意匠法 第5条(意匠登録を受けることができない意匠)
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- 次に掲げる意匠については、第三条の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。
- 一公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある意匠
- 二他人の業務に係る物品、建築物又は画像と混同を生ずるおそれがある意匠
- 三物品の機能を確保するために不可欠な形状若しくは建築物の用途にとつて不可欠な形状のみからなる意匠又は画像の用途にとつて不可欠な表示のみからなる意匠
この条文の基本情報
意匠登録を受けることができない意匠とは何ですか?
定義意匠登録を受けることができない意匠とは、意匠法第5条に定められた規定で、「次に掲げる意匠については、第三条の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 意匠法第5条(意匠登録を受けることができない意匠)は、日本の意匠法に含まれる条文です。
- 意匠法第5条の条文原文は「次に掲げる意匠については、第三条の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。」で始まります。
- 意匠法第5条は第二章 意匠登録及び意匠登録出願に置かれています。
- 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 意匠法第5条の前の条は意匠法第4条です。
- 意匠法第5条の次の条は意匠法第5条の2です。
- 意匠法第5条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第5条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 本サイト収録
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第5条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点意匠法5条は、新規性を満たす意匠でも、公序良俗違反・他人の業務との混同・機能に不可欠な形状のみ、の3事由に当たれば意匠登録を受けられないと定める。
Q · 新しいデザインを考えたのに、なぜ意匠登録を拒絶されたの?
新規性とは別の不登録事由(意匠法5条)に当たったためです
意匠法5条は、新規性(3条)を満たす意匠でも、3つの不登録事由に当たれば登録を認めません。(1) 公序良俗を害するおそれ、(2) 他人の業務に係る物品・建築物・画像と混同を生ずるおそれ、(3) 機能を確保するために不可欠な形状のみからなる場合です。とりわけ3号は、その形でしか機能しない部分を一人に独占させないための規定で、機能を満たす代替形状が複数あるなら保護の余地があります。
解説
新しいスマホケースの形を考え抜き、世界初の意匠だと確信して出願した。新規性も創作非容易性もクリアしている。それでも特許庁が登録を拒む道が、もう一本だけ残されている。意匠法5条がそれだ。たとえ世界初でも、(1)公序良俗を害するおそれがある、(2)他人の業務に係る物品・建築物・画像と混同を生ずるおそれがある、(3)機能を確保するために不可欠な形状のみからなる、このいずれかに当たれば、3条をクリアしても登録は通らない。あなたが知っておくべきは、3番目の「機能に不可欠な形状のみ」という壁だ。たとえばボルトの規格ねじ山やコネクタの接続部のように、その形でしか機能しない部分は、誰か一人に独占させると業界全体が動けなくなる。だから法はそこに鍵をかけている。逆に言えば、機能を満たす形が複数あるなら、あなたの選んだ形は保護される余地がある。この紙一重を読み切れるかどうかが、出願戦略の分かれ目になる
法的な位置づけ
意匠法5条は意匠の不登録事由を定める規定であり、新規性等の登録要件(3条)を満たす意匠であっても、公序良俗を害するおそれがある意匠、他人の業務に係る物品・建築物・画像と混同を生ずるおそれがある意匠、及び機能の確保に不可欠な形状のみからなる意匠を、登録対象から除外するものである。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.拒絶理由通知の根拠条文を特定する 拒絶理由通知が届いたら、まず3条(新規性)で落とされたのか5条(不登録事由)か、5条なら何号かを正確に読み取る。条数を読み違えると見当違いの意見書を出して二度手間になる
- 2.5条3号には代替形状の存在を示す 機能不可欠形状のみと指摘された場合、同じ機能を別の形で実現している競合製品例や自社の代替案スケッチを提示し、『その形は不可欠ではない』と意見書で反論する。出願時点の記録があると説得力が段違い
- 3.5条2号には外観の差異を具体的に主張する 混同のおそれを指摘されたら、引用された他人の業務表示との外観上の相違点を具体的に列挙し、混同が生じないことを主張する。必要なら問題となる部分を補正する
- 4.拒絶査定なら不服審判を期限内に請求する 拒絶査定が出ても、査定謄本の送達日から3か月以内に拒絶査定不服審判(意匠法46条)を請求できる。一日でも過ぎると道が閉じるため、期限管理を最優先にする
よくある質問 AI による整理
Q1意匠の不登録事由とは何ですか?
新規性等の登録要件を満たしても登録できない例外事由です。意匠法5条が定め、公序良俗違反・混同のおそれ・機能に不可欠な形状のみ、の3つが該当します。
Q2意匠法5条3号の機能に不可欠な形状とは?
その形でしか機能を実現できない形状を指します。ねじ山やコネクタ接続部のように代替形がないものが典型で、機能を満たす形が複数選べるなら3号には当たりません。
Q3建築物の意匠登録はいつから可能になりましたか?
2020年4月1日施行の令和元年改正からです。同時に画像意匠も対象となり、5条2号・3号の混同・不可欠形状の規定も建築物・画像へ拡張されました。
Q4画像の意匠は登録できますか?
操作画像や表示画像は2020年改正で登録対象になりました。ただし用途にとって不可欠な表示のみからなる画像は、5条3号で登録できません。
Q5意匠登録の拒絶理由通知が来たらどう対応しますか?
まず何条何号で拒絶されたかを確認します。指定期間(国内出願は原則60日)内に意見書・補正書で反論するか、形状を補正して機能限定を外します。沈黙すると拒絶査定が確定します。
Q6意匠登録無効審判は誰でも請求できますか?
意匠法48条の無効審判は、利害関係人が設定登録後いつでも請求できます。5条3号該当などを理由に、登録された意匠権を事後的に潰すことができます。
Q7公序良俗に反する意匠とは具体的にどんなものですか?
社会の善良な風俗や公共の秩序を害するおそれがある意匠です。意匠法5条1号が定め、たとえ新規性があっても登録は認められません。
Q8意匠と特許の違いは何ですか?
意匠は物品等の外観デザインを、特許は技術的アイデア(発明)を保護します。機能そのものは特許の領域で、意匠法5条3号は機能不可欠形状を意匠の保護から外しています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1新規性があれば意匠登録できるんじゃないんですか?なぜ拒絶されるんでしょう
新規性(意匠法3条)はあくまで入口の条件で、それとは別に5条の不登録事由という出口の関門があります。世界初のデザインでも、機能上不可欠な形状のみで構成されていれば5条3号で拒絶されます。実務のポイント:拒絶理由通知が来たら、まず『3条で落とされたのか5条で落とされたのか』を見極めるのが鉄則です。3条なら先行意匠との差を、5条3号なら代替形状の存在を主張する、と反論の組み立てが全く変わる。条数を読み違えると見当違いの意見書を出して二度手間になる
Q2うちの製品、機能を突き詰めた形なんですが、これだと意匠登録は無理ですか?
機能的であること自体は問題になりません。5条3号が排除するのは『機能を確保するために不可欠な形状のみからなる』場合だけです。同じ機能を満たす形が他にも選べるなら、あなたが選んだ形には保護の余地があります(意匠法5条3号)。実務のポイント:審査で3号を指摘されたとき、競合製品が同じ機能を違う形で実現している例を提示すると『その形は不可欠ではない』と覆せることが多い。出願前に代替形状のスケッチを残しておくと、この反論が圧倒的に通りやすくなる
Q3他社のロゴっぽい雰囲気を取り入れたデザイン、登録できますか?
他人の業務に係る物品・建築物・画像と混同を生ずるおそれがあれば、5条2号で拒絶されます。仮に登録されても、後から無効審判(意匠法48条)で取り消されるリスクを抱え続けます。実務のポイント:混同のおそれは有名ブランドに限りません。地域で知られた製品形態でも基礎になりうる。さらに登録の可否とは別に、不正競争防止法2条1項1号・2号の周知・著名表示の保護でも訴えられる二重リスクがある。『似せて得をする』設計は、入口でも出口でも危ない
間違えやすい点 AI による整理
- 「新規性さえあれば意匠登録は通る」と思っている出願人が圧倒的に多いが、3条(新規性・創作非容易性)と5条(不登録事由)は別の関門だ。世界初の斬新なデザインでも、それが機能上不可欠な形状のみで構成されていれば、5条3号で容赦なく弾かれる。新規性は必要条件であって十分条件ではない
- 5条3号を「機能的なデザインは一切登録できない」と読む人がいるが、それは前提の誤りだ。条文は「機能を確保するために不可欠な形状のみからなる」場合に限る。機能を満たす形が複数選べるなら、その中であなたが選んだ形には創作性が宿り、保護される。問われているのは『機能的かどうか』ではなく『その形しかないかどうか』である
- 「混同のおそれは有名ブランドだけの問題」と軽く見られがちだが、5条2号の射程はもっと広い。地域で知られた中小企業の製品形態や、業界内で定着した形でも『他人の業務に係る物品』として混同の基礎になりうる。あなたが参考にした『よくある形』が、実は誰かの業務を示す形だったという事態は珍しくない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 意匠法5条:不登録事由(消極要件) | 意匠法3条:新規性・創作非容易性(積極要件) 意匠法3条の2:先願意匠の一部との同一・類似排除 |
| 判断の中身 | 公序良俗・混同・機能不可欠形状の3事由に当たるか | 先行意匠に対して新規か、容易に創作できないか 先願意匠の一部と同一・類似でないか |
| 通過しても残るリスク | 登録後も48条無効審判で潰されうる | 登録後も新規性欠如で無効審判の対象 登録後も拡大先願違反で無効審判の対象 |
| 出願人の打ち手 | 代替形状の提示・外観差異の主張・機能限定の補正 | 先行意匠との差異の主張・出願日の確保 先願意匠との非類似の主張 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は純機能性の設計(必然的に結合する形状等)を設計専利の対象外とし、機能不可欠形状を保護しない点で日本5条3号と発想が共通する。
韓国も公序良俗違反・混同・機能確保に不可欠な形状のみからなるデザインを登録対象外とし、日本意匠法5条と構造が酷似する。
ドイツは専ら技術的機能により定まる外観を保護から除外する。日本の3号と趣旨が一致し、欧州意匠制度の影響を反映する。
米国は意匠特許で『ornamental(装飾的)』を要件とし、専ら機能的な形状は functionality doctrine により保護されない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、競合の大手ブランドのロゴを連想させる曲線を、自社の新製品の外観にあえて取り入れたら、どうなる? 新規性があっても5条2号(混同のおそれ)で拒絶されうる。さらに登録されても後から無効審判(意匠法48条)で潰される。混同を狙ったデザインは、出願の段階で時限爆弾を抱えている
- あなたが工業製品の設計者で、放熱効率を最大化するためにフィンの形を決めた。その形が「熱を逃がすにはこの形しかない」と認定されると、5条3号でその部分は意匠登録できない。だが少しデザイン上の選択肢を残せば保護される。機能一辺倒の設計は、皮肉にも知財として最も弱い
- 2020年4月から建築物と画像も意匠登録の対象になった。あなたが店舗デザインや UI 画面を出願するとき、5条は「その用途に不可欠な形状・表示のみ」を排除する。ありふれた間取りや、操作上どうしてもそうなるボタン配置は、独占できない
- 出願から拒絶理由通知が届いた。応答期限はおおむね60日。5条該当を理由にされたら、意見書か補正書で反論するか、形状の一部を変えて機能限定を外すか、残り時間で判断しなければならない。沈黙すれば拒絶査定が確定する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 出願が5条で拒絶されたら、まず何号に該当とされたかを拒絶理由通知で確認する2. 3号(機能不可欠形状)なら、その機能を満たす代替形状が存在することを示す資料を用意し、意見書で『不可欠な形状のみではない』と反論、または機能限定部分を外す補正をする3. 2号(混同)なら、引用された他人の業務表示との外観の差異を具体的に主張する4. 拒絶査定が出ても、謄本送達から3か月以内に拒絶査定不服審判(意匠法46条)を請求できる。応答期限を一日でも過ぎると道が閉じる
訴えられた側:1. 他人の登録意匠で権利侵害を主張されたら、その登録意匠自体が5条3号(機能不可欠形状のみ)に当たらないか検証する2. 当たると判断できれば、意匠登録無効審判(意匠法48条)を請求して権利の根元を断つ3. 無効審判は誰でも、いつでも請求できる(利害関係不要の号もある)ので、警告状を受けた段階で反撃カードになる4. 並行して、自社製品の形状が機能上の必然であることを技術文書で立証できるよう準備する
時効(請求できる期限):拒絶査定に対する不服審判は、査定謄本の送達日から3か月以内(意匠法46条)。拒絶理由通知への意見書・補正書はおおむね通知書記載の指定期間内(国内出願で原則60日)。意匠登録無効審判(意匠法48条)には特定の請求期限はなく、設定登録後いつでも請求できる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:意匠法5条3号の機能不可欠形状除外は、技術的機能の独占を特許制度に委ね、意匠による半永久的独占を防ぐ趣旨と解する。機能を満たす代替形状が存在すれば、その形状には創作の余地があり3号には当たらない。
改正沿革 AI による整理
- 平成10年(1998年)改正 物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠を不登録事由に追加し、技術的機能の意匠による独占を排除した
- 令和元年(2019年)改正(2020年4月1日施行) 建築物・画像の意匠が保護対象に加わったことに伴い、混同のおそれおよび不可欠形状・不可欠表示の規定を建築物・画像へ拡張した
改正の年表
- 1.平成10年(1998年) 改正:物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠を不登録事由に追加し、技術的機能の意匠による独占を排除した。
- 2.令和元年(2019年) 改正:2020年4月1日施行。建築物・画像が意匠の保護対象に加わり、混同のおそれおよび不可欠形状・不可欠表示の規定を建築物・画像へ拡張した。
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