特許法 第170条(費用の額の決定の執行力)
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審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
この条文の基本情報
費用の額の決定の執行力とは何ですか?
定義費用の額の決定の執行力とは、特許法第170条に定められた規定で、「審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第170条(費用の額の決定の執行力)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第170条の条文原文は「審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。」で始まります。
- 特許法第170条は第六章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第170条の前の条は特許法第169条です。
- 特許法第170条の次の条は特許法第171条です。
- 特許法第170条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第170条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第170条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/170
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法170条は、審判費用の額についての確定した決定に、執行力のある債務名義と同一の効力を与える。別訴なしにそのまま相手の財産を差し押さえられる。
Q · 特許の無効審判で勝って費用の決定が確定したのに相手が払わない。もう一度裁判を起こさないと回収できないの?
いいえ、確定決定がそのまま債務名義になり差押えに使えます
特許法170条により、審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を持ちます。したがって給付訴訟を新たに起こさなくても、確定した決定の正本に執行文の付与を受けて相手の口座や財産を差し押さえられます(民事執行法25条)。相手の財産が分からない場合は、財産開示手続や第三者からの情報取得手続を併用して所在を特定します。確定後は財産が移される前に速やかに執行へ動くことが重要です。
解説
特許庁の審判で相手の特許を無効にした。審決は確定し、相手にはあなたが負担した審判費用を支払えという決定も出た。ところが相手は一円も払わない。普通なら、ここで「では裁判を起こして支払いを命じる判決をもらおう」と考える。だがその一手間は要らない。特許法170条が、確定した費用額の決定に「執行力のある債務名義と同一の効力」を与えているからだ。債務名義とは、相手の銀行口座や財産を差し押さえる強制執行の引き金になる公的な根拠(民事執行法22条)。つまり行政機関である特許庁が出した費用決定が、裁判所の確定判決と同じ重みで、そのまま差押えに直結する。多くの人は「役所の決定は裁判所の判決ほど強くない」と思い込んでいる。この条文を知っている側は、確定決定の正本を握り、執行文を付けてもらって、相手の財産へ最短距離で踏み込む。
法的な位置づけ
特許法170条は、審判に関する費用の額についての確定した決定に、執行力のある債務名義と同一の効力を認める規定である。特許庁の審判手続で確定した費用額の決定は、民事執行法22条の債務名義として扱われ、別途の給付訴訟を経ずに強制執行の基礎となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.費用額の確定した決定の正本と確定証明を取得 特許庁から費用額についての決定の正本と、それが確定したことを証明する書類を取得する。決定は相手方にも送達されている必要がある
- 2.執行文の付与を申立て 確定した決定に執行力があることを公的に証明する執行文の付与を申し立てる(民事執行法25条)。これにより債務名義が実際の差押えに使える状態になる
- 3.相手の財産を特定 口座のある銀行・支店、不動産、売掛金などを特定する。分からなければ財産開示手続や第三者からの情報取得手続(民事執行法205条以下)を併用して所在を押さえる
- 4.差押えを申立て 特定できた財産に対し差押えを申し立てる。判決を取り直す訴訟は不要で、確定決定がそのまま執行の土台になる。相手が資金を移す前に着手できるかが分かれ目
よくある質問 AI による整理
Q1審判費用とは何ですか?
特許庁の審判手続で生じる費用で、特許庁への手数料や法定の費目が中心です。負担者と金額は審判の決定で定められ(特許法169条)、確定すれば回収の対象になります。
Q2債務名義とは何ですか?
強制執行によって実現される請求権の存在と範囲を公的に証明する文書です。民事執行法22条が列挙し、確定した審判費用の決定もこれに含まれます。
Q3特許の無効審判の費用は誰が負担しますか?
原則として審判で敗れた側が負担し、その額は決定で定められます(特許法169条)。この決定が確定すると170条により執行力を持ちます。
Q4審判費用の額はどうやって決まりますか?
特許法169条が民事訴訟費用等に関する法律を準用し、法定の費目に従って特許庁が費用額を決定します。代理人報酬の大半は自己負担のまま残るのが通常です。
Q5審判費用の回収に時効はありますか?
費用償還請求権は一定期間の経過で消滅時効にかかりうるため(原則として民法166条)、確定後は速やかに執行へ動くのが安全です。最新の改正状況をご確認ください。
Q6商標や意匠の審判費用も同じように執行できますか?
はい。商標法・意匠法・実用新案法にも同型の費用執行条項があり、勝った側は分野を問わず同じ最短ルートで回収に動けます。
Q7財産開示手続とは何ですか?
債務名義を持つ債権者が、裁判所を通じて債務者に財産の内容を陳述させる手続です。相手の財産が不明なときに差押えの前提として利用します(民事執行法196条以下)。
Q8審決取消訴訟中でも費用決定は執行できますか?
本条の効力は決定が「確定」していることが前提です。審決取消訴訟(特許法178条)で争う余地が残っている間は確定しておらず、執行の基礎にはなりません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1審判費用って、弁護士や弁理士に払った報酬も全部相手に請求できるんですか?
全額ではない。審判費用の範囲は民事訴訟費用等に関する法律が準用される(特許法169条)ため、特許庁への手数料や法定の費目が中心で、代理人報酬の大半は自己負担のまま残るのが通常だ。実務のポイント:「勝てば費用は全部相手持ち」と思って動くと、実際に債務名義になる額の小ささに後で驚く。回収できる範囲を先に試算してから執行のコストと天秤にかけるのが実務の鉄則
Q2確定した決定さえあれば、すぐに相手の口座を差し押さえられるんですか?
債務名義そのものは手元にあるが、強制執行には執行文の付与(民事執行法25条)と相手への決定の送達という手続が要る。これを踏めば裁判所の確定判決と同じく差押えに進める。実務のポイント:債務名義があっても、相手の口座のある銀行と支店まで特定できないと差押えは空振りする。第三者からの情報取得手続(民事執行法205条以下)を併用して財産の所在を押さえてから動くのが勝ち筋だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「役所(特許庁)の決定だから、回収するにはどのみち裁判所で改めて判決を取り直す必要がある」と考える人が多い。だが問いの立て方そのものがずれている。本条がある以上、取り直す判決など最初から不要で、確定決定がそのまま執行の土台になる
- 費用を相手に負担させられること自体は知っていても、それが「裁判所の確定判決と同一の執行力」を持つという重みまで理解している人は少ない。これは単なる支払請求の権利ではなく、相手の財産へ直接踏み込める強制力そのものの付与だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 特許法170条:確定した費用額決定に執行力(債務名義)を付与 | 特許法169条:審判費用の負担と額の決定の根拠 特許法178条:審決等取消訴訟(決定確定の前提手続) |
| 手続段階 | 執行段階(回収の実現) | 決定段階(費用負担の確定) 不服申立段階(争う機会の保障) |
| 当事者の動き | 執行文の付与を受け差押えを申し立てる | 費用負担と額の決定を受ける 審決に不服なら取消訴訟を提起する |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は訴訟費用額確定裁定を執行名義とする点で発想が近いが、特許無効の判断は行政の智慧財産局が担い、費用の執行構造は日本の審判費用とは制度枠が異なる
ドイツも確定した費用額決定を執行名義の一類型として列挙し、別訴なしに執行できる点で日本の本条と機能的に共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 無効審判で勝ち、費用負担の決定も確定した。なのに相手が払わない。もう一度訴訟を起こさないと回収できないのか? いや、確定決定の正本があれば、執行文の付与を申し立てて相手の口座差押えに動ける。相手の資金が逃げる前に着手できるかが分かれ目だ。残された時間は相手が財産を整理し終えるまで
- あなたが審判で負け、相手の審判費用を負担せよという決定が確定した側だとする。「行政の決定だから、まだどこかで争える」と高をくくっていると、ある日いきなり預金が差し押さえられる。費用額の決定そのものが債務名義になるため、別訴を待たずに執行が来る
- ライバル企業の特許に無効審判を仕掛けて勝った。費用の決定も確定した。その紙一枚が、相手の財産へ踏み込む切符になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 費用額の決定の正本と確定を証明する書類を特許庁から取得する2. 強制執行に必要な執行文の付与を申し立てる(民事執行法25条)、決定正本は相手にも送達されている必要がある3. 相手の財産の所在を特定する、口座のある銀行・支店、不動産、売掛金など。分からなければ財産開示手続や第三者からの情報取得手続(民事執行法205条以下)を併用する4. 特定できた財産に対し差押えを申し立てる。判決を取り直す訴訟は不要、確定決定がそのまま土台になる
訴えられた側:1. まず決定が本当に確定しているか、審決取消訴訟(特許法178条)で争う余地が残っていないかを確認する2. 費用額の計算に誤りがあれば、決定そのものへの不服の手続で争う3. 確定後の執行段階で実体的な不当を争うなら請求異議の訴え(民事執行法35条)になるが、認められる事由は限定的4. 任意に弁済して差押えを回避するか、回避できないなら口座凍結による事業への影響を最小化する段取りを先に組む
時効(請求できる期限):確定した費用額の決定は債務名義として強制執行できる。執行の申立て自体に固定の期限はないが、費用償還請求権は一定期間の経過で消滅時効にかかりうる(原則として民法166条・169条)。確定後は速やかに執行へ動くのが安全(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:特許法170条にいう「確定した決定」とは、審判費用の額についての決定が不服申立ての機会を経てもはや争えなくなった状態を指す。この確定を執行力付与の前提とすることで、義務者の手続保障と権利実現の実効性の均衡を図ると解される
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