特許法 第184条の10(国際公開及び国内公表の効果等)
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- 国際特許出願の出願人は、日本語特許出願については国際公開があつた後に、外国語特許出願については国内公表があつた後に、国際特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、日本語特許出願については国際公開がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に、外国語特許出願については国内公表がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に、業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。
- 2.第六十五条第二項から第六項までの規定は、前項の規定により請求権を行使する場合に準用する。
この条文の基本情報
国際公開及び国内公表の効果等とは何ですか?
定義国際公開及び国内公表の効果等とは、特許法第184条の10に定められた規定で、「国際特許出願の出願人は、日本語特許出願については国際公開があつた後に、外国語特許出願については国内公表があつた後に、国際特許出願に係る発明の内容を記載した書面を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第184条の10(国際公開及び国内公表の効果等)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第184条の10の条文原文は「国際特許出願の出願人は、日本語特許出願については国際公開があつた後に、外国語特許出願については国内公表があつた後に、国際特許出願に係る発明の内容を記載した書面を…」で始まります。
- 特許法第184条の10は第九章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第184条の10の前の条は特許法第184条の9です。
- 特許法第184条の10の次の条は特許法第184条の11です。
- 特許法第184条の10には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第184条の10 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第184条の10(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/184_10
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法184条の10は、国際特許出願の出願人が公開後に警告すれば、登録前の第三者の実施に実施料相当額の補償金を請求できると定める。警告がなくても公開を知って実施した者に及ぶ。
Q · 特許がまだ登録されていない出願中の技術を真似したら、本当に何も払わなくていいの?
公開後に警告されれば、登録前の実施にも補償金を請求されます
特許法184条の10により、国際特許出願の出願人は、日本語出願なら国際公開後、外国語出願なら国内公表後に、発明内容を記載した書面で警告すれば、警告後から設定登録前までに業として実施した者へ実施料相当額の補償金を請求できます。警告がなくても、公開された出願であると知って実施していた者には同様に及びます(同条1項後段)。ただしこの請求権の行使は特許の設定登録後に限られ(65条2項準用)、相手は登録を待って過去分をまとめて請求してきます。
解説
特許はまだ登録されていない、だから真似しても問題ない。多くの事業者がそう信じて、競合の出願中の技術を自社製品に取り込む。184条の10は、その油断を正面から突く。国際特許出願(PCT経由で日本を指定した出願)が国際公開(日本語出願の場合)または国内公表(外国語出願の場合)された後、出願人があなたに「この発明を使っているぞ」と発明内容を記載した書面で警告すれば、その警告後から登録までの間にあなたが業として発明を実施した分について、本来支払うべき実施料相当額の補償金を請求できる。さらに恐ろしいのは、警告がなくても、あなたが公開された出願だと知って実施していたなら同じく払わされる点だ。ただしこの請求権は、特許が実際に登録されるまで行使できない(特許法65条2項準用)。つまり相手は、登録を待ってから過去にさかのぼってまとめて請求してくる。あなたの「まだ登録されてないから大丈夫」は、時限爆弾を抱えているのと同じだ。
法的な位置づけ
特許法184条の10は、国際特許出願における補償金請求権を定める規定である。出願人が国際公開または国内公表の後に発明内容を記載した書面で警告すれば、警告後から設定登録前までの第三者の業としての実施に対し、実施料相当額の補償金を請求できる。警告がなくても公開を知って実施した者は同様の対象となり、請求権の行使は登録後に限られる(65条2項準用)。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の出願の公開日を確認する 国際特許出願が、日本語出願なら国際公開、外国語出願なら国内公表(184条の9)済みかを日付単位で確認する。公開前の警告は補償金を生まないため、この確認が起算点管理の出発点になる
- 2.発明内容を記載した警告書を内容証明で送付 模倣者に対し、発明の内容を具体的に記載した書面を提示して警告する。証拠化のため内容証明郵便で送り、到達日を確定させる。この到達日が補償金の起算点になる(184条の10第1項)
- 3.警告後の相手の実施状況を継続記録する 警告後から設定登録前までの相手の販売数量・期間・売上を継続的に記録し、実施料相当額を算定できる状態にしておく。この積み上げが将来の請求額の基礎になる
- 4.設定登録後に補償金を請求する 請求権の行使は特許の設定登録後に限られる(65条2項準用)。登録されたら速やかに公開から登録前までの補償金を請求し、並行して登録後の差止(100条)・損害賠償(102条)も準備する
よくある質問 AI による整理
Q1補償金請求権とは何ですか?
特許出願が公開された後、登録前に第三者が実施した分について、出願人が実施料相当額を請求できる権利です。特許法184条の10・65条が根拠です。
Q2国際公開と国内公表の違いは何ですか?
日本語でのPCT出願は国際公開が補償金の起算点、外国語出願は国内公表(184条の9)が起算点になります。外国語出願は翻訳文提出が前提です。
Q3補償金はいつから請求できますか?
実施は公開後から積み上がりますが、請求権の行使は特許の設定登録後に限られます(65条2項準用)。登録前は請求できません。
Q4補償金の金額はどう計算しますか?
その発明が特許発明であった場合に実施に対して受けるべき金銭の額、すなわち実施料相当額です。業界標準の実施料率に対象売上を乗じて算定します。
Q5警告書はどうやって送ればいいですか?
発明の内容を記載した書面を提示して行います。証拠を残すため内容証明郵便で送るのが実務です。公開後に送らないと補償金は発生しません。
Q6PCT出願とは何ですか?
特許協力条約に基づく国際出願で、一つの出願で複数国を指定できます。日本を指定した出願が国際特許出願として本条の対象になります。
Q7補償金請求権の時効は何年ですか?
消滅時効は3年で、起算点は特許権の設定登録の日とされます(65条6項が民法724条を準用)。細部は最新の改正状況をご確認ください。
Q8補償金と損害賠償は両方請求できますか?
対象期間が異なります。公開から登録前までは補償金(184条の10)、登録後の侵害は損害賠償(102条)・差止(100条)で、二重取りではなく時系列で連続します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1まだ特許になってない出願を真似しても、登録されなかったら払わなくていいんですよね?
そのとおりです。出願が拒絶確定・取下げ・却下になれば、補償金請求権は初めから生じなかったものとみなされます(特許法65条4項準用)。登録されなければ一銭も払う必要はありません。実務のポイント:だからこそ実施者側の本当の戦略は「登録を阻止すること」です。刊行物等提出(情報提供)や登録後の無効審判で潰せれば、警告を受けて積み上がった補償金債務がまるごと消える。警告書に怯えて即座に和解金を払うのは、最も損な選択になりうる
Q2警告書をもらってないのに、補償金を請求されることってあるんですか?
あります。184条の10第1項後段は、警告がなくても、公開された国際特許出願に係る発明だと知って実施していた者には同様に補償金を請求できると定めます。立証のカギは「知っていたか」です。実務のポイント:相手は、あなたの社内で競合特許をウォッチしていた証拠(技術調査報告、特許マップ、社内メール)を文書提出命令で引き出そうとします。皮肉なことに、まじめに先行技術調査をしている会社ほど悪意を立証されやすい。調査記録の管理が攻守両面で効いてくる
Q3外国語でPCT出願したんですが、日本での補償金請求はいつから可能になりますか?
外国語特許出願の場合、国内公表(特許法184条の9)があった後に警告すれば補償金請求の基礎が生まれます。日本語出願なら国際公開後です。請求権の行使自体は登録後(65条2項準用)。実務のポイント:外国語出願は翻訳文の提出(184条の4)が国内処理の前提で、翻訳が遅れると国内公表も遅れ、補償金の起算点が後ろ倒しになる。出願人側は翻訳文を早く正確に出すほど保護期間を前に伸ばせる。翻訳の巧拙が、そのまま回収額に響く
間違えやすい点 AI による整理
- 「特許が登録されるまでは、他人の出願技術を自由に使える」と思われているが、184条の10は公開後の実施に補償金を課す。登録前の実施分が、後で実施料相当額としてまとめて請求される
- 補償金請求権の存在は知っていても、その行使タイミングの怖さを理解していない人が多い。請求権は登録までは行使できない(特許法65条2項準用)。つまり相手は静かに待ち、登録された瞬間に数年分をまとめて請求してくる。警告を受けた時点では支払義務が顕在化しないため油断するが、債務は水面下で積み上がっている
- 「警告書が来てないから自分は対象外だ」という問いの立て方そのものが誤っている。警告がなくても、公開された出願だと知って実施していれば補償金の対象になる(184条の10第1項後段)。問うべきは「警告が来たか」ではなく「自分は公開を知っていたと立証されうるか」だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象期間 | 184条の10:公開後・設定登録前の実施 | 65条:国内出願の出願公開後・登録前の実施 100条:設定登録後の侵害 |
| 救済内容 | 実施料相当額の補償金(金銭) | 実施料相当額の補償金(金銭) 差止請求(実施の停止・予防) |
| 発生の前提 | 国際公開・国内公表 + 警告または悪意 | 出願公開 + 警告または悪意 特許権の存在と侵害の事実 |
| 行使できる時期 | 設定登録後に限る(65条2項準用) | 設定登録後に限る 登録後いつでも |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も発明専利出願の公開後に書面で通知(警告)した場合の補償金請求権を認める。実施料相当額の補償を登録後に請求できる構造で日本と類似する。
韓国も出願公開の効果として補償金請求権を認め、警告または悪意を要件とし、行使は設定登録後に限る点で日本と近い。
ドイツは出願の公開(Offenlegung)後の実施について相当の対価(Entschädigung)を認める。行使には特許付与が前提となる点で日本の構造と共通する。
米国は公開後の provisional rights を認めるが、実際の権利行使には特許の発行と、実施者が公開クレームを実際に知っていたこと(actual notice)が要件となる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 競合のスタートアップから内容証明が届いた。「当社の国際特許出願(国際公開済み)に係る発明を御社製品が実施している。直ちに中止し、補償金の支払に応じよ」。あなたは「まだ特許になってないだろ」と思う。だがこの警告書こそが補償金の時計を動かすトリガーであり、今日以降の売上が将来の請求額に積み上がっていく
- もし、あなたの主力製品が、半年前に国際公開された他社の出願技術とそっくりだったとしたら? 相手がまだ警告してこなくても、あなたが公開を「知っていた」と立証されれば補償金の対象になる。公開を見て見ぬふりした証拠(社内メール、特許調査報告書)が、後であなたの首を絞める
- あなたが外国語でPCT出願し、日本に国内移行した。国内公表が出た瞬間、あなたは模倣者へ警告書を送れる。登録を待つ必要はない。警告を送った日から、相手の実施は全部あなたの補償金口座に記録されていく。早く送るほど回収できる期間が長くなる
- 展示会で他社の新製品を見た。自社の出願中技術とほぼ同じだ。警告書を一通送るかどうかで、後の回収額が数千万円変わる
- あと数週間で自社の国際特許出願が国際公開される。公開前に競合へ警告しても補償金は発生しない。公開のタイミングを見計らって警告を打つ、その数日のズレが請求権の有無を分ける
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の国際特許出願が国際公開(日本語出願)または国内公表(外国語出願)されているか日付を確認2. 模倣者に対し、発明の内容を記載した書面を添えて内容証明郵便で警告(184条の10第1項)、これで補償金の起算点が確定する3. 警告後の相手の実施状況(販売数量・期間)を継続的に記録し、実施料相当額を算定4. 請求権の行使は特許登録後(65条2項準用)。登録されたら速やかに空白期間分の補償金を請求、並行して登録後の差止(100条)・損害賠償(102条)も準備する
訴えられた側:1. 警告書が来たら、まず相手の出願が本当に国際公開・国内公表済みか、書面に発明の内容が具体的に記載されているか確認2. 自社製品が本当にその発明の技術的範囲に入るか弁理士に鑑定を依頼3. 範囲に入るなら、登録前の設計変更が最も効果的。請求権は登録まで行使できないので、早く止めれば補償金は積み上がらない4. 出願に無効理由(先行技術等)がないか調査し、登録阻止のための情報提供・将来の無効審判の材料にする
時効(請求できる期限):補償金請求権は、特許権の設定登録後でなければ行使できない(特許法65条2項準用)。請求権の消滅時効は3年で、起算点は特許権の設定登録の日(同条6項が民法724条を準用、設定登録日起算)。対象となる実施は、警告または悪意の時点から設定登録前までの期間分(時効・起算点の細部は最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:補償金請求権は、出願公開により発明が公知となった後の実施に対し、特許権に準じた保護を暫定的に与える法定の債権的請求権と解される。特許権そのものではないため行使は設定登録後に限られ、出願が登録に至らなければ初めから生じなかったものとみなされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和53年(1978年) 新設:特許協力条約(PCT)加盟に伴う国内法整備として国際出願の特例規定が設けられ、国際特許出願に係る補償金請求権の規定が整備された。日本語出願は国際公開、外国語出願は国内公表を起算の前提とする構造が採られた。
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