国民健康保険法 第61条
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被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によつて疾病にかかり、又は負傷したときは、当該疾病又は負傷に係る療養の給付等は、その全部又は一部を行わないことができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第61条は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第61条の条文原文は「被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によつて疾病にかかり、又は負傷したときは、当該疾病又は負傷に係る療養の給付等は、その全部又は一部を行わないことができる。」で始まります。
- 国民健康保険法第61条は第三節に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第61条の前の条は国民健康保険法第60条です。
- 国民健康保険法第61条の次の条は国民健康保険法第62条です。
- 国民健康保険法第61条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第61条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第61条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/61
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法61条は、闘争、泥酔又は著しい不行跡による傷病について、保険者が療養の給付等の全部又は一部を行わないことができると定める。制限は義務ではなく裁量である。
Q · けんかや泥酔で怪我をしたら、国民健康保険は使えなくなるんですか?
自動的に不支給ではなく、保険者の裁量で制限され得る
国民健康保険法61条は、闘争、泥酔又は著しい不行跡による疾病・負傷について、療養の給付等の全部又は一部を行わないことができると定めています。条文は「行わない」ではなく「行わないことができる」と書かれており、制限は保険者の裁量です。実務上は悪質性の高い事案に絞って運用され、飲酒後の転倒が直ちに全額自己負担になるわけではありません。制限の決定は行政処分であり、国民健康保険審査会への審査請求で争えます(同法91条)。
解説
国民健康保険証を出せば7割は保険が持ってくれる、それが当たり前だと思っている人が大半だろう。だが国民健康保険法61条は、その当たり前に穴を開ける。喧嘩(闘争)、泥酔、著しい不行跡が原因で病気になったり怪我をしたりした場合、市町村や国保組合は療養の給付を全部または一部行わないことができる。つまり、居酒屋で殴り合いになって鼻の骨を折った、泥酔して階段から転げ落ちて頭を縫った、そういう状況であなたが窓口で3割だと思っていた金額が、10割請求に化ける可能性がある。手術と入院が絡めば数十万円だ。注意すべきは「行わない」ではなく「行わないことができる」と書かれている点。義務ではなく保険者の裁量である。裁量ということは、事実認定の仕方次第で結論が動く。つまり、あなたが最初に医師や役所に何と説明したかが、そのまま数十万円の分岐点になる。
法的な位置づけ
国民健康保険法61条は、被保険者の自招性が高い傷病に対する給付制限を定める規定である。闘争、泥酔又は著しい不行跡によって疾病にかかり、又は負傷した場合、保険者は当該傷病に係る療養の給付等の全部又は一部を行わないことができる。制限は義務ではなく裁量であり、全部制限か一部制限かの選択も保険者に委ねられる。
よくある質問 AI による整理
Q1国保の給付制限とは何ですか?
保険者が被保険者への療養の給付等を全部または一部行わない取扱いのことです。国民健康保険法60条から63条に類型が置かれ、61条は闘争・泥酔・著しい不行跡による傷病を対象とします。
Q2けんかで怪我をしたら国保は10割請求されますか?
必ずそうなるわけではありません。61条は裁量規定で、保険者が全部制限を選べば10割相当の負担になりますが、一部制限にとどまる場合も、通常どおり給付される場合もあります。
Q3給付制限の決定に納得できないときはどうすればいいですか?
まず正式な決定通知書を取得し、理由欄で保険者が認定した事実を特定します。そのうえで国民健康保険審査会に審査請求します(国民健康保険法91条)。期間制限があるため通知受領直後に着手してください。
Q4第三者行為による傷病届はいつ出しますか?
事故や傷害を知った後すみやかに保険者へ提出するのが実務上の要請です。届出の記載内容が、求償(同法64条)に進むか給付制限の検討に進むかの分岐材料になります。
Q5国民健康保険法60条と61条の違いは何ですか?
60条は故意の犯罪行為や故意の事故による傷病を対象とし、制限の度合いが強い類型です。61条は闘争・泥酔・著しい不行跡という、故意の犯罪までは至らない自招性を対象とします。
Q6会社の健康保険でも同じ給付制限がありますか?
被用者保険にも同旨の規定があり、健康保険法117条が闘争・泥酔等による給付制限を定めています。国保だけの特殊な仕組みではありません。
Q7給付制限は全額ですか、一部だけですか?
条文が「全部又は一部」と書いているため、どちらも取り得ます。悪質性が低いと評価されれば一部制限にとどまる余地があり、全部制限から一部制限への軽減を求めることも争点になります。
Q8交通事故で自分に過失がある場合も給付制限されますか?
単なる過失は61条の闘争・泥酔・著しい不行跡に当たらないのが通常です。ただし飲酒運転など自招性が著しい事案では、制限の検討対象になり得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1酔っ払って転んで骨折しました。これって本当に保険使えなくなるんですか?
自動的に使えなくなるわけではない。61条は「行わないことができる」という裁量規定で、実務上は悪質性が高い事案に絞って運用されている。単なる飲酒後の転倒で全額自己負担とされる例は多くない。実務のポイント:保険者が制限を検討する入口は、医療機関のレセプト記載や本人からの届出である。診察時に受傷経緯を聞かれたら、事実を正確に述べつつ、飲酒量や泥酔という評価語を自分から不必要に強調しない。カルテの一行が後の判断材料になる
Q2『著しい不行跡』って、具体的に何をしたらアウトなんですか?
条文には定義がなく、社会通念上著しく非難されるべき行状を指すと解されている。実務上、解釈が分かれている領域であり、保険者ごとに運用の幅がある。重要なのは、曖昧だからこそ事実認定の説明で結論が動く点だ。実務のポイント:曖昧な要件で不利益処分を受けた場合、理由の提示が不十分であること自体が争点になりうる。決定通知に具体的な理由が書かれていなければ、まずその点を審査請求で突く価値がある
Q3けんかで怪我をしたけど、相手が先に手を出してきました。それでも制限されますか?
一方的に攻撃された完全な被害者であれば、「闘争」による自招性が否定されやすい。逆に双方が殴り合った相互闘争と認定されると、被害感覚があっても制限の対象になりうる。61条の文言は加害か被害かではなく「闘争」だからだ。実務のポイント:刑事で正当防衛が認められた、あるいは不起訴になったという結果は、保険者の判断に実務上強く効く。刑事処分の結果が出るまで審査請求の主張を練り、結論が出た時点で証拠として提出する順番が効率的だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「保険料を払っているのだから給付されて当然」という前提そのものが、この条文の前では成り立たない。社会保険は民間の傷害保険と違い、給付は保険料の対価としてだけでなく、制度の公平性という公益目的にも縛られる。だから自らの著しい落ち度で招いた傷病には給付を絞る余地が法律上残されている。問いを「払ったのになぜ」から「この状況は裁量的制限の対象になるのか」に立て直さないと、交渉の入口にすら立てない
- 「泥酔して怪我をしたら必ず国保が使えない」と信じている人がいるが、条文は「行わないことができる」と書いている。制限は保険者の裁量であり、実務上は悪質性が高い事案に限定して運用されている。単に酒を飲んでいたというだけで自動的に全額自己負担になるわけではない。実務上、どの程度で制限を発動するかは保険者ごとに運用が分かれている
- 闘争による給付制限は知っていても、その決定が「行政処分」(役所があなたに直接下す具体的な決定)であり、不服申立ての対象になることを知らない人が圧倒的に多い。給付制限は通知されて終わりではなく、国民健康保険審査会への審査請求という争う手続が法律上用意されている。知らなければ、争えたはずの数十万円をそのまま飲み込むことになる
- 「けんかの被害者だから関係ない」と考えるのは危険だ。条文の文言は「闘争」であって「加害」ではない。一方的に殴られた完全な被害者であれば制限の対象になりにくいが、双方が手を出した相互闘争と認定されれば、被害者意識のある側にも制限が及びうる。あなたの主観的な被害感覚と、保険者が認定する「闘争」の範囲は一致しない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる行状 | 61条:闘争、泥酔、著しい不行跡による傷病 | 60条:故意の犯罪行為・故意による傷病 62条:保険者の指示(療養に関する指示等)に従わない場合 |
| 制限の性質 | 裁量(行わないことができる)、全部又は一部 | 自招性が最も強い類型として厳格に扱われる 指示違反という行為への対応として一部制限が中心 |
| 争点になりやすい部分 | 闘争・泥酔・著しい不行跡という評価要件の事実認定 | 故意の有無、犯罪行為該当性 指示の存在と内容、違反の程度 |
| 争う手続 | 国民健康保険審査会への審査請求(同法91条) | 同左 同左 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は不給付事由を列挙する方式で、闘争・泥酔という自招性を理由とする一般的制限規定を置かない。第三者行為は代位求償で処理する設計
韓国は故意または重大な過失による犯罪行為・自傷等を制限事由として明文化。日本の60条・61条を一条に束ねた構造に近い
ドイツは乱闘への関与や故意の犯罪による傷病について、保険者が費用の全部または一部の負担を求め、傷病手当金を制限できるとする。日本61条と同系統の自己責任型規定
米国は自招性を理由とする給付拒否を原則として認めない方向に整理されており、公的・民間を通じて日本型の一般的給付制限規定に相当するものはない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 忘年会の帰り、同僚と口論になり殴り合いに発展。あなたは顔面骨折で手術、相手も怪我。警察が入り、双方とも被害届。後日、市役所の国保担当から「事故の状況について」という照会文書が届く。この回答書の書き方一つで、療養費の全額返還を求められるかどうかが決まる
- 泥酔して駅のホームから落ち、大腿骨を骨折した。救急搬送され緊急手術、入院一か月。医師のカルテには「飲酒後の転落」と記載されている。この一行が保険者の給付制限の判断材料になる。あなたは退院後、数十万円の請求と向き合う可能性がある
- もし、友人が喧嘩で怪我をして「国保が使えないと言われた」と相談してきたら、あなたは何を確認するべきか。第一に、それが正式な給付制限の決定(行政処分)なのか、窓口職員の口頭の説明にすぎないのか。後者であれば、まだ何も確定していない
- 第三者行為による傷病届の提出期限が迫っている。喧嘩の場合、あなたは加害者でもあり被害者でもある。届出の内容次第で、保険者から求償されるか、給付制限されるか、あるいは通常給付が維持されるかが分かれる。数日で腹を決める必要がある
- あなたが殴った側だった場合。相手の治療費を賠償請求され、自分の治療費は国保から給付制限される。二重の負担が同時に襲ってくる構図に立たされる
取るべき行動
被害を受けた側:一方的に暴行を受けた被害者側なら、1. 警察に被害届を出し、事件番号を確保する(一方的被害の客観的裏付けになる) 2. 診断書には受傷経緯を正確に記載してもらう3. 第三者行為による傷病届を保険者に提出し、自分が相互闘争の当事者ではないことを具体的事実(防御のみ、反撃なし、目撃者の存在)で記載4. 加害者への損害賠償請求(民法709条)と並行して進め、保険者からの求償手続にも協力する
訴えられた側:給付制限が検討されている、または決定された側なら、1. まず正式な決定通知書を取得する。口頭説明だけでは処分は成立していない2. 通知書の理由欄を読み、保険者がどの事実を根拠にしたかを特定する3. 事実誤認があれば証拠(防犯カメラ、目撃者、刑事処分の結果)を添えて国民健康保険審査会へ審査請求4. 全部制限か一部制限かも争点になる。悪質性が低ければ一部制限への軽減を求める余地がある
時効(請求できる期限):給付制限の決定に対する審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内かつ処分の日の翌日から1年以内(行政不服審査法18条、国民健康保険法91条の国民健康保険審査会への審査請求)。療養費の請求権自体の消滅時効は2年(国民健康保険法110条)。第三者行為による傷病届は、事故を知った後すみやかに提出するのが実務上の要請(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:61条の給付制限は裁量規定であり、単に飲酒していた、口論があったという事実だけでは足りず、社会通念上著しく非難されるべき自招性が必要と解される。制限を発動する場合も比例的な配慮が求められ、全部制限は悪質性が高い事案に限られる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和13年(1938年) 新設:旧国民健康保険法が制定され、地域を単位とする公的医療保険の枠組みが置かれた
- 2.昭和33年(1958年) 改正:国民健康保険法が全部改正(昭和33年法律第192号)。国民皆保険体制の基礎となる現行法が成立し、給付制限規定も現行の体系に整理された
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