国民健康保険法 第62条
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市町村及び組合は、被保険者又は被保険者であつた者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第62条は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第62条の条文原文は「市町村及び組合は、被保険者又は被保険者であつた者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。」で始まります。
- 国民健康保険法第62条は第三節に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第62条の前の条は国民健康保険法第61条です。
- 国民健康保険法第62条の次の条は国民健康保険法第63条です。
- 国民健康保険法第62条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第62条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第62条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/62
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法62条は、被保険者が正当な理由なしに療養に関する指示に従わないとき、市町村及び組合が療養の給付等の一部を行わないことができると定める裁量規定である。
Q · 保険料をちゃんと払っていても、医師の指示に従わないと保険が使えなくなることがあるの?
あり得る。ただし「正当な理由」があれば制限されない
国民健康保険法62条により、市町村及び組合は、被保険者が正当な理由なしに療養に関する指示に従わないとき、療養の給付等の一部を行わないことができます。保険料の滞納による制限とは別軸の制度で、完納者にも適用されうる点が重要です。ただし条文は「できる」という裁量規定であり、副作用、就労事情、通院手段の不存在などは「正当な理由」として主張できます。制限は行政処分なので、国民健康保険審査会への審査請求で争えます。
解説
保険証を出せば医療費が3割で済む、それは無条件の権利だと思っている人がほとんどだ。だが国民健康保険法62条は、その前提に穴を開けている。市町村や国保組合は、あなたが「正当な理由なしに療養に関する指示に従わない」とき、療養の給付等の一部を行わないことができる。つまり自己負担が跳ね上がる、あるいはその分だけ保険が効かない状態が作られうるということだ。ここで押さえるべきは二点。第一に、判断するのは医師ではなく保険者(市町村・組合)であり、これは行政処分(役所があなたに直接下す具体的な決定)として審査請求や取消訴訟で争える。第二に、条文は「できる」と書いてあり、義務ではない。つまり不利益を課すかどうかは裁量であり、あなたの事情、たとえば副作用がつらかった、仕事を休めなかった、説明を受けていなかったといった事実は「正当な理由」として主張できる余地がある。指示に従わなかったという事実そのものより、なぜ従えなかったかを記録に残せる人が、この条文の前で強い。
法的な位置づけ
国民健康保険法62条は、療養に関する指示に対する不服従を理由とする給付制限を定める規定である。市町村及び組合は、被保険者又は被保険者であつた者が正当な理由なしに療養に関する指示に従わないとき、療養の給付等の一部を行わないことができる。保険料滞納に基づく制限とは別個の、裁量的な給付制限である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.通知書の処分理由欄と教示欄を最初に読む 給付制限の通知が届いたら、本文より先に末尾の教示欄(不服申立ての方法・期限・請求先が書かれた欄)と処分理由欄を読む。審査請求期限は処分を知った日の翌日から3か月であり、この日付を手帳とカレンダーに転記する
- 2.カルテ・診療明細の開示請求を行う 医療機関に診療記録の開示請求を行い、どの指示がいつ、どの程度具体的に記載されているか、自分が従えない事情を申し出た記録が残っているかを確認する。抽象的な生活指導にとどまる記載なら不服従の認定自体を争える
- 3.従えなかった事情の裏付け資料を集める 就労実態(勤務表・確定申告書)、副作用の記録(服薬手帳・症状メモ)、通院手段の不存在(公共交通の時刻表・介護状況)など、正当な理由を客観的に示す資料を時系列で整理する
- 4.保険者窓口で事情説明の機会を求める 市町村の国民健康保険窓口へ出向き、運用基準と過去の適用例の有無を尋ねたうえで、収集した資料をもとに事情を説明する。窓口協議は審査請求より短期間で撤回・軽減に至る例がある
- 5.国民健康保険審査会へ審査請求を提起する 窓口協議と並行して、都道府県の国民健康保険審査会に審査請求書を提出する。処分の特定、不服の理由、正当な理由の主張と証拠を記載する。国民健康保険の処分は審査請求前置のため、訴訟の前に必ずこの手続を経る
よくある質問 AI による整理
Q1国民健康保険法62条とは?
正当な理由なく療養に関する指示に従わない被保険者に対し、市町村や国保組合が療養の給付等の一部を行わないことができると定める給付制限規定です。
Q2給付制限 いつから適用される?
保険者が給付制限の決定を行い、処分通知が到達した時点から効力が生じます。通知書には対象となる療養の範囲と期間が記載されるため、まずその欄を確認してください。
Q3保険料を払っているのに保険が使えないのはなぜ?
62条の給付制限は保険料の納付状況とは別軸です。滞納による資格証明書交付(9条関係)とは制度が異なり、完納者でも療養指示への不服従を理由に制限されることがあります。
Q4療養に関する指示に従わないと違法?
違法ではありません。医師の指示は診療契約上の助言であり、従わないこと自体に罰則はありません。ただし保険給付という行政上の利益の場面で不利益判断の材料になります。
Q5給付制限は取り消せる?
取り消せます。給付制限は行政処分なので、国民健康保険審査会への審査請求を経て取消訴訟を提起できます。裁量権の逸脱濫用や理由不備は取消事由になりえます。
Q6審査請求は いつまで?
処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内です(行政不服審査法18条)。通知書末尾の教示欄に期限と請求先が記載されています。
Q7正当な理由 とはどこまで認められる?
条文に定義はありませんが、副作用、就労して休業できない事情、通院手段の不存在、介護負担、説明を受けていなかった事実などが主張材料になります。記録の有無が決め手です。
Q8給付制限されたら医療費は全額自己負担?
制限対象とされた療養については保険給付が行われないため、その部分は原則全額自己負担になります。通常3割の負担が10割になる構造です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1タバコをやめろと言われてやめてないんですが、それで保険が使えなくなることってあるんですか?
理論上は62条の「療養に関する指示」に含まれうるが、実際に生活習慣のみを理由に給付制限が行われる例は極めて稀である。実務では入院指示の拒否や治療の自己中断など、療養の実施そのものに直結する不服従が中心になる。実務のポイント:本条は発動件数が非常に少なく、自治体の担当者すら運用経験がないことが多い。だからこそ通知が届いた場合は、まず担当者に運用基準や過去の適用例の有無を尋ねるとよい。基準が説明できない処分は、裁量権の逸脱として争える余地が大きくなる。
Q2「一部を行わない」って、具体的にいくら減るんですか?
条文は範囲を特定しておらず、どの療養についてどこまで給付しないかは保険者の判断に委ねられている。給付されない部分の医療費は原則として全額自己負担になるため、通常3割負担で済む処置が10割になる構造である。実務のポイント:金額が条文に書かれていないということは、逆に言えば範囲の妥当性そのものを争えるということだ。不服従の程度に比して制限範囲が広すぎる場合、比例原則違反として審査請求で範囲の縮減を求める主張が組める。
Q3役所から通知が来たけど、これって裁判で争えるものなんですか?
争える。保険者が行う給付制限は行政処分(役所があなたに直接下す具体的な決定)であり、国民健康保険審査会への審査請求を経たうえで取消訴訟を提起できる(国民健康保険法91条、103条)。実務のポイント:多くの人が通知書の最終ページにある教示欄を読まずに期限を過ぎる。3か月を過ぎると、処分内容がどれほど不当でも原則として争えなくなる。封筒を開けたら、本文より先に最後のページを読む習慣をつけるとよい。
間違えやすい点 AI による整理
- 「保険料をきちんと払っていれば給付は絶対に受けられる」と信じられているが、本条は保険料の話とは別軸で給付を制限する。滞納による資格証明書の交付(同法9条関係)とは全く別の制度であり、保険料完納者にも適用されうる。二つの制限を同じものだと思っている限り、通知が来た理由を読み違える
- 本条の存在を知っている人でも、その深刻度を見落としている。「一部を行わない」は軽い響きだが、対象となった療養の給付が受けられなければ、その医療費は原則として全額自己負担になる。数万円で済む処置が数十万円になる構造であり、「ちょっと減額」ではない
- 「指示に従わなかったかどうか」を問う設問自体が、実は半分ずれている。条文が問うのは「正当な理由なしに」従わなかったかであり、争点は不服従の事実ではなく、理由の有無とその立証である。多くの人が前半だけを見て諦める。争うべき戦場はその後ろ半分にある
- 医師の指示イコール法的義務だと受け取られがちだが、法律から見れば、医師の指示は診療契約上の助言であって、従わないこと自体が違法になるわけではない。ただし保険給付という行政的な利益を受ける場面では、不服従が不利益判断の材料になる。診療の自由と給付の条件、この二つのレイヤーの落差が人を混乱させる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制限の原因 | 国保法62条:正当な理由なく療養に関する指示に従わない | 国保法60条:闘争・泥酔等による事故 国保法63条:保険者の文書提出・質問への不応答 |
| 着目する行為 | 治療過程での指示不服従(継続的な状態) | 給付事由の発生原因そのもの(一回的な行為) 保険者の調査への非協力(手続上の不作為) |
| 制限の性質 | 「一部を行わないことができる」裁量規定 | 「全部又は一部を行わないことができる」裁量規定 「一部を行わないことができる」裁量規定 |
| 主な反論の軸 | 正当な理由の存在と立証(副作用・就労・通院手段) | 故意・重過失の否認、因果関係の切断 通知未到達、応答可能性の欠如 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は給付対象外の項目を列挙する方式を採り、指示不服従を独立の制限事由とする明文は置かない。保険料滞納による給付一時停止(第37条関係)は別枠で規定される
韓国は故意・重過失による事故、療養に関する指示不服従、文書提出等への不応答を並べて列挙しており、日本の60条から63条に相当する内容を一条に集約している
ドイツは自己の責めに帰すべき事由による疾病(美容整形、タトゥー、ピアシングの結果等)について費用の適切な負担と傷病手当金の不支給・返還を定め、対象事由を具体的に列挙する点で日本より明確
米国は指示不服従を独立の給付制限事由とせず、給付の可否を medical necessity の該当性と契約上のカバレッジ範囲で処理する。民間保険契約では非遵守条項が置かれる例がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 糖尿病の治療で入院を勧められたが、個人事業主で休業すれば収入がゼロになる。通院だけで凌いでいたところ、悪化して再入院。この経過が「指示に従わなかった」と評価されうる。だが休業補償の有無、家族の扶養状況、医師から代替案の説明があったか、これらはすべて「正当な理由」の材料になる。カルテと診療明細を先に取り寄せた人だけが、その材料を持てる
- リハビリの通院指示を月8回と言われたが、送迎してくれる家族が働いていて月3回しか行けなかった。給付制限を検討すると通知が届く。ここで反論すべきは「サボっていない」という感情ではなく、通院手段の不存在という客観的事実である
- もし、あなたが処方薬の副作用で吐き気が止まらず自己判断で服薬をやめたとしたら? 医師に相談せず中断した記録だけが残る。副作用は正当な理由になりうるが、主治医に伝えていなければ、カルテ上は単なる自己中断として残る。伝えた事実そのものが証拠になる
- 保険者から給付制限の通知が届いた。封筒の最後に「この処分に不服があるときは、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に国民健康保険審査会に審査請求をすることができる」と書いてある。あと数十日。この一行を読まずに机に置いた人が、争う道を自分で閉じる
取るべき行動
被害を受けた側:給付制限を受ける側として動く場合、1. 通知書の処分理由欄と教示欄(不服申立ての方法と期限が書かれた欄)を最初に読む2. 医療機関にカルテと診療明細の開示請求を行い、指示の内容と自分の申し出がどう記録されているか確認する3. 従えなかった事情を裏付ける資料を集める(就労実態、副作用の記録、通院手段の不存在、介護状況) 4. 保険者窓口で事情説明を求め、並行して国民健康保険審査会への審査請求を準備する。窓口協議と審査請求は同時進行でよい
訴えられた側:保険者側として制限を検討する場合、1. 指示の内容が診療録上どこまで具体的に特定できるか確認する(抽象的な生活指導では不服従の認定が困難) 2. 被保険者に事情を確認する機会を設け、その記録を残す3. 「できる」規定である以上、不利益の程度と事案の重大性の均衡を検討し、裁量権の逸脱濫用と評価されない範囲に留める4. 処分通知には理由と教示を明記する。理由不備は取消事由になりうる
時効(請求できる期限):審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内(行政不服審査法18条)。取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。国民健康保険の処分は国民健康保険審査会への審査請求を経た後でなければ訴訟を提起できない審査請求前置(同法103条)に注意。保険給付を受ける権利自体の消滅時効は2年(同法110条)。(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は保険財政における相互扶助の要請から、正当な理由のない療養指示不服従に対して裁量的な給付制限を認めたものと解される。制裁規定ではなく、不必要に拡大した給付負担を他の被保険者に転嫁させないための調整規定と位置づけられる。
実務上の運用理解:本条の適用例は極めて限定的であり、生活習慣上の指導への不服従のみを理由とする制限は通常行われない。入院指示の拒否や治療の自己中断など、療養の実施そのものに直結する不服従が想定されるとの理解が実務に定着している。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和33年(1958年) 新設:現行国民健康保険法(昭和33年法律第192号)の制定により、給付制限規定群の一つとして置かれた。旧国民健康保険法(昭和13年)以来の給付制限の考え方を引き継ぐ。
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