特許法 第132条(共同審判)
クイックジャンプ
- 同一の特許権について特許無効審判又は延長登録無効審判を請求する者が二人以上あるときは、これらの者は、共同して審判を請求することができる。
- 2.共有に係る特許権について特許権者に対し審判を請求するときは、共有者の全員を被請求人として請求しなければならない。
- 3.特許権又は特許を受ける権利の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない。
- 4.第一項若しくは前項の規定により審判を請求した者又は第二項の規定により審判を請求された者の一人について、審判手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
この条文の基本情報
共同審判とは何ですか?
定義共同審判とは、特許法第132条に定められた規定で、「同一の特許権について特許無効審判又は延長登録無効審判を請求する者が二人以上あるときは、これらの者は、共同して審判を請求することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第132条(共同審判)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第132条の条文原文は「同一の特許権について特許無効審判又は延長登録無効審判を請求する者が二人以上あるときは、これらの者は、共同して審判を請求することができる。」で始まります。
- 特許法第132条は第六章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第132条の前の条は特許法第131条の2です。
- 特許法第132条の次の条は特許法第133条です。
- 特許法第132条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第132条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第132条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/132
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法132条は、共有に係る特許権について審判を請求するには共有者全員が共同して行うことを要し、共有者に対し請求するときは全員を被請求人とすべきことを定める。
Q · 共有の特許で審判を起こしたいのに、共有者の一人と連絡が取れないとどうなるの?
全員共同でないと審判請求は不適法で却下される
特許法132条3項により、共有に係る特許権について自ら審判を請求するには共有者全員が共同して請求しなければなりません。一人でも欠けると請求は不適法として却下されます。逆に他人の共有特許を無効にしたい場合は、2項により共有者全員を被請求人にしなければなりません。さらに4項により、共有者の一人に中断・中止の原因(死亡・破産等)が生じると、その効果は全員の手続に及びます。ただし審判の先の審決取消訴訟は、判例上、共有者一人でも単独で提起できます(最判平成14.2.22)。
解説
共同創業した会社で、二人の名前で特許を取得した。やがて共同創業者と袂を分かち、相手はその特許に無関心になった。そこへ競合が現れ、権利範囲を整理するため審判を起こしたい。ところが特許法132条3項があなたの足を止める。共有に係る特許権について審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない。つまり、連絡の取れなくなった元共同創業者の同意がなければ、あなた一人では審判すら起こせない。逆の局面もある。他人の共有特許を無効にしたいなら、2項により共有者全員を被請求人にしなければ請求が不適法になる。一人でも漏らせば、入口で却下される。共有という関係が、紛争の場面でいかに足枷になるかを、この条文は手続のレベルで突きつけてくる。
法的な位置づけ
特許法132条は特許無効審判等における共同審判を定める規定である。共有に係る権利について共有者が自ら審判を請求する場合は全員の共同請求を要し(3項)、共有特許権者を相手に請求する場合は全員を被請求人とすることを要する(2項)。一人に生じた中断・中止の原因は全員に効力を及ぼす(4項)。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登録原簿で共有者と持分を確定 特許登録原簿を取得し、全共有者と各持分を確認する。相続が絡む場合は相続人全員を戸籍等で洗い出し、共同審判に関与すべき当事者を漏れなく特定する
- 2.自ら請求する場合は全員を共同請求人に 共有に係る権利について審判を請求するときは、132条3項に従い共有者全員を共同請求人として審判請求書に記載する。一人でも欠けると不適法却下となるため、全員の同意を事前に取り付ける
- 3.相手にする場合は全員を被請求人に 他人の共有特許を無効にする側は、132条2項に従い共有者全員を被請求人として記載する。一社でも漏らすと請求が却下されうるため、原簿で被請求人適格を再確認する
- 4.協力しない共有者への対処を並行検討 連絡不能・非協力の共有者がいる場合、持分の買取による単独化、または追行委任の取得を検討する。紛争前であれば共有契約に追行権限条項を入れておく
- 5.審決取消訴訟は段階を分けて設計 審決に不服がある場合の審決取消訴訟は、判例上(最判平成14.2.22)共有者一人でも保存行為として単独提起できる。審判段階と訴訟段階で必要当事者が異なる点を踏まえ戦略を分ける
よくある質問 AI による整理
Q1共同審判とは何ですか?
共有特許などについて、共有者全員が共同して審判を請求し、または全員を被請求人として請求する制度です。特許法132条が定め、全員が揃わない請求は不適法となります。
Q2共有特許の無効審判は一人で起こせますか?
起こせません。共有に係る権利について自ら審判を請求するには、132条3項により共有者全員の共同請求が必要です。持分があっても単独請求は不適法として却下されます。
Q3固有必要的共同訴訟とは何ですか?
全員が当事者として揃わなければ訴えが不適法となり、判決も全員について合一に確定しなければならない訴訟類型です。共有特許の審判請求はこれに準じた扱いを受けます。
Q4共有者の一人が死亡すると審判はどうなりますか?
132条4項により、共有者の一人に中断・中止の原因があると、その効力は全員に及びます。手続は相続人等が受け継ぐまで全員について停止します。
Q5審決取消訴訟も全員でないと提起できませんか?
いいえ。判例(最判平成14.2.22)は保存行為として共有者一人による単独提起を認めています。審判は全員、取消訴訟は一人という非対称があります。
Q6他社の共有特許を無効にするには誰を相手にしますか?
132条2項により共有者全員を被請求人にする必要があります。一社でも漏らすと請求が不適法となり却下されるおそれがあります。
Q7相続で共有になった特許にも132条は適用されますか?
適用されます。一人が取得した特許でも死亡により複数の相続人が共有すれば、その時点から審判に全員の関与が必要になります。
Q8共有者が協力しない場合の対処法はありますか?
持分の買取による単独所有化、または追行委任の取得が実務上の対処です。紛争前に共有契約で追行権限を定めておくのが定石です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1共有者の一人が反対したら、本当に特許の審判は一切できないんですか?
3項により、共有特許について審判を請求するには共有者全員の共同が必要で、一人でも反対すれば請求は不適法となります。対処は、反対者の持分を買い取って単独所有にするか、追行委任を取り付けるか。実務のポイント:共有契約の時点で「審判や訴訟は一方が単独で追行できる」と定めておくのが実務の定石。この一文を入れ忘れた共有特許は、もめた瞬間に塩漬けになる。
Q2他社の特許を無効にしたいのに、その特許が複数社の共有だと面倒ですか?
2項により、共有特許への審判は共有者全員を被請求人にしなければなりません。一社でも漏らすと請求が却下されえます。逆に言えば、共有者の一社と先に和解やライセンスをまとめ、残りに絞る戦略も可能です。実務のポイント:被請求人を全員にする義務は負担に見えて、相手陣営の分断口にもなる。共有者間に温度差があるとき、弱い環から崩すのが攻める側の常套手段。
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分の持分なのだから、自分一人で審判を起こせる」と思いがちだが、3項は共有者全員の共同請求を要求する。持分があっても、単独での審判請求はそもそも不適法として却下される。
- 「全員でやればいいだけ」と軽く考える人が多いが、その深刻さは、連絡が取れない共有者が一人いるだけで権利行使が完全に凍結される点にある。相手の死亡、行方不明、非協力、どれか一つで手続全体が動かなくなる。
- あなたから見れば「審判」と「審判の取消訴訟」は地続きの一連の手続だが、最高裁から見れば別物。共有者全員での共同請求が必要な審判と、共有者一人でも単独提起できる審決取消訴訟(最判平成14.2.22)とでは、必要な人数が違う。この落差を知らないと、訴訟段階で不要な足踏みをする。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 132条:共同審判(共有時の当事者要件) | 123条:特許無効審判(審判の実体的対象) 178条:審決等取消訴訟(審判の次段階) |
| 共有者の必要人数 | 全員(請求人側も被請求人側も全員必須) | 審判の種類・請求人適格を定めるのみ 共有者一人でも単独提起可(最判平成14.2.22) |
| 欠けた場合の効果 | 請求が不適法として却下 | 請求人適格を欠けば不適法 単独でも保存行為として適法 |
| 手続の位置づけ | 特許庁での審判の入口要件 | 特許庁での審判本体 知財高裁での司法審査 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も共有専利権の処分・行使に共有者の関与を要し、紛争は固有必要的共同訴訟として合一確定が求められる点で日本と近い
韓国特許法も共同審判を規定し、共有者による審判請求・被請求において全員関与を要求する構造は日本132条と類似
ドイツは特許異議・無効手続と民訴の必要的共同訴訟(ZPO § 62)で合一確定を図る。日本132条4項の母法系にあたる
米国は共有特許について各共有者が原則独立に実施できる一方、訴訟では全共有者の joinder が要求される場面が多く、当事者要件の厳格さは日本と通じる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 共同創業者と決裂したあと、相手は音信不通。あなたは共有特許をめぐって相手方の特許への無効審判を仕掛けたいが、3項により共有者全員の共同請求が必須。もし元共同創業者が協力を拒んだら、あなたの権利行使はどこまで止まるのか?
- あなたの会社が他社の共有特許に無効審判を仕掛ける側。被請求人を代表取締役一人にした。実はその特許は二社共有だった。2項違反で請求が不適法とされ、無効資料を集めた数か月が水の泡になる。
- 親が遺した特許権を、あなたを含む三人の兄弟が相続して共有状態に。一人がその特許の無効審判に巻き込まれたとき、4項により中断や中止の効果は相続人全員に及ぶ。一人の事情が、全員の手続を止める。
- 審判係属中に共有者の一人が死亡。あと数日で口頭審理だった。手続は全員について中断し、あなたが準備した主張は、相続人が手続を受け継ぐまで一歩も前に進まない。
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず共有者を確定:登録原簿で全共有者と持分を確認。相続が絡むなら相続人全員を洗い出す2. 共有者全員の協力を取り付け、共同請求人として審判請求書に全員を記載(3項)。一人でも欠けると不適法却下3. 連絡不能や非協力の共有者がいる場合、持分の買取による集約、または追行委任の取得を検討4. 審判の先の審決取消訴訟は判例上一人で提起可能(最判平成14.2.22)なので、訴訟段階の戦略は審判段階と分けて立てる
訴えられた側:1. 相手の共有特許を無効にする側なら、登録原簿で共有者全員を確認し、2項に従い全員を被請求人にする。一人でも漏らせば却下リスク2. あなたが共有特許の被請求人側なら、共有者の一人について中断や中止の事由(死亡、破産等)があれば、4項により全員の手続が止まる点を確認し、時間を味方にできる3. 共有者間で防御方針が割れる場合は早期に調整4. 答弁の足並みを揃える(131条以下の方式に沿う)
時効(請求できる期限):特許無効審判の請求自体に出訴期間のような期限はなく、原則として特許権の存続中いつでも、消滅後も一定範囲で請求できる(請求人適格につき、最新の改正状況をご確認ください)。ただし審決に不服があるときの審決取消訴訟は、審決謄本の送達から30日(特許法178条3項)。共有者の一人に中断や中止の原因があれば、4項によりこの進行も全員について影響を受ける
学説
通説:132条の共同審判要件は、共有特許の権利関係を全員について合一に確定させる要請(固有必要的共同訴訟に準じる)に基づく。持分ごとに有効・無効が分かれる事態を防ぐための手続的強制と理解される。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める