出入国管理及び難民認定法 第18条の2(一時庇護のための上陸の許可)
クイックジャンプ
- 入国審査官は、船舶等に乗つている外国人から申請があつた場合において、次の各号のいずれにも該当すると思料するときは、一時庇護のための上陸を許可することができる。
- 一次のイ又はロのいずれかに該当する者であること。
- 一その者が難民条約第一条A(2)に規定する理由その他これに準ずる理由により、その生命、身体又は身体の自由を害されるおそれのあつた領域から逃れて、本邦に入つた者であること。
- 二その者が迫害を受けるおそれのあつた領域から逃れて、本邦に入つた者であること(イに掲げる者を除く。)。
- 二その者を一時的に上陸させることが相当であること。
- 2.入国審査官は、前項の規定による許可に係る審査のために必要があると認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該外国人に対し、電磁的方式によつて個人識別情報を提供させることができる。
- 3.第一項の規定による許可を与える場合には、入国審査官は、当該外国人に一時庇護許可書を交付しなければならない。
- 4.第一項の規定による許可を与える場合には、入国審査官は、法務省令で定めるところにより、当該外国人に対し、上陸期間、住居及び行動範囲の制限その他必要と認める条件を付することができる。
この条文の基本情報
一時庇護のための上陸の許可とは何ですか?
定義一時庇護のための上陸の許可とは、出入国管理及び難民認定法第18条の2に定められた規定で、「入国審査官は、船舶等に乗つている外国人から申請があつた場合において、次の各号のいずれにも該当すると思料するときは、一時庇護のための上陸を許可することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 出入国管理及び難民認定法第18条の2(一時庇護のための上陸の許可)は、日本の出入国管理及び難民認定法に含まれる条文です。
- 出入国管理及び難民認定法第18条の2の条文原文は「入国審査官は、船舶等に乗つている外国人から申請があつた場合において、次の各号のいずれにも該当すると思料するときは、一時庇護のための上陸を許可することができる。」で始まります。
- 出入国管理及び難民認定法第18条の2は第四節 上陸の特例に置かれています。
- 出入国管理及び難民認定法の公布日は昭和26年10月4日です。
- 出入国管理及び難民認定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 出入国管理及び難民認定法第18条の2の前の条は出入国管理及び難民認定法第18条です。
- 出入国管理及び難民認定法第18条の2の次の条は出入国管理及び難民認定法第19条です。
- 出入国管理及び難民認定法第18条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第18条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 本サイト収録
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第18条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/326CO0000000319/18_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点入管法18条の2は、船舶等に乗っている外国人が迫害から逃れてきたと思料され、一時的な上陸が相当なとき、入国審査官が一時庇護のための上陸を許可できると定める。
Q · 迫害から逃れて日本の空港に着いた人は、その場で上陸を認めてもらえるの?
要件を満たせば入国審査官が裁量で許可できるが、義務ではない
入管法18条の2により、船舶等に乗っている外国人から申請があり、迫害等のおそれのあった領域から逃れてきた者に当たること、一時的に上陸させることが相当であることの二要件を入国審査官が認めれば、一時庇護のための上陸を許可できます。条文は「することができる」という裁量規定で、許可されても在留資格は得られず、一時庇護許可書の交付とともに上陸期間・住居・行動範囲の制限などの条件が付されます。
解説
日本の入管法には、査証でも在留資格でもない、一枚の紙で人を国内に入れる仕組みがある。一時庇護許可書だ。18条の2は、まだ船や航空機に乗っている段階の外国人が申請したとき、入国審査官が二つの要件(迫害等のおそれのあった領域から逃れてきたと思料されること、一時的に上陸させることが相当であること)を認めれば上陸を許可できると定める。押さえるべきは三点。決めるのは法務大臣ではなく現場の入国審査官であり、条文は「することができる」、つまり裁量である。許可されても在留資格は得られず、付くのは上陸期間と住居・行動範囲の制限(4項)で、期間内に難民認定申請へ進まなければ立場は消える。そして外国人の出入国に関する処分は行政手続法の適用除外(同法3条1項10号)なので、断られた理由の説明を法律上は求められない。扉の存在を知っている人が横にいるかどうかで、同じ事情の人の結論が変わる。
法的な位置づけ
一時庇護上陸許可とは、出入国管理及び難民認定法第18条の2に基づき、船舶等に乗っている外国人が迫害等のおそれのあった領域から逃れてきたと思料され、一時的な上陸が相当と認められる場合に、入国審査官が裁量により与える上陸の許可である。許可を受けた者には一時庇護許可書が交付され、上陸期間・住居・行動範囲の制限等の条件が付される。
手順
- 1.上陸手続の段階を確定する 本人がまだ船舶等に乗っているか、上陸許可を受けていない段階かを最初に確認する。上陸前なら18条の2の申請が可能で、上陸後なら仮滞在許可など別の枠を検討する
- 2.入国審査官に申請意思を明示する 一時庇護のための上陸の許可を申請する意思を入国審査官に明確に伝え、あわせて難民認定申請の意思も別に伝える。可能な限り書面で出し、受理の日時・担当者を記録する
- 3.迫害等のおそれを示す資料を即時提出する 逮捕状、報道記事、所属団体の証明、出身国情勢資料など、迫害等のおそれのあった領域から逃れてきたことを示す資料を、すぐ提出できる形にまとめる
- 4.弁護士と委任関係を確保する 弁護士名と連絡先を本人が携帯する紙に書いて渡し、委任状を確保する。不許可となり国外へ送還された後でも、行政訴訟で争う道を残すため
- 5.許可後は条件を守り次の手続へ進む 一時庇護許可書に記載された上陸期間・住居・行動範囲の条件を確認し、転居など条件に関わる行動は事前に届け出る。上陸期間内に難民認定申請等へ進む
よくある質問 AI による整理
Q1一時庇護上陸許可とは何ですか?
迫害等から逃れて船舶や航空機で到着した外国人に、入国審査官が一時的な上陸を認める許可です。入管法18条の2が根拠で、在留資格とは別物です。
Q2一時庇護許可書とは何ですか?
一時庇護のための上陸を許可したときに入国審査官が交付しなければならない書面です(18条の2第3項)。在留カードや在留資格の証明ではありません。
Q3一時庇護上陸許可の申請はいつまでできますか?
条文上の申請者は「船舶等に乗っている外国人」です。上陸前の段階で申請する必要があり、上陸後は仮滞在許可など別の制度を検討することになります。
Q4一時庇護上陸許可は誰に申請しますか?
空港や港で上陸審査を担当する入国審査官に申請します。許可するかどうかを判断するのも法務大臣ではなく入国審査官です。
Q5一時庇護上陸許可の審査で指紋や顔写真は必要ですか?
審査に必要と認めるとき、入国審査官は法務省令の定めに従い、電磁的方式で指紋・顔写真などの個人識別情報を提供させることができます(2項)。
Q6補完的保護対象者も一時庇護上陸許可の対象になりますか?
令和5年改正で第1項第1号がイ・ロの二類型に再編され、難民条約上の難民に当たらなくても同等の保護を要する者が対象として位置づけられました。
Q7一時庇護上陸許可の上陸期間を過ぎたらどうなりますか?
付された上陸期間を経過して残留すると、退去強制の対象となりえます(入管法24条)。期間内に難民認定申請など次の手続へ進むことが重要です。
Q8上陸拒否事由があっても一時庇護上陸許可は受けられますか?
18条の2の要件は迫害等から逃れてきたことと一時上陸の相当性で、上陸拒否事由の不該当は明文の要件ではありません。ただし相当性判断で事実上考慮されえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1空港で「難民です」と言えば、とりあえず日本に入れてもらえるんですか?
入れてもらえるとは限らない。上陸を許すかどうかは18条の2の独立した判断で、迫害等から逃れてきたと思料されること、一時的に上陸させることが相当であること、この二つを入国審査官が認めた場合に許可できる裁量規定である。難民認定申請(61条の2)とは別のトラックだ。実務のポイント:一時庇護上陸許可は実務でほとんど使われず、多くの事案は上陸拒否や別の枠で処理される。だから支援側は最初から「どの条文で何を求めるか」を書面で特定する
Q2不許可になったら、どこに文句を言えばいいんですか?
外国人の出入国に関する処分は行政不服審査法7条1項10号で審査請求の対象から外されているため、争うなら行政訴訟が基本になる。しかも行政手続法3条1項10号で理由提示義務も及ばないので、何を理由に断られたのか書面に出てこないことがある。実務のポイント:訴訟をしている間、本人はすでに国外にいることが多い。空港で最初にすべきは、弁護士名と連絡先を本人の手に渡し、委任状を確保することだ
Q3許可をもらったら働けますか? いつまで日本にいられますか?
一時庇護許可は在留資格ではないので、就労が当然に認められるわけではない。上陸期間・住居・行動範囲などの条件が付き(4項)、期間は法務省令の枠内で入国審査官が定める(最新の改正状況をご確認ください)。期間内に難民認定申請へ進まなければ、残留は退去強制事由になる。実務のポイント:条件違反は地位そのものに響く。住居を移すだけの行為が立場を壊しうるので、支援側は転居を必ず事前に届けさせる
間違えやすい点 AI による整理
- 「空港で難民申請すれば入国できるのか」という問いの立て方が、すでにずれている。難民認定申請(61条の2)は保護される地位の話であり、上陸させるかどうかは18条の2の別判断。申請したから上陸できるのではなく、上陸を許す判断がその手前に独立して存在する
- 一時庇護許可書をもらえば日本に住めると思われがちだが、これは在留資格ではない。上陸期間・住居・行動範囲の条件が付き(4項)、期間を過ぎて残れば退去強制事由になる。手にした紙は滞在の許可証ではなく、次の手続に進むための時間である
- 決めるのは入国審査官だと知っている人も、その裁量の重さを見誤る。不許可に法律上の理由提示義務は及ばず(行政手続法3条1項10号)、審査請求という簡易な不服申立ての道も外されている(行政不服審査法7条1項10号)。残るのは行政訴訟だが、その頃に当人は日本にいないことが多い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 申請できる段階 | 入管法18条の2:船舶等に乗っている段階(上陸前) | 入管法61条の2:難民認定申請(上陸前後を問わず本邦にある外国人) 入管法61条の2の4:仮滞在許可(在留資格のない難民認定申請者) |
| 判断主体 | 現場の入国審査官 | 法務大臣(出入国在留管理庁) 法務大臣(出入国在留管理庁) |
| 得られる地位 | 一時的な上陸の許可(在留資格ではない、一時庇護許可書の交付) | 難民・補完的保護対象者としての認定 認定手続中の一時的な滞在の許可 |
| 付される制約 | 上陸期間・住居・行動範囲の制限その他の条件(4項) | 認定自体に行動制限は付かない 住居・行動範囲の制限等の条件が付されうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は難民法が未制定で、空港・港での庇護上陸に特化した明文規定はない。個別事案は入出国管理の一般規定と行政裁量で処理されている
韓国は出入国港での難民認定申請を明文化し、一定期間内に審査に付すかを決定する仕組みを持つ。日本より手続が法定化されている
ドイツは空港手続(Flughafenverfahren)で、入国前の空港区域内において迅速な庇護審査を行う。入国前審査という点で日本の上陸前申請と構造が近い
米国は expedited removal の対象者が庇護の意思や迫害のおそれを示した場合、credible fear 面接に回す。現場職員の一次判断が結論を左右する点が日本と共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 深夜、支援団体から電話が入る。成田に着いた便に、本国で逮捕状の出ている知人が乗っている。入国審査官の審査が終わり、運送業者の手で折り返し便に乗せられるまで、残り数時間しかない。この段階でまだ上陸していないなら18条の2の申請が選択肢に入るが、上陸手続の線路に乗ってしまえば、扉は仮滞在許可(61条の2の4)という別のものに切り替わる
- もし、本国の当局に旅券を取り上げられた人が、他人名義の書類で日本に着いたとしたら? 通常なら上陸拒否の話になるが、18条の2は5条の上陸拒否事由に当たらないことを要件にしていない。条文上の要件は迫害等から逃れてきたと思料されることと、一時的に上陸させることの相当性だけである。ただし書類の偽りは「相当性」の判断で事実上考慮され、実務上の運用の幅は大きい
- 航空会社の地上職員として、有効な旅券を持たない乗客を降ろした。会社は送還の費用と義務を負う立場に置かれる。その乗客が一時庇護上陸許可を得るかどうかで、会社の負担が消えるか残るかが変わる
- あなたが外国人配偶者の家族で、本国の政変で親族が日本に逃れてきた。空港で「難民申請したい」と伝えても、それは61条の2の難民認定申請の話で、そもそも上陸させるかどうかは18条の2という別の判断だ。二つを混同したまま待っていると、審査は上陸拒否の線路を静かに進んでいく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 上陸手続の段階を確定する。まだ船舶等にいる、または上陸許可を受けていないなら18条の2の申請が可能2. 入国審査官に対し、一時庇護のための上陸の許可を申請する意思を明示し、あわせて難民認定申請の意思も別に伝える3. 迫害等のおそれを示す資料(逮捕状、報道、所属団体の証明、母国の情勢資料)を即時に提出できる形で用意4. 弁護士名と連絡先を本人が携帯する紙に書いて渡す。通訳の確保も同時に動かす
訴えられた側:1. 運送業者・船長の立場なら、送還義務の有無と一時庇護上陸許可の申請状況を切り分けて記録する2. 乗客の申請意思を把握した時点の日時・担当者・内容を書面化、後の費用負担の争いで基礎資料になる3. 独自判断で搭乗させ戻す前に、入管の処分がどの段階かを確認4. 不許可・許可のいずれでも、処分の結果を書面で受け取り社内に残す
時効(請求できる期限):申請自体に法定期間の定めはないが、事実上の期限は上陸を許可されるか運送業者に送還されるまでの数時間から数日である。許可後は付された上陸期間が期限で、経過後の残留は退去強制事由となる(入管法24条、号番号は現行条文を要確認)。不許可を訴訟で争うなら、処分を知った日から6か月、処分の日から1年(行政事件訴訟法14条1項・2項)
学説
一般的理解:本条はノン・ルフールマン原則を上陸審査の段階で担保するための例外的な通路と理解される。要件は「思料するとき」という緩やかな認定にとどめて現場の即断を可能にしつつ、効果は在留資格を伴わない一時的上陸に限定されている。
改正沿革 AI による整理
- 昭和56年(1981年)成立・昭和57年(1982年)施行 難民の地位に関する条約への加入に伴い、出入国管理令を出入国管理及び難民認定法へ改めた際、難民認定制度とともに一時庇護のための上陸の許可を新設した(新設)
- 令和5年(2023年)公布・令和6年(2024年6月10日)施行 補完的保護対象者の認定制度の創設に伴い、第1項第1号がイ・ロの二類型に再編され、難民条約上の難民に当たらないが同等の保護を要する者が条文上の対象として位置づけられた(改正)
改正の年表
- 1.昭和56年(1981年) 新設:難民条約等への加入に伴う関係法律の整備により、出入国管理令が出入国管理及び難民認定法に改められ、難民認定制度とともに一時庇護のための上陸の許可が新設された(昭和57年1月1日施行)
- 2.令和5年(2023年) 改正:補完的保護対象者の認定制度創設に伴い、第1項第1号がイ・ロの二類型に再編された
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める