をいう。以下同じ。)及び当該会社の経理の状況その他事業の内容に関する重要な事項その他の公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める事項
- 2.前条第一項本文、第二項本文又は第三項本文の規定の適用を受ける有価証券の募集又は売出しのうち発行価額又は売出価額の総額が五億円未満のもので内閣府令で定めるもの(第二十四条第二項において「少額募集等」という。)に関し、前項の届出書を提出しようとする者のうち次の各号のいずれにも該当しない者は、当該届出書に、同項第二号に掲げる事項のうち当該会社に係るものとして内閣府令で定めるものを記載することにより、同号に掲げる事項の記載に代えることができる。
- 一第二十四条第一項第一号、第二号又は第四号に掲げる有価証券に該当する有価証券の発行者
- 二前条第一項本文、第二項本文又は第三項本文の規定の適用を受けた有価証券の募集又は売出しにつき前項第二号に掲げる事項を記載した同項の届出書を提出した者又は提出しなければならない者(前号に掲げる者を除く。)
- 三既に、有価証券報告書(第二十四条第一項に規定する報告書をいう。以下この条及び第七条において同じ。)のうち同項本文に規定する事項を記載したもの又は半期報告書(第二十四条の五第一項に規定する半期報告書をいう。以下この条、第七条第四項及び第二十四条第二項において同じ。)のうち第二十四条の五第一項の表の各号の中欄に掲げる事項を記載したものを提出している者(前二号に掲げる者を除く。)
- 3.既に内閣府令で定める期間継続して有価証券報告書のうち内閣府令で定めるものを提出している者は、前条第一項から第三項までの規定による届出をしようとする場合には、第一項の届出書に、内閣府令で定めるところにより、その者に係る直近の有価証券報告書及びその添付書類並びにその提出以後に提出される半期報告書並びにこれらの訂正報告書の写しをとじ込み、かつ、当該有価証券報告書提出後に生じた事実で内閣府令で定めるものを記載することにより、同項第二号に掲げる事項の記載に代えることができる。
- 4.次に掲げる全ての要件を満たす者が前条第一項から第三項までの規定による届出をしようとする場合において、第一項の届出書に、内閣府令で定めるところにより、その者に係る直近の有価証券報告書及びその添付書類並びにその提出以後に提出される半期報告書及び臨時報告書(第二十四条の五第四項に規定する報告書をいう。)並びにこれらの訂正報告書(以下「参照書類」という。)を参照すべき旨を記載したときは、第一項第二号に掲げる事項の記載をしたものとみなす。
- 一既に内閣府令で定める期間継続して有価証券報告書のうち内閣府令で定めるものを提出していること。
- 二当該者に係る第一項第二号に掲げる事項に関する情報が既に公衆に広範に提供されているものとして、その者が発行者である有価証券で既に発行されたものの取引所金融商品市場における取引状況等に関し内閣府令で定める基準に該当すること。
- 5.第一項から前項までの規定は、当該有価証券が特定有価証券である場合について準用する。この場合において、第一項中「有価証券の募集及び売出しを除く」とあるのは「有価証券の募集又は売出しに限る」と、「当該有価証券(特定有価証券を除く。以下この項から第四項までにおいて同じ。)」とあるのは「当該特定有価証券」と、同項第二号中「当該会社の商号、当該会社の属する企業集団(当該会社及び当該会社が他の会社の議決権の過半数を所有していることその他の当該会社と密接な関係を有する者として内閣府令で定める要件に該当する者(内閣府令で定める会社その他の団体に限る。)の集団をいう。以下同じ。)及び当該会社の経理の状況その他事業」とあるのは「当該会社が行う資産の運用その他これに類似する事業に係る資産の経理の状況その他資産」と、第二項中「有価証券の募集又は売出しのうち」とあるのは「特定有価証券に係る有価証券の募集又は売出しのうち」と、同項第一号中「有価証券の」とあるのは「特定有価証券の」と、同項第二号中「有価証券の募集又は売出し」とあるのは「特定有価証券に係る有価証券の募集又は売出し」と、同項第三号中「同項本文」とあるのは「第二十四条第五項において準用する同条第一項本文」と、「第二十四条の五第一項の表の各号の中欄」とあるのは「第二十四条の五第三項において準用する同条第一項の表の第三号の中欄」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
- 6.第一項の規定により届出書を提出しなければならない外国会社(以下「届出書提出外国会社」という。)は、公益又は投資者保護に欠けることがないものとして内閣府令で定める場合には、同項の届出書に代えて、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる書類を提出することができる。
- 一第一項第一号に掲げる事項を記載した書類
- 二外国において開示(当該外国の法令(外国金融商品市場を開設する者その他の内閣府令で定める者の規則を含む。)に基づいて当該外国において公衆の縦覧に供されることをいう。第二十四条第八項及び第二十四条の五第七項において同じ。)が行われている参照書類又は第一項の届出書に類する書類であつて英語で記載されているもの
- 7.前項第二号に掲げる書類には、内閣府令で定めるところにより、当該書類に記載されている事項のうち公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定めるものの要約の日本語による翻訳文、当該書類に記載されていない事項のうち公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定めるものを記載した書類その他内閣府令で定めるもの(次項及び第十三条第二項第一号において「補足書類」という。)を添付しなければならない。
- 8.前二項の規定により届出書提出外国会社が第六項各号に掲げる書類(以下この章において「外国会社届出書」という。)及びその補足書類を提出した場合には、当該外国会社届出書及びその補足書類を第一項の届出書とみなし、これらの提出を同項の届出書を提出したものとみなして、この法律又はこの法律に基づく命令(以下この章から第二章の四までにおいて「金融商品取引法令」という。)の規定を適用する。
- 9.内閣総理大臣は、外国会社届出書を提出した届出書提出外国会社が第六項の規定により外国会社届出書を提出することができる場合に該当しないと認めるときは、当該届出書提出外国会社に対し、その旨を通知しなければならない。この場合においては、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
- 10.特定有価証券(その募集又は売出しの状況を勘案して内閣府令で定めるものに限る。以下この条及び第七条第四項において同じ。)の募集又は売出しにつき、第一項の規定により届出書を提出しなければならない会社(以下この条及び第七条において「特定有価証券届出書提出会社」という。)は、当該特定有価証券の募集又は売出しが既に内閣府令で定める期間継続して行われている場合には、同項の届出書に代えて、内閣府令で定めるところにより、同項第一号に掲げる事項を記載した書面(以下この条及び第七条第三項において「募集事項等記載書面」という。)を提出することができる。ただし、当該募集又は売出しが当該募集事項等記載書面の提出の直前まで行われている場合に限る。
- 11.前項の規定により募集事項等記載書面を提出する特定有価証券届出書提出会社は、当該募集事項等記載書面を、その提出の日の属する当該特定有価証券の特定期間(第二十四条第五項において読み替えて準用する同条第一項に規定する特定期間をいう。以下この項及び第七条第四項において同じ。)の直前の特定期間に係る有価証券報告書及びその添付書類と併せて提出しなければならない。
- 12.前二項の規定により特定有価証券届出書提出会社が募集事項等記載書面並びに有価証券報告書及びその添付書類を提出した場合には、当該募集事項等記載書面及び有価証券報告書を第一項の届出書とみなし、これらの提出を同項の届出書を提出したものとみなして、金融商品取引法令の規定を適用する。
- 13.第一項の届出書には、定款その他の書類で公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定めるものを添付しなければならない。
この条文の基本情報
有価証券届出書の提出とは何ですか?
定義有価証券届出書の提出とは、金融商品取引法第5条に定められた規定で、「前条第一項から第三項までの規定による有価証券の募集又は売出し(特定有価証券(その投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす情報がその発行者が行う資産の運用その他これに…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 金融商品取引法第5条(有価証券届出書の提出)は、日本の金融商品取引法に含まれる条文です。
- 金融商品取引法第5条の条文原文は「前条第一項から第三項までの規定による有価証券の募集又は売出し(特定有価証券(その投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす情報がその発行者が行う資産の運用その他これに…」で始まります。
- 金融商品取引法第5条は第二章 企業内容等の開示に置かれています。
- 金融商品取引法の公布日は昭和23年4月13日です。
- 金融商品取引法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 金融商品取引法第5条の前の条は金融商品取引法第4条です。
- 金融商品取引法第5条の次の条は金融商品取引法第6条です。
- 金融商品取引法第5条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第5条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025 - 本サイト収録
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第5条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000025/5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点金融商品取引法5条は、募集・売出しの発行者に有価証券届出書の内閣総理大臣への提出を義務づけ、総額5億円未満の少額募集等には簡易記載を認める。
Q · 会社が公募で資金を集めるとき、どんな書類を出さないといけないの?
金商法5条の有価証券届出書を内閣総理大臣に提出する
金融商品取引法5条1項により、4条の届出を要する募集・売出しを行う発行者は、募集・売出しに関する事項と会社の商号・企業集団・経理の状況等を記載した有価証券届出書を、内閣府令で定めるところにより内閣総理大臣に提出しなければなりません。総額5億円未満の少額募集等は簡易記載(2項)、有報を継続提出していれば組込方式(3項)、さらに市場での情報流通の基準を満たせば参照方式(4項)が使えます。
解説
毎月一万円ずつ積み立てているインデックスファンド。あの商品は法律上まだ「募集中」であり、運用会社は毎期、届出書に代わる募集事項等記載書面を直前期の有価証券報告書と一緒に出し続けている(5条10項、11項)。立場が変わると、同じ条文がまったく別の顔になる。公募で1億円以上を集める会社は、5条1項で内閣総理大臣(実務の窓口は財務局、提出はEDINET経由)に届出書を出す。ここで運命を分けるのが四つの様式だ。未上場で総額5億円未満、かつ継続開示会社でもない発行者は、企業集団の詳細開示を省いた簡易版で足りる(2項)。1年以上有報を出していれば直近の有報を綴じ込む組込方式(3項)、さらに市場での流通性の基準を満たせば「参照すべき旨」を書くだけで記載したとみなされる参照方式(4項)。あなたが自社をどの箱に入れられるかで、調達が2週間で終わるか3か月かかるかが変わる。
法的な位置づけ
金融商品取引法5条は有価証券届出書の提出義務と記載事項を定める規定である。4条の届出を要する募集又は売出しの発行者は、募集・売出しに関する事項および企業集団・経理の状況等を記載した届出書を内閣総理大臣に提出する。記載の程度は、発行総額と継続開示の蓄積に応じて簡易記載・組込方式・参照方式へ軽減される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.そもそも届出が必要な取引かを4条で判定 勧誘の相手方の人数と発行価額の総額を集計し、4条1項の募集・売出しに該当するかを確認する。総額1億円未満なら届出不要だが、1000万円超なら有価証券通知書(4条6項)の提出義務が残る点を見落とさない
- 2.四つの様式のうちどの箱に入るかを判定 通常様式、少額募集等の簡易記載(2項)、組込方式(3項)、参照方式(4項)のいずれが使えるかを、発行総額・有報の継続提出期間・市場での流通性基準から判定する。この判定を最初にやらないと、使えたはずの軽減措置に気付かず作成費用を余分に払う
- 3.届出書本体と添付書類を作成する 1項1号の募集・売出しに関する事項と2号の企業集団・経理の状況等を、選択した様式に従って作成する。13項の定款等の添付書類も同時に揃える。発行価格未定の場合は1項ただし書で先行提出できる
- 4.EDINET で提出し、効力発生までの待機期間を管理 EDINET 経由で財務局に提出する。届出は原則として受理日から15日を経過した日に効力を生じ、それまで取得の契約は締結できない(8条1項)。参照方式等では期間短縮の余地がある
- 5.効力発生前後の変更は訂正届出書で対応する 記載内容に変更が生じた場合や記載不備が判明した場合は、勧誘を止めて訂正届出書(7条)を先に提出する。放置すると課徴金(172条の2)と刑事責任(197条1項1号)が並走する
よくある質問 AI による整理
Q1有価証券届出書とは何ですか?
金商法5条に基づき、募集・売出しを行う発行者が内閣総理大臣に提出する開示書類です。募集の条件と会社の企業集団・経理の状況等を記載し、EDINET で公衆縦覧されます。
Q2有価証券届出書はいくらから必要ですか?
4条1項により、募集・売出しの発行価額の総額が1億円以上であれば届出が必要です。1億円未満でも1000万円超なら有価証券通知書の提出義務が残ります。
Q3少額募集等の簡易記載は誰が使えますか?
発行価額等の総額が5億円未満で、24条1項の継続開示対象有価証券の発行者でなく、過去に通常様式の届出書や有報・半期報告書を提出していない者です(5条2項)。
Q4組込方式と参照方式の違いは何ですか?
組込方式(3項)は直近の有報等の写しを届出書に綴じ込みます。参照方式(4項)は参照すべき旨を書くだけで記載したとみなされ、市場での情報流通に関する基準の充足が追加要件です。
Q5外国会社は英文の書類で届出できますか?
公益・投資者保護に欠けないと内閣府令で定める場合、外国で開示済みの英文書類を外国会社届出書として提出できます(5条6項)。日本語の要約翻訳文等の補足書類の添付が必要です(7項)。
Q6発行価格が決まっていなくても届出書は出せますか?
出せます。1項ただし書により、発行価格の決定前に募集をする必要がある場合等は、発行価格その他内閣府令で定める事項を記載せずに提出できます。
Q7投資信託にも有価証券届出書は必要ですか?
特定有価証券として5条5項で準用されます。継続的に募集される一定のものは、届出書に代えて募集事項等記載書面を有報と併せて提出できます(10項、11項)。
Q8届出書に添付する書類には何がありますか?
13項により、定款その他公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める書類を添付します。外国会社届出書には補足書類の添付が別途必要です(7項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q11億円未満の資金調達なら、金融庁には何も出さなくていいって本当ですか?
届出書(5条)は不要でも、発行価額の総額が1000万円を超えれば有価証券通知書の提出義務は残る(4条6項)。完全な無届ではない。実務のポイント:通知書は届出書と違って公衆縦覧されず、EDINETで検索しても出てこない。調達の事実を公表したくない未上場会社が1億円の線を強く意識するのは、この縦覧の有無という差が実務で効くからだ
Q2参照方式って、具体的に何がそんなに楽になるんですか?
企業情報を届出書に書き込む代わりに、直近の有価証券報告書等を参照すべき旨を記載すれば、記載したものとみなされる(5条4項)。効力発生までの待機期間も短縮されうる(8条3項)。実務のポイント:周知性の要件は時価総額の基準だけでなく、発行する社債の格付など複数ルートがある(企業内容等の開示に関する内閣府令9条の4。最新の改正状況をご確認ください)。時価総額が足りないから無理と諦める前に別ルートを確認する価値がある
Q3外国の会社が日本で募集するとき、書類は英語のままでいいんですか?
一定の場合には、外国で開示済みの英文書類を届出書に代えて提出できる(5条6項)。ただし日本語の要約翻訳文などの補足書類の添付が必要(同7項)。実務のポイント:この英文開示が認められないと判断されるとき、内閣総理大臣は通知の上、行政手続法13条1項の区分にかかわらず必ず聴聞を行う(同9項)。書面の弁明ではなく聴聞なので、代理人を立てて口頭で反論し、その記録を残せる
Q4うちが積み立てている投信も、毎年こういう書類が出てるんですか?
継続的に募集される特定有価証券では、届出書に代えて募集事項等記載書面を、直前の特定期間の有価証券報告書と併せて提出できる(5条10項、11項)。運用報告書とは別に法定開示が毎期動いている。実務のポイント:その有価証券報告書はEDINETで誰でも読める。販売窓口の説明より、運用資産の内訳と費用の構造が正確に書かれている
間違えやすい点 AI による整理
- 「届出書はどこまで詳しく書けばいいのか」という問いの立て方が、すでに間違っている。5条が用意しているのは通常様式、少額募集等の簡易版(2項)、組込方式(3項)、参照方式(4項)の四つの箱で、最初の作業は自社がどの箱に入るかの判定である。箱を間違えて通常様式で走り出すと、使えたはずの参照方式に気付かないまま作成費用を余分に払う
- 届出書の虚偽記載が違法だと知らない人はいない。知られていないのは深刻度だ。虚偽記載のある届出書の提出は10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金またはその併科(金融商品取引法197条1項1号)、法人には別枠で重い罰金(同207条1項1号)。さらに投資家への民事責任(18条、21条)と課徴金(172条の2)が並走する。刑事・民事・行政の三重取りであり、担当役員個人が名指しされる
- 「上場していないから開示義務はない」は半分だけ正しい。届出義務は上場の有無ではなく、勧誘の相手方の人数と発行総額で決まる。未上場でも公募で1億円以上を調達して届出をすれば、そこから有価証券報告書の継続開示義務(24条1項3号)に連鎖する。一度開けた扉は、自動では閉じない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される場面 | 5条:届出書の記載事項と様式の選択 | 4条:そもそも届出が必要かの入口判定 8条:届出の効力発生時期と待機期間 |
| 判定の基準 | 発行総額5億円、有報の継続提出期間、市場での流通性 | 勧誘の相手方の人数と発行価額の総額1億円 受理日からの経過日数(原則15日) |
| 違反したときの効果 | 虚偽記載なら197条1項1号の刑事罰、18条・21条の民事責任、172条の2の課徴金 | 無届での勧誘継続は刑事罰の対象 効力発生前の取得契約締結は禁止 |
| その後に連鎖するもの | 届出をした発行者に24条1項3号の継続開示義務が据え付く | 1億円未満でも1000万円超なら有価証券通知書 訂正届出書(7条)提出で効力発生日が後ろにずれる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も募集発行に主管機関への申報と公開説明書の交付を求める。金商法5条のような様式の三段階軽減に相当する仕組みは、簡式公開説明書等として別途の規則で整理されている
韓国も一定額以上の募集に証券申告書を要求し、既存の継続開示を利用する簡略様式を置く点で日本と構造が近い
ドイツは EU 目論見書規則が直接適用され、BaFin が承認する。発行総額に応じた免除の閾値が定められる点で少額募集等の発想に近い
本条の母法。Form S-3の incorporation by reference が日本の参照方式に、Regulation A が少額募集等に対応する発想。継続開示の蓄積で発行開示を軽減する構造は共通
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 未上場のあなたの会社が、自社サイトで広く出資を呼びかけて100人から総額1.2億円を集めようとしている。この瞬間に4条1項の「募集」に該当し、5条の届出書なしに勧誘を続ければ刑事罰の対象になる。「知り合いに声をかけただけ」の延長線上に、人数と金額で引かれた崖がある
- もし、届出書を提出した翌日に大口契約の解除が決まったら? 効力発生前でも記載内容に変更が生じれば訂正届出書(7条)の提出義務が走り、効力発生日が後ろにずれる。上場承認から公開価格決定までの日程が週単位で組み替わり、投資家説明会の予定も全部やり直しになる
- IR担当としてあなたは公募増資の実務を回す。参照方式(4項)が使えるかどうかで、開示チームの作業量は数百時間違う。判定基準は有報の継続提出年数と市場での流通性だ
- 外国企業の日本での募集に投資しようとして書類を開いたら、中身が英語だった。6項の外国会社届出書の制度で、外国で開示済みの英文書類に日本語の要約等を添えればよいとされている。日本語で全部読めるはずという前提が、投資判断の直前で崩れる
- 決算期末まであと3週間。あなたの会社は参照方式で年内に社債を出す計画だが、周知性の基準を満たしているかを誰も検証していない。要件を満たさないと通常様式に落ち、開示書類の作成に追加で2か月かかる。逆算すると、今週中に判定を終えないと年内の調達が消える
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取得した有価証券が5条の届出に係る募集・売出しかをEDINETで確認し、届出書と訂正届出書(7条)の版の差分を保存する2. 虚偽記載があれば発行者には18条1項の責任(無過失)、役員・引受証券会社等には21条で追及でき、損害額は19条で推定される3. 課徴金(172条の2)は国庫に入るもので、あなたの回収とは別軌道。行政処分の公表は証拠になるが、それを待つ間に消滅期間が進む
訴えられた側:1. まず自社がどの様式に入るかを判定:通常様式、少額募集等の簡易版(2項)、組込方式(3項)、参照方式(4項) 2. 参照方式を狙うなら、募集の1年以上前から有報の継続提出と周知性要件の充足を作る3. 発行価格未定でも1項ただし書で先行提出できるため、価格決定日から逆算して日程を組む4. 記載不備の疑いが出たら勧誘を止め、訂正届出書(7条)を先に出す。放置すると課徴金と刑事責任が並走する
時効(請求できる期限):5条の届出書自体に「いつまでに」という期限はなく、募集・売出しの勧誘を始める前に提出済みであること自体が要件(4条1項)。届出は原則として受理された日から15日を経過した日に効力を生じ、それまで取得の契約は締結できない(8条1項。参照方式等では期間短縮の余地あり)。虚偽記載に基づく18条・21条の賠償請求権は、虚偽記載を知った時等から3年、当該有価証券を取得した時から7年で消滅する(20条。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:5条の開示規制は、投資者の自己責任による投資判断を成立させるための情報の非対称性の是正を目的とし、発行者に対する事前規制ではなく情報提供義務として構成される。様式の三段階の軽減は、既存の情報流通量に応じた比例的規制の現れと理解される
実務上の理解:参照方式の利用適格は、有報の継続提出期間要件と周知性要件の二本立てであり、周知性は時価総額基準のほか社債の格付等の複数ルートが用意されている。時価総額が足りないことのみを理由に断念すべきではないとされる(企業内容等の開示に関する内閣府令の最新版を要確認)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)証券取引法改正・改題 証券取引法から金融商品取引法への改題に伴い、届出書制度が現行の枠組みに再整備された。特定有価証券への準用や外国会社届出書に関する規律を含め、条文構造が現在の形に近づいた(改正回数の総数は要人的検証)
- 令和5年(2023年)改正、2024年4月1日施行 四半期報告書制度の廃止に伴い、組込方式(3項)・参照方式(4項)で綴り込み・参照すべき書類が四半期報告書から半期報告書に置き換えられた。継続開示書類の前提が変わったため、旧版の実務解説は該当箇所が不正確になっている
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:証券取引法の制定に伴い、米国1933年証券法の登録制度を範として有価証券届出書制度が導入された
- 2.平成18年(2006年) 改正:証券取引法から金融商品取引法への改題に伴い届出書制度が現行の枠組みに再整備された。特定有価証券への準用や外国会社届出書の規律を含め、条文構造が現在の形に近づいた(改正回数の総数は要人的検証)
- 3.令和5年(2023年) 改正:四半期報告書制度の廃止に伴い、組込方式(3項)・参照方式(4項)で綴り込み・参照すべき書類が四半期報告書から半期報告書に置き換えられた(2024年4月1日施行)
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