特許法 第188条(虚偽表示の禁止)
クイックジャンプ
- 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
- 一特許に係る物以外の物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
- 二特許に係る物以外の物であつて、その物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付したものの譲渡等又は譲渡等のための展示をする行為
- 三特許に係る物以外の物の生産若しくは使用をさせるため、又は譲渡等をするため、広告にその物の発明が特許に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為
- 四方法の特許発明におけるその方法以外の方法を使用させるため、又は譲渡し若しくは貸し渡すため、広告にその方法の発明が特許に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為
この条文の基本情報
虚偽表示の禁止とは何ですか?
定義虚偽表示の禁止とは、特許法第188条に定められた規定で、「何人も、次に掲げる行為をしてはならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第188条(虚偽表示の禁止)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第188条の条文原文は「何人も、次に掲げる行為をしてはならない。」で始まります。
- 特許法第188条は第十章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第188条の前の条は特許法第187条です。
- 特許法第188条の次の条は特許法第189条です。
- 特許法第188条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第188条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第188条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/188
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法188条は、特許を取得していない物への特許表示や紛らわしい表示、その譲渡・広告を何人にも禁止する虚偽表示の規定で、違反は196条の2の刑事罰に直結する。
Q · 商品に『特許取得済』と書いたら、特許がなくても問題ないですか?
嘘の特許表示は188条違反で、最大で刑事罰の対象です。
特許法188条は、特許を取得していない物やその包装への特許表示・紛らわしい表示、そうした物の譲渡等・展示、広告での特許表示、方法特許の偽装表示という四つの行為を何人にも禁止します。単なる誇大広告ではなく、違反は特許法196条の2の虚偽表示の罪(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)に直結し、しかも被害者の告訴を要しない非親告罪です。『特許取得済』と『特許出願中』は法的に別物で、出願番号を言えないのに特許を名乗れば射程に入ります。
解説
あなたがネットショップで自社製品の説明欄に「特許取得済」と一行加えたとする。売上は確かに伸びる。問題は、その特許が実際には存在しない、あるいは出願しただけで成立していない場合だ。特許法188条は、特許を取っていない物に「特許表示」やそれと紛らわしい表示を付ける行為、その物を売る・展示する行為、広告で「特許に係る」と謳う行為、方法の特許でも同様の偽装をする行為、この四つを「何人も」してはならないと定める。ここで多くの事業者が見落とすのは、これが単なる景品表示法レベルの行政指導で済む話ではないという点だ。188条違反は刑事罰の入口であり、特許法196条の2により最大で拘禁刑または罰金という制裁が待っている。マーケティングの誇張のつもりが、刑事事件になる。あなたが知っておくべきは、「特許取得済」と「特許出願中」は法的にまったく別物で、前者を偽れば一発で188条の射程に入るということだ。
法的な位置づけ
特許法188条は虚偽表示の禁止を定める規定であり、特許に係らない物への特許表示や紛らわしい表示、当該物の譲渡等・展示、広告での特許表示、方法特許の偽装表示という四類型の行為を何人にも禁止する。特許表示の方法を定める同法187条を前提とし、違反は同法196条の2の刑事罰の構成要件となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.表示前に権利の実在を確認する 特許表示を付ける前に、登録番号・出願状況・権利の存続状況を確認する。番号を即答できない特許表示は188条のリスクが高いため、表示を決裁する稟議の最後に『番号の実在確認』を一項目入れる
- 2.表示対象がその特許の範囲内か確認する 表示しようとする製品が、その特許発明の技術的範囲(請求項)に含まれるかを確認する。自社特許でも請求範囲外の別製品に番号を流用すれば188条1号の虚偽表示になる
- 3.出願段階なら『特許出願中』を正確に表示する 登録前で審査中の場合は『特許取得済』ではなく『特許出願中』と正確に書き、出願番号を示せる状態にしておく。出願すらしていないのに出願中と書くと188条3号の紛らわしい表示に当たりうる
- 4.誤表示に気づいたら即時に撤去・回収する 拒絶査定や範囲外表示に気づいたら、出荷前なら刷り直し・出荷停止、出荷後なら回収と表示撤去を行う。是正の記録(撤去日・経緯)を残すことが立件・量刑判断で有利に働きうる
よくある質問 AI による整理
Q1特許取得済と書いても違法になりますか?
実際に特許を取得していれば問題ありませんが、特許がない、または出願しただけの状態で『特許取得済』と書けば特許法188条の虚偽表示に該当します。登録番号を示せるかが分かれ目です。
Q2特許がないのに特許表示をするとどうなりますか?
特許に係らない物への特許表示は188条違反となり、特許法196条の2により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります。非親告罪なので捜査機関が立件できます。
Q3特許の虚偽表示の罰則はどのくらいですか?
特許法196条の2により、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。法人にも両罰規定が及び、被害者の告訴を必要としない非親告罪とされています。
Q4紛らわしい特許表示とは具体的に何ですか?
『特許技術』『特許構造』など、特許番号を示さずに特許があるかのように誤認させる表記が典型です。番号を伴わない曖昧な特許アピールは188条の紛らわしい表示に当たりえます。
Q5特許の虚偽表示は誰でも通報できますか?
虚偽表示の罪は非親告罪なので、被害者でなくても特許庁への情報提供や警察への告発が可能です。捜査機関が動けば、告訴がなくても立件されます。
Q6特許虚偽表示の罪の時効は何年ですか?
特許法196条の2は最長3年の拘禁刑にあたるため、公訴時効は行為終了時から3年です(刑訴250条2項)。販売継続中は行為が続くと評価される余地があります。
Q7広告に特許と書くのは違法ですか?
特許に係らない物について、広告に特許に係る旨や紛らわしい表示をすれば188条3号違反です。実在する特許の正確な表示は適法ですが、番号を示せない特許アピールは危険です。
Q8方法の特許でも虚偽表示は禁止されますか?
はい。188条4号は方法特許について、その方法以外の方法を使わせる等の目的で広告に特許表示や紛らわしい表示をすることを禁止しています。物の特許と同様に射程に入ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1「特許出願中」って書くだけならセーフですよね?
本当に出願していれば問題ありません。特許法188条が禁じるのは特許に係らない物への表示や紛らわしい表示で、現に出願している事実があれば「特許出願中」表示はその事実に合致します。ただし出願すらしていないのに書けば3号の紛らわしい表示に該当しうる。実務のポイント:弁理士や知財担当者は、表示の可否を「出願番号を即答できるか」で判断します。番号が出てこない特許表示は、ほぼ確実に危ない。逆に番号さえ出せば、相手の追及はそこで止まる
Q2うちの特許を取った製品の番号を、別のうちの新製品にも付けたらダメなんですか?
ダメです。188条は「特許に係る物以外の物」への表示を禁じており、その特許の請求範囲に含まれない別製品に番号を流用すれば、自社の特許であっても虚偽表示になります(特許法188条1号)。実務のポイント:これは社内で最も起きやすい事故です。一つの花形特許を社内ブランド全体に貼りたくなるが、特許は「その物・その方法」にしか効かない。製品ごとに、その特許のクレームを本当にカバーしているか確認する習慣が、刑事リスクを断つ
Q3競合が嘘の特許表示をしてる。これで損害賠償を取れますか?
188条そのものは刑事の禁止規定なので、これを直接の根拠に賠償は請求できません。民事の差止め・損害賠償は不正競争防止法の品質等誤認惹起行為や景品表示法で組み立てます。刑事は特許庁への申告や警察への告発という別ルートです。実務のポイント:実務では「刑事告発をちらつかせつつ、不正競争防止法で差止めと賠償を本筋にする」二段構えが定石。虚偽表示の罪は非親告罪なので、告発の現実味が相手に効く。この二本立てを知っているかどうかで交渉力がまるで違う
間違えやすい点 AI による整理
- 「特許出願中と書けば安全だ」と思っている事業者は多い。確かに本当に出願していれば「特許出願中」表示は問題ない。だが出願すらしていないのに「特許出願中」と書けば、それは特許に係る旨の紛らわしい表示として188条3号の射程に入りうる。出願番号を言えるかどうかが分水嶺で、言えないなら書いてはいけない
- 188条違反は「行政指導で直せば済む軽い話」と軽視されがちだが、その深刻度を見誤っている。これは特許法196条の2に直結する刑事罰の構成要件であり、しかも被害者の告訴を必要としない非親告罪だ。誰かに訴えられなくても、捜査機関が動けば立件される。景品表示法の措置命令とは制裁の重さの桁が違う
- 「特許権者本人なら何を表示しても自由」と考えるのも誤りだ。自分が持っている特許であっても、その特許と無関係な別製品にその番号を流用すれば、特許に係る物以外の物への表示として188条に触れる。持っている権利の範囲を超えた瞬間、権利者であること自体が免罪符にならない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 役割 | 188条:虚偽表示(不当な特許表示)を禁止する規定 | 187条:適法な特許表示の方法を定める前提規定 196条の2:虚偽表示に対する刑事罰 |
| 規範の性質 | 『何人も』に向けた禁止規範 | 任意的な表示方法の定め 罰則(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金) |
| 対象 | 特許に係る物以外への表示・譲渡・広告の四類型 | 特許品への適法な表示のあり方 188条に違反する行為 |
| 効果・手続 | 違反すれば196条の2の刑事罰の入口 | 表示による過失推定など民事上の効果の基礎 非親告罪として被害者の告訴なしに立件可 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は専利法の刑事罰を廃止しており、虚偽の専利標示は主に公平交易法の虚偽不実表示(行政・民事)として規律される点で日本と構造が異なる。
韓国特許法224条が虚偽表示を禁止し、228条が刑事罰を定める。日本の188条+196条の2とほぼ同型の規律構造。
ドイツは特許法に独立の虚偽表示罪を持たず、不正競争防止法(UWG)の誤認惹起行為として民事の差止め等で規律する。
米国は連邦法で false marking を規律。2011年 AIA 改正で qui tam 訴訟を制限し、私人による提訴には競争上の実損(competitive injury)を要求するに至った。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたがメルカリや Amazon で自作のスマホアクセサリーを売っていて、商品名に「特許取得済の独自構造」と入れた。実際には出願すらしていない。一個の売上は数百円でも、188条は金額を問わない。表示を付けて売った時点で要件を満たす。レビューで「これ特許番号どこ?」と突っ込まれた瞬間、証拠はすべて残っている
- もし競合他社が「弊社だけの特許技術」と広告を打っているのに、特許番号を一切出していなかったら、それは何を意味するか。実体のない特許表示は188条違反の典型で、あなたは特許庁への申告や警察への告発という手段を取れる。さらに不正競争防止法を使えば、民事の差止めと損害賠償まで射程に入る
- 下請けに「この部品は特許品だから他社に流すな」と言われた。だが番号も書類もない。口約束だけの特許表示は、付ける側が188条を踏んでいる可能性がある
- あなたの会社が新製品のパッケージ10万個に「PATENT」と刻印して出荷準備を終えた段階で、出願が拒絶査定になったと知った。あと数日で出荷。このまま出せば、成立していない特許を表示した物の譲渡で188条2号に該当する。刷り直すか出荷を止めるか、今夜決めなければ刑事リスクを抱えて市場に出る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 競合の虚偽特許表示を発見したら、まずページ保存・商品現物・広告画像で証拠を確保、表示がいつから出ているかも記録2. 188条自体は刑事の禁止規定で、あなたが直接損害賠償を取る根拠にはならない。民事の差止めと賠償は不正競争防止法(品質等誤認惹起行為)や景品表示法を使う3. 刑事責任を問うなら特許庁への情報提供や警察への告発、虚偽表示の罪(特許法196条の2)は非親告罪なので捜査機関が動ける4. 同時並行で内容証明により特許番号の開示を求め、相手の自主撤回を促す
訴えられた側:1. 指摘を受けたら、まず該当表示を直ちに停止・削除し、在庫・パッケージ・広告すべてから撤去2. 自分の表示が「特許」なのか「特許出願中」なのか、対象製品がその特許の範囲内かを冷静に切り分ける。範囲内であれば188条には当たらない3. 虚偽表示の罪は故意犯なので、虚偽であることの認識がなかった事情(出願中だと誤信していた等)を裏付ける資料を保全4. 撤去の記録と是正の経緯を残す。早期かつ自主的な是正は、立件・量刑の判断で有利に働きうる
時効(請求できる期限):特許法196条の2の虚偽表示の罪は最長で3年の拘禁刑にあたるため、公訴時効は犯罪行為が終わった時から3年(刑事訴訟法250条2項)。表示を付けた物を販売し続けている間は行為が継続していると評価されうるので、起算点は撤去・販売停止の時点が基準になる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:188条の『特許に係る物以外の物』には、他人の特許のみならず自己の特許の技術的範囲外の製品も含まれると解される。したがって権利者自身が花形特許の番号を範囲外の別製品に流用する行為も虚偽表示に当たり、権利者であることは免罪符にならない。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 制定:現行特許法(昭和34年法律第121号)の制定に伴い、虚偽表示の禁止を定める。特許制度と取引の信頼性を保護する規定として、特許表示の方法(187条)および虚偽表示の罪(196条の2)と一体で整備された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める