要点特許法112条の3は、回復した特許権の効力が、特許料の追納期間経過後から回復登録前までの空白期間に輸入・生産・取得された物や実施行為に及ばないと定める規定である。
Q · 特許料の不払いで失効した特許が後で回復したら、失効中に作った製品も侵害になるの?
いいえ、空白期間中の物や行為には回復特許権は及びません
特許法112条の3により、回復した特許権の効力は、特許料の追納可能期間の経過後から回復の登録前までの『空白期間』に、輸入・国内生産・取得された物には及びません(1項)。さらに2項は、その間の発明の実施、生産や輸入の準備行為、譲渡・輸出のための所持まで保護します。つまり特許が死んでいた間に動いた者を、復活した特許権者が後から侵害扱いにすることはできません。ただし保護されるのは空白期間中の行為に限られ、回復登録後に新たに生産・輸入した分は通常どおり侵害となり得ます。
ある特許が特許料の不払いで失効した。あなたの会社はそれを確認し、もう自由に使える技術だと判断して、その製品を輸入し、国内で生産を始めた。ところが数か月後、特許権者が追納して特許権が回復する。普通に考えれば、回復した特許権はあなたの過去の行為を遡って侵害扱いにできそうに思える。だが 112条の3 がそこに防火壁を立てる。特許料を追納できる期間が過ぎてから回復の登録がされるまでの『空白期間』に、あなたが輸入・生産・取得した物には、回復した特許権の効力は及ばない。さらに第2項は、その空白期間中の実施行為、生産・譲渡・輸入の準備行為、輸出のための所持までを守る。つまり特許が死んでいた間に動いた者を、復活した特許権者が後から殴ることはできない。あなたが見るべきは、自分の行為がこの時間の窓に収まっているかどうか、その一点だ。
特許法112条の3は、回復した特許権の効力制限を定める規定である。特許料の追納可能期間の経過後から特許権の回復の登録前までの『空白期間』に輸入・国内生産・取得された物、および同期間中の発明の実施・生産準備・譲渡や輸出のための所持等の行為には、回復した特許権の効力が及ばない旨を規定する。
特許料の不払いで失効した特許権を、正当な理由があるときに追納して元に戻す制度です(112条の2)。回復すると効力は戻りますが、失効中の第三者の行為には及びません(112条の3)。
本来の納付期限の経過後6か月以内は割増特許料を払えば追納できます(112条)。その期間も過ぎると失効しますが、正当な理由があれば回復の余地が残ります(112条の2)。
追納可能期間の経過後から、特許権の回復登録の前までです。この窓の内側で輸入・生産・取得された物には、回復特許権の効力が及びません(112条の3)。
売れます。112条の3第2項は譲渡等または輸出のための所持を保護するので、空白期間中に取得した在庫の販売は回復後も差し止められません。
特許庁のJ-PlatPatで経過情報を検索し、特許料の納付状況・失効日・回復登録日を確認します。侵害警告を受けたら最初に押さえるべき情報です。
完全には戻りません。効力自体は回復しますが、空白期間という穴が残ります。同期間中の物や実施行為には効力が及ばない、穴あきの復活です(112条の3)。
保護されません。112条の3が守るのは空白期間中の行為だけです。回復登録後に新たに生産・輸入した分は通常どおり侵害となり得ます。線引きはいつ作ったかにあります。
先使用権(79条)は出願前から実施していた者を守る制度、112条の3は失効から回復までの空白期間に動いた者を守る制度です。保護の起点となる時期が異なります。
失効しても安心はできません。特許料は追納期間内なら追納でき(112条)、さらにその後も正当な理由があれば回復できる(112条の2)。だから失効イコール永久に自由、ではない。ただし回復前の空白期間に動いた分は 112条の3 が守ります。業界裏話ヒント: 特許が失効しても、J-PlatPat の経過情報で回復の可能性が残る期間かどうかを必ず確認する。回復の期限が完全に過ぎてからの行為が、最も安全です
守られます。112条の3 第2項は物の発明だけでなく、方法の発明や物を生産する方法の発明も対象にしています(同項四号・五号)。製造方法を空白期間に使い、その方法で作った物を輸出用に所持する行為まで保護されます。業界裏話ヒント: 方法特許のほうが、いつ実施したかの立証が難しい。空白期間に方法を使った記録(製造日報・稼働ログ)を日付入りで残しておくと、後の非侵害主張で決定的な武器になります
考え方は似ていますが、適用する条文が別です。特許料不払いからの回復は 112条の3、無効審決などが再審で覆って復活した場合は 176条が同様の効力制限を定めています。どちらも権利が消えていた間に動いた善意の第三者を守る発想です。業界裏話ヒント: 効力が一度途切れた履歴のある特許は、警告を受けたら必ずなぜ一度切れたのか、いつ復活したのかを調べる。回復と再審のどちらの経路かで、適用条文も保護範囲も変わります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 保護のきっかけ | 特許料不払いによる失効からの回復(112条の3) | — |
| 保護される時間帯 | 追納可能期間の経過後~回復の登録前の空白期間 | — |
| 保護の対象 | 空白期間中の物・実施・生産準備・所持等の行為 | — |
| 根拠条文 | 特許法112条の3 | — |
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