国民健康保険法 第106条(報告の徴収等)
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- 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める者について、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員に実地にその状況を検査させることができる。
- 一厚生労働大臣都道府県若しくは市町村若しくは組合又は連合会
- 二都道府県知事当該都道府県知事が統括する都道府県の区域内の市町村若しくは組合又は連合会
- 2.前項の規定による検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
- 3.第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
この条文の基本情報
報告の徴収等とは何ですか?
定義報告の徴収等とは、国民健康保険法第106条に定められた規定で、「次の各号に掲げる者は、当該各号に定める者について、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員に実地にその状況を検査させるこ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第106条(報告の徴収等)は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第106条の条文原文は「次の各号に掲げる者は、当該各号に定める者について、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員に実地にその状況を検査させるこ…」で始まります。
- 国民健康保険法第106条は第十章に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第106条の前の条は国民健康保険法第105条です。
- 国民健康保険法第106条の次の条は国民健康保険法第107条です。
- 国民健康保険法第106条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第106条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第106条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/106
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法106条は、厚生労働大臣と都道府県知事が保険者等に事業・財産状況の報告を求め、実地検査できると定める。この権限を犯罪捜査に用いることはできない。
Q · 国保の立入検査って、加入者や病院が調べられるんですか?
調べられるのは保険者、つまり市町村や国保組合の側です
いいえ。国民健康保険法106条が報告徴収と実地検査の対象としているのは、都道府県・市町村・国民健康保険組合・国民健康保険団体連合会という保険者側です。厚生労働大臣はこの全てに、都道府県知事は自分が統括する区域内の市町村・組合・連合会に対して、必要があると認めるときに事業及び財産の状況の報告を求め、職員に実地検査をさせることができます。検査職員は身分証明書を携帯し、関係人が請求すれば提示する義務を負い、同条3項によりこの権限を犯罪捜査のために用いることはできません。
解説
国民健康保険で立入検査が入ると聞くと、調べられるのは病院か加入者だと思い込みがちだ。106条の矢印は逆を向いている。この条文が報告を出させ、職員を送り込む先は、保険を運営している側そのもの、つまり都道府県・市町村・国民健康保険組合・国保連合会である。厚生労働大臣は都道府県から連合会まで、都道府県知事は自分の区域内の市町村・組合・連合会まで、事業と財産の状況を丸ごと見にいける。保険料の高さや給付の断られ方に納得できないとき、目の前の窓口職員は「決める側」であると同時に「検査される側」でもある。その構造を知っているかどうかで、あなたが文書を出す宛先が変わる。さらに3項が効いている。この権限で集めた情報を犯罪捜査に使ってはならない。行政の調査権と警察の捜査権の間に、条文上のヒューズが一本挟まっている。
法的な位置づけ
国民健康保険法106条は、保険者等に対する監督手段としての報告徴収及び実地検査を定める規定である。権限の名宛人は厚生労働大臣及び都道府県知事であり、対象は都道府県・市町村・国民健康保険組合・国民健康保険団体連合会に限られる。調査事項は事業及び財産の状況に限定され、同条3項により犯罪捜査への転用は否定されている。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.届いた通知の根拠条項を最初に特定する 通知文の冒頭または末尾に根拠条項の記載があるかを確認し、106条1項による法定の報告徴収・検査なのか、根拠を書かない行政指導なのかを切り分ける。記載がなければ、文書で根拠条項の明示を求める
- 2.提出範囲を「事業及び財産の状況」で線引きする 求められた資料を一覧化し、事業及び財産の状況に関するものとそれ以外に仕分ける。目的外と思われる資料については、必要性と根拠の説明を文書で求め、回答を保存する
- 3.検査当日、身分証の提示を請求して記録する 実地検査の開始時に106条2項に基づき身分証明書の提示を請求し、氏名・所属・根拠条項を記録する。質問と回答は時系列でメモし、可能なら複数名で立ち会う
- 4.犯罪捜査目的が疑われる場面では3項で確認する 質問の内容が個人の刑事責任追及に向かっていると感じた場合、106条3項を示して調査の目的を確認し、回答を記録に残す。必要に応じて弁護士の同席を求める
- 5.検査後、指摘事項と提出資料を台帳化する 検査で指摘された事項、提出した資料、未提出とした資料とその理由を一つの台帳にまとめて保存する。地方自治法245条の5の是正の要求など次段階に進んだ場合、この台帳が唯一の反証材料になる
よくある質問 AI による整理
Q1国民健康保険法106条とは何ですか?
厚生労働大臣と都道府県知事が、保険者等の事業及び財産の状況について報告を求め、職員に実地検査をさせることができると定めた監督規定です。犯罪捜査への転用は3項で禁じられています。
Q2国保の立入検査の対象になるのは誰ですか?
都道府県、市町村、国民健康保険組合、国民健康保険団体連合会です。加入者や医療機関ではありません。厚生労働大臣はこの全てを、都道府県知事は区域内の市町村・組合・連合会を対象とします。
Q3国民健康保険組合も検査されますか?
されます。医師国保・建設国保・弁護士国保などの国民健康保険組合は106条1項の対象に明記されており、厚生労働大臣と所在区域の都道府県知事の双方から報告徴収と実地検査を受けます。
Q4報告徴収と実地検査の違いは何ですか?
報告徴収は書面等で状況の報告を求める手段、実地検査は職員が現地に赴いて状況を確認する手段です。106条1項は両方を認めており、身分証の携帯・提示義務は実地検査に課されます。
Q5検査に来た職員の身分証は見せてもらえますか?
請求すれば提示されます。106条2項は携帯を常時の義務とし、提示は関係人の請求があったときの義務としています。請求しなければ身分や所属が確認されないまま検査が進むことがあります。
Q6行政調査と犯罪捜査はどう違うのですか?
行政調査は制度運営の適正を確かめるための調査、犯罪捜査は刑事責任追及のための手続です。106条3項は本条の権限を犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと定めます。
Q7国民健康保険団体連合会とは何をする団体ですか?
保険者である市町村や組合が共同で設立し、診療報酬の審査支払や苦情処理などを担う団体です。106条では厚生労働大臣と都道府県知事の双方による報告徴収・実地検査の対象とされています。
Q8国保の立入検査に令状は必要ですか?
106条の検査は行政調査であり、令状は要件とされていません。ただし実質的に刑事責任追及のための資料収集に直接結びつく場合、憲法35条の保障が及びうるとされます(最大判昭和47.11.22)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1検査を断ったら罰則ってあるんですか?
106条自体には、検査を受ける側への罰則が置かれていない。相手が自治体・組合・連合会という公的主体であり、担保が罰則ではなく地方自治法245条以下の関与(是正の要求など)に置かれているためである。実務のポイント:根拠条項の書かれていない「ご協力のお願い」は、法定の報告徴収ではなく行政指導であることが多い。相手が地方公共団体そのものの場合は行政手続法4条1項で同法の適用が外れる余地もあり、この線引きは実務上解釈が分かれる。
Q2検査で出した資料が、あとから警察に渡ることはありますか?
3項は、この権限を犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと定める。最初から刑事立件を狙って106条を使うことは許されない。他方、行政調査で得た資料が結果的に捜査の端緒になる場面をどこまで許容するかは、川崎民商事件(最大判昭和47.11.22)の射程として実務上解釈が分かれている。実務のポイント:質問に答える前に「これは106条に基づく行政調査ですか」と確認し、その回答を記録に残す。後日、任意性が争われたときに効く。
Q3一加入者として、市役所の国保運営がおかしいと思ったらどこに言えばいいんですか?
保険料や給付に関する処分そのものは国民健康保険審査会への審査請求で争う(国民健康保険法91条、原則として処分を知った日の翌日から三か月)。運営全体の適正さは、106条の監督権者である都道府県知事と厚生労働大臣の側にある。実務のポイント:監督権限の発動を求める申出に法律上の申請権はなく、動かなくても不作為として争いにくい。だからこそ、感情的な苦情ではなく、日付と資料を添えた情報提供の形で出したものほど処理されやすい。
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば保険者は「役所」であり、文句を言っても何も変わらない相手に見える。法律から見れば保険者は監督を受ける被検査主体であり、その上には厚生労働大臣と都道府県知事という名宛人が立っている。この落差に気付かないまま窓口で交渉を続けると、審査請求の期限だけが静かに消えていく
- 3項の「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」は、決まり文句として読み飛ばされることが多い。深刻なのはその先である。行政調査であっても、実質的に刑事責任追及のための資料収集に直接結びつく場合には憲法35条・38条の保障が及びうる(最大判昭和47.11.22川崎民商事件)。行政調査で得た資料をどこまで刑事手続に使えるかは、実務上解釈が分かれている
- 検査に来た職員は身分証を自分から見せるものだと思われているが、2項の構造は違う。携帯は常時の義務、提示は関係人の請求があったときの義務である。請求しなければ、身分も所属も確認されないまま検査が進むことがある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 動かせる人 | 厚生労働大臣・都道府県知事が職権で発動(私人に申請権なし) | 処分に不服のある被保険者等が審査請求として申し立てる 各大臣が職権で地方公共団体に対して行う |
| 名宛人・対象 | 都道府県・市町村・国民健康保険組合・国民健康保険団体連合会 | 保険者等がした保険料賦課・給付に関する処分 地方公共団体の事務処理一般 |
| 期間制限 | 106条自体に期間の定めなし | 原則として処分があったことを知った日の翌日から三か月 法定の期間制限なし |
| 得られる結果 | 事業・財産状況の把握(是正措置の前段階) | 処分の取消・変更という個別救済 違法・不適正な事務処理についての是正の要求 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は単一保険者制で、保険人である中央健康保険署自体が中央政府機関である点が日本と決定的に異なる。日本のように市町村・組合という多数の保険者を国と都道府県が二段で監督する構造は生じない
韓国も単一保険者(국민건강보험공단)制であり、보고와 검사の対象には保険者だけでなく요양기관(医療機関)も広く含まれる。日本の106条が保険者側に限定されている点と対照的である
ドイツは疾病金庫(Krankenkassen)を自治的な公法人として位置づけたうえで、連邦・州の監督官庁が法適合性の監督(Rechtsaufsicht)を行う。自治と監督を両立させる構造は日本の106条と発想が近い
米国は連邦補助金の条件として連邦政府が州の運営を監督する財政連邦主義型で、監督の梃子が補助金である点が、法律上の調査権限そのものを授権する日本型と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 国民健康保険組合の事務局に厚生労働省から書面が届いたとき、それは任意の協力依頼なのか、106条による法定の報告徴収なのか。根拠条項を書かない依頼文は実務上珍しくない。任意か法定かで、断った場合の結末も、理事会に諮るべきかどうかも変わる。
- 市町村の国保担当に配属されて三か月、都道府県の実地検査が二週間後に入るという通知が来た。過去数年分の給付記録と保険料の賦課データを揃えろと言われても、前任者の引き継ぎメモに保管場所は書かれていない。106条1項は「事業及び財産の状況」としか書いておらず、どこまで出すかの線引きは現場の解釈に委ねられている。検査当日までに、出す資料と出さない資料の理由を文書で説明できる状態にしてあるかどうかで、指摘の重さが変わる。
- 保険料の減免申請が根拠不明のまま却下され、窓口では前例がないとしか説明されない。争い方は二本ある。国民健康保険審査会への審査請求(国民健康保険法91条)と、106条の監督権者である都道府県への情報提供だ。前者には三か月の期限があり、後者には期限がない代わりに動く保証もない。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 保険料の賦課や給付の不支給といった処分そのものは、国民健康保険審査会への審査請求で争う。期限は原則として処分を知った日の翌日から三か月。2. 並行して、運営の適正さ自体を問う文書を都道府県の国保主管課へ提出し、日付・担当者名・やり取りの記録を添える。3. 苦情の形ではなく、監督権者がそのまま判断材料にできる事実と資料の形で出す。4. 106条の発動を求める申請権は法律上ないため、期限のある審査請求を主軸に置き、情報提供は補助線として使う。
訴えられた側:1. 通知文の根拠条項をまず確認し、106条による報告徴収・検査なのか、根拠を書かない行政指導なのかを切り分ける。2. 提出範囲は「事業及び財産の状況」に関するものに限られる。目的外と思える資料を求められたら、必要性の説明を文書で求める。3. 当日は2項に基づき身分証の提示を請求し、質問と回答を記録する。4. 犯罪捜査目的が疑われる局面では3項を根拠に目的の確認を求め、必要なら弁護士を同席させる。
時効(請求できる期限):106条自体に期間の定めはない。関連する期限は二つ。処分に対する審査請求は、原則として処分があったことを知った日の翌日から三か月(国民健康保険法91条、行政不服審査法18条)。保険給付を受ける権利および保険料その他の徴収金に関する権利は二年で時効消滅する(国民健康保険法110条)。起算点は権利を行使できる時(最新の改正状況をご確認ください)。
学説
通説:106条の報告徴収・実地検査は、公費が投入される国民健康保険制度の適正運営を担保するための行政監督権限であり、相手方が公的主体であることから罰則による担保ではなく地方自治法上の関与に接続する設計になっていると解される
解釈の分岐点:3項がある以上、当初から刑事立件を目的とする調査は許されない点に争いはない。他方、行政調査で適法に得られた資料が結果的に捜査の端緒となる場面をどこまで許容するかは、川崎民商事件の射程の理解によって実務上評価が分かれる
改正沿革 AI による整理
- 平成11年(1999年)中央省庁等改革関連(要検証) 省庁再編に伴い、権限主体の名称が厚生大臣から厚生労働大臣へ改められたと考えられる。本条についての具体的な改正経緯は官報での確認が必要
- 平成27年(2015年)改正、平成30年(2018年)4月施行(要検証) 国民健康保険の都道府県単位化により、都道府県が財政運営の責任主体となった。現行条文が報告徴収・検査の主体に都道府県知事を、対象に都道府県を組み込んだ構造になっているのはこの改革に対応したものと考えられるが、改正条項の特定には条文沿革の確認が必要
改正の年表
- 1.昭和33年(1958年) 新設:国民健康保険法の全部改正(昭和33年法律第192号)により現行法が成立。保険者に対する監督手段として報告徴収と実地検査が置かれた
- 2.平成11年(1999年)前後 改正:中央省庁等改革に伴い、権限主体の名称が厚生大臣から厚生労働大臣へ改められたと解される。本条固有の改正経緯は官報での確認を要する
- 3.平成27年(2015年)改正・平成30年(2018年)4月施行 改正:国民健康保険の都道府県単位化により、都道府県が財政運営の責任主体となった。現行条文が報告徴収・検査の主体に都道府県知事を、対象に都道府県を組み込んだ構造をとるのはこの改革に対応するものと考えられるが、改正条項の特定には条文沿革の確認を要する
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