特許法 第38条(共同出願)
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特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。
この条文の基本情報
共同出願とは何ですか?
定義共同出願とは、特許法第38条に定められた規定で、「特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第38条(共同出願)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第38条の条文原文は「特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。」で始まります。
- 特許法第38条は第二章 特許及び特許出願に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第38条の前の条は特許法第37条です。
- 特許法第38条の次の条は特許法第38条の2です。
- 特許法第38条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第38条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第38条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/38
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法38条は、特許を受ける権利が共有のとき、各共有者は他の共有者と共同でなければ特許出願できないと定める。一人でも欠けば拒絶理由・無効理由となる。
Q · 共同で発明したら、特許は一人で出願しちゃダメなの?
共有者全員で出願しないと成立しません
特許法38条により、特許を受ける権利が共有のときは、各共有者は他の共有者と共同でなければ特許出願ができません。貢献度の大小は問われず、共同発明者を一人でも欠いた出願は拒絶理由(49条2号)になります。運よく登録されても、共同出願違反は無効理由(123条1項2号)となり、後から無効審判で遡って消える可能性があります。共有者と連絡が取れないなら、33条3項の同意を得て持分を集約する道を検討します。
解説
大学の研究室で同期と二人で生み出した技術、副業仲間と週末に詰めたアルゴリズム、退職した会社で上司と一緒に練り上げた仕組み。一人で発明したつもりでも、誰かがアイデアの核に実質的に貢献していれば、その発明は「共同発明」になり、特許を受ける権利は共有になる。特許法38条が突きつけるのはたった一つのルールだ。共有なら、全員そろって出願しなければ、その出願はそもそも成立しない。あなたが先に動いて単独で出願しても、共有者を一人でも欠けば、それは拒絶理由(49条2号)であり、運よく登録されても後から無効審判で潰される無効理由(123条1項2号)になる。十年かけて育てた特許が、出願人の欄に名前が一つ足りなかっただけで、ある日まるごと消える。逆に言えば、あなたが共同発明者なのに勝手に出願された側なら、この一条があなたの反撃の根拠になる。
法的な位置づけ
特許法38条は共同出願の原則を定める規定であり、特許を受ける権利が二人以上の共有に係る場合、各共有者は他の共有者全員と共同でなければ特許出願をすることができない旨を規定する。共有者の一部を欠いた単独出願または一部の者のみによる出願は不適法となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.実質的に貢献した発明者を全員洗い出す 出願準備の最初に、着想・課題解決・具体化に実質的に寄与した者を紙に書き出す。資金提供者・一般的な指示者・データ入力者は発明者に含めない。この発明者認定を弁理士と詰めておくことが38条違反の予防の核になる
- 2.共有者全員から共同出願の同意を取得する 共同発明者・権利承継者を出願人欄に全員記載し、共同出願の意思を書面で確認する。職務発明の場合は職務発明規程に基づく権利承継が全員分そろっているかを点検する
- 3.同意が得られない共有者の持分を集約する 共有者の一人が反対、または連絡が取れず出願期限が迫る場合、33条3項の同意を得て持分の譲渡を受け、権利を自社・自分に一本化する交渉に切り替える。先願主義(39条)の下で遅れは致命傷になるため早期に動く
- 4.無断出願された側は証拠を確保し救済を検討する あなたが共同発明者なのに無断出願された場合、発明への実質的貢献を示す日付入り証拠を確保する。出願段階なら情報提供で38条違反を審査官に伝え、登録後なら無効審判(123条)や移転登録請求(74条)を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1共同発明者とは誰のことですか?
発明の技術的完成に実質的に寄与した者を指します。着想や課題解決の具体化に関わった人が該当し、単なる資金提供者・一般的な指示者・補助作業者は含まれません。
Q2特許法38条に違反するとどうなりますか?
出願段階では拒絶理由(49条2号)となり、登録後は無効理由(123条1項2号)となります。利害関係人から無効審判を起こされ、特許が遡って消える可能性があります。
Q3共同出願違反は後から治せますか?
平成23年改正で新設された移転登録請求(74条)により、真の共有者が持分の移転を求められる場合があります。ただし救済の可否は事案により、早期の専門家相談が重要です。
Q4共有者と連絡が取れないと出願できませんか?
全員でなければ出願できないため、一人でも同意が得られないと出願は成立しません。33条3項に基づき持分を譲り受けて権利を一本化する交渉が現実的な選択肢になります。
Q5職務発明でも共同出願のルールは適用されますか?
適用されます。会社が権利を承継して出願する場合も、共同発明した複数の従業員全員から権利を集めていなければ共有関係が崩れ、38条違反のリスクが残ります。
Q6共有持分の割合は出願に影響しますか?
影響しません。持分が九割でも一割でも、共有者全員で出願する必要があります。割合の大小は共同出願義務の要否を左右しません。
Q7特許を受ける権利の持分は自由に売れますか?
売れません。33条3項により、持分の譲渡には他の共有者全員の同意が必要です。登録後の特許権でも持分譲渡やライセンスには全員の同意が要ります(73条)。
Q8共同出願違反の無効審判に期間制限はありますか?
共同出願違反を理由とする無効審判は、特許権の存続中いつでも請求できるのが原則です。最新の除斥期間の扱いは e-Gov 等でご確認ください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1共同で発明したけど、相手がほとんど何もしてないのに、なんで一緒に出さなきゃいけないんですか?
発明への寄与が「実質的」であれば、貢献度の大小は問われません。アイデアの着想や課題解決の具体化に実質的に関わった人は共同発明者となり、持分割合に関わらず全員で出願する必要があります(38条)。実務のポイント:誰が発明者かの線引きは実務で最も揉める論点です。単なる資金提供、一般的な指示、データ入力だけの人は発明者ではない。逆に技術的なブレイクスルーを一言提案した人は発明者になりうる。出願前に発明者認定を弁理士と詰めておくだけで、後の無効リスクを大幅に減らせる
Q2共同発明者の一人を書き忘れて特許が登録されちゃいました。もう手遅れですか?
登録されても安心はできません。共同出願違反は無効理由(123条1項2号)で、利害関係人から無効審判を起こされると特許が遡って消える可能性があります。ただし事後的に持分を集約するなどの救済が検討できる場合もあります。実務のポイント:競合他社は、あなたの特許が事業の柱として最も価値を持った時点を狙って無効審判を仕掛けてきます。「登録されたから勝った」ではなく、「無効の種が残っていないか」を登録後も点検するのが知財管理の本筋。書き漏らしに気付いたら、訴えられる前に専門家に相談を
Q3共有の特許なんだから、自分の持分くらい自由に売ったりライセンスできますよね?
できません。特許を受ける権利の持分譲渡には他の共有者の同意が必要で(33条3項)、登録後の特許権でも持分の譲渡や第三者へのライセンスには共有者全員の同意が要ります(73条)。自分で実施するのは原則自由ですが、他人に渡す行為は全員一致が必要です。実務のポイント:この「全員一致でしか動かせない」性質が、共有特許の塩漬けを生みます。共有者の一人が非協力的だと、価値ある特許が誰もライセンスに出せず死蔵される。共同で発明する前に、出願や活用のルールを契約で決めておくことが、後の膠着を防ぐ唯一の予防策です
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分が中心になって発明したのだから、自分の名前で出していい」と思い込んでいる人が多い。だが38条は貢献度の大小を問わない。実質的に発明に寄与した共同発明者が一人でもいれば、その人を欠いた出願は持分割合に関係なく成立しない。九割あなたが作っても、残り一割の共有者を外せば全部が崩れる
- 共同出願違反は「出願が通らないだけ」と軽く見られがちだが、本当に怖いのは登録された後だ。審査をすり抜けて特許になっても、123条で誰でも無効審判を起こせる。事業の柱として何年も使ってきた特許が、競合に無効審判を打たれて遡って消える。出願段階の小さな綻びが、最も価値が高まった時点で爆発する
- 「共有なら自分の持分だけ売ったり、自由にライセンスできる」と考えている人がいるが、これは前提から誤っている。特許を受ける権利の持分は他の共有者の同意がなければ譲渡できず(33条3項)、登録後の特許権でも持分譲渡や第三者へのライセンスには共有者全員の同意が要る(73条)。共有は「自由な所有」ではなく「全員一致でしか動かせない鎖」だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 特許法38条:共有時の出願は全員共同 | 特許法33条:出願前の権利(持分)の譲渡制限 特許法73条:登録後の特許権の持分譲渡・実施・ライセンス制限 |
| 対象となる権利 | 特許を受ける権利(出願手続の主体) | 特許を受ける権利の持分 特許権(登録後)の持分 |
| 違反・不同意の効果 | 出願は拒絶理由(49条2号)・無効理由(123条1項2号) | 同意なき持分譲渡は効力を生じない 同意なき持分譲渡・第三者ライセンスは無効 |
| 単独でできること | 単独出願は不可(全員一致が必須) | 同意があれば持分譲渡可 自己実施は原則単独で可 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も共有の専利申請権は全体共有人が共同で申請すべきとする点で日本と同じ構造をとる。
韓国も特許を受ける権利が共有のときは共有者全員が共同で出願すべきと定め、日本とほぼ同一の共同出願義務を採用している。
ドイツは共同発明者が共同して特許を受ける権利を有すると定める。共有関係の細目は民法(BGB)の共同関係規定に委ねられる部分が大きい。
米国は共同発明者による出願(§116)と共有者の権利(§262)を定めるが、各共有者が原則として単独で自由に実施・ライセンスできる点で日本と大きく異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- スタートアップを共同創業した二人が、コア技術を一緒に発明。資金調達直前に片方が抜け、残った側が急いで単独で特許出願した。数年後、抜けた元相方が「自分も発明者だ」と現れる。38条違反で出願は無効化されうる。会社の企業価値の柱だった特許が、一夜で足場を失う
- 産学連携で、大学の教授と企業の研究者が共同研究して成果を出した。企業側が事業化を急ぎ、自社単独で出願してしまう。大学の持分を無視した出願は無効リスクを抱える。共同研究契約に出願の取り決めがあったかどうかが、後で全員の運命を分ける
- もし、あなたが在職中に同僚と一緒に発明したものを、退職後に自分一人の名前で出願したらどうなる? 元同僚が共同発明者である限り、その出願は他の共有者と共同でなければ成立しない。一人で抜け駆けした瞬間、無効の種を自分で蒔いている
- 出願の期限が迫っているのに、共有者の一人と連絡が取れない。あと数日で先願主義の壁(他社が先に出すと負ける)が来る。共有者の同意なしに単独では出せず、持分の譲渡を受ける交渉も間に合わない。時間との戦いの中で、38条が動きを縛る
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが共同発明者なのに無断で出願された場合、まず自分の発明への実質的貢献を示す証拠(実験ノート、メール、設計データ、日付入りの記録)を確保する2. 相手の出願段階なら情報提供で38条違反(49条2号)を審査官に伝える、登録後なら無効審判(123条1項2号)を検討3. 並行して、自分を共有者として認めさせる、または持分を金銭評価して買い取らせる交渉に持ち込む4. 弁理士・知財に強い弁護士に早期相談、証拠の鮮度が勝敗を決める
訴えられた側:1. 相手が本当に「共同発明者」か冷静に検証する。単なる資金提供者、指示を出しただけの上司、補助作業者は発明者ではない、その線引きが防御の核2. 相手が真の共同発明者なら、争うより持分譲渡(33条3項の同意)で権利を一本化する道を探る3. 既に登録済みで無効審判を打たれた場合、訂正や持分の事後集約で無効を回避できないか専門家と詰める4. 共同研究契約・職務発明規程に出願の取り決めがあれば、それを根拠に正当性を主張
時効(請求できる期限):38条違反そのものに固有の期間制限はないが、先願主義(特許法39条)の下では他社が先に同じ発明を出願すると権利を失う、出願の遅れが致命傷になる。登録後の無効審判(123条)は原則として特許権の存続中いつでも請求でき、共同出願違反を理由とする場合に除斥期間の制限はない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:特許法38条の共同出願義務は強行規定であり、共有者を欠いた出願は持分割合に関わらず不適法となる。共同発明者か否かは発明の技術的完成への実質的寄与によって判断され、単なる資金提供・一般的指示・補助作業は発明への寄与とは評価されないとするのが一般的理解である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行特許法(昭和34年法律第121号)の制定に伴い、共有に係る特許を受ける権利についての共同出願義務が規定された。
- 2.平成23年(2011年) 改正:冒認出願・共同出願違反への救済として移転登録請求制度(74条)が新設され、共同出願違反が無効化のみでなく真の権利者による権利回復にもつながる枠組みが整えられた。
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