要点実用新案法 25 条は、実用新案権等への質権について、質権者は特約がなければ実施できず(1 項)、効力はライセンス料等に物上代位し(2 項)、登録が効力発生要件である(3 項)と定める。
Q · 実用新案を担保にしたら、質権を取った銀行はその技術を自由に使えるの?
原則使えない。特約がない限り質権者は実施できない(1 項)
実用新案法 25 条 1 項により、質権を設定しても、契約で特別の定めをしない限り、質権者(銀行など)は登録実用新案を実施できません。担保はあくまで返済が滞ったときに換価して優先弁済を受けるための価値であり、技術を使う権利は移りません。質権の効力はライセンス料・売却代金・侵害賠償金にも物上代位として及びますが(2 項)、支払前の差押えが必要です。実用新案権・専用実施権への質権は登録が効力発生要件です(3 項)。
スタートアップが銀行から融資を受けるとき、差し出せる担保は不動産だけではない。あなたの会社が持つ実用新案権、つまり登録された考案そのものを質に入れて資金を引き出せる。実用新案法 25 条は、この「知的財産を担保にする」仕組みの骨格だ。ここで多くの経営者が踏み外す点が三つある。第一に、質権を取った債権者(銀行)は、契約で特約しない限り、その考案を自分で実施できない(1 項)。担保に取っても、工場を動かして製品を作る権利までは移らない。第二に、質権の効力は考案そのものだけでなく、その権利から生まれるライセンス料や侵害賠償金にも及ぶ(2 項、物上代位)。第三に、実用新案権や専用実施権への質権は、登録しなければ効力すら生じない(3 項)。口約束や契約書だけでは担保にならず、登録を怠った瞬間、あなたの担保は紙くずに化ける。
実用新案法 25 条は、実用新案権・専用実施権・通常実施権を目的とする質権の効力を定める規定である。質権者は契約に特約がない限り登録実用新案を実施できず、質権の効力はライセンス料等に物上代位し、実用新案権・専用実施権への質権設定は登録を効力発生要件とする。
債務者が財産を担保として提供し、返済が滞ったときに債権者が優先弁済を受けられる権利です。実用新案権など知的財産権も質権の目的にできます。
質権の効力が、目的物から生じる金銭(ライセンス料・売却代金・侵害賠償金)にも及ぶ仕組みです。支払前の差押えが必要です(25 条 2 項)。
できます。25 条 1 項は実用新案権・専用実施権・通常実施権のいずれも質権の目的にできることを前提としています。
特許庁の実用新案登録原簿に登録します。実用新案権・専用実施権への質権は登録が効力発生要件です(25 条 3 項)。
技術の市場価値算定が難しく、単独では融資枠が伸びにくい点です。多くは不動産担保の補完として使われます。
専用実施権は登録により独占的に実施できる権利、通常実施権は独占性のない実施許諾です。いずれも質権の目的にできます。
登録の先後で決まります。先に登録した質権者が優先するため、契約と登録は同日に動かすのが実務の鉄則です。
被担保債権が消滅すれば質権も消滅します。実務では質権抹消登録を行い、登録原簿から削除します。
本当だ。実用新案法 25 条と特許法の準用規定により、実用新案権・専用実施権・通常実施権はいずれも質権の目的にできる。不動産がなくても、登録された考案そのものが担保価値を持つ。業界裏話ヒント:実務では知財単独の担保融資は技術の市場価値算定が難しく、不動産担保の補完として使われることが多い。だが近年は知財を含む事業全体を担保にする制度整備も進んでおり、無形資産での資金調達の幅は広がっている(最新の改正状況をご確認ください)
しない。25 条 1 項により、契約で特別の定めをしない限り、質権者(銀行)はその登録実用新案を実施できない。担保はあくまで返済が滞ったときに換価して回収するための価値であり、技術を使う権利は移らない。業界裏話ヒント:不動産質権では質権者が目的物を使用・収益できる場合があるが(民法 356 条)、知的財産の質権は逆に実施が原則制限されている。技術の実施には専門設備やノウハウが要り、債権者が実施しても担保価値の維持にならないため、立法が原則禁止にしている
登録は効力発生の最低条件だが、それだけで安全とは言えない(3 項)。先に登録した質権者が優先するため、登録の先後が勝敗を分ける。また物上代位(2 項)を実行するには、ライセンス料等が支払われる前に差押えが必要だ。業界裏話ヒント:実務で最も多い失敗は『契約書は交わしたが登録を後回しにした』ケース。その間に債務者が別の債権者に質権を設定して先に登録すると、後から登録しても後順位に落ちる。契約と登録は同日に動かすのが鉄則
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 質権の客体 | 実用新案権(25 条) | — |
| 登録の位置づけ | 登録が効力発生要件(3 項、特許法 98 条準用) | — |
| 質権者の実施 | 特約がない限り実施不可(1 項) | — |
| 物上代位 | ライセンス料等に及ぶ(2 項、特許法 96 条準用) | — |
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