少年法 第57条(刑の執行と保護処分)
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保護処分の継続中、拘禁刑又は拘留の刑が確定したときは、先に刑を執行する。拘禁刑又は拘留の刑が確定してその執行前保護処分がなされたときも、同様である。
この条文の基本情報
刑の執行と保護処分とは何ですか?
定義刑の執行と保護処分とは、少年法第57条に定められた規定で、「保護処分の継続中、拘禁刑又は拘留の刑が確定したときは、先に刑を執行する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 少年法第57条(刑の執行と保護処分)は、日本の少年法に含まれる条文です。
- 少年法第57条の条文原文は「保護処分の継続中、拘禁刑又は拘留の刑が確定したときは、先に刑を執行する。」で始まります。
- 少年法第57条は第三節に置かれています。
- 少年法の公布日は昭和23年7月15日です。
- 少年法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 少年法第57条の前の条は少年法第56条です。
- 少年法第57条の次の条は少年法第58条です。
- 少年法第57条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第57条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000168 - 本サイト収録
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第57条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000168/57
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点少年法57条は、保護処分の継続中に拘禁刑または拘留の刑が確定したとき、先に刑を執行すると定める。刑の確定後、執行前に保護処分がなされた場合も同様である。
Q · 少年院にいる途中で別の事件の刑が確定したら、どちらが先になるの?
刑が先に執行され、保護処分は後回しになる
少年法57条により、保護処分(少年院送致や保護観察など)の継続中に拘禁刑または拘留の刑が確定したときは、先に刑を執行します。刑の確定後、その執行前に保護処分がなされた場合も同じです。ただし57条が決めるのは執行の順番だけです。後に回された保護処分を取り消すかどうかは、家庭裁判所が少年法27条に基づいて判断します。
解説
少年院にいる少年に、別件で刑事裁判の判決が確定した。そのとき少年院の教育を続けるのか、刑務所へ移すのか。少年法57条の答えは短い。刑が先である。保護処分(家庭裁判所が非行少年に言い渡す少年院送致や保護観察などの「教育のための処分」)が続いている途中で拘禁刑や拘留が確定した場合も、刑の確定後、執行前に保護処分が言い渡された場合も、同じ扱いになる。ここで押さえるべき点は、少年事件の手続が一本道ではないことだ。家庭裁判所の「教育」と刑事裁判所の「処罰」は別の手続として並行して進みうる。どちらが先に確定したかに関係なく、執行の順番は法律で決まっている。ただし、後に回された保護処分が自動的に消えるわけではない。家庭裁判所は27条で、有罪判決の確定を理由にその保護処分を取り消すことができる。家族の事件でこの二本の手続を把握しているかどうかで、弁護人や付添人に確かめる内容が変わる。
法的な位置づけ
少年法57条は、保護処分と刑の執行の順序を定める規定である。保護処分の継続中に拘禁刑または拘留の刑が確定した場合、および刑の確定後その執行前に保護処分がなされた場合のいずれにおいても、刑の執行を保護処分に優先させる。保護処分の存続そのものは同法27条による家庭裁判所の判断に委ねられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.二つの手続の進行状況を一覧にする 刑事事件の弁護人と少年審判の付添人の双方から、判決・決定の日付、確定予定日、執行予定を聞き取り、一枚の表にまとめる
- 2.控訴期限内に確定の影響を確認する 判決宣告の日から14日の控訴期間内に、刑が確定した場合に少年法57条で保護処分より刑が先に執行されることを前提に、控訴するかどうかを弁護人と検討する
- 3.家庭裁判所に取消しの判断を求める 刑が確定したら、付添人を通じて保護処分をした家庭裁判所に、少年法27条による保護処分取消しの要否について本人の状況をまとめた意見書を提出する
- 4.執行後の予定を関係機関に確認する 刑の執行場所、執行終了見込み、その後の保護処分の扱いを、少年院・刑事施設・保護観察所に確認し、家族の生活予定を立て直す
よくある質問 AI による整理
Q1少年院と刑務所はどっちが先?
刑が確定していれば刑務所などでの刑の執行が先です。少年法57条が、保護処分の継続中でも刑を先に執行すると定めています。
Q2保護観察中に拘留になったらどうなる?
拘留が確定すると、少年法57条により拘留の執行が先になります。保護観察は刑の執行中いったん後回しになり、その扱いは家庭裁判所が判断します。
Q3少年でも刑務所に行くことはある?
あります。家庭裁判所が検察官送致(逆送、少年法20条)し、刑事裁判で実刑の拘禁刑が確定すれば、少年でも刑の執行を受けます。
Q4保護処分の取消しは誰が決める?
保護処分をした家庭裁判所です。少年法27条により、有罪判決が確定した場合に相当と認めるときは決定で取り消すことができます。
Q5執行猶予なら少年院はどうなる?
執行猶予付きの判決では刑の執行が始まらないため、57条の順番の問題は表に出にくくなります。焦点は27条による取消しの判断に移ります。
Q6刑事裁判の控訴期限はいつまで?
判決宣告の日から14日です(刑事訴訟法373条)。これを過ぎると刑が確定し、少年法57条による執行の順番が固まります。
Q7保護処分決定への抗告期限は?
決定の告知から2週間です(少年法32条)。刑事判決の控訴期間とは別に進むため、両方の期限を並べて管理する必要があります。
Q816歳未満の少年の刑はどこで執行される?
少年法56条3項により、16歳に達するまでは少年院で刑を執行できます。その間は矯正教育が授けられます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1少年院にいる間に刑務所行きが決まったら、少年院で過ごした期間は無駄になるんですか?
57条は刑の執行を先にすると定めているだけで、それまでの矯正教育の記録がなくなるわけではない。刑の執行が終わった後に保護処分をどう扱うかは、家庭裁判所が27条で判断する。実務のポイント:保護処分の取消しは、家庭裁判所が「相当と認めるとき」に行うものである。付添人が本人の状況をまとめた意見書を出すかどうかで、家庭裁判所の判断材料が大きく変わる
Q2執行猶予付きの判決だったら、保護処分は止まるんですか?
執行猶予が付けば刑の執行そのものが始まらないため、57条による順番の問題は実際には表に出にくい。問題の中心は、家庭裁判所が27条で保護処分を取り消すかどうかに移る。実務のポイント:保護観察付きの執行猶予と少年法上の保護観察が重なると、担当する保護観察官や遵守事項が整理されないまま残ることがある。確定後すぐに保護観察所に確認するのが安全である(運用の詳細は最新の状況を確認すること)
間違えやすい点 AI による整理
- 「少年は刑務所に行かない」と思われがちだが、逆送されて拘禁刑が確定すれば、少年でも刑の執行を受ける。57条は、少年院にいる最中でも刑の執行が優先されることまで定めている
- 刑の執行が先になると保護処分は消える、という理解は一歩足りない。57条は順番を決めているだけで、保護処分を取り消すかどうかは家庭裁判所が27条に基づいて判断する。この点を確かめなければ、刑の執行を終えた後に家族が見通しを立てられない
- 家族の側から見れば「一つの事件で二回裁かれた」と感じるだろう。しかし法律上、保護処分は教育のための処分であり、刑罰とは性質が違う。同じ少年に二つの手続が並行する構造を理解していないと、どちらの手続に何を主張すべきかを取り違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 少年法57条:保護処分と刑が重なったときの執行順序(刑が先) | 少年法27条:有罪判決確定時の保護処分の取消し 少年法56条:少年に対する拘禁刑の執行場所の特則 |
| 判断主体 | 法律が画一的に定める(裁量なし) | 保護処分をした家庭裁判所が相当性を判断 法律の定めに基づき刑事施設・少年院で執行 |
| 保護処分への影響 | 執行を後回しにするだけで消滅させない | 決定により保護処分を消滅させうる 直接の影響なし(刑の執行方法の規定) |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾も保護處分と刑事處分を並存させる二元構造をとり、刑の宣告が確定した場合に保護處分を撤銷しうる仕組みを置く
韓国少年法は保護処分の継続中に刑が宣告された少年について、先に刑を執行すると定め、日本の57条と同趣旨の構造をもつ
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 息子は19歳で少年院に送致された。その数か月後、逆送された余罪で拘禁刑の実刑判決が確定した。少年院の担当者から「刑の執行に移る」と連絡が来る。少年院の教育はそこで中断し、先に刑の執行が始まる
- 保護観察中の少年が軽犯罪で拘留を言い渡され、刑が確定した。拘留は1日以上30日未満の短い刑だが、57条によってこちらが先に執行される。保護観察の予定表はいったん止まる
- 控訴期間の14日が過ぎれば刑が確定する。残り3日しかない段階で、家族は「控訴するか、確定させて早く刑の執行を終えるか」を決めなければならない。家庭裁判所で進んでいる保護処分との関係を、弁護人と付添人の両方に確かめる時間は残っているだろうか
- 付添人の弁護士として、刑が確定した後に家庭裁判所の保護処分決定が出た。57条後段により、この場合も刑が先になる。次にやることは、家庭裁判所に27条による取消しの要否の判断を促すことだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 加害少年に刑と保護処分の両方が関わる場合、どちらがいつ執行されるかによって本人の所在や処遇の時期が変わる2. 検察庁の被害者等通知制度を使えば、刑の執行状況や釈放に関する情報の通知を希望できる3. 少年院に関する情報は、少年院の被害者等通知の窓口に別途申し出る4. 損害賠償は刑や保護処分とは別に、民事(民法709条、714条)で請求する
訴えられた側:1. 少年本人やその家族は、刑事事件の弁護人と少年審判の付添人に、双方の手続の進み具合を共有してもらう2. 控訴するかどうかを決めるとき、刑の確定が57条によって保護処分の執行より優先されることを前提に考える3. 刑が確定したら、家庭裁判所に27条による保護処分の取消しの要否を判断してもらうよう付添人に相談する4. 16歳未満の場合、16歳になるまで少年院で刑を執行できる制度(56条3項)があるか確認する
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。実務上の期限は、刑事判決に対する控訴期間の14日(刑事訴訟法373条、判決宣告の日から起算)と、保護処分決定に対する抗告期間の2週間(少年法32条、決定の告知から起算)。これらが過ぎると刑や保護処分が確定し、57条による執行の順番が固まる
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等の一部改正による拘禁刑の創設に伴い、「懲役、禁錮又は拘留」の文言を「拘禁刑又は拘留」に改正した
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行少年法の制定により、保護処分と刑の執行の順序を定める規定として設けられた
- 2.令和7年(2025年) 改正:刑法等の一部改正(令和4年公布)による拘禁刑の創設に伴い、「懲役、禁錮又は拘留」を「拘禁刑又は拘留」に改めた(2025年6月1日施行)
- 少年法 第27条有罪判決確定時の保護処分取消し
- 少年法 第56条少年に対する拘禁刑の執行場所の特則
- 少年法 第20条検察官送致により刑事手続へ移る入口
- 少年法 第24条保護処分の種類(保護観察・少年院送致等)
- 少年法 第58条少年時に刑を受けた者の仮釈放の特則
- 刑事訴訟法 第471条裁判は確定後に執行する一般原則
- 刑事訴訟法 第474条複数の主刑の執行順序の一般則
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