建築士法 第24条の9(保険契約の締結等)
クイックジャンプ
建築士事務所の開設者は、設計等の業務に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
この条文の基本情報
保険契約の締結等とは何ですか?
定義保険契約の締結等とは、建築士法第24条の9に定められた規定で、「建築士事務所の開設者は、設計等の業務に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建築士法第24条の9(保険契約の締結等)は、日本の建築士法に含まれる条文です。
- 建築士法第24条の9の条文原文は「建築士事務所の開設者は、設計等の業務に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」で始まります。
- 建築士法第24条の9は第六章 建築士事務所に置かれています。
- 建築士法の公布日は昭和25年5月24日です。
- 建築士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 建築士法第24条の9の前の条は建築士法第24条の8です。
- 建築士法第24条の9の次の条は建築士法第25条です。
- 建築士法第24条の9には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)第24条の9 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000202 - 本サイト収録
建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)第24条の9(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC1000000202/24_9
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点建築士法24条の9は、建築士事務所の開設者に、設計等の業務で生じた損害の賠償に備え保険契約の締結等の措置を講ずるよう努める義務を課す。罰則はない。
Q · 設計事務所って、賠償責任保険に入るのが法律で義務なの?
義務ではなく努力義務で、未加入でも罰則はない
建築士法24条の9は、建築士事務所の開設者に、設計等の業務で生じた損害の賠償に備えて保険契約の締結その他の措置を講ずるよう「努めなければならない」と定めるにとどまります。罰則はなく、未加入だけを理由とする行政処分もありません。ただし、設計ミスによる賠償責任(民法415条・709条)は保険の有無にかかわらず残ります。発注者は、契約前に保険の加入状況、補償上限額、対象外となる損害を自ら確認する必要があります。
解説
「努めなければならない」。建築士法24条の9の文末はここで終わり、罰則も期限も付いていない。つまり、設計事務所が賠償責任保険に入っていなくても、それだけで違法にはならない。家を建てる人の多くは「プロなら当然保険に入っている」と考えている。だが、その前提は法律のどこにも保証されていない。たとえば設計ミスで床が傾き、補修に1,000万円かかったとする。事務所に保険も資産もなければ、勝訴判決を得ても回収できず、紙切れに近くなる。だからこそ、設計契約の前にあなた自身が確かめる必要がある。保険に入っているか、どの保険か、補償の上限はいくらか、何が対象外か。本条は事務所に課された宿題であると同時に、発注者に向けた「自分で確認せよ」という合図でもある。
法的な位置づけ
建築士法第24条の9は、建築士事務所の開設者に対し、設計等の業務に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保するため、保険契約の締結その他の措置を講ずるよう求める努力義務規定である。罰則は設けられておらず、講じた措置の内容は閲覧書類を通じて発注者に開示される仕組みと組み合わされている。
手順
- 1.面談時に保険の有無を確認する 設計契約の検討段階で、建築士事務所に賠償責任保険その他の措置を講じているかを尋ね、保険会社名と商品名を聞き取る
- 2.保険証券の写しで補償内容を確認する 保険証券の写しを受け取り、1事故あたり・保険期間中の支払限度額、免責金額、対象外となる損害(設計やり直し費用など)を確認する。閲覧書類(建築士法24条の6)とも照合する
- 3.重要事項説明の場で条件を詰める 契約締結前の重要事項説明(建築士法24条の7)の場で、補償額が工事規模に見合うかを確認し、必要に応じて保険加入や付保額の維持を契約条件として書面に盛り込む
- 4.不具合発見時は速やかに書面で通知する 不具合を見つけたら写真・調査報告で記録し、内容証明郵便で事務所に通知して保険会社への事故報告を促す。請負と評価される場合に備え、知った時から1年以内に通知する
よくある質問 AI による整理
Q1建築士賠償責任保険とは何ですか?
設計・監理業務のミスで建物に不具合が生じ、建築士事務所が負う損害賠償を補償する保険です。建築士法24条の9が加入を努力義務として求めています。
Q2建築士事務所の保険加入は義務ですか?
義務ではありません。建築士法24条の9は「努めなければならない」と定める努力義務で、未加入でも罰則や直接の行政処分はありません。
Q3設計ミスの損害賠償は誰に請求できますか?
契約相手の建築士事務所の開設者に、債務不履行(民法415条)や不法行為(民法709条)を根拠に請求します。施工に原因があれば施工者も対象です。
Q4設計事務所が保険未加入で払えないと言われたら?
賠償責任は消えないため、法人なら会社資産、個人事業なら開設者個人の資産が回収対象です。施工者側の住宅瑕疵担保責任保険が使えないかも確認します。
Q5建築士賠償責任保険で補償されない損害は?
商品によりますが、建物の滅失・き損等に対象を絞るものが多く、設計のやり直し費用や使い勝手への不満による損害は対象外となりうるため、約款の確認が必要です。
Q6設計事務所の保険加入状況はどこで確認できる?
事務所に直接尋ね、保険証券の写しを求めるのが確実です。建築士法24条の6の閲覧書類にも、講じている措置の内容が記載される仕組みがあります。
Q7設計ミスの損害賠償請求に期限はある?
契約責任は知った時から5年・行使できる時から10年(民法166条)。請負と評価されると、不適合を知ってから1年以内の通知が必要です(同637条)。
Q8建築士の賠償保険はいつから努力義務になった?
平成26年(2014年)の建築士法改正で新設され、平成27年(2015年)6月25日に施行されました。建築士事務所の業務適正化を目的とする改正です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1設計事務所が保険に入ってるかどうか、どうやって確かめればいいんですか?
直接尋ねて、保険証券の写しを見せてもらうのが最も確実である。また、建築士事務所には業務に関する書類を備え置いて閲覧させる義務があり(建築士法24条の6)、保険などの措置を講じている場合はその内容も閲覧対象になる(施行規則。最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:保険料は事務所の売上規模や付保額で決まることが多く、上限額を低く抑えている事務所もある。「入っていますか」ではなく「上限はいくらですか」と聞く。
Q2保険に入ってない事務所に設計を頼んじゃいました。もう手遅れですか?
保険に入っていなくても、設計者の賠償責任は消えない(民法415条、709条)。問題は回収できるかどうかである。法人であれば会社の資産、個人事業であれば開設者個人の資産が対象になる。実務のポイント:新築住宅であれば、施工会社側の住宅瑕疵担保責任保険で補償される部分がないか確認する。原因を設計ミスと決めつけず、施工の問題とあわせて調べると、支払える相手が見つかることがある。
Q3独立したばかりで保険料がきついです。入らなかったら罰則ってありますか?
罰則はなく、未加入だけを理由に行政処分を受けることもない(建築士法24条の9は努力義務)。ただし、賠償責任そのものは個人の資産に及ぶ。実務のポイント:デベロッパーや公共発注の中には、保険加入を取引や入札の条件にしているところがある。罰則がなくても、保険に入っていないことが仕事の入口で不利に働くことがある。
間違えやすい点 AI による整理
- 「保険に入っていない事務所は違法ではないか」という問い自体がずれている。本条は努力義務なので、未加入でも違法にはならず、行政処分も直接には受けない。本当に問うべきなのは、あなたが契約前に加入状況を確認したかどうかである
- 保険に入っていることは確認していても、補償範囲の狭さまでは知らない人が多い。建築士向けの賠償責任保険は、建物の滅失・き損や法令基準への不適合などに対象を絞った商品が多い。設計のやり直し費用や、使い勝手への不満から生じる損害は対象外になりうる。加入の有無よりも、約款の中身と上限額のほうが重要である
- 設計者から見れば「努力義務なので入らなくても構わない」。しかし法律から見れば、保険に入っていなくても賠償責任は1円も減らない。民法415条・709条に基づく責任はそのまま残り、個人事業であれば開設者の私財に直接及ぶ。保険を節約したつもりが、自宅を担保に事業をしているのと同じ状態になっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 建築士法24条の9:賠償のための保険契約の締結その他の措置 | 建築士法24条の6:業務に関する書類の備置き・閲覧 建築士法24条の7:契約締結前の重要事項説明 |
| 義務の強さ | 努力義務(罰則なし) | 法的義務 法的義務(建築士が書面を交付して説明) |
| 発注者にとっての意味 | 賠償原資が確保されているかの手がかり | 講じた保険措置の内容を書類で確認する経路 契約前に担当建築士・報酬などの説明を受け、質問できる場 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾でも建築師の賠償責任保険の加入は法定義務とされておらず、賠償責任は民法の債務不履行・不法行為で処理される点で日本と近い
ドイツでは多くの州で建築家の職業賠償責任保険の加入が登録要件などとして義務付けられており、日本の努力義務より強い
フランスは建築家に保険加入を法律上義務付けており、建築物の10年責任保険制度と連動している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 来週、注文住宅の設計契約を結ぶ予定である。重要事項説明(建築士法24条の7)では、担当建築士の名前と報酬額の説明はあったが、保険の話は一言も出なかった。こちらから聞かなければ、誰も教えてくれない
- 引き渡しから3年後、構造計算の誤りが見つかり、耐震補強が必要になった。設計事務所は「個人経営なので払えない」と言う。保険がなければ、あなたはどこから補修費を回収するのか?
- あなたは独立したばかりの一人事務所の建築士で、保険料の負担を考えて加入を後回しにしてきた。ある日、設計した飲食店の雨漏りで、テナントから休業損害を含めた賠償を請求された。努力義務違反に罰則はないが、賠償責任はあなた個人の預金と自宅に向かう
- 「保険に入っていますか」と尋ねたら、設計者の表情が曇った。その反応自体が一つの答えである
- 床の傾きに気付いてから、すでに10か月が過ぎた。設計契約が請負と評価されると、不具合を知った時から1年以内に通知しなければ、責任追及の道が狭まる(民法637条)。準委任と評価されればこの制限はかからないが、どちらになるかは実務上、解釈が分かれている。今週中に書面を出すのが安全である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 不具合を写真、動画、第三者の専門家による調査報告で記録する2. 設計事務所に内容証明郵便で不具合と責任追及の意思を通知し、加入している保険の有無と保険会社名を開示するよう求める3. 原因が設計にあるのか施工にあるのかを切り分け、施工者側の住宅瑕疵担保責任保険や、最判平成19.7.6に基づく不法行為の構成も並行して検討する4. 建築士事務所協会の苦情解決(建築士法27条の5)を使い、保険付きの新築住宅であれば住宅紛争審査会への申立ても選択肢に入れる
訴えられた側:1. 保険に加入しているなら、ただちに保険会社へ事故を報告する。保険会社の同意なく示談すると、保険金が支払われないおそれがある2. 未加入の場合、事故が起きた後に加入しても、原則としてその事故は補償されない。まず責任の有無と範囲(設計起因か施工起因か)を冷静に切り分ける3. 相手方の過失や施工上の問題があれば、過失相殺や責任分担を主張する4. 再発防止のため保険に加入し、付保額を受注規模に合わせて見直す
時効(請求できる期限):本条自体に期限はない(努力義務で、罰則もない)。賠償請求を契約責任として行う場合は、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年(民法166条)。人の生命・身体の侵害は20年(同167条)。不法行為として行う場合は、損害と加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年)、行為の時から20年(同724条、724条の2)。設計契約が請負と評価されれば、契約不適合を知った時から1年以内に通知が必要(同637条)
学説
一般的理解:努力義務規定は違反に対する罰則や私法上の効果を直接生じさせず、行政上の指導や情報開示制度と組み合わせて、事業者の自主的な対応を促す機能を持つ。本条も閲覧書類の制度と一体で運用される
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)改正、平成27年(2015年)6月25日施行 建築士事務所の業務適正化を目的とする改正で新設。設計等の業務に関する損害賠償に備え、保険契約の締結などの措置を講じる努力義務を開設者に課した
改正の年表
- 1.平成26年(2014年) 新設:建築士事務所の業務適正化を目的とする建築士法改正で新設。平成27年(2015年)6月25日施行。開設者に損害賠償のための保険契約締結等の努力義務を課した
- 建築士法 第24条の6閲覧書類の備置き、保険措置の開示経路
- 建築士法 第24条の7契約前の重要事項説明義務
- 建築士法 第22条の3の3一定規模以上の設計契約の書面化義務
- 建築士法 第27条の5建築士事務所協会による苦情解決
- 民法 第415条設計ミスの債務不履行責任の根拠
- 民法 第709条第三者取得者に対する不法行為責任
- 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律 第3条施工者の資力確保義務、設計者との対比
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める