金融商品取引法 第87条(会員等に対する処分)
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金融商品取引所は、その定款において、会員等が法令、法令に基づいてする行政官庁の処分、当該金融商品取引所の定款、業務規程、受託契約準則その他の規則(以下この条において単に「規則」という。)及び取引の信義則を遵守しなければならない旨並びに法令、法令に基づいてする行政官庁の処分若しくは規則に違反し、又は取引の信義則に背反する行為をした会員等に対し、過怠金を課し、その者の取引所金融商品市場における有価証券の売買若しくは市場デリバティブ取引若しくはその有価証券等清算取次ぎの委託の停止若しくは制限を命じ、又は除名(取引参加者にあつては、取引資格の取消し)をする旨を定めなければならない。
この条文の基本情報
会員等に対する処分とは何ですか?
定義会員等に対する処分とは、金融商品取引法第87条に定められた規定で、「金融商品取引所は、その定款において、会員等が法令、法令に基づいてする行政官庁の処分、当該金融商品取引所の定款、業務規程、受託契約準則その他の規則(以下この条にお…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 金融商品取引法第87条(会員等に対する処分)は、日本の金融商品取引法に含まれる条文です。
- 金融商品取引法第87条の条文原文は「金融商品取引所は、その定款において、会員等が法令、法令に基づいてする行政官庁の処分、当該金融商品取引所の定款、業務規程、受託契約準則その他の規則(以下この条にお…」で始まります。
- 金融商品取引法第87条は第一節 総則に置かれています。
- 金融商品取引法の公布日は昭和23年4月13日です。
- 金融商品取引法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 金融商品取引法第87条の前の条は金融商品取引法第86条です。
- 金融商品取引法第87条の次の条は金融商品取引法第87条の2です。
- 金融商品取引法第87条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第87条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025 - 本サイト収録
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第87条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000025/87
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点金融商品取引法87条は、取引所に対し、法令や取引の信義則に違反した会員等へ過怠金・売買停止・除名を科す旨を定款に定めるよう義務づける規定である。
Q · 証券会社が市場でまずいことをしたら、処分するのは金融庁だけですか?
違います。取引所も定款に基づき過怠金や除名を科せます
金融商品取引法87条は、金融商品取引所に対し、会員等が法令・行政官庁の処分・取引所の規則・取引の信義則を守る義務と、違反者への過怠金、売買等の停止・制限、除名(取引参加者は取引資格の取消し)を定款に必ず定めるよう義務づけています。つまり市場の規律は、金融庁による公的規制と、取引所による私的自治の二層で動きます。明文の法令違反がなくても「取引の信義則に背反する行為」と評価されれば処分対象になりうる点が、実務上もっとも重い意味を持ちます。
解説
証券会社が顧客を騙して処分を受けるとき、下されるのは金融庁の行政処分だけではない。もう一つ、ほとんど報道されない処分がある。取引所が自ら会員証券会社に科す「過怠金」と「売買停止」、そして最も重い「除名」だ。金融商品取引法87条は、金融商品取引所に対し、この私的制裁の仕組みを定款に必ず書き込めと命じている。あなたが証券会社の社員なら、社内コンプライアンス研修で「法令遵守」だけを叩き込まれてきたはずだ。だが87条が並べているのは四つある。法令、行政官庁の処分、取引所の規則、そして「取引の信義則」。最後の一つには条文がない。明文の禁止規定に触れていなくても、市場の信義に背いたと取引所が判断すれば処分される。国が動く前に、取引所が先に動く。証券会社にとって、実務上ほんとうに怖いのはこちらである。
法的な位置づけ
金融商品取引法87条は、金融商品取引所の定款に必ず置くべき自主規制事項を定める規定である。会員等に法令、行政官庁の処分、取引所の規則および取引の信義則の遵守義務を課し、違反者に対する過怠金の賦課、売買等の停止・制限、除名(取引参加者は取引資格の取消し)を定款に定めることを取引所に義務づける。
手順
- 1.照会文書を受領したら事実関係を時系列で確定する 取引所の売買審査部から照会が届いたら、対象となった発注の時刻、端末、担当者、承認フロー、システムログを時系列で確定する。回答期限は数営業日であることが多く、ここで作った事実の骨格が最後まで使われる
- 2.処分事由を三つに切り分ける 対象行為が①法令・行政官庁の処分への違反、②定款・業務規程・受託契約準則その他の規則への違反、③取引の信義則への背反のどれに当たるかを切り分ける。③であれば明文の要件がない以上、市場への影響の軽微性と主観的悪性の不存在を具体的に示す余地が残る
- 3.回答書に改善計画を自主的に添付する 処分案が示される前に、原因分析・再発防止策・責任者・実施期限を記載した改善計画を自主的に提出する。この段階なら過怠金か売買停止かの分岐そのものが動く。処分案が出てからの反論は量定の微調整にしかならない
- 4.弁明手続で公表文言まで交渉する 取引所の弁明手続では、処分の重さだけでなく公表される事実認定の文言も実質的な争点になる。公表資料は後の民事訴訟で違反事実の認定として使われうるため、記載の粒度と評価表現を確認する
- 5.処分後は顧客説明と再発防止の実装まで完了させる 処分が確定したら、公表と同時に顧客・取引先への説明責任が生じる。改善計画に書いた施策をシステム・人事・研修に実装し、実施結果を取引所へ報告する。ここを流すと次回の量定が跳ね上がる
よくある質問 AI による整理
Q1会員等とは誰のことですか?
会員制の取引所における会員と、株式会社形態の取引所における取引参加者の総称です。いずれも取引所市場で直接売買できる資格を持つ金融商品取引業者等を指します。
Q2取引所から除名されると証券会社はどうなりますか?
金融商品取引業の登録自体は残りますが、取引所市場で直接売買する資格を失います。他社経由での注文執行に切り替えざるを得ず、事実上の事業縮小につながります。
Q3過怠金の金額はどう決まりますか?
87条は金額を定めず、各取引所の定款・業務規程が定める基準と手続によります。違反の態様、市場への影響、故意過失の程度、改善措置の有無などが量定要素になります。
Q4取引所の売買審査とは何ですか?
取引所が日々の売買を監視し、不公正取引や規則違反の疑いがある注文について会員等に照会をかける自主規制業務です。行政当局の調査より手前の段階で動きます。
Q5金融庁の処分と取引所の処分、どちらが先に来ますか?
実務上は取引所の照会・処分が先行することが多いとされます。取引所は市場データを直接保有し、私的規則に基づいて迅速に動けるためです。両者は別枠で併存します。
Q6取引所の処分は公表されますか?
各取引所の規則に従い、処分の種類・対象・理由が公表されることがあります。公表範囲や時期は取引所の運用によるため、事前の弁明段階での主張が公表文言にも影響します。
Q7取引参加者と会員は何が違うのですか?
会員は会員制取引所の構成員、取引参加者は株式会社形態の取引所と取引資格契約を結ぶ業者です。87条は除名に相当する処分を取引参加者では取引資格の取消しとしています。
Q8法令違反がなくても取引所に処分されますか?
されます。87条は業務規程・受託契約準則その他の規則違反に加え、「取引の信義則に背反する行為」も処分事由として定款に定めるよう求めているためです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1過怠金って、結局は罰金と何が違うんですか?
罰金は刑法上の刑罰で裁判所が科し、課徴金は行政庁が科す金銭的不利益(金融商品取引法172条以下)です。過怠金は取引所が定款に基づいて会員に科す私的な違約金で、性質がまったく異なります。実務のポイント:性質が違うため、同じ行為で課徴金と過怠金の両方を負担することがあります。ニュースで金額だけ比べても実態はつかめません
Q2「取引の信義則に背反する行為」って、具体的には何をしたらアウトなんですか?
87条は列挙せず、取引所の業務規程と売買審査の運用に委ねています。相場の公正を害する発注、顧客注文の不適切な取扱い、市場の信頼を損なう情報管理などが典型です。実務のポイント:明文違反がなくても処分されうるのがこの文言の本質で、新しい取引手法が規制の網をすり抜けたときに真っ先に使われます。実務上、解釈の幅は取引所ごとに運用差があります
Q3取引所の処分に納得できない場合、裁判で争えますか?
定款に基づく私法上の処分なので、民事訴訟で処分の無効確認や損害賠償を求める余地はあります。ただし金融庁の行政処分と違い、行政不服審査法や行政事件訴訟法の取消訴訟の対象にはなりません。実務のポイント:団体の内部自治が尊重されるため、手続の著しい不公正や裁量の逸脱を立証できないと覆りません。争うなら処分確定前の弁明手続が実質的な勝負どころです
間違えやすい点 AI による整理
- 「市場のルール違反を取り締まるのは金融庁と証券取引等監視委員会だ」と思われているが、問いの立て方が誤っている。取引所は民間組織でありながら、87条により会員に対する制裁権限の整備を法律で義務づけられている。監視委員会が動くよりはるかに手前で、取引所の売買審査が日々照会をかけている。実務の主戦場は行政庁ではなく取引所である
- 「過怠金は知っているが、罰金の一種でしょう」という理解は半分しか当たっていない。過怠金は国が科す刑罰でも行政上の課徴金でもなく、定款という私的な規則に基づく違約金である。だからこそ刑事手続の厳格な保障は及ばず、取引所の裁量が広い。そして課徴金や罰金とは別枠なので、同一行為で両方を負担することがある。二重処罰の禁止(日本国憲法39条)は、性質の異なるこの二つには原則として及ばない
- 「取引の信義則違反は曖昧すぎて、実際には使われない」と考える人は多いが、逆である。明文規定の隙間を埋めるためにこそ置かれた文言であり、新しい取引手法が規制の網をすり抜けたとき、取引所が最初に持ち出す根拠がこれだ。条文がないから安全、という発想そのものが市場では通用しない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処分する主体 | 87条:金融商品取引所(民間の自主規制機関)が会員等へ | 149条:内閣総理大臣(金融庁)が取引所へ 51条:行政庁が金融商品取引業者へ |
| 根拠の性質 | 定款・業務規程という私的規則に基づく私法上の制裁 | 法律に基づく行政処分 法律に基づく行政処分(業務改善命令) |
| 主な手段 | 過怠金、売買等の停止・制限、除名(取引参加者は取引資格の取消し) | 取引所への監督上の処分 業務の運営改善に必要な措置の命令 |
| 争い方 | 民事訴訟(無効確認・損害賠償)。行政不服審査・取消訴訟の対象外 | 行政不服審査・取消訴訟 行政不服審査・取消訴訟 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も証券取引所の業務規則に違約処理等を必ず定めさせる方式をとる。主管機関(金管会)の監督と取引所の自律処分が併存する点は日本と同型
韓国取引所も会員に対し制裁金・売買停止・資格剥奪に相当する措置を自主規制規程で定める。金融委員会・金融監督院の行政処分と二層で機能する
ドイツは取引所ごとに制裁委員会を法定し、譴責・過料・一定期間の取引停止を科す。制裁機関そのものを法律で組織化する点が日本の定款委任方式と異なる
米国は SRO に会員懲戒規定の整備を法律上義務づけ、SEC が SRO の規則と処分を監督する。日本の87条+149条の構造はこのモデルに近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの勤める証券会社のトレーダーが、終値に影響を与えかねない発注を繰り返した。金融庁の課徴金調査が入る前に、まず取引所の売買審査部から照会文書が届く。回答期限は数日。この段階での説明の組み立てが、後の過怠金額と公表内容を左右する
- システム障害で誤発注を大量に出してしまった。法令違反ではない。だが取引所の業務規程に定めた発注管理体制の不備と評価されれば、87条に基づく定款の規定により過怠金の対象になりうる。「法律に触れていない」は、取引所処分に対する反論として成立しない
- もし取引所から除名されたら、その証券会社はどうなるか? 金融商品取引業の登録(金融商品取引法29条)自体は残る。だが取引所市場で直接売買する資格を失い、他社経由の注文執行に切り替えざるを得ない。事実上の事業縮小であり、顧客流出が始まる
- 取引参加者の審査担当として、あなたに残された時間は5営業日。取引所への報告書に「意図的ではなかった」と書くか「体制不備を認め改善計画を添付する」と書くか。前者で押し切って争えば処分が重くなり、公表されれば顧客への説明責任が生じる
取るべき行動
被害を受けた側:投資家として被害を受けた場合、取引所への苦情申出と金融 ADR(金融商品取引法156条の38以下に基づく指定紛争解決機関)の二経路がある。取引所の処分は会員への制裁であって、あなたへの賠償を直接命じるものではない。損害回復は民法709条または金融商品取引業者の説明義務違反を根拠に別途請求する。ただし取引所の処分公表資料は、違反事実の認定として民事訴訟で強力な証拠になる。公表を待ってから請求を組み立てる戦略も有効
訴えられた側:会員等として照会を受けたら、まず対象行為が法令違反か規則違反か信義則違反かを切り分ける。信義則構成であれば明文の要件がない以上、市場への影響の軽微性と主観的悪性の不存在を具体的に示す余地がある。社内の発注記録、承認フロー、教育記録を時系列で整理し、改善計画を自主的に添付する。処分は定款に基づく私法上のものなので、著しく不合理であれば司法審査を求める余地はあるが、団体の内部自治が尊重されやすい点は織り込むこと
時効(請求できる期限):87条自体に処分の期間制限は定められておらず、各取引所の定款・業務規程が定める手続に従う。過怠金支払債務など生じた金銭債権については、特定の時効規定がなく一般の消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年または権利を行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:87条は取引所の自主規制機能を制度的に担保する規定であり、処分の実体的要件と種類を定款に明記させることで、不確定概念である「取引の信義則」を用いる場合でも会員等に一定の予見可能性を与える構造をとると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:証券取引法の制定により、取引所が会員の規律を自ら担う自主規制の枠組みが導入された。国家による直接監督と並ぶ二層構造の出発点となる。
- 2.平成18年(2006年) 改正:証券取引法が金融商品取引法へ題名変更され、規制対象が広く金融商品・デリバティブ取引に拡張された。取引所の自主規制義務の枠組みは現行87条に引き継がれている。
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