旅館業法 第11条
クイックジャンプ
- 次の各号のいずれかに該当する者は、これを五十万円以下の罰金に処する。
- 一第五条第一項又は第六条第一項の規定に違反した者
- 二第七条第一項又は第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は当該職員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対し答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
- 三第七条の二第二項又は第三項の規定による命令に違反した者
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 旅館業法第11条は、日本の旅館業法に含まれる条文です。
- 旅館業法第11条の条文原文は「次の各号のいずれかに該当する者は、これを五十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 旅館業法の公布日は昭和23年7月12日です。
- 旅館業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 旅館業法第11条の前の条は旅館業法第10条です。
- 旅館業法第11条の次の条は旅館業法第12条です。
- 旅館業法第11条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第11条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000138 - 本サイト収録
旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第11条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000138/11
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点旅館業法11条は、法定の理由のない宿泊拒否、宿泊者名簿の不備、保健所の立入検査の拒否や虚偽報告、改善命令違反を五十万円以下の罰金に処すると定める。
Q · ホテルや旅館が客の宿泊を断ったら、法律違反になるの?
法定の理由なく断れば五十万円以下の罰金の対象
旅館業法5条1項は宿泊拒否を原則として禁じ、拒否できる場面を感染症の患者等、違法行為や風紀を乱すおそれ、特定要求行為の繰り返し、満室、条例で定める事由などに限っています。これらに当たらない拒否は同法11条1号により五十万円以下の罰金の対象です。名簿不備、保健所の検査拒否や虚偽報告、改善命令違反も同条で処罰され、罰金刑の確定は8条の許可取消し・営業停止にもつながりえます。
解説
罰金の上限は五十万円。宿の年間売上と比べれば、払えなくはない額に見える。だが、旅館業法11条の本当の重さは金額にはない。処罰されるのは三つの行為である。一つ目は、法律が認める理由なしに客の宿泊を拒むこと(5条1項)と、宿泊者名簿を正しく備えないこと(6条1項)。二つ目は、保健所への報告を怠る、嘘の報告をする、立入検査を拒む、質問に黙る、あるいは嘘の答弁をすること(7条)。三つ目は、知事の改善命令や緊急命令(役所が営業者に直接下す「これを直せ」「業務を止めろ」という決定)を無視すること(7条の2第2項・第3項)。罰金刑が確定すると前科になり、許可の取消しや営業停止(8条)が視野に入る。新たに許可を申請しても、一定期間は許可が与えられないことがある(3条2項、最新の改正状況をご確認ください)。泊まる側から見れば、宿は原則として客を選べないということでもある。フロントで断られたとき、それが適法かどうかを問う根拠は、この条文から始まる
法的な位置づけ
旅館業法11条は、旅館業の営業者等に課された宿泊引受け義務と宿泊者名簿の備付け義務、行政庁による報告徴収・立入検査への協力義務、改善命令・緊急命令の遵守義務の違反について、五十万円以下の罰金を定める罰則規定である。行政上の義務の実効性を刑事罰で担保する、行政刑罰に分類される。
よくある質問 AI による整理
Q1旅館業法の罰則とは?
旅館業法11条は、違法な宿泊拒否、宿泊者名簿の不備、報告・検査の拒否や虚偽、改善命令・緊急命令の違反を五十万円以下の罰金に処すると定めています。
Q2ホテルに宿泊を断られた 違法?
5条1項が列挙する事由(感染症の患者等、違法行為のおそれ、特定要求行為の繰り返し、満室、条例事由など)に当たらなければ違法で、11条1号の罰則の対象になりえます。
Q3宿泊者名簿を書かないと罰金?
名簿を備える義務は営業者側にあり、6条1項違反は11条1号で五十万円以下の罰金の対象です。予約サイトにデータがあっても名簿の代わりにはなりません。
Q4宿泊拒否はどこに相談できる?
施設所在地を所管する保健所が窓口です。障害を理由とした拒否なら、障害者差別解消法にもとづく相談窓口も並行して利用できます。
Q5旅館業法違反で前科はつく?
11条の罰金は刑事罰なので、確定すれば前科になります。略式命令による罰金でも同様で、許可の取消しや欠格にもつながりえます。
Q6民泊も旅館業法の罰則の対象?
無許可で旅館業を営む者も、7条による報告徴収・立入検査や7条の2の緊急命令の対象で、拒否や違反は11条で処罰されえます。届出民泊は住宅宿泊事業法の規律が中心です。
Q7旅館業法違反の時効はいつまで?
罰金刑に当たる罪の公訴時効は3年で、犯罪行為が終わった時から進行します(刑事訴訟法250条2項6号・253条)。
Q8法人の旅館も罰金を払う?
従業員が業務に関して違反した場合、両罰規定により行為者本人に加えて法人にも罰金が科されうるため、組織としての管理体制が問われます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1泥酔して大声を出す客とか、態度の悪い客は断ってもいいんですか?
「態度が悪い」だけでは断れない。拒否できるのは、5条1項が列挙する場合(違法行為や風紀を乱すおそれ、特定要求行為の繰り返しなど)に限られる。ただし同項の最後の号は、都道府県の条例で拒否事由を定めることを認めており、「泥酔者等で他の宿泊者に著しい迷惑を及ぼすおそれ」を挙げる条例は多い。実務のポイント:自分の宿がある都道府県の旅館業法施行条例を読んでいる営業者は少ない。条例の文言を拒否理由としてそのまま言えるかどうかが、適法な拒否と違法な拒否の分かれ目になる
Q2保健所の立入検査って、断ったら本当に罰金なんですか?
本当である。7条にもとづく検査を拒む、妨げる、質問に答えない、嘘をつくといった行為は、11条2号で五十万円以下の罰金の対象になる。施設に問題がなくても、検査を拒んだこと自体が処罰の対象になる。実務のポイント:行政の立入検査は犯罪捜査とは別の制度で、令状は要らない。その場ですぐに答えられない質問は「確認してから回答する」と言えば足り、黙り込むのも推測で答えるのも避ける。虚偽の答弁は、もともとの違反よりも印象を悪くする
Q3罰金さえ払えば、そのまま営業を続けられますか?
そうとは限らない。罰金刑が確定すると、8条にもとづく許可の取消しや営業停止の対象になりうるうえ、3条2項では、本法違反で罰金刑を受けて一定期間が経っていない者には許可を与えないことができるとされている(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:法人の宿では、従業員の違反でも両罰規定によって会社に罰金が科されうる。前科のある法人は、M&A や銀行融資の審査でも事情を説明する必要が出てくる
間違えやすい点 AI による整理
- 罰金が五十万円以下と聞いて「交通違反程度」と受け取る営業者は多い。この認識が甘い。罰金刑は刑事罰で、前科として残る。そのうえ8条による許可の取消しや営業停止、3条2項による新規許可の制限が連動しうる。法人なら両罰規定によって会社にも罰金が科されうる。金額の軽さと、事業が受けるダメージの重さは比例しない
- 「客商売なのだから、店が客を選ぶのは自由だ」という問いの立て方そのものが、旅館業では成り立たない。旅館業法5条1項は「拒んではならない」を原則とし、拒否できる場面を限定列挙している。飲食店のように「お断り」の自由を前提にした発想を宿に持ち込むと、その瞬間に違法の側に立つことになる
- 営業者から見れば、保健所の報告依頼は「行政からのお願い」に見える。法律から見れば、7条に基づく報告・答弁は義務であり、黙っていることも嘘をつくことも、それ自体が独立した犯罪になる。施設が清潔で設備も基準どおりだったとしても、検査を拒んだという一点で処罰されうる。この認識のずれが、本来なら指導で済んだ案件を刑事事件に変えてしまう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 性質 | 旅館業法11条:刑事罰(五十万円以下の罰金) | 旅館業法8条:行政処分(許可取消し・営業停止) 旅館業法7条の2:行政命令(改善命令・緊急命令) |
| 誰が科すか | 裁判所(略式命令を含む刑事手続) | 都道府県知事等 都道府県知事等 |
| 相互関係 | 義務違反・命令違反の結果として科される | 法令違反や罰金刑を契機に連動しうる 命令に違反すると11条3号の罪になる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では旅館業の義務違反は主に行政罰(罰鍰)で制裁され、日本のように罰金という刑事罰が前面に出る構造とは異なる
韓国では宿泊業は公衆衛生管理法で規律され、営業者の遵守事項違反に罰則・過料と営業停止等の行政処分を組み合わせている
ドイツでは宿泊者の届出票(Meldeschein)の義務が連邦法に置かれ、違反は秩序違反として過料(Bußgeld)の対象となる
米国では宿泊施設での人種等を理由とする拒否が連邦法で禁止されている。ただし日本のような一般的な宿泊引受け義務は州のコモンロー(innkeeper's duty)に委ねられている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 車椅子で予約した宿に着いた途端、「うちは対応していないので」と宿泊を断られたら、どうなる? 5条1項が定める拒否事由に障害は含まれていない。設備の安全上どうしても対応できないといった個別事情は考慮されるが、それを理由にした一律の拒否は11条1号の射程に入りうる。障害者差別解消法の合理的配慮義務も同時に問題になる
- あなたは駅前で小さなゲストハウスを営んでいる。繁忙期にチェックインが重なり、外国人客の旅券確認と名簿記入を「後でまとめて」と先送りし、そのまま空欄が残った。悪意はなくても、6条1項違反の成立に必要なのは名簿が欠けているという事実である
- 保健所から報告を求める文書が届いた。期限は来週の金曜日。無視するか、稼働率の数字を少しごまかすか。どちらを選んでも、それだけで11条2号が成立しうる
- 近所の空き家で無許可の民泊が始まり、深夜の騒音とゴミに耐えかねて保健所に通報した。職員が立入りに行ったが、運営者は「ただの友人宅だ」と言ってドアを開けない。無許可の運営者でも、7条2項による検査を拒めば11条2号の対象になる。その後に出た緊急命令を無視すれば、3号でも処罰されうる
- 理不尽な値引き要求と過剰なサービス要求を連日繰り返す客がいる。2023年の改正で、こうした行為(特定要求行為)を繰り返す客は拒否事由に加わった。ただし対象は厚生労働省令が定める類型に限られ、クレームが多いというだけでは断れない。線を一歩でも越えて断れば、罰金の対象になるのは宿の側である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 断られたらその場で拒否理由を尋ね、日時・担当者名・説明内容をメモか録音で残す。予約確認メールも保存する2. 拒否理由が5条1項の各号(感染症の患者等、違法行為や風紀を乱すおそれ、特定要求行為の繰り返し、満室や条例で定める事由)に当たらないと思えば、施設所在地を所管する保健所に相談・通報する3. 障害を理由とした拒否であれば、障害者差別解消法にもとづく相談窓口も並行して使う4. 代わりの宿泊費などの損害は、民法709条にもとづいて民事で請求する道もある
訴えられた側:1. 保健所から連絡があれば期限内に回答する。分からない点は嘘で埋めず、「確認して後日回答する」と書面で伝える2. 宿泊者名簿の欠落は、気づいた時点で補完と運用見直しを記録に残す3. 拒否の判断基準を文書にし、従業員に研修する。これは再発防止の証拠になる4. 略式命令が届いたら、受け取る前に弁護士へ相談する。正式裁判を求めるかどうかには期限がある5. 罰金と許可の欠格・取消しとの連動を見越し、行政処分への意見陳述にも備える
時効(請求できる期限):罰金刑に当たる罪の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)で、起算点は犯罪行為が終わった時(同253条)。略式命令に不服があるときは、告知を受けた日から14日以内に正式裁判を請求できる(同465条)
学説
通説(行政刑罰論):行政上の義務違反に刑罰を科す行政刑罰は、刑法総則が原則として適用され、刑事手続によって科される。軽微な違反には過料(秩序罰)が用いられるのに対し、本条は罰金刑を選んでいるため、違反の効果は前科として残る
改正沿革 AI による整理
- 平成29年(2017年)改正(要人的検証) 違法民泊への対策として罰金の上限を大幅に引き上げ、無許可営業者に対する報告徴収・立入検査と緊急命令の制度を設けた。それに合わせて本条の対象行為も拡張されたとみられる
- 令和5年(2023年)改正(要人的検証) 5条が項に分けられ、感染症の患者等や特定要求行為を拒否事由に加えるなど再編された。それに伴い、本条の引用が「第五条第一項」に整えられたとみられる
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:旅館業法の制定に伴い、宿泊拒否の制限や行政調査の実効性を担保する罰則として設けられた
- 2.平成29年(2017年) 改正:違法民泊への対策として罰金の上限が引き上げられ、無許可営業者に対する報告徴収・立入検査や緊急命令の違反も処罰対象に加えられた(要人的検証)
- 3.令和5年(2023年) 改正:5条が項に分けて再編され、特定要求行為などが拒否事由に加えられたことに伴い、本条の引用が「第五条第一項」に整理された(要人的検証)
- 旅館業法 第5条宿泊拒否の制限、1号違反の前提
- 旅館業法 第6条宿泊者名簿の備付け義務
- 旅館業法 第7条報告徴収と立入検査の根拠
- 旅館業法 第7条の2改善命令と無許可営業者への緊急命令
- 旅館業法 第8条違反時の許可取消しと営業停止
- 住宅宿泊事業法 第3条届出民泊を旅館業の許可制から外す特則
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 第8条事業者の差別禁止と合理的配慮
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。