特許法 第112条の2(特許料の追納による特許権の回復)
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- 前条第四項若しくは第五項の規定により消滅したものとみなされた特許権又は同条第六項の規定により初めから存在しなかつたものとみなされた特許権の原特許権者は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、同条第四項から第六項までに規定する特許料及び割増特許料を追納することができる。ただし、故意に、同条第一項の規定により特許料を追納することができる期間内にその特許料及び割増特許料を納付しなかつたと認められる場合は、この限りでない。
- 2.前項の規定による特許料及び割増特許料の追納があつたときは、その特許権は、第百八条第二項本文に規定する期間の経過の時若しくは存続期間の満了の日の属する年の経過の時にさかのぼつて存続していたもの又は初めから存在していたものとみなす。
この条文の基本情報
特許料の追納による特許権の回復とは何ですか?
定義特許料の追納による特許権の回復とは、特許法第112条の2に定められた規定で、「前条第四項若しくは第五項の規定により消滅したものとみなされた特許権又は同条第六項の規定により初めから存在しなかつたものとみなされた特許権の原特許権者は、経済産業…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第112条の2(特許料の追納による特許権の回復)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第112条の2の条文原文は「前条第四項若しくは第五項の規定により消滅したものとみなされた特許権又は同条第六項の規定により初めから存在しなかつたものとみなされた特許権の原特許権者は、経済産業…」で始まります。
- 特許法第112条の2は第三節に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第112条の2の前の条は特許法第112条です。
- 特許法第112条の2の次の条は特許法第112条の3です。
- 特許法第112条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第112条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第112条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/112_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法112条の2は、不納付で消滅した特許権を経済産業省令の期間内に特許料と割増特許料の追納で回復できると定める。故意による不納付は回復できない。
Q · 特許料を払い忘れて消えた特許権、もう二度と戻らないの?
故意でなければ追納で回復できる可能性が高い
特許法112条の2により、追納期間(同法112条1項の6か月)が過ぎて消滅したとみなされた特許権でも、経済産業省令で定める回復期間内に特許料と割増特許料を追納すれば回復できます。回復すると権利は消滅時にさかのぼって存続していたものとみなされます(2項)。ただし故意に納付しなかったと認められる場合は回復できません。令和3年改正で要件が「責めに帰することができない理由」から「故意でない限り」へ緩和され、うっかり忘れの多くが救済対象になりました。
解説
特許料の納付を一度忘れた。気づいたときには追納期間(112条1項の6か月)も過ぎ、特許権は消滅したものとみなされていた。多くの人はここで諦める。だが112条の2を知っていれば話は別だ。この条文は、消滅したとみなされた特許権を、経済産業省令で定める期間内に特許料と割増特許料を追納することで復活させる道を開く。しかも復活すると、その特許権は消滅の時にさかのぼって存続していたものとみなされる(2項)。つまり空白期間がなかったことになる。ただし一つだけ越えられない壁がある。納付しなかったのが「故意」だと認められる場合は回復できない。令和3年の改正前は「責めに帰することができない理由」という厳しい要件だったが、今は「故意でなければ救う」へと大きく緩和された。うっかり忘れ、担当者の退職、請求書の見落とし、その多くは今や救済の射程に入る。
法的な位置づけ
特許法112条の2は特許権の回復に関する規定であり、特許料の不納付により消滅または初めから不存在とみなされた特許権について、原特許権者が経済産業省令で定める期間内に特許料および割増特許料を追納することで権利を回復できる旨を定める。ただし故意による不納付の場合は回復の対象から除かれる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.消滅・不存在の根拠を確認する まず特許権が112条4項・5項による消滅なのか、6項による初めから不存在なのかを登録原簿と官報で確認する。根拠条項により回復手続の前提が変わる
- 2.回復期間が残っているか即確認する 経済産業省令で定める回復期間が残っているかを最優先で確認する。この期間を過ぎると回復の道は完全に閉じるため、残り時間の把握が全てを決める。正確な起算点は最新の特許法施行規則で確認する
- 3.特許料と割増特許料を算定して準備する 追納すべき特許料と割増特許料の額を算定し、納付の準備を整える。区分ごとの額を取り違えると手続が滞るため、特許料の額の規定に沿って確認する
- 4.「故意でない」ことの疎明資料を揃える 不納付が故意でないことを示す客観資料(社内の納付管理記録、担当者異動の経緯、請求書の誤配送の証拠など)を初めから揃えて回復理由書に添付する。後から弁明するより最初の申請で固めるほうが判断が速く覆りにくい
- 5.空白期間の第三者実施を調査する 回復後も112条の3で第三者に通常実施権が生じうるため、消滅から回復登録までの間に競合が同一技術の実施・準備を始めていないかを調査し、市場への影響を把握する
よくある質問 AI による整理
Q1特許権の回復期間はいつまでですか?
追納期間(6か月)の経過後、経済産業省令で定める回復期間内に限られます(112条の2第1項)。正確な期間と起算点は最新の特許法施行規則で必ず確認してください。
Q2割増特許料とはいくらですか?
追納の際、通常の特許料に加えて納める加算金です。額は特許料の区分に応じて省令で定まるため、追納前に特許庁または特許料の額の規定で確認する必要があります。
Q3実用新案や意匠、商標も同じように回復できますか?
できます。実用新案法・意匠法・商標法にもほぼ同じ回復規定があり、令和3年改正で横並びに「故意でない限り」へ要件が緩和されました。
Q4112条の3の通常実施権とは何ですか?
特許消滅から回復登録までの間に善意で発明を実施・準備していた第三者に認められる法定通常実施権です。回復してもこの実施権までは消せません。
Q5特許回復の理由書はどう書けばいいですか?
不納付が「故意でない」ことを疎明する書面です。納付管理記録、担当者異動の経緯、請求書の誤配送など客観資料を添えて示すのが有効です。
Q6特許権が消滅したかどうかはどこで確認できますか?
消滅は官報で公示されます。特許庁の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)や登録原簿でも登録状況を確認できます。
Q7令和3年の特許法改正はいつから適用されますか?
権利回復要件の緩和は令和5年(2023年)4月1日に施行されました。施行日以後の手続が対象になります。
Q8PCT国際出願の各国でも権利回復はできますか?
特許法条約(PLT)に基づき、多くの国で同様の救済が整備されつつあります。ただし国ごとに要件・期間が異なるため各国代理人への確認が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1特許料を払い忘れて特許が消えました。本当に復活できるんですか?
できる可能性が高い。112条の2は、消滅したとみなされた特許権でも、経済産業省令で定める期間内に特許料と割増特許料を追納すれば回復できると定める。令和3年改正で要件が「故意でない限り」へ緩和され、うっかり忘れの多くが救済対象になった。実務のポイント:弁理士が積極的に言わないのは、回復後も112条の3で第三者の実施権が残る点。復活イコール完全復旧ではないので、空白期間に競合が動いていないかの調査までやる事務所を選ぶべきだ。(最新の改正状況をご確認ください)
Q2「故意でなければ救う」なら、お金がなくて払わなかった場合も回復できますよね?
そこが落とし穴だ。資金難を理由に「今回は払わない」と判断して見送った場合、それは「故意に納付しなかった」に該当し、112条の2ただし書で回復が否定される。救済されるのは「払うつもりだったのに失念した」ケースだ。実務のポイント:手続の際に納付管理の記録や担当者異動の経緯を疎明資料として出せるかが分かれ目。「故意でない」は回復を求める側が示す必要があり、何も準備せず臨むと不利になる
Q3回復したら、消えていた間のことは全部なかったことになるんですか?
権利自体は消滅の時(または存続期間満了の時)にさかのぼって存続していたとみなされる(112条の2第2項)。ただし完全な巻き戻しではない。112条の3により、消滅から回復登録までの間に善意で発明を実施・準備していた第三者には法定通常実施権が認められる。実務のポイント:だからこそ回復は一日でも早く。空白期間が長いほど、その間に正当な実施権を得る第三者が増え、回復しても自由に使える市場が削られていく
間違えやすい点 AI による整理
- 「追納期間(6か月)を過ぎたらもう終わり」と多くの権利者が問いを閉じてしまう。だがその問いの立て方自体が間違っている。6か月の追納期間が切れた後にこそ、112条の2の回復制度という第二の窓が開く。終わりだと思った地点が、実はスタート地点だ
- 「回復できるなら、消滅前と全く同じ権利が戻る」と理解している人は多い。だがその深刻度を見誤っている。回復した特許権の効力は112条の3で制限され、消滅から回復登録までの間に善意で実施・準備していた第三者には通常実施権が生じる。権利は戻るが、その間に生まれた他人の権利までは消せない
- 「故意でなければ救われるなら、資金難でわざと払わなかった場合でも後から回復できる」と思うかもしれない。逆だ。資金難を理由に意図的に納付を見送った場合は、まさに「故意」に該当し回復できない。緩和されたのは「うっかり」であって「判断による放棄」ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 112条の2:追納期間経過後の第二の救済(回復制度) | 112条:追納期間(6か月)内の第一の救済 112条の3:回復した特許権の効力の制限 |
| 適用の前提 | 112条の追納期間も過ぎ消滅・不存在とみなされたこと | 本来の納付期限(108条2項)を徒過したこと 112条の2で特許権が回復したこと |
| 要件・効果の中心 | 故意でない不納付なら追納で回復、効力は消滅時にさかのぼる | 特許料+割増特許料の納付で消滅を防ぐ 善意で実施・準備した第三者に通常実施権を認める |
| 誰のための規定か | 権利を落とした原特許権者の救済 | 納付を失念した特許権者の猶予 回復により不意打ちを受ける第三者の保護 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も専利年費の補繳(加倍補繳)と回復原状の制度を持つ。年費不納後の一定期間内の救済という構造は日本と近い。
韓国も特許料追納・保全を経た特許権の回復制度を持ち、正当な理由による救済という枠組みで日本の旧要件に類似していた。
ドイツは期間徒過一般に対する原状回復(Wiedereinsetzung)で救済し、当事者に帰責事由がないことを要件とする点で日本の旧要件に近い。
米国はメンテナンス料未納で失効した特許を unintentional(故意でない)遅延であれば回復できる。日本の令和3年改正はこの緩和基準に接近した。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 払い忘れに気づいたのが追納期間の経過後だったら、もう打つ手はないのか。ある。経済産業省令の定める回復期間内なら、特許料と割増特許料を納めて復活させられる。だがこの回復期間も無限ではない、残り時間を今すぐ確認すべきだ
- 競合があなたの特許消滅を官報で確認し、同じ技術の製品化を始めた。あなたが112条の2で権利を回復させると効力は消滅時にさかのぼるが、112条の3により回復登録前から善意で準備していた競合には法定通常実施権が認められうる。さかのぼっても完全には取り戻せない
- 特許管理を委託していた事務所が連絡ミスで納付を落とした。これは故意か。違う、単なる過失だ。令和3年改正後の今なら、救済の対象になる
- 資金繰りが苦しく、わざと特許料を払わず権利を手放したつもりでいた。ところが事業が好転し、やはり権利が欲しくなった。だが「故意に納付しなかった」と認定されれば、この回復制度は使えない
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず消滅・不存在の根拠を確認(112条4項・5項による消滅か、6項による初めから不存在か)。2. 経済産業省令で定める回復期間が残っているか即確認、残り時間が全てを決める。3. 特許料と割増特許料の額を算定し納付を準備。4. 納付漏れが「故意でない」ことの疎明資料(納付管理記録、担当者異動や請求書の経緯)を揃える。5. 回復後も112条の3で第三者の通常実施権が生じうるため、空白期間に競合が実施を始めていないか調査する
訴えられた側:1. 相手が消滅特許を112条の2で回復させてきたら、回復登録より前から善意で実施・準備していた事実を立証する(112条の3の法定通常実施権)。2. 実施開始日、設備投資、事業計画の日付を示す客観証拠を確保。3. 相手の不納付が「故意」に当たり回復が認められないのではないか、納付経緯を争う余地も検討。4. 自社の実施が善意(特許消滅を信じた合理的根拠あり)であったことを記録で固める
時効(請求できる期限):回復のための追納ができるのは経済産業省令で定める期間内に限られる(112条の2第1項)。消滅・不存在とみなされた後の限られた期間であり、これを過ぎると回復の道は完全に閉じる。正確な期間と起算点は最新の特許法施行規則で必ず確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:112条の2の回復は、書面要件および回復期間の遵守を前提に、不納付が故意でなければ広く認められると解される。令和3年改正で救済範囲が「うっかり」まで拡大した一方、資金難による意図的な不納付は「故意」に当たり救済外とされる点で一致がみられる。
改正沿革 AI による整理
- 令和3年(2021年)改正、令和5年(2023年)4月1日施行 権利回復の要件を「その責めに帰することができない理由」から「故意でない限り」へと大幅に緩和。うっかりによる納付漏れの多くが救済対象となり、特許・実用新案・意匠・商標で横並びに見直された
改正の年表
- 1.令和3年(2021年)改正・令和5年(2023年)4月1日施行 改正:権利回復の要件を「その責めに帰することができない理由」から「故意でない限り」へと大幅に緩和。うっかりによる納付漏れの多くが救済対象となり、特許・実用新案・意匠・商標で横並びに見直された。
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