意匠法 第40条(過失の推定)
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他人の意匠権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。ただし、第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権又は専用実施権の侵害については、この限りでない。
この条文の基本情報
過失の推定とは何ですか?
定義過失の推定とは、意匠法第40条に定められた規定で、「他人の意匠権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。ただし、第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 意匠法第40条(過失の推定)は、日本の意匠法に含まれる条文です。
- 意匠法第40条の条文原文は「他人の意匠権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。ただし、第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る…」で始まります。
- 意匠法第40条は第二節に置かれています。
- 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 意匠法第40条の前の条は意匠法第39条です。
- 意匠法第40条の次の条は意匠法第41条です。
- 意匠法第40条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第40条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 本サイト収録
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第40条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/40
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点意匠法40条は、意匠権を侵害した者に過失があったと推定する規定。意匠は意匠公報で公開されるため「知らなかった」は通らず、秘密意匠の場合のみ推定が外れる。
Q · デザインを真似された側が、相手の落ち度を証明しないといけないんですか?
逆です。無過失の証明責任は真似た側にあります
意匠法40条により、意匠権を侵害した者には過失があったものと推定されます。つまり真似された権利者が相手の故意・過失を立証する必要はなく、侵害者の側が「自分は無過失だった」と証明できなければ過失が認定されます。登録意匠は意匠公報で公開されているため「調べていなかった」はむしろ注意義務違反を裏づけ、無過失の立証は極めて困難です。例外は第14条で公報非公開を請求した秘密意匠で、この場合のみ推定は働きません。
解説
競合他社が、あなたが苦労して登録した製品デザインをそっくり真似て売り出した。普通の損害賠償なら、あなたが相手の「故意か過失」を立証しなければならない。だが意匠法40条は、その重荷を丸ごと相手側にひっくり返す。意匠権を侵害した者は、過失があったと推定される。つまり相手が「自分は知らなかった、注意も尽くしていた」と証明できない限り、過失は自動的に認定される。なぜこんな強力な武器があるのか。登録された意匠は意匠公報で公開されるため、世の中の誰もが調べられる状態に置かれる。だから「気づかなかった」という言い訳は原則通らない。ただし例外が一つ。第14条で秘密にすることを請求した秘密意匠は公報に載らないため、この推定は働かない。あなたが持つ武器が、いつ効いて、いつ効かないかを分ける一行がそこにある。
法的な位置づけ
意匠法40条は、意匠権侵害における過失の推定を定める規定であり、他人の意匠権または専用実施権を侵害した者は、その侵害行為について過失があったものと推定される。登録意匠が意匠公報で公開され調査可能であることを根拠に立証責任を侵害者へ転換するが、第14条の秘密意匠に係る侵害については推定が及ばない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の意匠権の有効性を先に固める 意匠公報の掲載と意匠登録原簿を確認し、登録意匠が有効に存続しているかを点検する。秘密意匠(14条)にしていないかも確認し、過失推定が使える状態かを把握する
- 2.侵害品と登録意匠の要部を対比する 相手の製品と登録意匠を並べ、需要者の注意を引く要部が類似しているかを整理する。現物・写真・販売ページを証拠として確保し、類似性を客観的に示せるようにする
- 3.意匠登録番号を明示した警告書を送付する 内容証明郵便で意匠登録番号と意匠公報の掲載事実、侵害事実を明示する。40条の過失推定が働くことを前提に、販売停止(差止)と損害賠償を要求する
- 4.応じなければ差止請求と損害賠償を提訴する 相手が応じない場合、差止請求(意匠法37条)と損害賠償を提訴する。損害額は意匠法39条の推定規定を併用し、立証負担を軽減する
よくある質問 AI による整理
Q1過失の推定とは何ですか?
本来は権利者が証明すべき相手の過失を、法律があらかじめ「あったもの」と扱う制度です。意匠法40条では、侵害者が無過失を立証しない限り過失ありとされます。
Q2意匠権侵害の損害賠償はいくらになりますか?
意匠法39条の損害額推定規定により、侵害品の譲渡数量や侵害者の利益額、ライセンス料相当額を基礎に算定されます。立証負担が軽減され、権利者に有利な算定が可能です。
Q3意匠公報はどこで調べられますか?
特許庁の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で登録意匠を検索・閲覧できます。公報掲載により第三者は調査可能とされ、過失推定の根拠になります。
Q4意匠権の存続期間は何年ですか?
2020年4月1日以降の出願は、出願日から25年です。存続期間が満了すると意匠権は消滅し、過失推定を含む権利行使はできなくなります。
Q5意匠権侵害で警告書が来たらどうすればいいですか?
まず相手の意匠登録が有効か、自社製品が要部で類似するかを確認します。過失は推定されるため、販売停止で損害拡大を止めつつ、無効審判や非類似の主張を検討します。
Q6過失の推定を覆すことはできますか?
理論上は無過失の立証で覆せますが、公報で公開されている以上、実務で認められるのはごく例外的な場面に限られます。侵害者側は無効審判で意匠権自体を争うことが多いです。
Q7意匠登録していないデザインは過失推定で守られますか?
守られません。40条の推定は登録意匠権・専用実施権に対する侵害が前提です。未登録デザインは原則として不正競争防止法や民法709条で別途争うことになります。
Q8意匠権侵害には刑事罰もありますか?
あります。意匠法は侵害罪を定め、10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金等が科され得ます。ただし40条の過失推定は民事の損害賠償に関する規定です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手が「意匠登録されてるなんて知らなかった」と言ってきたら、それで逃げられるんですか?
原則逃げられません。意匠法40条で過失が推定され、しかも登録意匠は意匠公報で公開されているため、「調べれば分かったはず」と評価されます。無過失を証明する責任は相手側にあり、それは極めて困難です。実務のポイント:実務で無過失が認められるのはごく例外的な場面(相手の意匠登録が後に無効になった、完璧な独自開発の証拠があるなど)に限られる。だから侵害者側の弁護士は、過失を争うより無効審判(意匠法48条)で意匠権そのものを潰しにくる。攻める側は自分の意匠権の有効性を先に固めておくべき
Q2秘密意匠って何ですか?それだとこの推定が効かないんですか?
秘密意匠は意匠法14条に基づき、登録後最長3年間その内容を意匠公報で公開しないよう請求できる制度です。公開されないため第三者は知りようがなく、40条但書で過失推定が外れます。実務のポイント:秘密意匠は手の内を隠せる反面、過失推定という強力な武器を自ら手放すトレードオフがある。実務では「公開してでも過失推定を取りに行く」か「秘密にして模倣の的になるのを避ける」かを、製品ライフサイクルと模倣リスクで判断する。両取りはできない
Q3特許でも同じように過失が推定されるんですか?
はい。特許法103条にほぼ同じ過失推定の規定があり、商標法も準用しています。登録され公開される産業財産権に共通する考え方です。ただし著作権には過失推定の規定がなく、原則どおり民法709条で権利者が相手の故意過失を立証します。実務のポイント:同じ「パクられた」でも、意匠・特許・商標で訴えれば過失推定の追い風があるが、著作権だけで攻めると立証の重荷が自分に残る。デザインの保護を著作権だけに頼らず意匠登録しておく実益はここにある
Q4OEM で発注元の図面どおり作っただけなのに、製造した自分も責任を負うんですか?
負う可能性が高いです。意匠権侵害は製造行為も対象で、製造した側も40条で過失が推定されます。「発注元の指示に従っただけ」という事情だけでは推定を覆せません。実務のポイント:実務では OEM 契約に「第三者の知的財産権を侵害しないことを発注元が保証し、紛争時は発注元が責任を負う」という補償条項(インデムニティ)を入れて、リスクを発注元に戻すのが定石。この一文の有無で、製造側が賠償を肩代わりさせられるか、発注元に求償できるかが変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「真似された側が相手の落ち度を証明しなければならない」と思い込んでいるが、意匠権侵害では逆。証明すべきは侵害者の側で、「自分に過失はなかった」を立証できなければ負ける
- 過失推定があること自体は知っていても、それを覆すことが実際どれほど困難かを知らない人が多い。意匠公報で公開されている以上、「調べていなかった」はむしろ注意義務違反を裏づけてしまい、無過失の立証はほぼ不可能に近い
- 「登録さえしておけば過失推定で必ず勝てる」と考えるのは問いの立て方が誤り。秘密意匠を選べば公報非公開で手の内を隠せるが、その代償としてこの過失推定が外れる。守りを固めたつもりが、攻めの武器を一本失っている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 過失の立証責任 | 意匠法40条:侵害者に過失を推定(立証責任を侵害者へ転換) | 民法709条:権利者が侵害者の故意・過失を立証 特許法103条:侵害者に過失を推定(意匠法と同趣旨) |
| 推定の根拠 | 登録意匠が意匠公報で公開され調査可能 | なし(不法行為の一般原則) 特許が特許公報で公開され調査可能 |
| 推定が外れる場合 | 第14条の秘密意匠(公報非公開)に係る侵害 | —(そもそも推定なし) 原則として外れる例外規定はなし |
| 併用する救済 | 差止請求(意匠法37条)・損害額推定(意匠法39条) | 損害賠償(民法709条・710条) 差止請求(特許法100条)・損害額推定(特許法102条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾はデザインを設計専利として専利法で保護し、損害賠償規定を準用する。日本のような明文の過失推定とは構造が異なる点に注意。
韓国デザイン保護法も過失の推定を明文化しており、日本意匠法40条と最も近い立て付けを持つ。
ドイツは登録デザインの侵害請求を定めるが、日本型の過失推定規定は置かず、一般原則の枠内で処理する。
米国は design patent 侵害に対し侵害者の総利益を吐き出させる追加的救済を定める。過失推定ではなく救済額の特則という発想。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 数年かけて開発した家電の外観デザインを意匠登録した直後、大手メーカーが酷似製品を量産。差止と損害賠償を求めるとき、40条のおかげで相手の過失を一から立証する必要はない。相手が「無過失」を証明できなければ、賠償の土台はあなたに傾く
- もし、あなたの会社が仕入れて転売していた雑貨が、実は他人の登録意匠の侵害品だったら? 「仕入れただけ、デザインは知らなかった」と言っても、意匠公報で公開されている以上、過失推定を覆すのは至難。在庫の販売停止と賠償リスクが同時に襲う
- フリマアプリで売った自作アクセサリーに意匠権者から警告書が届いた。回答期限は2週間。秘密意匠でない限り、あなたには過失が推定されている。今すぐ販売を止め、在庫数と販売履歴を整理しないと損害額が膨らむ
- 友人が「ハンドメイド作品が人気のブランドに似てると言われた」と相談してきた。あなたが確認すべきは、その類似先が意匠登録されているか、そして秘密意匠でないか。登録済みかつ公開なら、友人は過失推定の圏内にいる
- あなたの意匠が第14条の秘密意匠だった場合、公報に載っていないため過失推定は働かない。侵害者に内容証明で侵害を知らせた瞬間から、ようやく相手の過失を主張できる立場になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自分の意匠登録が有効に存続しているか、意匠公報の掲載と登録原簿を確認する2. 相手の製品と登録意匠を対比し、要部が類似しているかを整理(現物・写真を証拠として確保)3. 内容証明郵便で意匠登録番号と侵害事実を明示した警告書を送付、40条の過失推定が働くことを前提に差止と損害賠償を要求4. 相手が応じなければ差止請求(意匠法37条)と損害賠償を提訴、損害額は意匠法39条の推定規定も併用する
訴えられた側:1. 過失推定は働くが、まず相手の意匠権が本当に有効か、無効審判(意匠法48条)で潰せないかを検討する2. 自社製品が登録意匠の要部と非類似なら、そもそも侵害不成立を主張3. 相手の意匠が秘密意匠なら40条但書で過失推定は外れるため、知った時期を争う4. OEM など発注元の指示なら、契約の補償条項を確認し求償の準備5. 早期の販売停止で損害額の拡大を止めることが、最終的な賠償を抑える
時効(請求できる期限):損害賠償請求権の消滅時効は、損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年(民法724条)。差止請求自体に時効はないが、意匠権の存続期間(出願から25年、2020年4月1日以降の出願)経過後は権利行使できない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:意匠法40条の過失推定は、登録意匠が意匠公報で公開され第三者が調査可能であることを根拠とする。無過失の立証は極めて困難で、実務上は無効審判(48条)で意匠権自体を争う対抗手段が中心となる。但書の秘密意匠は公報非公開のため推定の根拠を欠き、推定は及ばないと解されている。
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