出入国管理及び難民認定法 第73条の6
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- 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金に処する。
- 一他人名義の在留カードを行使した者
- 二行使の目的で、他人名義の在留カードを提供し、収受し、又は所持した者
- 三行使の目的で、自己名義の在留カードを提供した者
- 2.前項(所持に係る部分を除く。)の罪の未遂は、罰する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 出入国管理及び難民認定法第73条の6は、日本の出入国管理及び難民認定法に含まれる条文です。
- 出入国管理及び難民認定法第73条の6の条文原文は「次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 出入国管理及び難民認定法第73条の6は第九章 罰則に置かれています。
- 出入国管理及び難民認定法の公布日は昭和26年10月4日です。
- 出入国管理及び難民認定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 出入国管理及び難民認定法第73条の6の前の条は出入国管理及び難民認定法第73条の5です。
- 出入国管理及び難民認定法第73条の6の次の条は出入国管理及び難民認定法第74条です。
- 出入国管理及び難民認定法第73条の6には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第73条の6 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 本サイト収録
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第73条の6(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/326CO0000000319/73_6
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点入管法73条の6は、他人名義の在留カードの行使と、行使目的での提供・収受・所持、自己名義カードの提供を処罰する。法定刑は一年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金。
Q · 他人の在留カードを持っているだけでも罪になるの?
使う目的で持てば罪。貸した側も同じく処罰される
入管法73条の6第1項2号は、行使の目的で他人名義の在留カードを提供・収受・所持する行為を、実際に使う前の段階で処罰します。第3号は自己名義のカードを行使目的で他人に提供した側も処罰の対象とし、法定刑は一年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金です。所持を除き未遂も罰せられます。一方で、行使の目的がない単なる保管は所持罪に当たりません。
解説
コンビニの深夜シフトで、同じ国から来た先輩に「これ使っていいよ」と在留カードを手渡された。あるいは、帰国する友人から「もう要らないから」と預かった。その瞬間、あなたは犯罪の構成要件のど真ん中に立っている。入管法73条の6は、他人名義の在留カードを「行使した」だけでなく、行使の目的で「提供」「収受」「所持」した段階で処罰する。つまり、使う前に持っているだけで一年以下の拘禁刑または二十万円以下の罰金だ。さらに恐ろしいのは第1項第3号。自分の在留カードを他人に渡した側、つまり善意で貸したつもりのあなたも、行使の目的があれば同じ罰条で処罰される。渡した側と受け取った側が、同時に被告人になる構造だ。そして刑事罰はゴールではない。有罪になれば入管法24条の退去強制事由に接続し、日本での生活そのものが終わる可能性がある。罰金二十万円の何倍も重い代償が、条文の外側に置かれている。
法的な位置づけ
入管法73条の6は、在留カード制度における名義の真正性を保護する罰則規定であり、他人名義の在留カードの行使、行使の目的による他人名義カードの提供・収受・所持、ならびに行使の目的による自己名義カードの提供を処罰対象とする。法定刑は一年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金で、所持を除き未遂も罰する。
よくある質問 AI による整理
Q1他人名義の在留カードを使うと何罪になりますか?
入管法73条の6第1項1号の他人名義在留カード行使罪です。一年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金が科され、未遂も処罰されます。
Q2在留カード不正使用の罰金はいくらですか?
上限は二十万円です。拘禁刑を選ぶ場合は一年以下で、どちらになるかは事案の悪質性や前歴などを踏まえて決まります。
Q3在留カードの受け渡しは未遂でも処罰されますか?
処罰されます。73条の6第2項により、行使・提供・収受の未遂は罰せられます。所持だけは未遂処罰の対象から除かれています。
Q4在留カードを紛失したらいつまでに届け出ますか?
紛失を知った日から14日以内に、地方出入国在留管理局へ再交付を申請します(入管法19条の12)。あわせて警察への遺失届も出しておきます。
Q5他人の在留カードで働いた場合、雇い主も罪になりますか?
不法就労と知りながら雇った場合や、過失で知らなかった場合も、使用者は入管法73条の2の不法就労助長罪の対象となりえます。本条より重い罰条です。
Q6在留カード不正使用で逮捕されたら何日拘束されますか?
逮捕から最大72時間、勾留が10日、延長10日で、起訴前は最長23日です。この期間中に起訴か不起訴かが決まります。
Q7在留カード不正使用の時効は何年ですか?
公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項)。所持罪は所持が続いている間は犯罪が終わっていないため、時効は進行しません。
Q8在留カードのコピーを渡すのは違法ですか?
典型的な処罰対象はカードそのものの受け渡しです。ただしコピーの場合も、不正使用の目的があれば別の罪に問われるおそれがあるため、安易に渡すべきではありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1友達のカードを預かってるだけで、使う気は全然ないんですけど、それでも捕まりますか?
2号の所持罪は「行使の目的で」所持した場合に限られるため、真に保管目的だけなら構成要件を満たしません。ただし現実には、その目的をどう証明するかが勝負です。実務のポイント:捜査機関は所持の状況(財布に入れていたか、封筒で保管していたか)と、入手時のメッセージ履歴を重視します。保管を頼まれた事情が残る LINE のやり取りは、消さずに保存しておくこと。消した履歴は後から不利に評価される
Q2自分のカードを貸しただけなのに、なんで自分まで罪になるんですか?
1項3号が「行使の目的で、自己名義の在留カードを提供した者」を明文で処罰しているためです。貸した側と借りた側が同じ法定刑(一年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金)で並びます。実務のポイント:提供した側は「使われるとは思わなかった」と主張しがちですが、相手が在留資格を失っていることを知っていた事実が出ると、行使の目的の認定が一気に固まります。相手の在留状況を知っていたかどうかが、実務上の分水嶺
Q3罰金二十万円払えば、それで終わりですよね?
刑事手続はそれで終わっても、在留資格の手続は別軌道で続きます。在留期間更新・在留資格変更の許否判断では素行が考慮され、事案によっては入管法24条の退去強制事由の検討に入ります。実務のポイント:起訴されて有罪が確定するか、起訴猶予(不起訴)で終わるかで、その後の在留審査での扱いが大きく違います。だから弁護活動の主戦場は、公判の量刑ではなく起訴前の不起訴獲得にある
間違えやすい点 AI による整理
- 「使わなければ罪にならない」と理解している人がほとんどだが、条文は行使の目的での提供・収受・所持を独立に処罰している。使う前に手元にある時点で既遂であり、しかも2項により未遂も処罰対象(所持を除く)。「まだ使っていない」は防御にならない
- 他人名義カードの問題は「借りた側の罪」だと思われているが、第3号は自己名義カードを提供した側を明確に処罰する。善意で貸したつもりの人が、同じ法定刑の被告人席に立つ。貸す行為は「親切」ではなく「犯罪の実行行為」である
- 多くの人は「罰金二十万円で済むなら払えばいい」と刑罰の額だけで深刻度を測るが、問題は刑の重さではなく在留資格への波及である。刑事処分が確定した外国人は、在留期間更新・変更の際に「素行が善良であること」の要件で不利益を受け、事案によっては退去強制手続に入る。二十万円の罰金が、日本で築いた生活全体の終わりの入口になりうる
- 「日本語が不自由だから何を聞かれているか分からなかった」で済むと考える人がいるが、取調べで通訳がついた記録が残れば、後から供述内容を争うのは極めて困難になる。理解できなかったなら、その場で「理解できない」と言い、署名を保留する。これができるかどうかは、事前に知っているかどうかだけで決まる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰の対象となる行為 | 入管法73条の6:他人名義カードの行使・提供・収受・所持、自己名義カードの提供 | 入管法73条の3:在留カードそのものの偽造・変造 入管法73条の2:不法就労をさせる・あっせんする使用者側の行為 |
| カードの真偽 | 本物のカードを名義人以外が使うこと(名義の不一致) | 偽のカードを作り出すこと(カードそのものが不真正) カードの真偽ではなく、就労させた行為が問題になる |
| 主な行為者 | カードを使う外国人本人と、自分のカードを貸した名義人 | 偽造に関わった者(行使目的が必要) 雇用主・派遣元・ブローカーなどの事業者側 |
| 法定刑の重さ | 一年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金(比較的抑えた設定) | 本条より重い法定刑 本条より重い法定刑 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では外国人の居留証を不正に使った場合、主に刑法の特種文書偽造・行使の枠組みで評価される。日本のように名義貸しの提供側を専用の罰条で明記するつくりとは異なる
韓国は外国人登録証を担保として提供したり他人に貸したりする行為を明文で禁じており、名義貸しを双方向から規制する点で日本と構造が近い
ドイツは、他人名義の身分証明書類を使う行為と、使わせる目的で他人に渡す行為を刑法典で一般的に処罰する。滞在許可証もこの規定の対象となる
米国は、在留や就労を証明する書類の不正使用・所持を連邦犯罪としており、法定刑は日本よりはるかに重い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- アルバイト先で「在留資格がない子を雇いたいから、君のカードのコピーを貸して」と店長に頼まれた。コピーを渡しただけなら3号の「提供」に当たるか。実務上、在留カードそのものの交付が典型だが、行使の目的を伴う提供行為の範囲は事案ごとに判断される。断る理由を法的に説明できるかどうかが、あなたの人生を分ける
- 帰国する同郷の友人から「記念に持っててよ」と在留カードを渡され、引き出しにしまった。使う気は一切ない。この場合「行使の目的」がないので2号の所持罪は成立しない。だが、その「使う気はなかった」をどう立証するのか。取調室で、あなたの供述だけが証拠になる
- もし、あなたが人材派遣の現場責任者で、提出された在留カードが他人名義だと薄々気付いていたとしたら? 使用者側は入管法73条の2(不法就労助長罪、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金)という、はるかに重い別の罰条の射程に入る。カードを見る側にも刑事責任がある
- 入管から呼出状が届き、出頭日まであと7日。所持していた他人名義のカードについて説明を求められている。この7日で弁護士に相談するか、独りで出頭するかで、その後の在留資格の運命が変わる。入管の事情聴取は刑事手続とは別軌道だが、そこでの供述は刑事事件にも使われる
- 在留カードを落として拾われ、知らない誰かが偽造して使った。あなたは被害者だが、紛失届を出していなければ「提供したのでは」と疑われる。紛失から14日以内の再交付申請(入管法19条の12)を怠った記録が、あなたに不利に働く
取るべき行動
被害を受けた側:1. 在留カードを紛失・盗難された場合、その日のうちに警察へ遺失届または盗難届、受理番号を必ず控える2. 紛失を知った日から14日以内に地方出入国在留管理局へ再交付申請(入管法19条の12) 3. 不正使用の疑いを知った場合、自ら入管に申告し、いつ手元を離れたかを時系列で説明できる資料(写真、メッセージ履歴)を準備4. 勤務先で他人名義カードの使用を強要されたら、やり取りの記録を保存し、労働局または外国人在留支援センター(FRESC)に相談
訴えられた側:1. 逮捕・事情聴取の場では、まず通訳の付与と弁護人選任を求める。母語での通訳がないまま署名しない2. 争点は「行使の目的」の有無。単に保管していただけなら所持罪は成立しないので、入手経緯と保管状況を具体的に説明できる証拠を整理3. 当番弁護士制度を利用、外国人刑事事件の経験がある弁護人を指名する4. 刑事処分と並行して在留資格への影響を検討、起訴前の段階で不起訴を目指すことが在留継続の最大の分岐点
時効(請求できる期限):本罪の法定刑(一年以下の拘禁刑)に対応する公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項)。起算点は犯罪行為が終わった時で、所持罪は所持状態が継続する間は時効が進行しない。逮捕された場合の身柄拘束は最大23日(逮捕72時間+勾留10日+延長10日)で、この間に起訴・不起訴が決まる。在留カード紛失時の再交付申請は事実を知った日から14日以内(入管法19条の12)
学説
一般的理解:本条1項2号・3号は目的犯であり、「行使の目的」が構成要件要素となる。単なる保管や記念品としての所持は2号に当たらず、目的の有無は入手経緯や保管状況などの客観的事情から認定される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成21年(2009年) 新設:新しい在留管理制度(在留カード制度)の導入に伴って新設された。制度は平成24年(2012年)7月に施行され、外国人登録証明書に代わって在留カードが交付されるようになった
- 2.令和4年(2022年) 改正:刑法等の一部を改正する法律により懲役・禁錮が拘禁刑に一本化され、本条の法定刑も「拘禁刑」と表記されるようになった(令和7年(2025年)6月施行)
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