意匠法 第3条の2
クイックジャンプ
意匠登録出願に係る意匠が、当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であつて当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの(以下この条において「先の意匠登録出願」という。)の願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは、その意匠については、前条第一項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。ただし、当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であつて、第二十条第三項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があつたときは、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 意匠法第3条の2は、日本の意匠法に含まれる条文です。
- 意匠法第3条の2の条文原文は「意匠登録出願に係る意匠が、当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であつて当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載された…」で始まります。
- 意匠法第3条の2は第二章 意匠登録及び意匠登録出願に置かれています。
- 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 意匠法第3条の2の前の条は意匠法第3条です。
- 意匠法第3条の2の次の条は意匠法第4条です。
- 意匠法第3条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第3条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 本サイト収録
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第3条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/3_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点意匠法3条の2は、出願時に未公開だった先願の図面に現された意匠の一部と後願が同一・類似なら、後願の意匠登録を拒む拡大先願の規定。先願と出願人が同一なら例外となる。
Q · 完璧に意匠調査したのに、後から拒絶された。これって防げなかったの?
原則防げない。ただし先願と出願人が同一なら登録できる。
意匠法3条の2により、出願日前の他人の先願で、その出願後に意匠公報へ掲載されたものの願書・図面に現された意匠の一部と、あなたの意匠が同一または類似なら、新規性(3条1項)を満たしていても登録は拒まれます。出願時点で先願はまだ非公開のため、どれだけ調査しても見つけられません。ただし、先願と後願の出願人が同一であれば、この拒絶は適用されません(ただし書)。
解説
プロダクトデザイナーとして、製品の取っ手だけを部分意匠として出願したとする。数か月後、特許庁から「登録できません」の通知が届く。理由を読むと、半年前に別の会社が製品全体を意匠出願していて、その図面の中にあなたの取っ手とそっくりの形が描かれていた。問題は、その先願があなたの出願時点ではまだ意匠公報に載っていなかったこと。つまり、あなたがどれだけ検索しても見つけようがなかった相手に、後から負ける。これが意匠法3条の2、通称「拡大先願」だ。通常の新規性(3条1項)は出願時点で世に出ている意匠だけを問題にするが、3条の2は、まだ非公開の先願の願書・図面に現された意匠の『一部』とあなたの意匠が同一または類似なら、それだけで登録を拒む。ただし救いもある。先願と後願の出願人が同一の者であれば、この壁は消える。誰の名義でいつ出すか、その設計が結果を分ける。
法的な位置づけ
意匠法3条の2は拡大先願を定める規定であり、出願日前の他の意匠登録出願であって出願後に意匠公報へ掲載された先願の願書・図面に現された意匠の一部と、後願の意匠が同一または類似である場合に、後願の登録を排除する。通常の新規性要件(3条1項)の例外的拡張であり、先願と後願の出願人が同一であれば適用されない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.拒絶理由通知の引用先願を入手し対比部分を特定 拒絶理由通知が来たら、引用された先願の意匠公報を入手し、相手の願書・図面の『どの部分』が自分の意匠と対比されているかを正確に特定する
- 2.要部を比較し非類似の反論材料を収集 本当に『同一又は類似』か、需要者の注意を引く要部(デザインの肝)を正面から比較し、相違点を抽出して反論材料を整える
- 3.出願人同一の例外(ただし書)該当性を確認 先願が実質的に自社・自社グループのものなら、出願人が『同一の者』に当たるかを名義関係から確認する。同一なら3条の2は適用されない
- 4.意見書・補正で応答期限内に対応 非類似を主張する意見書を作成し、必要なら補正で出願範囲を調整する。応答期限(通常40日)内に提出する
- 5.次回出願は全体+部分を同一名義・同日で固める 再発防止として、新製品は全体意匠と主要パーツの部分意匠を同一の出願人名義・同日で多層的に出願し、自社内の先後願による自滅を構造的に防ぐ
よくある質問 AI による整理
Q1拡大先願とは何ですか?
出願時にまだ公報未掲載の先願の図面に現された意匠の一部と後願が同一・類似なら、後願を拒む制度です。意匠法3条の2が根拠で、通常の新規性(3条1項)の例外的拡張です。
Q2意匠法3条の2の拒絶理由は反論できますか?
引用先願の図面のどの部分が対比されたかを特定し、要部を比較して非類似を意見書で主張できます。補正で出願範囲を調整する手段もあります。
Q3拡大先願と通常の先願(9条)の違いは何ですか?
9条は同一・類似の意匠『全体』同士の先後を調整します。3条の2は先願全体の『一部』と後願を比較する非対称な点が特徴です。
Q4部分意匠が拡大先願で拒絶されたらどうすればいい?
相手の全体図に写り込んだ部分と自分の部分意匠の対比を確認し、需要者の注意を引く要部の相違を意見書で主張します。応答期限内の対応が必須です。
Q5意匠の拒絶理由通知への応答期限はいつまでですか?
通常は発送日から40日(在外者は3月)以内に意見書を提出します。期限を過ぎると拒絶査定に進むため、早期の戦略決定が重要です。
Q6出願人が同一なら拡大先願の例外になりますか?
なります。先願と後願の出願人が同一の者であれば3条の2は適用されません。ただし親会社と子会社は別法人で同一とは扱われません。
Q7意匠公報はいつ発行されますか?
原則として意匠権の設定登録後に発行されます(意匠法20条3項・66条)。出願から登録・掲載までの間、先願は非公開のままです。
Q8競合の先願に拡大先願で対抗できますか?
競合の公報発行後、その出願日が自社より前なら、相手の審査に情報提供(刊行物等提出)で3条の2を指摘できます。掲載直後の数週間が勝負です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1出願前にちゃんと意匠調査したのに3条の2で拒絶されました。調査のミスでは?
ミスとは限りません。3条の2が問題にするのは、あなたの出願時点でまだ意匠公報に掲載されていない先願です(意匠法3条の2)。公開されていない出願はどんな調査でも見つけられないので、原理的に防ぎようのない衝突です。実務のポイント: 実務家はこれを『見えない先願』と呼び、重要製品では全体意匠と部分意匠を同時に多数出願して網を張ります。調査で『安全』が出ても、それは『現時点で見える範囲で』という限定付きだと理解している人だけが、出願戦略を多層化している
Q2相手は製品全体、こっちは部品の形だけ。守ってる範囲が違うのに、なんで拒絶?
3条の2は、先願の図面に『現された意匠の一部』とあなたの意匠が同一・類似なら拒絶すると定めています。全体対全体ではなく、相手の全体図に写り込んだ部分とあなたの部分意匠を比較する非対称な構造です(意匠法3条の2)。実務のポイント: だからこそ大手は製品全体の意匠を出すとき、後発の部分意匠を封じる『地雷』として機能することを計算に入れている。全体意匠の出願は、自社製品の保護であると同時に、他社の部分意匠を未然に潰す盾でもある
Q3グループ会社が先に似た意匠を出してたら、うちはもう出せないんですか?
原則として拒絶されます。3条の2ただし書の例外は『出願人が同一の者』である場合に限られ、親会社と子会社は別法人なので同一とは扱われません(意匠法3条の2ただし書)。実務のポイント: グループで意匠ポートフォリオを組むなら、出願名義をどの法人に集約するかを最初に設計するのが鉄則。名義がバラバラだと、自社グループの先願が自社の後願を殺す『同士討ち』が起きる。これを知らない法務部は意外に多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「出願前にしっかり意匠調査をして似たものが無ければ安全」と思い込んでいるが、3条の2が問題にするのは、あなたの出願時点でまだ公報に掲載されていない先願だ。どれほど完璧に調査しても、原理的に見つけられない出願に負けることがある
- 3条の2の存在自体は知っていても、それが『意匠の一部』にまで及ぶ深刻さを見落としがちだ。相手が製品全体を出願していれば、その図面に写り込んだ部品・模様・形状の一部分とあなたの意匠が似ているだけで拒絶される。全体対全体ではなく、相手の全体の一部対あなた、という非対称な比較が効く
- 「出願人が同一なら例外があるのだから、グループ会社でまとめて出せば安全」と考える人がいるが、問いの立て方が甘い。例外が効くのは出願人が『同一の者』である場合に限られ、親会社と子会社は別法人として同一とは扱われない。誰の名義で出すかを最初に設計しないと、自社グループの先願で自社が拒絶される
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 比較の対象 | 3条の2:先願の図面に現された意匠の『一部』と後願を比較 | 3条1項:出願時に公開済みの意匠と後願を比較(新規性) 9条:同一・類似の意匠『全体』同士の先後を調整 |
| 先願の公開状態 | 出願時は未公開、出願後に公報掲載された先願 | 出願時に既に公知・刊行物記載等で公開 公開・非公開を問わず同日・先後で調整 |
| 調査での発見可能性 | 原理的に発見不能(出願時未公開) | 調査で発見可能(公開情報) 出願ベースで競合監視により把握可能 |
| 回避・例外手段 | 出願人が同一なら適用なし(ただし書) | 新規性喪失の例外(4条)等 協議・先願の地位調整 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は設計専利について発明の擬制喪失新規性(23条)を準用し、先願の図面に開示された内容で後願を排除する点が日本3条の2に近い。
韓国の확대된 선출원は、先出願の図面に表現された意匠の一部と後出願が同一・類似なら登録を排除する点で日本3条の2と構造が酷似する。
ドイツ・EU意匠は新規性と独自性を要件とするが、未公開先願の一部を後願排除に用いる日本型の拡大先願に厳密に対応する規定の有無は人的検証を要する。
米国は意匠特許(design patent)の先行技術に秘密先願(先に出願され後に公開された出願)を含める点で機能的に近いが、判断枠組みは異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが完璧な先行意匠調査をして「類似なし」を確認してから出願したのに、半年後に拒絶理由通知が来たとしたら? 引用された相手は、あなたの出願時点でまだ公報未掲載だった先願。調査会社の落ち度ではなく、制度上避けようのない衝突だ
- スタートアップが画期的なガジェットの『充電端子の形』だけを部分意匠で出願した。だが大手が三か月前に製品全体を意匠出願していて、その図面に同じ端子形状が描かれていた。あなたの尖った一点が、相手の全体図の片隅に呑まれて拒絶される
- ライバル会社の意匠公報が今朝発行された。出願日を見ると、あなたの出願より二日早い。あなたの登録は、まだ審査中でも足元が崩れかけている
- 拒絶理由通知の応答期限まであと40日。3条の2を覆すには、相手の図面のどの部分が本当に『あなたの意匠の一部と同一・類似』なのかを正面から争うしかない。意見書と補正の戦略を今週中に固めないと、権利そのものを失う
取るべき行動
被害を受けた側:1. 拒絶理由通知が来たら、引用された先願の意匠公報を入手し、相手の図面の『どの部分』があなたの意匠と対比されているか特定する2. 本当に『同一又は類似』か、需要者の注意を引く要部を比較して反論材料を集める3. 意見書で非類似を主張し、必要なら補正で出願範囲を調整する4. 先願と自社が実質的に同一主体なら、出願人同一の例外(ただし書)が使えないか名義関係を確認する
訴えられた側:1. 自社が先に全体意匠を出していれば、3条の2はあなたの『拡大された先願の地位』として後発の他社部分意匠を排除する武器になる2. 重要製品は全体意匠と主要部分意匠を同一名義・同日出願で多層的に固める3. 競合の公報を継続監視し、自社先願日より後の他社出願には情報提供(刊行物等提出)で3条の2を指摘する4. グループ出願は名義を集約し、同士討ちを防ぐ
時効(請求できる期限):拒絶理由通知への意見書提出は通常、発送日から40日以内(在外者は3月)。拒絶査定後の拒絶査定不服審判は、査定謄本の送達日から3月以内(意匠法第46条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:3条の2は『拡大された先願の地位』を後願排除の根拠とする。先願の図面に現された意匠の一部と後願が同一・類似であれば、後願出願時に先願が未公開でも、後の公報掲載により遡及的に拒絶される。出願人同一の場合は重複権の弊害がないため例外とされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成10年(1998年)頃 新設の可能性 部分意匠制度の導入に伴い、先願の図面に現された意匠の一部との衝突を規律する規定として新設されたと解されるが、その後の改正(令和元年意匠法改正等)による文言・掲載手続の修正の有無を含め、人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成10年(1998年) 新設:部分意匠制度の導入に伴い、先願の図面に現された意匠の一部との衝突を規律する規定として3条の2が新設されたと解される。以後の改正(手続・公報掲載関連)の有無は人的検証を要する。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める