特許法 第67条の7
クイックジャンプ
- 審査官は、第六十七条第四項の延長登録の出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
- 一その特許発明の実施に第六十七条第四項の政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められないとき。
- 二その特許権者又はその特許権についての専用実施権若しくは通常実施権を有する者が第六十七条第四項の政令で定める処分を受けていないとき。
- 三その延長を求める期間がその特許発明の実施をすることができなかつた期間を超えているとき。
- 四その出願をした者が当該特許権者でないとき。
- 五その出願が第六十七条の五第四項において準用する第六十七条の二第四項に規定する要件を満たしていないとき。
- 2.審査官は、第六十七条第四項の延長登録の出願について拒絶の理由を発見しないときは、延長登録をすべき旨の査定をしなければならない。
- 3.前項の査定があつたときは、延長登録をする。
- 4.前項の延長登録があつたときは、次に掲げる事項を特許公報に掲載しなければならない。
- 一特許権者の氏名又は名称及び住所又は居所
- 二特許番号
- 三第六十七条第四項の延長登録の出願の番号及び年月日
- 四延長登録の年月日
- 五延長の期間
- 六第六十七条第四項の政令で定める処分の内容
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第67条の7は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第67条の7の条文原文は「審査官は、第六十七条第四項の延長登録の出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。」で始まります。
- 特許法第67条の7は第一節に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第67条の7の前の条は特許法第67条の6です。
- 特許法第67条の7の次の条は特許法第67条の8です。
- 特許法第67条の7には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第67条の7 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第67条の7(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/67_7
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法67条の7は、審査官が存続期間延長登録の出願を五つの拒絶事由で審査し、該当しなければ延長登録の査定をすると定める規定。医薬品特許を最長5年延ばす関所となる。
Q · 薬の特許の延長登録って、審査官はどうやって認めるか決めているの?
五つの拒絶事由に一つでも当たれば拒絶、なければ延長登録されます
特許法67条の7は、審査官が存続期間延長登録の出願を審査するルールを定めます。①処分が実施に必要だったか②権利者が処分を受けているか③延長を求める期間が実施できなかった期間を超えていないか④出願人が特許権者か⑤準用要件を満たすか、の五つの拒絶事由のいずれかに該当すれば拒絶査定となり、いずれにも該当しなければ延長登録の査定をしなければなりません。認められれば医薬品・農薬の特許は最長5年延び、後発品の参入時期がその分ずれます。
解説
ある抗がん剤の特許切れが一年延びれば、製薬会社の売上は数百億円動き、あなたが安いジェネリックに乗り換えられる日も一年遠のく。その「延ばすか、止めるか」を最終判定するのが特許法67条の7だ。医薬品や農薬は、特許を取っても国の承認や登録が下りるまで何年も売れない。その「売れなかった期間」を最長5年まで特許の寿命に足し戻すのが存続期間の延長登録で、67条の7は審査官がその出願を認めるか拒絶するかの分かれ道を定めている。拒絶理由は5つ。承認がそもそも実施に必要だったか、延ばそうとする期間が実際に売れなかった期間を超えていないか、出願人が本当の特許権者か。読み解くべきは、この条文が製薬会社とジェネリックメーカーが数百億円を賭けて殴り合う土俵そのものだという事実だ。あなたが当事者でなくても、薬局で払う薬代の何割かは、この一条の判定結果で決まっている。
法的な位置づけ
特許法67条の7は、存続期間延長登録の出願に対する審査官の査定を定める規定である。第六十七条第四項の政令で定める処分の必要性、権利者による処分の取得、延長期間が実施不能期間を超えないこと、出願人適格、準用要件の五つの拒絶事由のいずれにも該当しない場合に、延長登録をすべき旨の査定をしなければならないと規律する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象処分と出願期限を確定する 医薬品なら医薬品医療機器等法の製造販売承認、農薬なら農薬取締法の登録など、延長の理由となる政令で定める処分を特定する。処分を受けた日から原則3か月以内、かつ存続期間満了前という期限をカレンダー管理する
- 2.実施できなかった期間を立証する資料を固める 延長を求める期間が「処分により実施できなかった期間」を超えないよう、治験開始日や承認申請日などの起算点を裏づける資料を整える。起算点をどこに置くかで延長期間が数か月変わる
- 3.延長登録の出願書類を提出する 特許庁に延長登録出願を行う。出願人が特許権者本人であること、延長を求める期間の主張、対象処分の内容を明確に記載する。名義のずれは四号で即拒絶になるため要注意
- 4.拒絶理由通知が来たら号ごとに反論する 審査官から拒絶理由通知が届いたら、どの号(一号〜五号)が根拠かをまず特定する。三号(期間超過)なら起算点を治験開始時まで遡る主張、一号なら処分が実施に不可欠だった事実関係を立証して意見書・補正で応答する
- 5.拒絶査定が出たら不服審判を検討する 拒絶査定の謄本送達から3か月以内なら、拒絶査定不服審判(特許法121条)を請求する。審判官による再審理で査定を覆せる余地がある。期限を過ぎると確定するため最優先で動く
よくある質問 AI による整理
Q1特許の存続期間延長登録とは何ですか?
医薬品や農薬が承認・登録待ちで販売できなかった期間を、最長5年まで特許の存続期間に足し戻す制度です。特許法67条第4項が根拠で、67条の7で審査されます。
Q2特許の延長登録は最長何年ですか?
最長5年です。ただし実際に足せるのは、処分により特許発明を実施できなかった期間の範囲内で、その期間が5年を超える場合でも上限は5年に制限されます。
Q3延長登録の出願はいつまでにすればいいですか?
政令で定める処分を受けた日から原則3か月以内、かつ存続期間の満了前です。満了が迫っていれば猶予はさらに短く、一日でも過ぎると延長は一切認められません。
Q4延長登録が拒絶される理由は何ですか?
①処分が実施に必要と認められない②権利者が処分を受けていない③延長期間が実施不能期間を超える④出願人が特許権者でない⑤準用要件を満たさない、の五つです。
Q5延長登録無効審判とは何ですか?
認められた延長登録を、出願時に戻って五つの拒絶事由のいずれかを突いて覆す審判です。特許法125条の3が根拠で、後発品メーカーの参入戦略として使われます。
Q6延長された特許権はどこまで効力が及びますか?
承認を受けた用途・効能などの範囲に限定されます(特許法68条の2)。同じ薬でも別の効能で使えば延長された特許の侵害にならない余地があります。
Q7延長登録が拒絶されたら覆せますか?
拒絶査定の謄本送達から3か月以内なら、拒絶査定不服審判(特許法121条)を請求して審判官の再審理を受けられます。期限管理が最優先です。
Q8延長登録の対象になる処分は何ですか?
医薬品医療機器等法の製造販売承認や、農薬取締法の登録など、政令で定める処分です。安全性確保のために国の許可が必要な分野が対象になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1薬の特許って20年で切れるんじゃないんですか? なんで延長されるんですか?
原則は出願から20年ですが、医薬品は国の承認(医薬品医療機器等法)が下りるまで何年も販売できません。その「売れなかった期間」を最長5年まで特許に足し戻すのが67条第4項の延長登録で、67条の7はそれを認めるかを審査官が判定します。実務のポイント:延長は自動ではなく出願制で、期限を逃すと一日も延びません。先発メーカーの法務が最も神経を使うのがこの出願期限の管理で、ここでミスした特許は本来取れたはずの延長を丸ごと失います。
Q2ジェネリックがなかなか出ないのは、この延長のせいですか?
大きく関係します。延長登録が認められると、その薬の特許は最長5年延び、後発品の参入もその分遅れます。ただし延長された特許権の効力は承認を受けた用途の範囲に限られる(68条の2)ので、効能や剤形が違えば参入できる余地もあります。実務のポイント:ジェネリックメーカーは延長登録の有効性を延長登録無効審判で攻めます。一号(処分の必要性)で崩せれば参入が数年早まるため、ここは数百億円規模の攻防になります。
Q3延長登録の出願が拒絶されたら、もう打つ手はないんですか?
あります。拒絶査定の謄本が届いてから3か月以内なら拒絶査定不服審判(121条)を請求でき、審判官による再審理を受けられます。拒絶理由のどの号が根拠かで反論の組み立てが変わります。実務のポイント:実務で最も争いになるのは三号の「実施できなかった期間」の長さで、治験をいつ始めたかの起算点を数か月ずらせるかが延長期間を左右します。知財高裁の大合議でこの起算点が争われた経緯があり、専門の弁理士や弁護士はこの一点に注力します。
間違えやすい点 AI による整理
- 「特許は出願から20年で必ず切れる」という前提で薬の特許切れを予測している人が多い。だが医薬品では67条の7の延長登録が通れば最長5年上乗せされる。「20年後に安くなる」と引いたカレンダーそのものが、最初から間違っている
- 延長登録があることは知っていても、延長された特許権の効力が「承認を受けた用途や効能の範囲」に絞られる(68条の2)ことまでは見落とされがちだ。延長は取れても、別の効能で使えば侵害にならない。延長の強さは、思っているより限定的である
- 出願人から見れば「何年も売れなかったのだから当然延ばせる」と映る。だが審査官から見れば、その期間が本当に「実施できなかった期間」だったかは一号から三号で厳しく問われる。この見え方の落差が、準備不足の出願を拒絶査定に追い込む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 67条の7:延長登録出願の査定(拒絶/登録の分岐) | 67条:存続期間と延長の根拠(第4項) 125条の3:認められた延長登録を覆す無効審判 |
| 誰が使うか | 審査官(出願の可否を判定) | 特許権者(延長を求める側の根拠) 後発品メーカー等(延長を崩す側) |
| 効力の限定 | 拒絶事由に該当しなければ延長登録 | 延長は最長5年が上限 68条の2が延長効力を承認範囲に限定 |
| 争う手段 | 拒絶査定不服審判(121条) | 延長登録出願(67条の5) 延長登録無効審判(125条の3) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も医薬品・農薬の専利権期間延長を認め、延長期間の上限と対象処分を法定する点で日本と類似。延長の可否を主管機関が審査する構造も共通
韓国も許可等に伴う特許権存続期間の延長制度を持ち、最長5年の上限と実施できなかった期間の要件が日本と近い
ドイツは国内特許法ではなく EU の補充的保護証明書(SPC)制度で医薬品特許を延長する。制度設計は各国個別ではなく EU 規則により統一されている
米国は1984年の Hatch-Waxman 法で特許期間回復を導入。規制審査で失われた期間を補填する発想は日本の延長登録の背景思想と共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 新薬の製造販売承認がやっと下りた。だが延長登録の出願には期限がある。処分を受けた日から原則3か月、しかも存続期間の満了が迫っていれば猶予はもっと短い。一日でも過ぎれば、何年もの開発期間に対する延長はゼロになる。残された時間で出願書類の「実施できなかった期間」の主張を固められるかが勝負だ
- 先発メーカーが取った延長登録、本当に有効なのか? もしその承認が特許発明の実施に必要だったと言えないなら、67条の7第1項一号で拒絶されるべきだったかもしれない。延長が崩れれば、あなたの会社は数年早く市場に入れる
- 出願人の名義が特許権者とずれていた。67条の7第1項四号、それだけで拒絶だ。グループ会社間で特許を移転した直後の出願は、この一点で落ちる
- 審査官から「延長を求める期間が実施できなかった期間を超えている」と拒絶理由通知が来た。承認申請より前に治験を始めた日をいつと見るか、その起算点ひとつで延長期間が数か月変わる。ここを争えば、特許の寿命が数か月伸びる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 拒絶理由通知が来たら、どの号(一号から五号)を根拠にしているかをまず特定する。理由ごとに反論の筋が全く違う2. 一号(処分の必要性)なら、その承認が特許発明の実施に不可欠だった事実関係を、治験計画や承認書類で立証する3. 三号(期間超過)なら「実施できなかった期間」の起算点を治験開始時まで遡る主張で延長期間を確保する4. 拒絶査定が出ても、謄本送達から3か月以内なら拒絶査定不服審判(121条)で覆せる。期限管理を最優先に動く
訴えられた側:1. 他社の延長登録を崩すなら、延長登録無効審判(125条の3)を検討する。出願時に戻って5つの拒絶事由のどれかを突く2. 最有力は一号、その承認が本当に実施に必要だったかをベバシズマブ事件(最判平成27年)の枠組みで争う3. 二号(権利者が処分を受けていない)、四号(出願人が特許権者でない)は形式面で崩せる隠れた急所4. 延長を無効化できれば、その分だけ後発品の市場参入が前倒しになる。費用対効果は参入時期の価値で測る
時効(請求できる期限):延長登録の出願自体は、政令で定める処分を受けた日から原則3か月以内、かつ存続期間の満了前(詳細は特許法施行規則、最新の改正状況をご確認ください)。拒絶査定不服審判の請求は拒絶査定謄本の送達から3か月以内(121条)。延長登録無効審判(125条の3)に請求期間の制限はない
学説
通説:67条の7の五つの拒絶事由は限定列挙であり、審査官はこれに該当しない限り延長登録の査定をしなければならない。実務上最も争われるのは一号(処分の必要性)と三号(延長期間が実施不能期間を超えるか)で、実施できなかった期間の起算点の認定が延長期間を左右するとされる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和62年(1987年) 新設:特許法改正により医薬品・農薬等を対象とする存続期間延長登録制度を導入。承認・登録待ちで実施できなかった期間を最長5年まで補填する仕組みと、その査定手続の骨格が置かれた
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める