実用新案法 第25条(質権)
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- 実用新案権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該登録実用新案の実施をすることができない。
- 2.特許法第九十六条(物上代位)の規定は、実用新案権、専用実施権又は通常実施権を目的とする質権に準用する。
- 3.特許法第九十八条第一項第三号及び第二項(登録の効果)の規定は、実用新案権又は専用実施権を目的とする質権に準用する。
この条文の基本情報
質権とは何ですか?
定義質権とは、実用新案法第25条に定められた規定で、「実用新案権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該登録実用新案の実施をすることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 実用新案法第25条(質権)は、日本の実用新案法に含まれる条文です。
- 実用新案法第25条の条文原文は「実用新案権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該登録実用新案の実施をすることができない。」で始まります。
- 実用新案法第25条は第一節 実用新案権に置かれています。
- 実用新案法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 実用新案法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 実用新案法第25条の前の条は実用新案法第24条です。
- 実用新案法第25条の次の条は実用新案法第26条です。
- 実用新案法第25条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第25条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000123 - 本サイト収録
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第25条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000123/25
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点実用新案法25条は、実用新案権等への質権について、質権者は特約がなければ実施できず(1項)、効力はライセンス料等に物上代位し(2項)、登録が効力発生要件である(3項)と定める。
Q · 実用新案を担保にしたら、質権を取った銀行はその技術を自由に使えるの?
原則使えない。特約がない限り質権者は実施できない(1項)
実用新案法25条1項により、質権を設定しても、契約で特別の定めをしない限り、質権者(銀行など)は登録実用新案を実施できません。担保はあくまで返済が滞ったときに換価して優先弁済を受けるための価値であり、技術を使う権利は移りません。質権の効力はライセンス料・売却代金・侵害賠償金にも物上代位として及びますが(2項)、支払前の差押えが必要です。実用新案権・専用実施権への質権は登録が効力発生要件です(3項)。
解説
スタートアップが銀行から融資を受けるとき、差し出せる担保は不動産だけではない。あなたの会社が持つ実用新案権、つまり登録された考案そのものを質に入れて資金を引き出せる。実用新案法25条は、この「知的財産を担保にする」仕組みの骨格だ。ここで多くの経営者が踏み外す点が三つある。第一に、質権を取った債権者(銀行)は、契約で特約しない限り、その考案を自分で実施できない(1項)。担保に取っても、工場を動かして製品を作る権利までは移らない。第二に、質権の効力は考案そのものだけでなく、その権利から生まれるライセンス料や侵害賠償金にも及ぶ(2項、物上代位)。第三に、実用新案権や専用実施権への質権は、登録しなければ効力すら生じない(3項)。口約束や契約書だけでは担保にならず、登録を怠った瞬間、あなたの担保は紙くずに化ける。
法的な位置づけ
実用新案法25条は、実用新案権・専用実施権・通常実施権を目的とする質権の効力を定める規定である。質権者は契約に特約がない限り登録実用新案を実施できず、質権の効力はライセンス料等に物上代位し、実用新案権・専用実施権への質権設定は登録を効力発生要件とする。
手順
- 1.自社の知的財産を棚卸しして担保候補を特定 登録済みの実用新案権・専用実施権・通常実施権をリスト化し、市場価値と残存期間を確認する。不動産がなくても登録済みの考案が担保価値を持つため、融資交渉のカードとして整理する
- 2.質権設定契約を締結 債権者との間で被担保債権・対象権利・専属/付加の別を明記した質権設定契約を結ぶ。質権者にも実施させたい場合は1項の特約を入れるか検討するが、通常は不要
- 3.特許庁に質権設定を登録(効力発生要件) 実用新案権・専用実施権への質権は登録しなければ効力すら生じない(3項、特許法98条準用)。契約締結と同日に登録申請を進め、他の債権者に先を越されないようにする
- 4.債務者の経営悪化を察知したら物上代位を準備 ライセンス料・売却代金・侵害賠償金が債務者に支払われる前に、裁判所へ差押命令を申し立てる(2項、特許法96条準用)。支払後では一般財産に混ざり優先権を失うため、情報入手から差押えまでの速度が回収率を決める
よくある質問 AI による整理
Q1質権とは何ですか?
債務者が財産を担保として提供し、返済が滞ったときに債権者が優先弁済を受けられる権利です。実用新案権など知的財産権も質権の目的にできます。
Q2物上代位とは何ですか?
質権の効力が、目的物から生じる金銭(ライセンス料・売却代金・侵害賠償金)にも及ぶ仕組みです。支払前の差押えが必要です(25条2項)。
Q3通常実施権にも質権を設定できますか?
できます。25条1項は実用新案権・専用実施権・通常実施権のいずれも質権の目的にできることを前提としています。
Q4実用新案の質権はどこで登録しますか?
特許庁の実用新案登録原簿に登録します。実用新案権・専用実施権への質権は登録が効力発生要件です(25条3項)。
Q5知的財産担保融資のデメリットは?
技術の市場価値算定が難しく、単独では融資枠が伸びにくい点です。多くは不動産担保の補完として使われます。
Q6専用実施権と通常実施権の違いは?
専用実施権は登録により独占的に実施できる権利、通常実施権は独占性のない実施許諾です。いずれも質権の目的にできます。
Q7質権の順位はどう決まりますか?
登録の先後で決まります。先に登録した質権者が優先するため、契約と登録は同日に動かすのが実務の鉄則です。
Q8返済後に質権はどうなりますか?
被担保債権が消滅すれば質権も消滅します。実務では質権抹消登録を行い、登録原簿から削除します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1実用新案を担保にお金を借りられるって本当ですか? 不動産がなくても?
本当だ。実用新案法25条と特許法の準用規定により、実用新案権・専用実施権・通常実施権はいずれも質権の目的にできる。不動産がなくても、登録された考案そのものが担保価値を持つ。実務のポイント:実務では知財単独の担保融資は技術の市場価値算定が難しく、不動産担保の補完として使われることが多い。だが近年は知財を含む事業全体を担保にする制度整備も進んでおり、無形資産での資金調達の幅は広がっている(最新の改正状況をご確認ください)
Q2質権を設定した銀行が、勝手にうちの技術で商品を作ったりしませんか?
しない。25条1項により、契約で特別の定めをしない限り、質権者(銀行)はその登録実用新案を実施できない。担保はあくまで返済が滞ったときに換価して回収するための価値であり、技術を使う権利は移らない。実務のポイント:不動産質権では質権者が目的物を使用・収益できる場合があるが(民法356条)、知的財産の質権は逆に実施が原則制限されている。技術の実施には専門設備やノウハウが要り、債権者が実施しても担保価値の維持にならないため、立法が原則禁止にしている
Q3登録さえすれば質権は安全ですか?
登録は効力発生の最低条件だが、それだけで安全とは言えない(3項)。先に登録した質権者が優先するため、登録の先後が勝敗を分ける。また物上代位(2項)を実行するには、ライセンス料等が支払われる前に差押えが必要だ。実務のポイント:実務で最も多い失敗は『契約書は交わしたが登録を後回しにした』ケース。その間に債務者が別の債権者に質権を設定して先に登録すると、後から登録しても後順位に落ちる。契約と登録は同日に動かすのが鉄則
間違えやすい点 AI による整理
- 「質に取った銀行は、その技術を勝手に使える」と思われがちだが、25条1項は逆。特約がない限り質権者は実施できない。担保はあくまで「お金を回収するための価値」であって、技術を使う権利ではない
- 質権の登録が必要なことは知っていても、それが「対抗要件」ではなく「効力発生要件」だと知らない人が多い(3項、特許法98条準用)。不動産の抵当権は登録しなくても当事者間では有効だが、実用新案権の質権は登録しないと当事者間ですら効力が生じない。この差は致命的
- 「担保に取ったのだから、相手のライセンス料は当然もらえる」と考えるのは、前提そのものが違う。物上代位(2項)は、お金が債務者に支払われる前に差押えをして初めて成立する。支払われた後では一般財産に混ざり、優先権は消える。問うべきは『もらえるか』ではなく『支払前に差押えできたか』だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 質権の客体 | 実用新案権(25条) | 専用実施権(18条) 通常実施権(19条) |
| 登録の位置づけ | 登録が効力発生要件(3項、特許法98条準用) | 登録が効力発生要件(3項、特許法98条準用) 登録制度の扱いが異なり、効力発生要件とはされない |
| 質権者の実施 | 特約がない限り実施不可(1項) | 特約がない限り実施不可(1項) 特約がない限り実施不可(1項) |
| 物上代位 | ライセンス料等に及ぶ(2項、特許法96条準用) | ライセンス料等に及ぶ(2項、特許法96条準用) ライセンス料等に及ぶ(2項、特許法96条準用) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も特許権・新型特許権への質権設定を認め、専利法上は登録を対抗要件とする。権利質の一般法は民法第900条以下に置かれる点が日本と類似する
中国は登録された商標専用権・特許権・著作権中の財産権を質権の目的とし、出質登録時に質権が設定されると定める。登録を効力発生時点とする点で日本に近い
ドイツは権利への質権を BGB の権利質規定で扱い、実用新案(Gebrauchsmuster)は GebrMG が規律する。無体財産権への質権という発想の源流に位置する
米国は知的財産への担保権を UCC 第9編の security interest として構成し、特許の譲渡・担保は USPTO への記録で第三者対抗力を得る。登録の意味づけが日本の効力発生要件とは異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたのスタートアップが画期的な日用品の構造を実用新案登録し、それを担保に3,000万円の融資を受けた。半年後、銀行が「うちでその商品を作って売る」と言い出したら? 25条1項により、特約がなければ銀行にその権利はない。あなたは担保に出しても、自分で製造販売を続けられる
- もし、あなたが他社にライセンスして毎月ロイヤリティ収入があり、その実用新案権に質権が設定されていたら? 会社が返済不能になった瞬間、質権者はそのロイヤリティを直接押さえられる(2項、物上代位)。ただし、お金が相手に支払われる前に差押えをしなければならない。タイミングを逃せば、担保は空振りに終わる
- 質権者である銀行の担当者として、債務者の倒産情報を掴んだ。実用新案のライセンス料が来月末に債務者へ振り込まれる。物上代位を実行するには支払前に差押命令を取る必要がある。残り3週間、動かなければ担保価値はゼロになる
- 契約書に質権設定と書いて押印した。だが特許庁への登録を忘れた。一週間後、別の債権者が同じ実用新案に質権を登録した。3項により、登録した方が勝つ。あなたの担保は後順位に転落する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 質権設定契約を結んだら、最優先で特許庁に質権設定の登録をする(3項)、登録しなければ効力すら生じない2. 必要なら契約書で『質権者も実施できる』特約を入れるか検討(1項)、ただし通常は不要3. 債務者の経営悪化を察知したら、ライセンス料・売却代金・侵害賠償金への物上代位を準備(2項)、支払前の差押命令取得が勝負4. 他の債権者との優先順位は登録の先後で決まる、登録は早いほど強い
訴えられた側:1. 質権を設定しても、特約がなければ自分で考案を実施し続けられる(1項)、製造販売を止める必要はない2. 質権設定の登録内容を確認、返済完了後は質権抹消登録を忘れずに3. 物上代位の対象(ライセンス料等)があるなら、二重払いのリスクに注意4. 同じ実用新案に複数の質権を重ねる場合、後順位質権者には優先順位の低さを正直に説明する
時効(請求できる期限):質権の設定・移転・消滅は登録が効力発生要件(3項、特許法98条準用)、遅れた分だけ他の債権者に先を越されるリスクが続く。物上代位は対象の金銭が債務者に支払われる前に差押えをしなければならない(2項、特許法96条準用)。特定の時効はないが、被担保債権が時効消滅(民法166条、債権は権利行使可能時から5年または10年)すれば質権も消滅する
学説
通説:実用新案権等への質権は、特許法95条・96条・98条の準用構造を前提に理解される。質権者の実施は原則禁止され(担保価値の維持と権利者の事業継続のため)、効力はライセンス料等に物上代位し、実用新案権・専用実施権への質権は登録が効力発生要件とされる点が制度の骨格と解されている。
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