少年法 第55条(家庭裁判所への移送)
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裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。
この条文の基本情報
家庭裁判所への移送とは何ですか?
定義家庭裁判所への移送とは、少年法第55条に定められた規定で、「裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 少年法第55条(家庭裁判所への移送)は、日本の少年法に含まれる条文です。
- 少年法第55条の条文原文は「裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。」で始まります。
- 少年法第55条は第三節に置かれています。
- 少年法の公布日は昭和23年7月15日です。
- 少年法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 少年法第55条の前の条は少年法第54条です。
- 少年法第55条の次の条は少年法第56条です。
- 少年法第55条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第55条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000168 - 本サイト収録
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第55条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000168/55
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点少年法55条は、刑事裁判所が事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当と認めるとき、決定で事件を家庭裁判所に移送しなければならないと定める。
Q · 逆送されて起訴された少年の事件が、家庭裁判所に戻ることはあるの?
ある。保護処分が相当なら家裁へ移送される
少年法55条により、刑事裁判所は事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当と認めるときは、決定で事件を家庭裁判所に移送しなければなりません。「できる」ではなく義務です。移送後は家庭裁判所が少年審判で保護処分を決め、刑事判決ではないため前科になりません。ただし移送の決定時に被告人が20歳未満である必要があり、原則逆送事件(同法20条2項)では移送が認められるハードルが高いとされます。
解説
刑事裁判の出口は「有罪」か「無罪」の二つだと、ほとんどの人は信じている。少年の被告人には三つ目の出口がある。地方裁判所が証拠を調べたうえで「刑罰より保護処分(少年院送致や保護観察など、罰ではなく立ち直りを目的とした家庭裁判所の措置)のほうがふさわしい」と判断したら、判決ではなく決定を出して、事件を家庭裁判所に戻さなければならない。条文は「できる」ではなく「しなければならない」と書いている。保護処分は前科にならない。拘禁刑の判決は前科になる。同じ事実でも、どの出口から出るかで、就職、資格、その後の人生の選択肢が大きく変わる。ただし戻す条件は厳しく、判断のときに被告人がまだ20歳未満でなければならない。裁判が長引いて20歳の誕生日を越えれば、この出口は閉じる。弁護側がこの出口を狙うなら、公判の初期から主張と立証を組み立てる必要がある。
法的な位置づけ
少年法55条は、刑事裁判所から家庭裁判所への移送を定める規定であり、刑事裁判所が事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当と認めるときは、判決ではなく決定により事件を家庭裁判所に移送しなければならない旨を規定する。家庭裁判所による検察官送致(同法20条)と逆方向の手続である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.起訴直後に20歳の誕生日までの日数を確認 被告人の生年月日から20歳の誕生日の前日までの残り日数を数え、公判前整理手続と公判期日の見通しを弁護人と共有する。日数が足りない場合は争点を絞って審理の迅速化を図る
- 2.公判前整理手続で保護処分相当性を争点化 少年法55条による移送を求める旨と、保護処分相当性を争点として明示する。家裁調査官の社会記録や少年鑑別所の鑑別結果の取調べを請求し、審理計画に組み込ませる
- 3.受け入れ環境を書面と証人で具体化 帰住先の住居、監督する家族、雇用を約束する雇用主、断ち切った交友関係などを、誓約書や雇用予定証明と証人尋問で具体的に示す準備をする
- 4.被害弁償と謝罪の記録を積み上げる 被害者への謝罪と被害弁償の経過を記録として残す。移送が認められなかった場合でも、量刑上の情状として意味を持つ
よくある質問 AI による整理
Q1少年法55条移送とは何ですか?
起訴された少年の刑事裁判で、保護処分が相当と認められた場合に、裁判所が決定で事件を家庭裁判所へ戻す手続です。移送は裁判所の義務とされています。
Q2逆送された少年は必ず刑務所に行くのですか?
必ずではありません。刑事裁判で保護処分が相当と判断されれば少年法55条で家裁に移送され、少年院送致や保護観察などの保護処分で終わる可能性があります。
Q355条移送は20歳を過ぎてもできますか?
できません。移送の決定時点で被告人が20歳未満である必要があります。審理中に20歳になると、家裁への移送という選択肢は消えます。
Q455条移送が認められる割合は高いですか?
一般に高くないとされます。家裁自身が刑事処分相当として逆送した事件の判断を覆すことになるため、公判で新たな事情を具体的に立証する必要があります。
Q555条移送を求めるには何を立証すればいいですか?
保護処分がふさわしいことを示す具体的な事情です。家裁調査官の社会記録、鑑別結果、受け入れ先の住居や雇用、交友関係の整理などが中心になります。
Q6家裁に移送されたら前科はつきますか?
保護処分は刑事罰ではないため前科にはなりません。刑事裁判で拘禁刑の判決が確定した場合と比べ、就職や資格への影響が大きく異なります。
Q7特定少年でも家裁に戻れますか?
18歳・19歳の特定少年も55条移送の対象です。移送後の保護処分は保護観察または少年院送致で、犯情の軽重を考慮した範囲に限られます(同法64条)。
Q855条移送の決定に不服を申し立てられますか?
移送の可否は判決ではなく決定の形式で判断されます。不服申立ての可否や方法は手続上の論点となるため、具体的には弁護人に確認することが必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家裁に戻されたら、結局どうなるんですか?
家庭裁判所が改めて少年審判を開き、保護処分を決める。刑事裁判の判決ではないので、前科にはならない(少年法55条、24条)。特定少年の場合は、6か月の保護観察、2年の保護観察、少年院送致のいずれかで、犯した罪の重さに見合う範囲に限られる(同法64条)。実務のポイント:移送決定の理由には、刑事裁判所がなぜ保護処分がふさわしいと考えたかが書かれる。この理由が、家庭裁判所での処遇を選ぶときの事実上の出発点になるため、弁護人は移送を勝ち取るだけでなく、理由の中身まで意識して主張を組み立てる
Q2裁判員裁判でも家裁に戻すってあり得るんですか?
あり得る。55条による移送の決定は、裁判官と裁判員が一緒に判断する事項とされている(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律6条1項)。つまり市民の感覚がそのまま反映される。実務のポイント:裁判員は「少年法の理念」を抽象的に説明されてもなかなか実感できない。実際に響くのは、少年が戻る家の具体的な様子や、雇用を約束した雇用主本人の証言である。弁護側がどんな証人を法廷に呼ぶかで、評議の空気は大きく変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「逆送されて起訴された時点で、少年法の保護はもう終わった」と考える家族は多い。実際には、起訴後も地方裁判所は少年法の趣旨に沿って審理しなければならず(少年法50条)、そのうえで保護処分がふさわしければ家庭裁判所に戻す義務を負う。逆送は片道切符ではない
- 「家庭裁判所に戻れば軽く済む」と期待するだけで、戻るためのハードルの高さを見落としている。家庭裁判所自身が一度「刑事処分がふさわしい」と判断して逆送した事件であり、刑事裁判所はその判断を覆すことになる。特に16歳以上の故意の犯罪で人を死亡させた原則逆送事件(同法20条2項)では、移送が認められるには相当の事情が要るとするのが実務上の傾向だ
- 親の目線では「罪の重さ」が争点に見える。しかし法律が55条で問うているのは「この子にとって刑罰と保護処分のどちらがふさわしいか」である。反省文の枚数より、帰る家、働く場所、断ち切った交友関係という具体的な環境の証拠が効く。この問いのずれに気付かないまま情状弁護をすると、どれだけ熱心でも的を外す
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の方向 | 少年法55条:刑事裁判所 → 家庭裁判所 | 少年法20条:家庭裁判所 → 検察官(逆送) 少年法50条:移送前の刑事審理の指針 |
| 判断主体 | 刑事裁判所(裁判員裁判では裁判員も参加) | 家庭裁判所 刑事裁判所 |
| 判断基準 | 事実審理の結果、保護処分に付するのが相当か | 刑事処分を相当と認めるか(一定の重大事件は原則逆送) 少年法の趣旨に従った審理 |
| 効果 | 決定による移送(義務)、家裁で保護処分へ | 決定による送致、検察官は原則起訴 審理のあり方を規律、移送の判断材料を整える |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も少年法院を中心とする保護優先の制度をとるが、刑事手続から保護手続へ戻す仕組みの具体的な定め方は日本と異なる点があり、個別の確認が必要
韓国も、刑事法院が少年の被告事件を審理した結果、保護処分に該当する事由があると認めるときは決定で少年部に送致しなければならないとし、日本の55条と同じ構造をとる
米国の一部の州には、成人刑事裁判所に移された少年事件を少年裁判所へ戻す逆移送(reverse waiver)の制度があり、日本の55条移送と機能が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 19歳の息子が強盗致傷で逆送され、起訴された。親としてできることはもう何もないのか? 実はある。生育歴、交友関係の断ち切り、受け入れ先の雇用主、家裁調査官の社会記録。これらを公判で示し、保護処分がふさわしいと裁判所に認めさせれば、事件は家庭裁判所に戻る
- あなたは19歳で起訴された被告人本人。誕生日まであと4か月。公判前整理手続が長引けば、判決の前に20歳になり、家庭裁判所への移送という選択肢そのものが消える。弁護人と、争点を絞って審理を急ぐか、時間をかけて立証するかを今週中に決める必要がある
- 裁判員に選ばれ、少年の事件を担当することになった。評議で決めるのは有罪か無罪かと量刑だけではない。家庭裁判所に戻すかどうかも、あなたの一票に含まれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 移送されると事件は家庭裁判所の少年審判に移り、公開の法廷ではなくなる。被害者は家庭裁判所に意見陳述(少年法9条の2)や記録の閲覧・謄写(同法5条の2)を申し出ることができるので、移送が決まった段階ですぐ家庭裁判所に連絡する2. 刑事裁判の段階では被害者参加制度を使い、移送に対する意見を述べる3. 損害賠償は移送とは関係なく、民事で請求できる(民法709条)
訴えられた側:1. 起訴されたらすぐ、弁護人と20歳の誕生日までの日数を確認する2. 公判前整理手続で保護処分相当性を争点として掲げ、家裁の社会記録や少年鑑別所の鑑別結果の取調べを求める3. 家族は受け入れ環境(住居、雇用先、監督者)を書面と証人で具体的に示せるよう準備する4. 被害者への謝罪と被害弁償の記録を積み上げる。移送が認められなかった場合も、量刑の情状として効く
時効(請求できる期限):条文そのものに期限はない。ただし移送の決定を出す時点で被告人が20歳未満であることが前提となるため、実質的な期限は被告人の20歳の誕生日の前日である。判決の言渡しまでに移送の決定が出なければ、この出口は使えない
学説
通説:55条の保護処分相当性は、少年法20条の刑事処分相当性と表裏の関係にあり、刑事裁判所は逆送時の判断に拘束されず、公判で現れた事情を含めて改めて判断するとされる
実務上の傾向:原則逆送事件(少年法20条2項)では、家裁が原則として刑事処分を選ぶ類型であるため、55条移送が認められるには、それを覆すに足りる特段の事情の立証が求められる傾向にある
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行少年法の制定とともに、刑事裁判所から家庭裁判所への移送規定として設けられた
- 少年法 第20条検察官送致(逆送)、移送の前提となる手続
- 少年法 第50条刑事事件の審理は少年法の趣旨に従う
- 少年法 第64条特定少年の保護処分の種類と上限
- 少年法 第67条特定少年への刑事特例の不適用
- 少年法 第68条特定少年の起訴後の実名報道の解禁
- 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律 第6条移送の決定を裁判員と合議で判断
- 刑事訴訟法 第333条有罪判決の一般原則に対する特則
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