受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

特許法 第112条の3(回復した特許権の効力の制限)

クイックジャンプ
  1. 前条第二項の規定により特許権が回復した場合において、その特許が物の発明についてされているときは、その特許権の効力は、第百十二条第一項の規定により特許料を追納することができる期間の経過後特許権の回復の登録前に輸入し、又は日本国内において生産し、若しくは取得した当該物には、及ばない。
  2. 2.前条第二項の規定により回復した特許権の効力は、第百十二条第一項の規定により特許料を追納することができる期間の経過後特許権の回復の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
  3. 一当該発明の実施
  4. 二特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
  5. 三特許が物の発明についてされている場合において、その物を譲渡等又は輸出のために所持した行為
  6. 四特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
  7. 五特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を譲渡等又は輸出のために所持した行為

この条文の基本情報

回復した特許権の効力の制限とは何ですか?

定義回復した特許権の効力の制限とは、特許法第112条の3に定められた規定で、「前条第二項の規定により特許権が回復した場合において、その特許が物の発明についてされているときは、その特許権の効力は、第百十二条第一項の規定により特許料を追納する…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 特許法第112条の3(回復した特許権の効力の制限)は、日本の特許法に含まれる条文です。
  2. 特許法第112条の3の条文原文は「前条第二項の規定により特許権が回復した場合において、その特許が物の発明についてされているときは、その特許権の効力は、第百十二条第一項の規定により特許料を追納する…」で始まります。
  3. 特許法第112条の3は第三節に置かれています。
  4. 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
  5. 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 特許法第112条の3の前の条は特許法第112条の2です。
  7. 特許法第112条の3の次の条は特許法第113条です。
  8. 特許法第112条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第112条の3
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121
  • 本サイト収録特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第112条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/112_3

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点特許法112条の3は、回復した特許権の効力が、特許料の追納期間経過後から回復登録前までの空白期間に輸入・生産・取得された物や実施行為に及ばないと定める規定である。

Q · 特許料の不払いで失効した特許が後で回復したら、失効中に作った製品も侵害になるの?

いいえ、空白期間中の物や行為には回復特許権は及びません

特許法112条の3により、回復した特許権の効力は、特許料の追納可能期間の経過後から回復の登録前までの『空白期間』に、輸入・国内生産・取得された物には及びません(1項)。さらに2項は、その間の発明の実施、生産や輸入の準備行為、譲渡・輸出のための所持まで保護します。つまり特許が死んでいた間に動いた者を、復活した特許権者が後から侵害扱いにすることはできません。ただし保護されるのは空白期間中の行為に限られ、回復登録後に新たに生産・輸入した分は通常どおり侵害となり得ます。

解説

ある特許が特許料の不払いで失効した。あなたの会社はそれを確認し、もう自由に使える技術だと判断して、その製品を輸入し、国内で生産を始めた。ところが数か月後、特許権者が追納して特許権が回復する。普通に考えれば、回復した特許権はあなたの過去の行為を遡って侵害扱いにできそうに思える。だが112条の3がそこに防火壁を立てる。特許料を追納できる期間が過ぎてから回復の登録がされるまでの『空白期間』に、あなたが輸入・生産・取得した物には、回復した特許権の効力は及ばない。さらに第2項は、その空白期間中の実施行為、生産・譲渡・輸入の準備行為、輸出のための所持までを守る。つまり特許が死んでいた間に動いた者を、復活した特許権者が後から殴ることはできない。あなたが見るべきは、自分の行為がこの時間の窓に収まっているかどうか、その一点だ。

法的な位置づけ

特許法112条の3は、回復した特許権の効力制限を定める規定である。特許料の追納可能期間の経過後から特許権の回復の登録前までの『空白期間』に輸入・国内生産・取得された物、および同期間中の発明の実施・生産準備・譲渡や輸出のための所持等の行為には、回復した特許権の効力が及ばない旨を規定する。

よくある質問 AI による整理

Q1特許権の回復とは何ですか?

特許料の不払いで失効した特許権を、正当な理由があるときに追納して元に戻す制度です(112条の2)。回復すると効力は戻りますが、失効中の第三者の行為には及びません(112条の3)。

Q2特許料の追納はいつまでできますか?

本来の納付期限の経過後6か月以内は割増特許料を払えば追納できます(112条)。その期間も過ぎると失効しますが、正当な理由があれば回復の余地が残ります(112条の2)。

Q3回復した特許の空白期間はいつからいつまで?

追納可能期間の経過後から、特許権の回復登録の前までです。この窓の内側で輸入・生産・取得された物には、回復特許権の効力が及びません(112条の3)。

Q4空白期間に輸入した在庫は回復後も売れますか?

売れます。112条の3第2項は譲渡等または輸出のための所持を保護するので、空白期間中に取得した在庫の販売は回復後も差し止められません。

Q5特許が失効しているか確認する方法は?

特許庁のJ-PlatPatで経過情報を検索し、特許料の納付状況・失効日・回復登録日を確認します。侵害警告を受けたら最初に押さえるべき情報です。

Q6回復した特許権は失効前と同じ効力に戻りますか?

完全には戻りません。効力自体は回復しますが、空白期間という穴が残ります。同期間中の物や実施行為には効力が及ばない、穴あきの復活です(112条の3)。

Q7回復登録の後に作った製品も保護されますか?

保護されません。112条の3が守るのは空白期間中の行為だけです。回復登録後に新たに生産・輸入した分は通常どおり侵害となり得ます。線引きはいつ作ったかにあります。

Q8先使用権と回復特許権の制限は何が違いますか?

先使用権(79条)は出願前から実施していた者を守る制度、112条の3は失効から回復までの空白期間に動いた者を守る制度です。保護の起点となる時期が異なります。

この条文についての質問 AI による整理

Q1特許が一度失効したら、もう誰でも自由に使えるんじゃないんですか?

失効しても安心はできません。特許料は追納期間内なら追納でき(112条)、さらにその後も正当な理由があれば回復できる(112条の2)。だから失効イコール永久に自由、ではない。ただし回復前の空白期間に動いた分は112条の3が守ります。実務のポイント: 特許が失効しても、J-PlatPat の経過情報で回復の可能性が残る期間かどうかを必ず確認する。回復の期限が完全に過ぎてからの行為が、最も安全です

Q2製品そのものじゃなくて、製造方法の特許の場合も守られますか?

守られます。112条の3第2項は物の発明だけでなく、方法の発明や物を生産する方法の発明も対象にしています(同項四号・五号)。製造方法を空白期間に使い、その方法で作った物を輸出用に所持する行為まで保護されます。実務のポイント: 方法特許のほうが、いつ実施したかの立証が難しい。空白期間に方法を使った記録(製造日報・稼働ログ)を日付入りで残しておくと、後の非侵害主張で決定的な武器になります

Q3再審で特許がひっくり返って復活した場合も同じ扱いですか?

考え方は似ていますが、適用する条文が別です。特許料不払いからの回復は112条の3、無効審決などが再審で覆って復活した場合は176条が同様の効力制限を定めています。どちらも権利が消えていた間に動いた善意の第三者を守る発想です。実務のポイント: 効力が一度途切れた履歴のある特許は、警告を受けたら必ずなぜ一度切れたのか、いつ復活したのかを調べる。回復と再審のどちらの経路かで、適用条文も保護範囲も変わります

間違えやすい点 AI による整理

  • あなたから見れば特許が失効していたのだから自由に使えて当然。だが回復した特許権者から見れば、一時の手続ミスで全権利を失うのは酷だ。法律はこの落差を、空白期間中の行為だけを切り出して保護するという精密な線引きで処理する。あなたの行為が1日でも回復登録後にずれ込めば、保護は消える
  • 112条の3で守られることは知っていても、その保護が空白期間中の行為に限られる深刻さを見落とす人が多い。空白期間に輸入した在庫は守られるが、回復後に追加発注した分は侵害になる。同じ製品でも、発注のタイミング一つで保護される物とされない物が同じ倉庫に混在する
  • 回復した特許権なら失効前と全く同じ効力に戻る、というその前提自体が誤っている。回復はするが、効力には空白期間という穴が空いたままになる。完全な復元ではなく、穴あきの復活だ
比較の観点この条文ほかの条文
保護のきっかけ特許料不払いによる失効からの回復(112条の3)出願前からの善意の実施(79条 先使用権)
無効審決等が再審で覆っての回復(176条)
保護される時間帯追納可能期間の経過後〜回復の登録前の空白期間出願の際に実施または準備していた範囲
審決確定後〜再審による回復登録前
保護の対象空白期間中の物・実施・生産準備・所持等の行為実施している事業の範囲での継続実施
善意でされた実施等の行為・物
根拠条文特許法112条の3特許法79条
特許法176条

他国ではどう定めているか 3 か国

台湾
台湾専利法第70條・第59條

台湾も特許料不払いによる消滅と回復の制度を持ち、善意の実施者を一定範囲で保護する点で発想を共有する

ドイツ
PatG § 123(Wiedereinsetzung)

ドイツは原状回復(Wiedereinsetzung)に伴う中用権(Zwischenbenutzungsrecht)で、回復前に善意で実施した第三者の中間実施を保護する

アメリカ
35 U.S.C. § 41(c)(2)

米国は維持料不払いで失効した特許の回復について、回復前に善意で実施等をした者の中用権(intervening rights)を保護する

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 特許権者から内容証明が届いた。『当社の特許を侵害している、即刻製造を止めろ』と。だが調べると、その特許は2年前に特許料不払いで一度失効し、半年前にようやく回復登録されていた。あなたが製造を始めたのは、ちょうどその失効から回復までの空白期間。さあ、あなたは侵害者か、それとも112条の3に守られた者か。回答期限は2週間。
  • あなたが特許権者の側。うっかり特許料の納付を忘れて失効させ、慌てて追納して回復させた。回復さえすれば全部元通りだと思っていたら、失効中に競合が同じ製品を大量に輸入していた。その在庫分には、あなたの回復した特許権は手が届かない。納付を1回忘れただけで、市場に穴が開く。
  • 失効した特許の製品を、空白期間に輸入して倉庫に積んだ。回復後、その在庫を売り切ることはできるか。第2項三号が譲渡等のための所持を守るので、その在庫の販売は止められない。
  • あなたが製造方法の特許が失効しているのを確認し、その方法で製品を作り始めた。回復後も、空白期間にその方法で作って輸出のために持っている分は保護される。だが回復登録後に新たに作る分は、もう別の話。線引きはいつ作ったかにある。

取るべき行動

被害を受けた側:1. 自分の特許の失効・回復の登録日を J-PlatPat で正確に確認2. 競合が空白期間中に行った行為(輸入・生産・所持・実施)は112条の3で保護されるので、その部分の差止・賠償は諦め、回復登録後の行為に請求を絞る3. 空白期間中の在庫がどれだけ市場に残っているか調査4. 今後は特許料の納付管理を年金管理会社や特許事務所に委託し、再失効を防ぐ

訴えられた側:1. 警告を受けたら即座に争点を行為の日付に設定。自分の輸入・生産・取得が空白期間(追納可能期間の経過後から回復登録前まで)に収まるか、通関記録・製造記録・発注書で確定2. 収まるなら112条の3第1項(物)・第2項(行為)で堂々と非侵害を主張3. 空白期間後の行為が混在するなら、その部分だけ交渉・ライセンスを検討4. 弁理士・弁護士に経過情報と自社記録を渡し、保護範囲の意見書を作る

時効(請求できる期限):112条の3自体に時効はないが、保護されるか否かは追納可能期間の経過後から回復登録前という時間の窓に行為が収まるかで決まる。窓の起算点と終期は J-PlatPat の経過情報で確定する。なお特許権侵害に基づく損害賠償請求権には、不法行為の消滅時効(民法724条、損害および加害者を知った時から3年、行為時から20年)が別途適用される(最新の改正状況をご確認ください)

学説

通説:112条の3は、手続の失念で権利を失った特許権者の救済(112条の2)を認めつつ、失効を信頼して事業に投資した第三者の取引安全を保護するため、回復特許権の効力を空白期間中の行為に及ぼさないとする。完全な遡及でも完全な失権でもない、時間で区切った折衷である。

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

特許法の全文を見る所属する編章節を開く:第三節

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›