金融商品取引法 第60条(取引所取引業務の許可)
クイックジャンプ
- 外国証券業者は、第二十九条及び第五十八条の二の規定にかかわらず、内閣総理大臣の許可を受けて、金融商品取引所における有価証券の売買及び市場デリバティブ取引(有価証券等清算取次ぎ(第二条第二十七項第一号に係るものに限る。以下この項において同じ。)の委託者として当該有価証券等清算取次ぎを行う者を代理してこれらの取引を行う場合を含む。以下「取引所取引」という。)を業として行うこと(以下「取引所取引業務」という。)ができる。
- 2.内閣総理大臣は、前項の許可に条件を付することができる。
- 3.前項の条件は、公益又は投資者保護のため必要な最小限度のものでなければならない。
- 4.内閣総理大臣は、第二項の規定により条件を付することとしたときは、書面により、その旨を許可申請者に通知しなければならない。
この条文の基本情報
取引所取引業務の許可とは何ですか?
定義取引所取引業務の許可とは、金融商品取引法第60条に定められた規定で、「外国証券業者は、第二十九条及び第五十八条の二の規定にかかわらず、内閣総理大臣の許可を受けて、金融商品取引所における有価証券の売買及び市場デリバティブ取引(有価証…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 金融商品取引法第60条(取引所取引業務の許可)は、日本の金融商品取引法に含まれる条文です。
- 金融商品取引法第60条の条文原文は「外国証券業者は、第二十九条及び第五十八条の二の規定にかかわらず、内閣総理大臣の許可を受けて、金融商品取引所における有価証券の売買及び市場デリバティブ取引(有価証…」で始まります。
- 金融商品取引法第60条は第三款 取引所取引業務の許可に置かれています。
- 金融商品取引法の公布日は昭和23年4月13日です。
- 金融商品取引法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 金融商品取引法第60条の前の条は金融商品取引法第59条の6です。
- 金融商品取引法第60条の次の条は金融商品取引法第60条の2です。
- 金融商品取引法第60条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第60条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025 - 本サイト収録
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第60条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000025/60
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点金融商品取引法60条は、外国証券業者が内閣総理大臣の許可を受けて取引所取引業務を行えると定める。29条の登録と58条の2の禁止の例外で、許可条件は必要最小限度に限られる。
Q · 外国の証券会社は、日本の取引所で売買できるんですか?
60条の許可を取れば取引所取引だけは可能です
金融商品取引法60条により、外国証券業者は内閣総理大臣の許可を受けて、金融商品取引所における有価証券の売買と市場デリバティブ取引(取引所取引業務)を業として行えます。29条の登録と58条の2の禁止の例外ですが、射程は取引所取引に厳密に限定され、店頭デリバティブや投資助言は含まれません。許可には条件を付せますが(2項)、その条件は公益又は投資者保護のため必要な最小限度でなければならず(3項)、条件を付す場合は書面通知が必要です(4項)。
解説
日本に拠点を持たない海外の証券会社が、なぜ東証で株を売買できるのか。答えがこの条文にある。金融商品取引法29条は「内閣総理大臣の登録を受けなければ金融商品取引業を営んではならない」と定め、58条の2は外国業者が日本の投資家に勧誘することを原則禁止している。60条は、その二重の壁に一つだけ穴を開ける。外国証券業者が内閣総理大臣(実務上は金融庁長官に委任)の「許可」を取れば、金融商品取引所での有価証券売買と市場デリバティブ取引だけは業として行える。ここで押さえるべきは、29条が「登録」なのに60条は「許可」だという点だ。登録は要件を満たせば原則通る。許可は当局の裁量が働き、しかも2項で条件を付けられる。ただし3項が歯止めをかける。その条件は「公益又は投資者保護のため必要な最小限度」でなければならない。外国業者に不利な条件を無限に積む権限を、当局は持っていない。
法的な位置づけ
金融商品取引法60条は、外国証券業者に対する取引所取引業務の許可制を定める規定である。29条の登録制および58条の2の禁止の適用除外として、内閣総理大臣の許可により金融商品取引所における有価証券の売買および市場デリバティブ取引を業として行うことを認め、許可条件の実体的限界と書面通知義務を併せて規定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.業務範囲が取引所取引業務に収まるかを切り分ける 予定するビジネスモデルを洗い出し、金融商品取引所における有価証券売買と市場デリバティブ取引に収まるかを確認する。店頭デリバティブ、投資助言、投資運用、日本の投資家への直接勧誘(58条の2)が混ざる場合は60条の許可では足りず、別途の登録・許可が必要になる
- 2.金融庁との事前相談を開始する 許可申請は書類提出後に審査が始まるのではなく、事前相談の段階で実質的な審査と条件案の形成が進む。想定される条件を洗い出し、3項の必要最小限度の観点から過大な条件案には根拠を示して意見を述べる。この段階が条件交渉の唯一の実効的な窓になる
- 3.許可申請書と添付書類を整備する 金融商品取引業等に関する内閣府令が定める記載事項・添付書類に従い申請書を作成する。国内における代表者、国内の連絡体制、本国当局との情報交換の枠組み、財務の健全性を示す資料が中核になる
- 4.条件通知書面(4項)を受領し保管・検証する 許可に条件が付される場合、4項により書面で通知される。受領したら条件の文言を一字単位で確認し、想定していた業務が条件に抵触しないかを検証する。書面は条件の特定と後日の不服申立ての起点になるため、原本を管理する
- 5.条件遵守の記録体制を構築する 許可条件ごとに遵守状況をモニタリングする内部管理体制を作り、取引記録が取引所取引業務の範囲内であることを常時立証できるようにする。条件違反や射程外業務を指摘された場合、この記録が最初の防御資料になる
よくある質問 AI による整理
Q1取引所取引業務とは何ですか?
金融商品取引所における有価証券の売買と市場デリバティブ取引を業として行うことです。金商法60条1項が定義し、有価証券等清算取次ぎの委託者を代理して行う取引も含まれます。
Q2外国証券業者の許可は誰が出すのですか?
条文上は内閣総理大臣ですが、実務上は金商法194条の7等により金融庁長官へ権限が委任され、金融庁が審査・処分を行います。
Q3金商法60条の許可に条件は付きますか?
2項により内閣総理大臣は許可に条件を付せます。ただし3項で「公益又は投資者保護のため必要な最小限度」に限定され、無制限に条件を積むことはできません。
Q4許可条件は口頭で伝えられることもありますか?
認められません。4項が書面による通知を義務付けています。書面がなければ条件の存在自体を争う足場になり、書面は後の審査請求・取消訴訟の証拠にもなります。
Q5登録と許可はどう違いますか?
29条の登録は要件を満たせば原則拒否されない羈束的性質が強く、60条の許可は当局の判断が入り条件も付きます。参入コストと予測可能性の差が大きい点が実務上の核心です。
Q660条の許可があれば日本で証券業を全部できますか?
できません。許可の射程は取引所取引業務に限定されます。店頭デリバティブ、投資助言、投資運用は含まれず、射程外の業務は無登録営業の問題になります。
Q7許可条件が重すぎる場合はどうすればいいですか?
3項の必要最小限度を超えると考えるなら、まず処分前の事前相談で根拠を示して反論し、処分後は行政不服審査法の審査請求や取消訴訟で争う道があります。
Q8外国証券業者は誰を指しますか?
金商法58条に定義があり、外国の法令に準拠して外国において有価証券関連業を行う者を指します。日本法人の外資系証券会社とは区別されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1外国の証券会社って、日本で普通に営業できないんですか?
原則としてできません。金融商品取引法29条で登録が必要とされ、58条の2で外国業者の国内向け勧誘が制限されています。60条はその例外として、取引所取引業務に限り内閣総理大臣の許可で行えるようにした規定です。実務のポイント:実務で重要なのは「許可の射程外に一歩出た瞬間、無登録営業の議論になる」という点です。海外業者と組む国内側も、その射程を契約書で明示しておかないと巻き込まれます
Q2許可に条件が付くって、どんな条件ですか?
条文は具体的な条件を列挙せず、2項で内閣総理大臣が条件を付せるとだけ定めています。ただし3項が「公益又は投資者保護のため必要な最小限度」という実体的制約をかけており、無制限ではありません。実務のポイント:条件の中身は事前相談で実質的に固まります。書面通知(4項)が来た時点で交渉の窓は閉じている。動くべきタイミングは通知前です
Q3「登録」と「許可」って、そんなに違うものなんですか?
法的性質が違います。登録は要件を満たせば原則として拒否できない性質が強く、許可は当局の判断が入り、本条2項のように条件も付けられます。予測可能性とコストの差が大きい。実務のポイント:許可制であるということは、当局との関係性が事業の前提になるということです。だからこそ3項の存在が効きます。関係性の中でも、法が引いた線は残っている
間違えやすい点 AI による整理
- 「外国の証券会社は日本で何もできない」と思われているが、正確には「原則できないが、取引所取引だけは許可制で開く」である。29条の登録と58条の2の禁止を両方適用除外するのが60条。参入経路がゼロではなく、限定的に一本だけ引かれている
- 60条の許可があれば日本で証券業全般ができると誤解されやすいが、許可の射程は「取引所取引業務」に厳密に限定される。金融商品取引所における有価証券売買と市場デリバティブ取引、これだけだ。店頭デリバティブも投資助言も資産運用も含まれない。射程外の業務を始めた瞬間、無登録営業の問題に転化する
- 許可に付いた条件は当局が決めることだから従うしかない、と考える人が多い。だがこの問いの立て方自体が誤っている。3項は条件の内容に実体的な制約をかけており、「必要最小限度」を超える条件は法が予定していない。従うかどうかではなく、その条件が3項の枠内に収まっているかを検証する、というのが正しい問いだ
- 「許可」と「登録」を同じものと見る人がいるが、法律から見ると別物である。登録は拒否事由がなければ登録される羈束的な処分に近く、許可は当局の判断が入り、条件も付く。この落差が、外国業者の参入コストと予測可能性に直結する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 参入の法的形式 | 金商法60条:取引所取引業務の許可(裁量的処分) | 金商法29条:金融商品取引業の登録(羈束的性質が強い) 金商法58条の2:外国業者の国内向け取引の原則禁止 |
| できる業務の射程 | 金融商品取引所における有価証券売買と市場デリバティブ取引のみ | 登録を受けた業務区分(第一種・第二種・投資助言・投資運用) 原則として国内の相手方に対する勧誘・取引を行えない |
| 条件付与の可否 | 2項で条件を付与可、3項で必要最小限度の実体的制約、4項で書面通知義務 | 登録自体に条件を付す構成ではなく、拒否事由該当性で判断 許可・登録がない限り禁止(例外は60条等) |
| 名宛人 | 外国証券業者(58条の定義) | 国内外を問わず金融商品取引業を営もうとする者 外国証券業者等(国内に拠点を持たない外国業者) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も外国証券商の参入を主管機関の許可制で処理し、業務範囲を限定する点で構造が近い。金融監督管理委員会が許可権限を持つ
韓国は金融投資業を包括的な認可・登録制で規律し、外国金融投資業者にも同法の枠組みが及ぶ。金融委員会が認可権限を持つ
ドイツは EU 域内業者にパスポート制(§ 53b)を認める一方、第三国業者には BaFin の個別の許可を要求する二層構造をとる
米国は外国ブローカー・ディーラーに登録義務を課しつつ、Rule 15a-6で一定の類型(chaperoning 方式等)を登録免除とする。日本の許可制とは逆に、免除規則で参入路を設計している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが外資系証券の日本参入プロジェクトに配属された。本社は「日本に支店を作らず、シンガポールから東証にアクセスしたい」と言う。それを可能にするのが60条の取引所取引業務の許可で、日本の投資家への勧誘(58条の2)とは別枠だ。この線引きを社内で説明できるかどうかが、ビジネスモデル設計の出発点になる
- 許可は下りた。だが許可書に「取引対象を上場株式に限る」「日本国内の顧客からの直接の注文受託を行わないこと」という条件が付いていた。本社は激怒して「これは差別だ」と言う。あなたが持ち出すべきは3項である。条件は必要最小限でなければならず、過剰な条件は裁量権の逸脱として争う余地がある
- もし許可申請を出したのに、条件が付いたことを口頭でしか知らされなかったらどうなる? 4項は書面による通知を義務付けている。書面がなければ、条件の存在自体を争う足場ができる。そして書面があるということは、その書面が後日の審査請求・取消訴訟における処分の証拠になるということでもある
- 国内証券会社のコンプライアンス担当として、海外の取引先から「うちも東証で直接取引したい」と相談された。あなたは三分で答えられる。29条の登録では足りない、60条の許可という別ルートがあり、範囲は取引所取引に限定される、と
- 許可申請の準備期間はおおむね数か月から一年規模。四半期末までに取引開始という本社の期限まであと90日。申請書類の準備と当局との事前相談を同時並行で回さないと間に合わない。この種の許可は、書類が揃ってから審査が始まるのではなく、事前相談で実質的な審査が終わっている
取るべき行動
被害を受けた側:許可を申請する外国業者側に立つ場合、まず業務範囲が取引所取引業務に収まるかを厳密に確認する。店頭取引や投資勧誘が混ざるなら別の登録・許可が必要になる。次に事前相談の段階で想定される条件を洗い出し、3項の必要最小限度の観点から過大な条件案には根拠を示して反論する。許可後は4項の通知書面を保管し、条件の履行状況を記録に残す
訴えられた側:条件違反や射程外業務を指摘された場合、まず4項の通知書面で条件の文言を確認し、指摘された行為が本当に条件に抵触するかを文言レベルで検証する。条件自体が3項の必要最小限度を超えると考えるなら、行政不服審査法に基づく審査請求または取消訴訟で争う道がある。同時に、業務が取引所取引業務の範囲内であったことを示す取引記録を整理する
時効(請求できる期限):許可そのものに法定の存続期限はないが、条件に関する不服は行政不服審査法による審査請求(処分を知った日の翌日から3か月以内)、取消訴訟は行政事件訴訟法14条により処分を知った日から6か月以内、処分の日から1年以内が原則(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の許可は羈束裁量ではなく効果裁量を伴う処分と解されるが、3項が条件の内容を必要最小限度に限定していることから、裁量は法文上の天井を持つ。条件の合理性は比例原則に照らして司法審査の対象となりうると理解されている
実務的理解:取引所取引業務の許可は、日本の投資家への直接の勧誘領域(58条の2)を開放しないことと一体で設計されている。市場アクセスの開放と投資者保護を、業務範囲の切り分けによって両立させる構造だと整理される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:証券取引法が制定され、戦後の証券規制体系が成立。外国証券業者の取扱いはその後の改正を通じて整備されていく
- 2.平成18年(2006年) 改正:証券取引法が金融商品取引法へ改称・大幅改編され、金融商品取引業の登録制(29条)を中核とする横断的規制が導入された。外国証券業者の取引所取引業務の許可もこの体系の中に位置づけられている
- 金融商品取引法 第29条金融商品取引業の登録制、本条が適用除外する原則
- 金融商品取引法 第58条の2外国業者の国内向け取引の原則禁止
- 金融商品取引法 第58条外国証券業者の定義規定
- 金融商品取引法 第2条有価証券等清算取次ぎ等の定義
- 金融商品取引法 第194条内閣総理大臣の権限の金融庁長官への委任
- 行政手続法 第5条許可申請に対する審査基準の設定義務
- 行政事件訴訟法 第3条許可条件を争う抗告訴訟の根拠
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める