要点特許法100条は、特許権者が侵害者に対し製造・販売の差止を請求できると定める。故意・過失を問わず成立し、2項では侵害品の廃棄・設備の除却まで請求できる。
Q · 特許があるなんて知らなかった。それでも製品を止めなきゃいけないの?
知らなくても差止は成立、在庫廃棄も命じられる
特許法100条により、特許権者は侵害者に対し製造・販売の差止を請求できます。損害賠償と違い相手の故意・過失は不要で、善意でも侵害が成立すれば製造中止を命じられます。2項では侵害品の在庫廃棄や製造設備の除却まで請求可能です。相手は仮処分(民事保全法23条)を使えば本訴判決を待たず出荷を凍結できるため、警告書一通の重みは極めて大きいといえます。
あなたが自社製品を世に出した。半年後、見知らぬ会社から内容証明が届く。「貴社製品は当社の特許権を侵害している。製造・販売を直ちに中止し、在庫を廃棄せよ」。特許の存在すら知らなかった、と反論したくなるだろう。だが特許法100条の差止請求は、相手の故意も過失も問わない。あなたが善意でも、知らなかったとしても、侵害が成立すれば製造ラインは止められ、倉庫の在庫は廃棄の対象になる(2項)。これが損害賠償(102条、103条)との決定的な違いだ。金銭賠償は過去の精算で済むが、差止はあなたのビジネスの未来そのものを停止させる。しかも相手は仮処分(民事保全法)を使えば、本訴の判決を待たずに来月の製品出荷を凍結できる。特許権者にとって差止は核兵器であり、警告書一通の重みがここにある。
特許法100条は差止請求権を定める規定であり、特許権者または専用実施権者が、自己の特許権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対し、侵害の停止または予防を請求できる旨を規定する。2項は付随して、侵害品の廃棄および侵害行為に供した設備の除却その他侵害予防に必要な行為を請求する権利を認める。
AI 輔助整理,以條文原文為準
特許権者が侵害者に対し、侵害品の製造・販売の停止や予防を請求できる権利です(特許法100条)。相手の故意・過失を問わず、侵害状態があれば成立します。
できます。本訴の判決を待たず、民事保全法23条の仮処分で出荷や製造を暫定的に停止できます。担保金の提供が条件で、相手の新製品発表直前が最も効果的です。
されます。完成品を作らず侵害品の専用部品を供給しているだけでも、特許法101条の間接侵害として100条の差止対象になりえます。部品メーカーも無関係ではありません。
制限されます。FRAND条件でライセンスを宣言した標準必須特許は、権利者が原則ライセンス料で満足すべきとされ、差止という強力な救済が封じられる場合があります。
すぐ謝罪せず、まず相手特許の請求項と自社製品の重なり、無効事由の有無を弁理士・弁護士に確認します。動きを誤ると事業停止か高額ライセンスの二択を迫られます。
差止請求権自体に特定の消滅時効はなく、特許権が存続し侵害が続く限り行使できます。ただし特許権は原則出願から20年で消滅し、消滅後は差止できません。
回避設計により製品が請求項の技術的範囲から外れれば、非侵害となり差止を免れます。ただし均等論で範囲が及ぶ場合もあり、専門家による範囲の精査が不可欠です。
覆せます。特許無効審判や特許法104条の3の無効の抗弁で特許自体を無効化できれば、差止の前提そのものが消滅します。警告を受けたら真っ先に探すべき反撃カードです。
差止請求(特許法100条)は、損害賠償と違って相手の故意・過失を要件としないからです。あなたが特許を知らなかった善意の事業者でも、客観的に侵害状態にある以上、製造中止も在庫廃棄も命じられます。業界裏話ヒント:知らなかったことは差止を免れる理由にはならないが、損害賠償の場面では意味を持ちます。ただし特許には過失推定(103条)があり、侵害者は過失がなかったことを自分で立証しない限り賠償責任を負う。つまり「知らなかった」は差止でも賠償でも、ほぼ盾にならないと考えて動くべきです
あります。100条の差止(将来の製造・販売の停止)と、102条・民法709条の損害賠償(過去の侵害分の金銭賠償)は別個の救済で、併合して請求されるのが通常です。業界裏話ヒント:実務で本当に交渉を動かすのは賠償額より差止です。賠償は金で清算できますが、差止で主力製品が止まれば事業そのものが傾く。だから被告側は、賠償額の議論より先に「差止だけは避けたい」という一点で和解を急ぐことが多い。交渉ではここが最大のレバーになります
本当です。100条2項は、差止に付随して侵害品の廃棄、侵害行為に使った設備の除却まで請求できると定めています。製造コストをかけた在庫でも、侵害品である以上は廃棄対象になりえます。業界裏話ヒント:ただし2項は「侵害の予防に必要な行為」の範囲に限られ、過剰な廃棄請求は認められないこともあります。さらに、和解の場では「在庫を廃棄する代わりにライセンス料を払って売り切る」という落としどころが交渉されるケースも多い。全廃棄か全許諾かの二択ではなく、その中間を引き出せるかが弁護士の腕の見せ所です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 救済の性質 | 100条:将来の製造・販売の停止(差止)+在庫廃棄・設備除却(2項) | — |
| 故意・過失 | 不要(善意でも成立) | — |
| 交渉上の重み | 事業停止の脅威=最大のレバー、和解を急がせる | — |
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