農地法 第44条
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農業委員会は、前条第一項の規定による届出に係る同条第二項に規定する農作物栽培高度化施設(以下「農作物栽培高度化施設」という。)において農作物の栽培が行われていない場合には、当該農作物栽培高度化施設の用に供される土地の所有者等に対し、相当の期限を定めて、農作物栽培高度化施設において農作物の栽培を行うべきことを勧告することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 農地法第44条は、日本の農地法に含まれる条文です。
- 農地法第44条の条文原文は「農業委員会は、前条第一項の規定による届出に係る同条第二項に規定する農作物栽培高度化施設(以下「農作物栽培高度化施設」という。」で始まります。
- 農地法第44条は第五章 雑則に置かれています。
- 農地法の公布日は昭和27年7月15日です。
- 農地法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 農地法第44条の前の条は農地法第43条です。
- 農地法第44条の次の条は農地法第45条です。
- 農地法第44条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第44条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000229 - 本サイト収録
農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第44条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC0000000229/44
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点農地法44条は、届出済みの農作物栽培高度化施設で栽培が行われていない場合、農業委員会が所有者等に相当の期限を定めて栽培を行うよう勧告できると定める。
Q · 農業委員会から「栽培を再開してください」という勧告書が届いたら、どうなるの?
勧告自体に罰則はないが、転用規制へ進む入口になる
農地法44条は、届出済みの農作物栽培高度化施設で栽培が行われていない場合に、農業委員会が相当の期限を定めて栽培を勧告できると定めています。勧告は行政指導であり、それ自体に罰則はありません。ただし栽培していない施設は43条の特例が予定する状態から外れているため、放置すれば農地転用の許可制(4条・5条)や違反転用への処分(51条)の検討に進む余地があります。期限内に栽培再開・貸付・転用許可申請のいずれかを選ぶのが現実的です。
解説
コンクリートを打ったビニールハウスの床は、本来なら農地ではない。それでも平成30年(2018年)の改正以降、農業委員会(市町村に置かれ、農地の権利移動や転用を審査する行政委員会)に届け出れば、その土地は農地として扱われ続ける。これが前条、43条の特例である。ただし、この特例は施設の中で実際に作物を育てていることが前提だ。44条は、栽培が止まった施設に対して、農業委員会が期限を決めて「栽培を再開せよ」と勧告できると定める。勧告は行政指導(役所からのお願いで、それ自体に法的な強制力はない)にとどまる。だから無視しても構わないと考えるなら、それは間違いである。勧告の向こう側には、農地扱いの前提が崩れ、無許可転用(許可なく農地を農地以外に使うこと)として是正を求められる道が続いている。施設を持つあなたにとって、勧告書は最後の黄色信号である。
法的な位置づけ
農地法44条は、農作物栽培高度化施設に関する勧告を定める規定であり、同法43条1項の届出に係る施設において農作物の栽培が行われていない場合に、農業委員会が当該施設の用に供される土地の所有者等に対し、相当の期限を定めて農作物の栽培を行うべきことを勧告できる旨を規定する。勧告は行政指導としての性質を持つ。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.43条の届出の有無を確認する 施設を相続・取得した場合や栽培を止める予定がある場合、まず農業委員会で43条1項の届出が出ているか、届出内容(施設の範囲・栽培作物)を確認する
- 2.勧告書の期限と要求内容を正確に読む 勧告書が届いたら、定められた期限、対象となる施設・土地、求められている内容(栽培の再開)を確認し、担当者に面談を申し込む
- 3.三つの選択肢から方針を決める 自ら栽培を再開する、農地中間管理機構(農地バンク)や近隣の担い手に貸し付けて栽培してもらう、農業をやめるなら4条・5条の転用許可申請に切り替える、のいずれかを選ぶ
- 4.再開計画・記録を期限前に提出する 栽培再開の計画書、作付記録、貸付契約の締結状況などを写真付きでまとめ、期限前に農業委員会へ提出・説明する。一時的な中断であれば理由も記録で示す
よくある質問 AI による整理
Q1農作物栽培高度化施設とは何ですか?
床をコンクリート等で覆った植物工場や高度なハウスなど、農地法43条2項の基準を満たす施設です。農業委員会に届け出ると、その敷地は農地として扱われます。
Q2農地法44条の勧告はどんなときに出されますか?
43条の届出をした農作物栽培高度化施設で、農作物の栽培が行われていないと農業委員会が判断した場合です。利用状況調査などで発覚することが一般的です。
Q3勧告の「相当の期限」はどれくらいですか?
法律に日数の定めはなく、農業委員会が施設の状況や再開に必要な準備を考慮して個別に決めます。勧告書に記載された期限を必ず確認してください。
Q4農業委員会の勧告に従わないとどうなる?
勧告そのものに罰則はありません。ただし栽培しない状態が続けば43条の特例の前提を欠き、農地転用の規律や違反転用への処分(51条)が問題になる余地があります。
Q5ビニールハウスの床をコンクリートにしたら農地転用になる?
原則として転用許可の問題になりますが、43条に基づき農業委員会に届け出た農作物栽培高度化施設であれば、農地として扱われ続けます。届出の有無が分かれ目です。
Q6相続したハウスで栽培していないと問題になる?
43条の届出がある施設で栽培が止まっていれば、44条の勧告の対象になり得ます。自ら栽培できない場合は貸付や転用許可申請を早めに検討しましょう。
Q7勧告に不服がある場合、取消訴訟はできる?
勧告は行政指導であり、原則として取消訴訟の対象とならないと考えられています。実務上は期限延長や再開計画について農業委員会と協議するのが現実的です。
Q8植物工場を倉庫として使うのは違法?
届出済み施設を倉庫として使えば栽培が行われていない状態となり、44条の勧告対象になり得ます。継続すれば違反転用として是正を求められる可能性があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1勧告を無視したら、いきなり罰金になりますか?
44条の勧告そのものに罰則はない。ただ、栽培していない施設は43条の特例が予定する状態から外れているため、農地転用の規律(4条・5条)や違反転用に対する処分(51条)の検討へ進む可能性がある。実務のポイント:農業委員会は、いきなり処分に踏み切るより、勧告の段階で何度も面談して自主的な是正を促すことが多い。最初の面談で再開計画を持っていけるかどうかで、その後の扱いが大きく変わる
Q2植物工場で LED 栽培をやめて、苗の保管だけしているのはアウトですか?
43条の特例が前提とするのは「農作物の栽培」である。苗の保管だけでは栽培とは評価されにくく、44条の勧告の対象になりうる。どこまでを栽培と認めるかは個別の事情で判断される。実務のポイント:判断は各地の農業委員会の運用に左右される。グレーな使い方を始める前に、事前に照会して回答をメモに残しておくと、後の調査で説明する材料になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「勧告は行政指導だから無視しても罰則はない」と考えがちだが、それは半分しか正しくない。44条の勧告そのものに罰則はない。ただ、栽培していない施設はそもそも43条の特例が予定する状態から外れている。勧告を無視すれば、農地転用許可(4条・5条)の規律や違反転用に対する措置(51条)へ話が移る余地がある。勧告は罰ではなく、罰に入る手前の扉である(具体的な運用は自治体ごとに確認が必要)
- 「一度届け出たのだから、ずっと農地扱いのまま」というのは前提の誤りである。43条の特例は、届出をした時点の身分を保証するものではない。中で栽培が続いていることを条件に、その身分を維持する仕組みだ。届出が完了しても、その後の使い方が問われ続ける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の内容 | 農地法44条:栽培が行われていない高度化施設に栽培を勧告 | 農地法43条:高度化施設の届出と農地扱いの特例 農地法51条:違反転用に対する原状回復等の処分 |
| 行政の手段の性質 | 勧告(行政指導、法的強制力なし) | 届出の受理(特例の入口) 処分(命令であり、違反には罰則の余地) |
| 発動の主体 | 農業委員会 | 農業委員会への届出 都道府県知事等 |
| 所有者等への影響 | 期限内の栽培再開を求められる黄色信号 | コンクリ床でも農地として扱われる優遇 工事停止や原状回復を命じられ得る |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では農業用地に農業施設を設ける場合、容許使用の審査を経る。許可された用途以外に使えば是正や処分の対象となる点で、利用実態を監視する発想は日本と共通する
韓国の農地法は固定式温室等の敷地を農地に含める定義を置き、農業経営に利用しない農地には処分義務を課す。日本の勧告よりも直接的な義務付けに近い
フランスには耕作されていない土地(terres incultes)の利用を促す手続があり、未利用農地への行政介入という点で比較対象となる
米国では州法の優遇評価制度が農業利用の継続を条件とし、利用をやめれば優遇を失う構造。優遇と利用実態を連動させる発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 高齢の父が始めたイチゴの水耕ハウスを相続したが、あなたは会社員で栽培は二年止まったまま。農業委員会の利用状況調査で空のハウスが見つかり、勧告書が届いた。期限までに栽培を再開するか、誰かに貸して作らせるか。何もしなければ、相続税の納税猶予を受けていた場合はその前提まで揺らぎかねない
- もし植物工場を資材置き場として使い始めたら、どうなる? 外から見ればハウスはそのまま、でも中は段ボールの山。法律上は「栽培が行われていない」状態であり、勧告の対象になる
- あなたは農業法人の担当者で、トマト栽培を撤退したハウスの使い道を検討中。勧告で示された期限まで、あと30日。栽培再開、第三者への貸付、正規の転用許可申請。三つのうちどれを選ぶかを今月中に決めないと、選択肢は勝手に狭まっていく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 施設を相続した場合や撤退予定の場合、まず43条の届出が出ているかを農業委員会で確認する2. 勧告書が届いたら期限と求められている内容を正確に読み、担当者に面談を申し込む3. 自分で作れないなら、農地中間管理機構(農地バンク)や近隣の担い手への貸付を検討する4. 栽培再開の計画書や作付記録を写真付きで残し、期限前に提出する
訴えられた側:1. 栽培が止まった理由(病害、人手不足、設備故障など)を記録で示し、一時的な中断であることを説明する2. 勧告は行政指導であり、原則として取消訴訟の対象にはならない。争うより、期限の延長や再開計画の調整を交渉するほうが現実的である3. 農業をやめるなら、違反転用と指摘される前に4条・5条の転用許可申請に切り替える4. 行政書士など農地手続に詳しい専門家に早めに相談する
時効(請求できる期限):特定の時効はない。勧告に記された「相当の期限」が実務上の締切になる。期限の長さは農業委員会が個別に決めるため、勧告書の記載を必ず確認すること
学説
行政法の一般的理解:44条の勧告は行政指導であり、相手方に法的義務を課すものではないため、原則として抗告訴訟の対象となる処分には当たらないと解される。ただし勧告に従わないことが後の不利益処分に結びつく仕組みかどうかは個別に検討される
改正沿革 AI による整理
- 平成30年(2018年)農地法改正 農作物栽培高度化施設の特例(43条)とあわせて新設。栽培が行われていない場合の農業委員会による勧告権限を定めた。その後の改正の有無は人による確認が必要
改正の年表
- 1.平成30年(2018年) 新設:農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律により、農作物栽培高度化施設の特例(43条)とあわせて新設。栽培が行われていない施設に対する農業委員会の勧告権限を定めた
- 農地法 第43条農作物栽培高度化施設の届出と農地扱いの特例
- 農地法 第4条農地転用の許可制、特例が外れた場合の規律
- 農地法 第51条違反転用に対する原状回復等の処分
- 農地法 第30条農業委員会による農地の利用状況調査
- 行政手続法 第32条行政指導の一般原則、勧告の性質を規律
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