出入国管理及び難民認定法 第32条(臨検、捜索又は差押え等に際しての必要な処分)
クイックジャンプ
- 入国警備官は、臨検、捜索、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。
- 2.前項の処分は、領置物件、差押物件又は記録命令付差押物件についても、することができる。
この条文の基本情報
臨検、捜索又は差押え等に際しての必要な処分とは何ですか?
定義臨検、捜索又は差押え等に際しての必要な処分とは、出入国管理及び難民認定法第32条に定められた規定で、「入国警備官は、臨検、捜索、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 出入国管理及び難民認定法第32条(臨検、捜索又は差押え等に際しての必要な処分)は、日本の出入国管理及び難民認定法に含まれる条文です。
- 出入国管理及び難民認定法第32条の条文原文は「入国警備官は、臨検、捜索、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。」で始まります。
- 出入国管理及び難民認定法第32条は第一節 違反調査に置かれています。
- 出入国管理及び難民認定法の公布日は昭和26年10月4日です。
- 出入国管理及び難民認定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 出入国管理及び難民認定法第32条の前の条は出入国管理及び難民認定法第31条の4です。
- 出入国管理及び難民認定法第32条の次の条は出入国管理及び難民認定法第32条の2です。
- 出入国管理及び難民認定法第32条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第32条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 本サイト収録
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第32条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/326CO0000000319/32
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点入管法32条は、入国警備官が臨検・捜索・差押え等のため必要があるとき、錠をはずし封を開くなどの処分ができると定める。押収済みの物件にも及ぶ。
Q · 入管の臨検で鍵を渡さなかったら、金庫やロッカーは開けられずに済むの?
令状の範囲で必要なら開けられる。拒んでも止まらない
出入国管理及び難民認定法32条1項により、入国警備官は臨検・捜索・差押え又は記録命令付差押えのため必要があるときは、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができます。鍵を渡さなくても解錠・開封は可能で、2項により既に押収された物件にも同じ処分ができます。ただし処分は目的達成に必要かつ相当な限度に限られ、それを超えた破壊は国家賠償法1条による請求の対象となり得ます。
解説
入国警備官が令状を持って部屋に入ってきた。金庫に鍵がかかっている。段ボールにガムテープが厳重に巻かれている。ここで「鍵は渡しません」と言えば止まるのか。止まらない。入管法32条1項は、臨検・捜索・差押え・記録命令付差押えをするため必要があるときは、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができると定める。つまり令状が認めた範囲内であれば、あなたの協力がなくても物理的に開けられる。そして2項が本当の盲点だ。すでに領置・差押えを終えた物件についても、同じ処分ができる。押収されたスマホやパソコンは、警備官の手元に移った後で開封・解錠される。あなたが知るべきは、この条文が授権しているのは「令状の目的を達成するのに必要な限度」の実力行使であって、無制限の破壊許可ではないという点だ。必要性と相当性を超えた解錠・破壊は違法となり、後の退去強制手続や国家賠償で争う材料になる。
法的な位置づけ
出入国管理及び難民認定法第32条は、入国警備官による臨検・捜索・差押え・記録命令付差押えの実効性を確保するため、錠の解除、封の開披その他必要な処分を授権する規定である。処分は目的達成に必要な限度に限られ、既に領置・差押えされた物件にも及ぶ。
手順
- 1.許可状の記載内容を確認・記録する 入国警備官に許可状の提示を求め、対象場所・差押対象物・日付を撮影またはメモする。錠を外される前に「差押対象物を確認させてください」と求めた事実も記録に残す
- 2.解錠・開封の状況を時系列で記録する どの錠がどの方法で外されたか、どの封が開けられたか、破壊を伴ったかを時刻とともに記録する。物理的な抵抗はせず、記録に徹する
- 3.処分直後に損傷状態を撮影する 執行終了後、その日のうちに壊された錠・開けられた封・金庫の状態を複数の角度から撮影する。修理前の現状が証拠価値の中核となる
- 4.入管事件に強い弁護士へ相談する 記録と写真を持参し、処分が必要性・相当性を超えていないかを相談する。超えていれば国家賠償法1条による請求や、退去強制手続での違法主張を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1入管法32条の「必要な処分」とは何ですか?
臨検・捜索・差押え等を実行するために必要な実力行使のことで、錠の解除や封の開披が典型です。目的達成に必要な限度に限られます。
Q2入管の家宅捜索に令状は必要ですか?
必要です。入管法31条により、入国警備官は裁判官の許可状を得て臨検・捜索・差押えを行います。32条の処分はその執行のための付随的な授権です。
Q3入管に押収されたスマホのロックは解除される?
32条2項により、差押物件や領置物件についても開封・解錠などの処分ができます。押収後に手元を離れた端末も処分の対象になり得ます。
Q4入管の臨検で鍵を壊されたら違法?
必要かつ相当な範囲なら適法です。解錠業者の手配など穏当な手段が取れたのに破壊した場合は、違法として国家賠償を争う余地があります。
Q5入管の臨検に抵抗するとどうなる?
暴行・脅迫を伴う妨害は公務執行妨害罪(刑法95条)のリスクがあります。現場では抵抗より記録に徹する方が後の主張に役立ちます。
Q6会社の施錠キャビネットも開けられますか?
令状記載の場所・差押対象物の範囲内であれば開けられます。対象外の書類や営業秘密まで及んでいないか、令状記載と照合することが重要です。
Q7入管の違法な捜索は国家賠償を請求できる?
公務員の違法な職務行為による損害は国家賠償法1条で請求できます。損害と加害者を知った時から3年、行為時から20年の期間制限があります。
Q8入管法32条と刑事訴訟法111条の違いは?
いずれも解錠・開封等の必要な処分を認める同趣旨の規定です。刑訴111条は刑事手続、入管法32条は入管の違反調査に適用されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1鍵を渡さなかったら、罪になりますか?
単に渡さないだけで直ちに犯罪になるわけではないが、この条文により職員は錠を外せるので、渡さない実益はほぼない。逆に身体で妨げれば公務執行妨害(刑法95条)のリスクが生じる。実務のポイント:実務では「拒否した」という事実が、後の在留審査で協力姿勢の評価に影響することがある。渡すか渡さないかより、何を記録したかの方が後で効く
Q2壊された金庫の弁償はしてもらえますか?
令状の範囲内で必要かつ相当な処分であれば、原則として適法な公権力の行使なので賠償されない。必要性・相当性を超えた破壊であれば、国家賠償法1条による請求の余地がある。実務のポイント:争点はほぼ常に「より穏当な手段があったか」に集約される。解錠業者を呼べば済んだのに破壊した、という事情が記録に残っていれば主張が立つ。だからその場の写真が効く
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分が協力しなければ開けられない」と考える人が多いが、前提が逆だ。問うべきは「開けられるか」ではなく「どこまで開けられるか」である。この条文は開けられることを当然の前提にしており、争点は常に必要性と相当性の限度にある。協力するかどうかを悩んでいる間に、記録すべき事実が失われていく
- 現場で錠を外されなければ安全だと思っている人がいるが、2項の存在を見落としている。領置物件・差押物件、つまりすでに官の手に渡った物についても同じ処分ができる。現場で守り切ったつもりのロックは、押収後に外される。深刻度は現場だけを見ている人が想像するより一段深い
- あなたから見れば「私物を壊された」だが、法律から見れば「令状執行に必要な処分」である。この落差を埋めるのは、必要性を超えていたことをあなたが示せるかどうか。壊された後の写真と、そのときの状況の記録がなければ、落差はそのままあなたの損失になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 入管法32条:臨検・捜索・差押え等の執行に伴う解錠・開封その他必要な処分 | 入管法31条:臨検・捜索・差押え等そのものの許可状要件 刑事訴訟法111条:刑事手続における同趣旨の必要な処分 |
| 裁判官の関与 | 個々の解錠・開封に別個の許可は不要(許可状の執行に付随) | 裁判官の許可状が必要 令状の執行に付随し、別個の令状は不要 |
| 押収後の物件への適用 | 2項で領置物件・差押物件・記録命令付差押物件にも及ぶ | 規定なし(押収の要件を定める) 2項で押収物にも及ぶ |
| 限界 | 目的達成に必要かつ相当な限度 | 違反調査のため必要があることが要件 執行に必要かつ相当な限度 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾でも搜索・扣押の際に鎖扃・封緘を開き、その他必要な処分をすることが明文で認められており、日本の刑訴111条・入管法32条と同じ構造
韓国も押収・捜索令状の執行において錠を開け、封を開き、その他必要な処分をすることを認める。押収物への処分も同条で規律される
ドイツでは強制執行の場面で執行官が施錠された扉・容器を開けさせる権限が明文化されている。刑事手続では捜索権限に付随するものと解されている
米国では捜索令状の執行に際し、告知後に入室を拒まれた場合に扉や窓を破壊する権限を定める。いわゆる knock-and-announce の枠組みと一体で運用される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 不法就労の疑いで勤務先の寮に入国警備官が臨検に来た。あなたのロッカーには南京錠がかかっている。「鍵は自分のものだから開けない」と言っても、令状の範囲内なら錠は外される。抵抗すれば公務執行妨害(刑法95条)のリスクが加わる。その場で争うのではなく、何がどう開けられたかを記録する側に回るべきだ
- 会社の人事担当として、外国人従業員の在留資格関連の調査を受けた。事務所の施錠されたキャビネット、パスワードのかかった業務用 PC、これらが差押えの対象になったとき、あなたは「封を開く」対象が会社の営業秘密まで巻き込むことに気付く。令状記載の差押対象物の範囲を、その場で確認できるかどうかが分かれ目
- 差押えを受けたあと、手元を離れたスマホはどうなる? 2項により、押収後にロックの解除や封の開封が行われる。あなたが「その場では開けさせなかった」と思っていても、物が移った先で同じ処分が続く。現場での抵抗に意味がないのはこのためだ
- 入管の職員が令状を示し、あと数時間で捜索が終わる。その間に何を確認しておくべきか。令状の日付、対象場所、差押対象物の記載、そして実際に開けられた錠・封の一覧。この記録が翌日以降の唯一の反証材料になる。捜索が終わった後では復元できない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 令状の提示を求め、対象場所・差押対象物・日付を撮影またはメモ2. 錠を外された箇所、開封された物を時系列で記録、可能なら写真3. 現場での物理的抵抗はしない、公務執行妨害の別件リスクを背負うだけ4. 処分終了後、その日のうちに弁護士(入管業務に強い弁護士または入管専門の行政書士経由)へ相談、必要性を超えた処分があれば国家賠償法1条の請求、および退去強制手続での違法収集証拠の主張を検討
訴えられた側:1. 入国警備官の側の立場では、令状記載の範囲を逐一確認し、錠・封の処分が目的達成に必要な最小限であることを現場記録に残す2. 破壊を伴う処分は、より侵害の少ない手段が取れない理由を明示的に記録3. 2項による押収後の処分は、対象物の同一性と保管経過を明確にする4. 記録が不十分だと、後の訴訟で処分の相当性を立証できず、証拠能力ごと失う
時効(請求できる期限):この条文自体に特定の期間制限はない。処分が違法として国家賠償を請求する場合、損害および加害者を知った時から3年(人の生命・身体を害する場合は5年)、行為時から20年(国家賠償法4条、民法724条、724条の2)。退去強制手続における違法性の主張は、当該手続の各段階で行う必要がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(刑事訴訟法111条の解釈を参照):解錠・開封等の付随処分は令状の目的達成に必要かつ相当な範囲に限って許され、同じ目的をより侵害の少ない方法で達成できる場合の破壊的手段は違法と評価され得る。
- 出入国管理及び難民認定法 第31条臨検捜索差押えの許可状請求の要件
- 出入国管理及び難民認定法 第33条許可状の提示義務、執行の適正担保
- 出入国管理及び難民認定法 第35条臨検捜索差押えの際の立会い
- 出入国管理及び難民認定法 第36条執行時の出入禁止等の秩序維持処分
- 出入国管理及び難民認定法 第29条違反調査における容疑者の出頭要求と取調べ
- 刑事訴訟法 第111条刑事手続における同趣旨の必要な処分の原型
- 国家賠償法 第1条違法な実力行使に対する損害賠償の根拠
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める