少年法 第34条(執行の停止)
クイックジャンプ
抗告は、執行を停止する効力を有しない。但し、原裁判所又は抗告裁判所は、決定をもつて、執行を停止することができる。
この条文の基本情報
執行の停止とは何ですか?
定義執行の停止とは、少年法第34条に定められた規定で、「抗告は、執行を停止する効力を有しない。但し、原裁判所又は抗告裁判所は、決定をもつて、執行を停止することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 少年法第34条(執行の停止)は、日本の少年法に含まれる条文です。
- 少年法第34条の条文原文は「抗告は、執行を停止する効力を有しない。但し、原裁判所又は抗告裁判所は、決定をもつて、執行を停止することができる。」で始まります。
- 少年法第34条は第四節 抗告に置かれています。
- 少年法の公布日は昭和23年7月15日です。
- 少年法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 少年法第34条の前の条は少年法第33条です。
- 少年法第34条の次の条は少年法第35条です。
- 少年法第34条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第34条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000168 - 本サイト収録
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第34条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000168/34
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点少年法34条は、保護処分決定への抗告に執行停止の効力がないと定める。抗告しても処分はそのまま執行され、原裁判所か抗告裁判所が決定で停止した場合に限り止まる。
Q · 少年院送致の決定に抗告したら、少年院に行かなくて済むの?
済まない。裁判所が執行停止を決定した場合だけ止まる
少年法34条本文により、抗告には執行を停止する効力がありません。抗告を申し立てても、少年院送致や保護観察は決定どおり執行されます。例外は同条但書で、原裁判所(家庭裁判所)または抗告裁判所(高等裁判所)が決定で執行を停止した場合に限られます。条文上、少年や保護者に停止の申立権はないため、実務では付添人が上申書を出して裁判所の判断を促します。
解説
少年院送致の決定に納得できず抗告した。それでも子どもは、その日のうちか数日のうちに少年院へ移される。少年法34条が「抗告は、執行を停止する効力を有しない」と定めているからだ。抗告は決定から2週間以内に出せる(32条)。しかし、出しただけでは何も止まらない。高等裁判所の結論が出るまでの間、少年は処分を受けながら待つことになる。止める方法は但書の一つだけである。処分を決めた家庭裁判所(原裁判所)か、抗告を審理する高等裁判所(抗告裁判所)が、決定で執行停止を命じる場合に限られる。条文は少年や親に「停止を求める権利」を与えていない。そのため実際には、付添人(少年審判で少年の側に立つ支援者で、多くは弁護士が務める)が、裁判所に判断を促す書面を出す形になる。抗告申立書と執行停止の働きかけは別の書面である。後者を出さなければ、裁判所が停止を検討するきっかけすら生まれにくい。
法的な位置づけ
少年法34条は、保護処分決定等に対する抗告の効力を定める規定であり、抗告の申立てには執行を停止する効力がないことを原則とする。その例外として、原裁判所または抗告裁判所が決定により執行を停止できる旨を定め、停止の判断を裁判所の権限に委ねている。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.決定当日に抗告と執行停止の両方を付添人と確認 審判廷で保護処分決定が告知されたら、その場で付添人に抗告するかどうかと、執行停止の働きかけを並行して行うかを確認する。執行は決定直後から進むため、当日の判断が重要になる
- 2.執行停止を求める材料を集める 受入れ先(雇用主・学校)の誓約書、保護者の監督計画、原決定の事実認定の誤りを示す証拠など、原決定が取り消される見込みを具体的に示す材料を集める
- 3.原裁判所に執行停止の上申書を提出 事件記録を持つ家庭裁判所(原裁判所)に、職権による執行停止を促す上申書を提出する。抗告申立書とは別の書面として、材料を一通目で出し切る
- 4.2週間以内に抗告申立書を提出 保護処分決定の告知から2週間以内に、抗告申立書を原裁判所である家庭裁判所へ提出する。抗告理由は少年法32条所定の事由に沿って記載する
- 5.抗告裁判所にも改めて停止を求める 事件が高等裁判所に送られた後、新たな材料がそろった時点で抗告裁判所に対しても執行停止を促す書面を出す
よくある質問 AI による整理
Q1少年法34条とは何を定めた条文ですか?
少年審判の決定に対する抗告に、執行を止める効力がないことを定めた条文です。例外として、裁判所が決定で執行を停止できると但書に定めています。
Q2少年院送致の執行停止は誰が決めますか?
原裁判所である家庭裁判所か、抗告を審理する高等裁判所です。少年や保護者が自分で決めることはできず、裁判所の決定が必要です。
Q3執行停止を求める上申書には何を書けばいい?
原決定の誤りの具体的な根拠、受入れ先の確保、保護者の監督計画などです。抽象的な不服だけでは裁判所は動きにくいとされます。
Q4少年審判の抗告期限はいつまで?
保護処分決定の告知から2週間以内です(少年法32条)。申立書は原裁判所である家庭裁判所に提出します(少年審判規則43条)。
Q5保護観察処分も抗告中に執行されますか?
執行されます。34条本文は処分の種類を区別していないため、保護観察も抗告中にそのまま始まります。止めるには執行停止の決定が必要です。
Q6執行停止が認められなかったら不服を申し立てられる?
条文上、少年側に停止を求める申立権はないため、不認容に対する独立した不服申立ての道は想定されていません。抗告審の本案判断で争うことになります。
Q7被害者は少年審判の決定に抗告できますか?
できません。抗告できるのは少年本人・法定代理人・付添人に限られます(少年法32条)。被害者は審判結果の通知制度などを利用します。
Q8抗告審で取り消されたら少年院からすぐ出られる?
原決定が取り消されれば、その決定に基づく収容の根拠は失われます。ただし差戻しなどその後の手続があり、具体的な処遇は事案ごとに異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1抗告したのに、息子がもう少年院に移されたって聞きました。何かの間違いじゃないですか?
間違いではない。少年法34条本文により、抗告に執行を止める効力はない。止めるには、但書に基づいて原裁判所か抗告裁判所に停止の決定をしてもらう必要があり、付添人を通じて働きかける。実務のポイント:条文上、停止は裁判所が自ら判断する形をとるため、材料が薄い書面ではそのまま動かないことが多い。一通目に受入れ先と監督計画を出し切ることが重要である
Q2高裁で逆転したら、少年院にいた期間の分は何かしてもらえるんですか?
収容されていた期間そのものは戻らない。抗告審で原決定が取り消されると(33条)、差戻しなどの手続に移る。非行事実が認められなかった場合などには、少年の保護事件に係る補償に関する法律による補償の余地がある。実務のポイント:処分が重すぎたことを理由とする取消しは、原則として補償の対象から外れうる。取消しの理由が何かで、その後の救済が大きく変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「抗告すれば、高裁の結論が出るまで処分は保留になる」と思われがちだが、実際は逆である。34条本文により、抗告しても少年院送致や保護観察はそのまま執行される。保留になるのは、裁判所が但書に基づいて停止を決定した場合だけである
- 被害者やその遺族が「処分が軽すぎるので抗告したい」と考えることがある。しかし、その問いの立て方そのものが成り立たない。抗告できるのは少年本人・法定代理人・付添人に限られる(32条)。検察官も、検察官関与決定のあった事件で抗告受理の申立てができるにすぎない(32条の4)。被害者側には抗告の道も執行停止の道も用意されていない
- 家族から見れば「数か月後に逆転すれば取り返せる」と思える。法律から見れば、すでに執行された収容期間は取消しによって消えるわけではない。金銭での救済は、非行事実が認められなかった場合などに限って少年補償の制度がある程度である。家族の時間感覚と法律の時間感覚のずれが、判断を遅らせる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 34条:抗告と執行の関係(執行不停止の原則と例外) | 32条:抗告の理由・申立権者・期間 35条:再抗告の理由と期間 |
| 期間 | 執行停止の働きかけに法定期限なし(ただし執行は即時に進行) | 決定告知から2週間以内 抗告棄却決定から2週間以内 |
| 判断する機関 | 原裁判所(家庭裁判所)または抗告裁判所(高等裁判所) | 抗告裁判所(高等裁判所) 最高裁判所 |
| 少年側の権利 | 停止の申立権は条文上なし(付添人の上申で判断を促す) | 少年本人・法定代理人・付添人に抗告権あり 憲法違反・判例違反を理由とする場合に限り再抗告可 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も抗告に執行停止の効力を認めず、原審法院または抗告法院が裁定で執行を停止できる構造で、日本と近い
韓国少年法も抗告に保護処分の執行を停止する効力を認めない構造をとる
ドイツでは Beschwerde は原則として執行を停止せず、裁判所が執行の停止を命じうる。少年手続には JGG § 2 Abs. 2により一般手続法が準用される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし中学三年の息子が少年院送致の決定を受け、「事実が違う」と抗告したら、年明けの高校受験はどうなる? 抗告しても送致は止まらない。執行停止が認められない限り、受験日は抗告審の結論を待ってくれない
- 付添人弁護士として、決定の告知から2週間の抗告期限のうち、すでに5日が過ぎた。抗告申立書の起案と並行して、執行停止を求める上申書をまとめなければならない。添付する材料は、受入れ先の雇用主の誓約書や保護者の監督計画だ。動けるのは今週しかない
- 抗告審で少年院送致が取り消された。その時点で、少年はすでに二か月を少年院で過ごしていた。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 少年側が抗告しても処分は原則そのまま執行され、被害者側に抗告権はないと理解しておく2. 家庭裁判所に審判結果の通知(少年法31条の2)を申し出て、処分の内容を把握する3. 抗告審の進み具合は自動的には知らされないため、必要に応じて家庭裁判所に問い合わせる4. 損害の回復は少年審判とは別に、民事で請求する(民法709条。保護者に監督義務違反があれば保護者への請求も検討する)
訴えられた側:1. 決定の当日に、付添人と抗告するかどうかを確認する2. 抗告申立書を2週間以内に原裁判所(家庭裁判所)へ提出する3. これと同時に執行停止を求める上申書を出す。受入れ先、保護者の監督計画、原決定の誤りの具体的な根拠を最初の書面に全部載せる4. 抗告が棄却されたら、憲法違反・判例違反を理由とする再抗告(35条)を検討する
時効(請求できる期限):抗告は保護処分決定の告知から2週間以内(少年法32条)。執行停止の働きかけに法定の期限はないが、執行は決定直後から進むため実質的な猶予はない。再抗告は抗告棄却決定から2週間以内(同35条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:34条但書の執行停止は裁判所の職権判断とされ、少年側の上申は職権発動を促す意味をもつにとどまる。保護処分の早期開始という教育的要請と、誤った収容からの解放の要請を調整する規定と理解される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行少年法の制定により、抗告の執行不停止の原則と裁判所による執行停止の例外が定められた
- 少年法 第32条抗告の理由・申立権者・2週間の期間
- 少年法 第26条保護処分決定の執行手段
- 少年法 第33条抗告審の棄却・取消しの裁判
- 少年法 第35条再抗告の理由と期間
- 刑事訴訟法 第424条通常抗告の執行不停止と停止の同旨規定
- 少年の保護事件に係る補償に関する法律 第2条保護処分取消し後の補償要件
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める