金融商品取引法 第85条(自主規制業務の委託)
クイックジャンプ
- 金融商品取引所は、内閣総理大臣の認可を受けて、自主規制法人(自主規制業務(前条第二項に規定する自主規制業務をいう。以下この章において同じ。)を行うことを目的として、次節第一款の二の規定に基づいて設立された法人をいう。以下この章において同じ。)に対し、当該金融商品取引所に係る自主規制業務の全部又は一部を委託することができる。
- 2.内閣総理大臣は、前項の認可に条件を付することができる。
- 3.前項の条件は、認可の趣旨に照らして、又は認可に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない。
- 4.金融商品取引所は、第一項の規定による場合のほか、当該金融商品取引所に係る自主規制業務の一部(特定取引所金融商品市場に係るものであつて、その内容等を勘案し、投資者保護の根幹にかかわる事項以外のものを取り扱う業務として内閣府令で定めるものに限る。以下この条及び第百二条の十九において「特定業務」という。)を、他の者に委託することができる。
- 5.金融商品取引所は、前項の規定により特定業務を委託する場合においては、内閣府令で定めるところにより、当該特定業務の適正な実施を確保するための措置を講じなければならない。
- 6.第四項の規定により、特定株式会社金融商品取引所(第百五条の四第二項に規定する特定株式会社金融商品取引所をいう。以下この項において同じ。)がその特定業務を他の者に委託する場合には、当該特定株式会社金融商品取引所の自主規制委員会による当該特定業務の委託についての決定を経て行わなければならない。
この条文の基本情報
自主規制業務の委託とは何ですか?
定義自主規制業務の委託とは、金融商品取引法第85条に定められた規定で、「金融商品取引所は、内閣総理大臣の認可を受けて、自主規制法人(自主規制業務(前条第二項に規定する自主規制業務をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 金融商品取引法第85条(自主規制業務の委託)は、日本の金融商品取引法に含まれる条文です。
- 金融商品取引法第85条の条文原文は「金融商品取引所は、内閣総理大臣の認可を受けて、自主規制法人(自主規制業務(前条第二項に規定する自主規制業務をいう。」で始まります。
- 金融商品取引法第85条は第一節 総則に置かれています。
- 金融商品取引法の公布日は昭和23年4月13日です。
- 金融商品取引法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 金融商品取引法第85条の前の条は金融商品取引法第84条です。
- 金融商品取引法第85条の次の条は金融商品取引法第85条の2です。
- 金融商品取引法第85条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第85条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025 - 本サイト収録
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第85条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000025/85
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点金融商品取引法85条は、金融商品取引所が内閣総理大臣の認可を受けて、上場審査や上場廃止を含む自主規制業務の全部または一部を自主規制法人へ委託できると定める。
Q · 金融商品取引法85条の委託って、誰が何をどこまで任せられるんですか?
取引所が認可を受けて自主規制業務を自主規制法人へ委託できる
金融商品取引法85条1項により、金融商品取引所は内閣総理大臣の認可を受けて、同法84条2項の自主規制業務の全部または一部を自主規制法人に委託できます。認可には条件を付せますが、3項により必要最小限に限られます。4項は特定取引所金融商品市場に係る特定業務に限り、自主規制法人以外の他の者への委託も認めますが、5項の適正実施の確保措置と、6項の自主規制委員会の決定が重ねて要求されます。
解説
上場廃止のリリースを見て「東証が決めた」と受け取ったなら、半分外れている。金融商品取引法85条1項は、取引所が内閣総理大臣の認可を受けて、自主規制業務、すなわち上場審査・上場廃止や会員証券会社の法令遵守状況の調査などの全部または一部を、自主規制法人という別の法人へ委託できると定める。東京証券取引所と大阪取引所は実際にこれを用い、受け皿は日本取引所自主規制法人である。なぜ組織ごと切り離すのか。取引所自身が株式会社であり、上場料と売買手数料で稼ぐ営利企業だからだ。厳しく審査して上場会社を減らせば、自分の売上が減る。この利益相反を組織の壁で物理的に断つのが85条の設計である。4項はさらに、プロ向け市場に限り、投資者保護の根幹に関わらない業務(特定業務)だけを外部の第三者に出す道も開くが、5項で適正実施の確保措置が義務づけられ、6項では自主規制委員会の決定が必要になる。あなたが受け取る通知の背後には、誰が判断者かという権限の地図が敷かれている。
法的な位置づけ
金融商品取引法85条は自主規制業務の委託を定める規定であり、金融商品取引所が内閣総理大臣の認可を受けて、同法84条2項の自主規制業務の全部または一部を自主規制法人に委託できる旨を規定する。4項は特定取引所金融商品市場に係る特定業務に限り、他の者への委託も認める。
よくある質問 AI による整理
Q1自主規制法人とは何ですか?
自主規制業務を行うことを目的として金融商品取引法の規定に基づき設立される法人です。取引所から委託を受け、上場審査・上場廃止や会員の法令遵守調査を担います。
Q2日本取引所自主規制法人は何をしているのですか?
東京証券取引所・大阪取引所から85条1項の委託を受け、上場審査、上場廃止審査、上場会社の開示審査、取引参加者の考査などの自主規制業務を実施しています。
Q3自主規制業務はどこまで委託できますか?
1項の自主規制法人への委託は全部委託まで可能です。これに対し4項の他の者への委託は、特定取引所金融商品市場に係る特定業務に限定されます。
Q4特定業務とはどんな業務ですか?
特定取引所金融商品市場に係る自主規制業務のうち、内容等を勘案して投資者保護の根幹にかかわる事項以外を扱うものとして内閣府令で定める業務です。
Q5プロ向け市場の審査は誰がするのですか?
特定取引所金融商品市場では、4項により特定業務が自主規制法人以外の第三者に委託されている場合があります。窓口が取引所でも自主規制法人でもない可能性があります。
Q6自主規制委員会の決定が必要なのはどんなときですか?
6項により、特定株式会社金融商品取引所が4項で特定業務を他の者に委託する場合、その委託について自主規制委員会の決定を経る必要があります。
Q7取引所と自主規制法人はどういう関係ですか?
委託者と受託者の関係です。取引所は市場運営と上場料・手数料収入を担い、委託を受けた自主規制法人が審査・調査という規制判断を別法人として行います。
Q8委託したら取引所の責任はなくなりますか?
なくなりません。84条1項が自主規制業務の適切な遂行義務を取引所に課しており、4項の委託では5項の適正実施確保措置も義務づけられています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1上場廃止って、結局どこが決めてるんですか?
84条2項が上場・上場廃止に関する業務を自主規制業務と位置づけ、85条1項の委託が行われていれば、実際に審査し判断するのは自主規制法人です。東京証券取引所と大阪取引所は日本取引所自主規制法人に委託しています。実務のポイント:上場廃止の決定は取引所規則に基づく私法上の措置と実務上は解されており、行政処分ではありません。審査請求や取消訴訟の枠組みを探しても入口がなく、争うなら民事の仮処分・損害賠償の設計になる。この違いを知らずに不服申立先を探すと、貴重な数週間を失う。
Q2認可に条件を付けられるって、行政がいくらでも縛れるんですか?
縛り放題ではありません。85条2項で条件を付せる一方、3項が「認可の趣旨に照らして、又は認可に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のもの」に限定しており、比例原則が条文自体に書き込まれています。実務のポイント:この「必要最小限」の文言は金商法の認可条項に共通して置かれ、過重な条件への反論の足場になります。さらに実務では認可条件と行政指導レベルの要請が同じ打合せで混ざって降りてくる。どちらなのかをその場で確認して記録に残すかどうかが、後の交渉力を決める。
間違えやすい点 AI による整理
- 「東証に上場廃止を撤回させるにはどうするか」という問いの立て方自体がずれている。委託が行われている場合、審査と判断の実体は受託した自主規制法人側にある。問いは「決定権者は誰か」から始めなければ、交渉相手すら特定できない。
- 委託できること自体は知っていても、委託の範囲の落差を軽く見ている人が多い。1項の自主規制法人への委託は全部委託まで可能だが、4項の第三者への委託はプロ向け市場かつ投資者保護の根幹に関わらない業務に限られる。この非対称こそが制度の芯であり、どちらの委託かで相手の権限も責任も変わる。
- あなたから見れば上場審査は「取引所が提供するサービス」だが、法律から見れば準公的な自主規制権限の行使である。サービスの窓口だと思って交渉に行き、説明責任の場だと気づかないまま話すと、記録に残る発言で自分を縛る。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 委託先 | 85条1項:自主規制法人(設立根拠は同法102条の2以下) | 85条4項:自主規制法人以外の他の者 84条:委託せず取引所自身が遂行 |
| 委託できる範囲 | 自主規制業務の全部または一部 | 特定取引所金融商品市場に係る特定業務のみ(投資者保護の根幹以外) 範囲の問題は生じない(全業務を自ら実施) |
| 行政の関与 | 内閣総理大臣の認可が必要(2項で条件付与可、3項で必要最小限) | 認可の明文はなく、5項の適正実施確保措置を内閣府令に従い実施 80条の免許による取引所自体への監督 |
| 内部手続 | 取引所の内部意思決定に従う | 特定株式会社金融商品取引所は自主規制委員会の決定が必要(6項) 105条の4による自主規制委員会の権限に服する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は証券取引所が業務規則を定め、上場の停止・終止は主務官庁の承認がなければ効力を生じない。規制業務を別法人へ委託する日本型の組織分離ではなく、行政承認による直接統制型に近い。
韓国は韓国取引所の内部に市場監視委員会を置き、取引所組織内での独立性確保によって利益相反に対処する。別法人化を前提とする日本の85条1項とは分離の位置が異なる。
ドイツは取引所を公法上の施設として構成し、州の取引所監督官庁と取引所内の取引監視部門が規制を担う。私法人への委託ではなく公法的監督の枠組みで利益相反を処理する点が対照的。
米国は SRO を SEC に登録させ、規則変更を SEC の承認に服させる。取引所が規制業務を FINRA へ委託する実務が広く行われており、85条の委託構造に最も近い母法的モデルといえる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし決算の訂正が出て、上場廃止基準に触れるかどうかの照会にあと5営業日で答えねばならないとしたら、社内は誰に向けた資料を作るべきか。窓口は取引所の上場営業部門ではなく、委託を受けた自主規制法人の審査担当である。宛先の取り違えは、限られた期限を丸ごと溶かす。
- あなたは中堅証券会社のコンプライアンス担当。臨店の考査に来るのは金融庁でも取引所の営業部門でもなく、自主規制法人の考査部門である。相手の立場を読み違えると、初日で信頼を落とす。
- プロ向け市場への上場を検討するスタートアップのCFOとして、書類チェックの相手が取引所でも自主規制法人でもない外部の受託者だと知る場面がある。4項の特定業務の射程に入る業務だからだ。誰が守秘義務を負い、どこまで裁量を持つのか、確認すべき相手が一段増える。
学説
通説:取引所の株式会社化によって生じた営利性と自主規制の構造的利益相反を、85条は規制権限の別法人への委託という組織的分離で解決する趣旨と解される。委託後も84条1項の適切遂行義務は取引所に残る。
実務的理解:1項の自主規制法人への委託と4項の第三者への特定業務委託は、委託範囲・統制手法ともに非対称に設計されており、後者は市場の性質(プロ向け)と業務の重要度の二重の限定を受けると理解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 改正:証券取引法の抜本改正により法律名が金融商品取引法へ変更され、自主規制法人への委託制度が整備された。取引所の株式会社化に伴う利益相反への制度的対応として位置づけられる。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める