国民健康保険法 第63条の2
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- 市町村及び組合は、保険給付(第四十三条第三項又は第五十六条第二項の規定による差額の支給を含む。以下同じ。)を受けることができる世帯主又は組合員が保険料を滞納しており、かつ、当該保険料の納期限から厚生労働省令で定める期間が経過するまでの間に、当該市町村又は組合が保険料納付の勧奨等を行つてもなお当該保険料を納付しない場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認められる場合を除き、厚生労働省令で定めるところにより、保険給付の全部又は一部の支払を一時差し止めるものとする。
- 2.市町村及び組合は、前項に規定する厚生労働省令で定める期間が経過しない場合においても、保険給付を受けることができる世帯主又は組合員が、当該市町村又は組合が保険料納付の勧奨等を行つてもなお保険料を滞納している場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認められる場合を除き、厚生労働省令で定めるところにより、保険給付の全部又は一部の支払を一時差し止めることができる。
- 3.市町村及び組合は、第五十四条の三第一項又は第二項本文の規定の適用を受けている世帯主又は組合員であつて、前二項の規定による保険給付の全部又は一部の支払の一時差止がなされているものが、なお滞納している保険料を納付しない場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該世帯主又は組合員に通知して、当該一時差止に係る保険給付の額から当該世帯主又は組合員が滞納している保険料額を控除することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第63条の2は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第63条の2の条文原文は「市町村及び組合は、保険給付(第四十三条第三項又は第五十六条第二項の規定による差額の支給を含む。」で始まります。
- 国民健康保険法第63条の2は第三節に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第63条の2の前の条は国民健康保険法第63条です。
- 国民健康保険法第63条の2の次の条は国民健康保険法第64条です。
- 国民健康保険法第63条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第63条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第63条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/63_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法63条の2は、保険料を滞納した世帯主について、市町村が保険給付の支払を一時差し止めると定める。資格は失われないが、高額療養費などの償還が止まる。
Q · 国民健康保険料を滞納すると、病院に行けなくなるんですか?
資格は残るが、高額療養費などの償還が止まる
国民健康保険法63条の2により、保険料を滞納したまま納期限から厚生労働省令で定める期間(実務上1年6か月)が過ぎると、市町村及び組合は保険給付の支払を一時差し止めます。被保険者資格は失われないため受診自体はできますが、高額療養費や出産育児一時金などの償還が止まります。さらに特別療養費の対象となっている世帯主がなお納付しない場合、3項により事前通知のうえ差止額から滞納保険料が控除されます。災害その他の政令で定める特別の事情が認められる場合は適用されません。
解説
滞納すると保険証を取り上げられて病院に行けなくなる。そう理解している人が大半だが、法の作りはもう一段深い。国民健康保険法63条の2は、納期限から厚生労働省令の定める期間(実務上1年6か月)が過ぎてもなお納付しない世帯主について、市町村が保険給付の支払を一時差し止める「ものとする」と定める。任意ではなく原則義務である。止まるのは診察を受ける資格ではなく、お金の流れだ。窓口で10割払った後に戻るはずの7割、高額療養費、出産育児一時金、これらが宙に浮く。さらに3項が踏み込む。特別療養費の対象になっている世帯主が納付しないままなら、市町村は事前通知のうえ、差し止めた給付額から滞納保険料を差し引ける。手術で立て替えた80万円が、口座に戻らず滞納分の穴埋めに回るということだ。ただし災害その他の政令で定める特別の事情が認められれば、この全部が適用されない。その事情は、あなたが言わない限り記録に残らない。
法的な位置づけ
国民健康保険法63条の2は、保険給付の一時差止を定める規定である。保険料を滞納する世帯主又は組合員に対し、納期限から厚生労働省令で定める期間が経過してもなお納付がないときは、市町村及び組合は保険給付の全部又は一部の支払を一時差し止める。被保険者資格の喪失ではなく、償還される給付額の支払保留を内容とし、3項は差止額からの滞納保険料の控除を認める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.納期限からの経過月数を数える 手元の納付書と督促状を並べ、最も古い未納分の納期限から何か月経ったかを数える。厚生労働省令で定める期間(実務上1年6か月)が1項の義務的差止のラインになるため、残り月数を把握する
- 2.窓口で少額納付と分割相談の記録を残す 1項は勧奨等を行つてもなお納付しない場合を要件とするため、少額でも納付し、分割納付の相談履歴を残すことが差止回避に直結する。あわせて災害、盗難、病気や負傷、事業の廃止や休止といった特別の事情を自分から申し出る
- 3.77条の減免・徴収猶予を申請する 差止の回避と保険料本体の減額は別の手続である。前年所得基準の保険料が現在の収入と乖離している場合、減免、徴収猶予、非自発的失業者の軽減の三つを名指しで窓口に確認し、該当するものを申請する
- 4.差止通知が届いたら根拠項と対象給付を確認する 通知書の処分日、根拠が1項(義務的)か2項(裁量)か、差し止められた給付の範囲(高額療養費、出産育児一時金、43条3項や56条2項の差額支給を含むか)を特定する。審査請求の期限計算の起点にもなる
- 5.3項の事前通知が来たら控除前に納付計画を出す 控除は差止額から滞納保険料を差し引く処分であり、実行されればその現金は戻らない。3項は事前通知を法律上の要件としているため、通知到達から控除実行までの期間が納付計画を提出できる最後の窓になる
- 6.納得できなければ審査請求を行う 差止処分に不服がある場合、国民健康保険審査会へ審査請求する(91条)。期限は処分を知った日の翌日から3か月以内。審査請求と納付相談は並行でき、争いながら払える分を払うことが控除を止める現実的な手になる
よくある質問 AI による整理
Q1保険給付の一時差止とは何ですか?
国民健康保険法63条の2に基づき、保険料を滞納した世帯主への保険給付の支払を市町村が一時的に止める処分です。被保険者資格は失われず、滞納を解消すれば支払われます。
Q2国保を何か月滞納すると給付が止まりますか?
納期限から厚生労働省令で定める期間(実務上1年6か月)が経過し、納付勧奨等に応じない場合が1項の義務的差止です。2項によりその期間前でも裁量で差し止められます。
Q3特別療養費とは何ですか?
国民健康保険法54条の3に基づき、滞納世帯が医療機関でいったん全額を負担し、後から保険給付相当額の償還を受ける仕組みです。63条の2第3項の控除の対象を画します。
Q4一時差止を解除する方法はありますか?
滞納している保険料を納付すれば差止は解け、保留されていた給付が支払われます。分割納付の誓約や特別の事情の申出を窓口の記録に残すことも有効です。
Q5差止処分に不服がある場合はどうしますか?
国民健康保険審査会への審査請求ができます(91条)。処分を知った日の翌日から3か月以内が期限で、その後の取消訴訟は裁決を知った日から6か月以内です。
Q6災害その他の特別の事情とは何ですか?
政令で定める事由で、災害、盗難、世帯主や生計を維持する者の病気・負傷、事業の廃止や休止、著しい損失などが挙げられます。認められれば差止は適用されません。
Q7国保の保険料は何年で時効になりますか?
保険料方式なら2年(110条)、国民健康保険税方式の自治体は地方税法により5年です。督促や差押えがあれば時効は更新されます。
Q8差し止められた給付が戻らなくなるのはどんなときですか?
63条の2第3項の控除が実行されたときです。特別療養費の対象者がなお納付しない場合、事前通知のうえ差止額から滞納保険料が差し引かれます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険料をずっと払えてないんですけど、病院に行ったらどうなりますか?
資格自体は失われないので受診はできる。ただし特別療養費の取扱いになると窓口でいったん全額を払い、後から7割相当を申請して受け取る形になる(54条の3)。そしてその償還が63条の2で差し止められうる。実務のポイント:窓口で「特別療養費の対象です」と言われた時点で、事務側ではすでに差止の起案段階に入っていることが多い。その日のうちに国保窓口へ回るかどうかで結論が変わる
Q2差し止められたお金って、後からまとめて払えば返ってきますか?
1項、2項の一時差止だけなら、滞納を解消すれば支払われる。戻らなくなるのは3項の控除が実行された分で、これは差し止めた給付額から滞納保険料を差し引く処分だからである。実務のポイント:3項は事前通知が法律上の要件になっている。通知が届いてから控除までの間に納付計画を提出すると、控除を見送って通常の給付に戻す運用をする自治体がある。通知は最後通告ではなく、最後の交渉窓である
Q3失業して収入がゼロなんですが、何か方法はありますか?
77条の減免や徴収猶予の対象になりうるし、倒産や解雇による離職なら保険料を前年給与所得の3割とみなして算定する軽減制度がある。さらに差止については、政令の定める特別の事情に該当すれば適用が除外される。実務のポイント:これらはすべて申請主義で、役所から「該当しますよ」と声をかけてはくれない。離職票を持って窓口に行き、減免、軽減、特別の事情の三つを名指しで聞くだけで扱いが変わる
Q4うちの子が熱を出したときも、10割払うしかないんですか?
子どもは別扱いである。世帯主が滞納していても、高校生世代以下の被保険者には通常の資格の証明が交付され、窓口負担は原則どおりになる取扱いが法定されている(9条関係)。親の滞納で子どもの受診が止まらないよう線が引かれている。実務のポイント:自治体の子ども医療費助成と組み合わせると実質無償になる地域も多いが、助成側が滞納世帯を除外していないか要確認。国保と助成は別制度で、担当課も別である
間違えやすい点 AI による整理
- 「滞納すると無保険になる」という問いの立て方そのものが外れている。保険料を滞納しても被保険者資格は失われない。医療機関で10割払えば受診はできるし、本来は7割が後から戻る。本当の争点は受診できるかどうかではなく、その7割がいつ、誰の手に渡るかというキャッシュフローの問題である
- 一時差止という言葉は知っていても、3項の「控除」まで知っている人は少ない。差止は文字どおり一時的な保留であり、納付すれば解ける。しかし控除は、差し止めた給付額から滞納保険料を差し引く処分であり、その分の現金は二度と手元に来ない。保留と充当のあいだには、戻るか戻らないかという決定的な段差がある
- あなたから見れば「払えないから払っていない」だが、法から見れば「特別の事情の申出がない滞納」である。同じ経済状態でも、廃業や病気を窓口に届け出て記録に残した人と、黙って督促状を引き出しにしまった人とでは、災害その他の政令で定める特別の事情の有無という一点で結論が割れる。この落差が、医療費の立て替え分をそのまま失わせる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度の性質 | 63条の2:保険給付の支払の一時保留(3項で控除に転化しうる) | 54条の3:特別療養費(窓口で全額負担し事後に償還) 77条:保険料の減免・徴収猶予(債務そのものを軽減) |
| 発動の主体と要件 | 市町村・組合が、勧奨後もなお滞納がある場合に職権で実施 | 市町村・組合が滞納世帯を対象として取り扱う 被保険者側の申請が前提(申請主義) |
| お金の行方 | 1項・2項は納付で支払再開、3項の控除分は戻らない | 10割立替後に7割相当が償還されるが、その償還が差止対象になる 保険料自体が減額・猶予され、差止の前提が消える |
| 争い方 | 国民健康保険審査会への審査請求(91条)、取消訴訟 | 取扱いの前提となる滞納認定を窓口で争う 不承認処分に対する審査請求 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も保険料未納者への保険給付の暫行拒絶を定めるが、単一保険者(衛生福利部中央健康保険署)が全国一律に運用する点が、市町村単位の日本と対照的である
韓国も保険料滞納者への給付制限を定め、滞納後の受診分を事後に返還請求する運用がある。国民健康保険公団という単一保険者が担う点が日本と異なる
ドイツは保険料滞納時に給付請求権が休止(Ruhen)する構成をとり、急性疾患や妊娠・出産等は休止の例外とされる。例外を法律が類型的に列挙する点が、政令の特別の事情に委ねる日本と対照的である
米国は公的地域保険ではなく私的保険契約が中心で、保険料未払は猶予期間経過後の契約終了(無保険化)に直結する。資格を維持したまま支払のみを止める日本の構造とは根本的に異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 納期限から1年4か月。役所から「納付相談のご案内」という柔らかい封筒が三通続いている。あと2か月で1項の義務的差止のラインに乗る。この2か月に窓口へ行って一部でも納めたかどうかで、来年の高額療養費が手元に残るかどうかが分かれる
- もし、母親が脳梗塞で緊急入院し、高額療養費として80万円が戻るはずだったのに、世帯主である父の滞納を理由に差し止められたとしたら? 国保の保険料納付義務者は世帯主(76条)であり、給付の差止も世帯主に向けて動く。滞納したのは父でも、現金が止まるのは治療を受けた母の側だ
- 窓口で1万8千円を請求された。保険証は使えるはずだと財布を開いたまま固まる。医事課の職員は「特別療養費の対象の方です」とだけ言う
- 市役所の国保年金課に配属された初日、あなたは差止の起案文書を作る側に立つ。上司から「特別の事情の確認は取ったか」と問われる。災害、盗難、世帯主の病気や負傷、事業の廃止や休止。政令が挙げるこれらに当たれば差し止められない。だが本人が申し出なければ、ファイルには「納付なし」としか残らない
- 会社を辞めて国保に切り替えた年、前年所得をもとに計算された保険料が月4万円を超えて手が止まる。収入はもう無いのに請求は去年の自分に向けられている。減免(77条)の申請という選択肢を知らないまま2年目に入り、差止のタイムラインに静かに乗る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差止通知を受けたら、処分日と根拠項(1項か2項か)、対象給付の範囲を確認する2. 災害、盗難、病気や負傷、事業の廃止や休止、著しい損失に当たる事情があれば、証拠(廃業届、離職票、診断書、罹災証明)を添えて特別の事情を申し出る3. 同時に77条の減免または徴収猶予を申請する。差止の解除と保険料本体の減額は別の手続である4. 3項の控除は事前通知が要件であり、通知到達から控除実行までが納付計画を出す最後の窓になる
訴えられた側:1. まだ差止前で督促段階なら、無視が最悪手である。少額でも納付し、分割誓約を書面で残して「勧奨に応じている」状態を作る2. 前年所得基準の保険料が現在の収入と乖離しているなら、減免事由に該当しないか窓口で明示的に質問する3. 差止処分に納得できない場合、国民健康保険審査会への審査請求を検討する(91条) 4. 審査請求と納付相談は並行できる。争いながら払える分を払うのが、控除を止める現実的な手である
時効(請求できる期限):1項の義務的差止は納期限から厚生労働省令で定める期間(実務上1年6か月)の経過が起点。2項はその期間前でも裁量で発動しうる。差止処分への審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内(行政不服審査法18条1項)、取消訴訟は裁決を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。保険料徴収権の消滅時効は2年(110条、督促等により更新)、国民健康保険税方式の自治体は地方税法により5年
学説
通説:本条の一時差止は制裁ではなく、保険料債権の履行を促すための給付支払の保留と解される。被保険者資格の喪失を伴わない点で給付制限とは性質が異なり、3項の控除のみが実体的な給付の消滅をもたらす処分として、事前通知という手続的統制に服する
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