意匠法 第69条の2
クイックジャンプ
第三十八条の規定により意匠権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 意匠法第69条の2は、日本の意匠法に含まれる条文です。
- 意匠法第69条の2の条文原文は「第三十八条の規定により意匠権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」で始まります。
- 意匠法第69条の2は第八章に置かれています。
- 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 意匠法第69条の2の前の条は意匠法第69条です。
- 意匠法第69条の2の次の条は意匠法第70条です。
- 意匠法第69条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第69条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 本サイト収録
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第69条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/69_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点意匠法69条の2は、38条のみなし侵害(専用品の製造・譲渡、譲渡目的の所持等)を行った者に、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金を科す間接侵害の罰則である。
Q · 他社の登録意匠を真似た製品の金型を作っただけでも、罪に問われるの?
問われ得ます。専用品の製造は間接侵害として処罰対象です
意匠法69条の2により、38条のみなし侵害行為を行った者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金、又はその併科に処されます。みなし侵害には、登録意匠の物品の生産にのみ用いる専用品(部品・金型・治具)の製造・譲渡や、侵害品を譲渡目的で所持する行為が含まれます。完成品を販売していなくても、専用品を供給した下請けや在庫を抱えた転売者が処罰対象となり得ます。ただし汎用品の製造は専用品要件を満たさず、対象外となる余地があります。
解説
あなたが町工場や金型メーカーを営んでいて、ある日「この形のパーツを大量に作ってほしい」という発注を受けたとする。図面通りに作って納品しただけ。完成品を売ったのは発注元であって、あなたではない。それなら刑事責任とは無縁だと思うだろう。意匠法69条の2は、その思い込みを正面から否定する。38条が定める「みなし侵害」、つまり登録意匠の物品を作るためだけに使う専用品(部品、金型、治具)を製造・譲渡する行為や、侵害品を譲渡目的で所持する行為をした者に、五年以下の拘禁刑(旧称、懲役。2025年6月から名称統合)または五百万円以下の罰金、あるいはその両方を科す。あなたが知っておくべきは、刑事責任の網が「侵害品を売った者」だけでなく、その一歩手前で部品や型を供給した側まで遡って届くという点だ。納品書にサインする前に、その製品が誰かの登録意匠を侵していないかを確認する習慣の有無が、前科の有無を分ける。
法的な位置づけ
意匠法69条の2は、意匠権の間接侵害に対する罰則規定である。38条により意匠権又は専用実施権の侵害とみなされる行為(専用品の製造・譲渡、譲渡目的の所持等)を行った者を処罰対象とし、法定刑として五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金、若しくはその併科を定める。直接侵害を処罰する69条に対する補完的な刑事規定として機能する。
よくある質問 AI による整理
Q1意匠権の間接侵害とは何ですか?
登録意匠の物品を作るためだけに使う専用品の製造・譲渡や、侵害品の譲渡目的の所持など、直接の模倣品製造の一歩手前の行為を指します。意匠法38条が侵害とみなし、69条の2が処罰します。
Q2みなし侵害と直接侵害の違いは何ですか?
直接侵害は登録意匠の物品そのものを無断で製造・販売する行為、みなし侵害は専用部品・金型の供給や譲渡目的の所持など侵害を準備・助長する周辺行為です。後者も69条の2で処罰されます。
Q3意匠権侵害の罰則はどのくらい重いですか?
69条の2の間接侵害罪は五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金、若しくは併科です。直接侵害の69条はさらに重く、いずれも前科のつく刑事罰です。
Q4専用品と汎用品はどう区別しますか?
登録意匠の物品の生産にのみ用いる物が専用品で処罰対象、他の用途にも使える汎用品は38条のみなし侵害に当たらない余地があります。この線引きが捜査・公判で最大の争点になります。
Q5意匠権侵害は前科がつきますか?
69条の2は拘禁刑を含む刑事罰のため、有罪が確定すれば前科がつきます。民事の損害賠償とは別の軌道で刑事手続が進行します。
Q6法人も意匠権侵害で罰せられますか?
罰せられます。意匠法74条の両罰規定により、従業者が侵害罪を犯した場合、行為者だけでなく法人にも罰金が科され得ます。
Q7拘禁刑とは何ですか?懲役とどう違いますか?
2025年6月の刑法改正で懲役と禁錮が統合された自由刑です。69条の2の自由刑の名称も拘禁刑に変わりましたが、上限五年という重さ自体は変わりません。
Q8意匠権侵害の公訴時効は何年ですか?
五年以下の拘禁刑にあたる罪のため、公訴時効は5年です(刑事訴訟法250条)。継続的な製造・所持は最後の行為時から起算されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1言われた通りに部品を作って納めただけなのに、本当に逮捕されることがあるんですか?
あります。意匠法38条は登録意匠の物品の生産にのみ用いる物の製造・譲渡を侵害とみなし、69条の2がそれを処罰します。完成品を売っていなくても、専用部品や金型の供給者は処罰対象です。実務のポイント:分かれ目は『その部品が侵害品専用か、他用途にも使える汎用品か』。汎用品なら38条のみなし侵害に当たらない余地があり、捜査・公判ではここが最大の防御線になります。受注時に用途を限定しない設計にしておくと、後で立場が守りやすい
Q2意匠権の侵害って、お金を払って和解すれば刑事のほうも終わりますよね?
民事の和解は刑事処分を自動的に消しません。69条の2は拘禁刑・罰金という独立した刑事罰で、両罰規定により法人にも罰金が科されうる別軌道の責任です。ただし権利者との示談・在庫廃棄は、起訴・不起訴の判断や量刑の情状に強く影響します。実務のポイント:意匠権者が刑事告発を取り下げても、近年の知財侵害罪は非親告罪化の流れにあり、検察が独自に起訴できる場合があります(最新の改正状況をご確認ください)。『相手と話がついたから安心』とは限らない
Q3まだ一個も売ってない在庫を持ってるだけなら、セーフじゃないんですか?
セーフとは限りません。38条は『譲渡等のために所持する行為』もみなし侵害に含めるため、侵害品と知って譲渡目的で在庫を抱えた時点で構成要件を満たしうる。売上ゼロでも刑事責任は生じます。実務のポイント:摘発の実務では、在庫量・販売サイトの開設状況・仕入価格が『譲渡目的』の認定材料になります。発見後に慌てて在庫を捨てると証拠隠滅を疑われ、かえって不利。まず弁理士に相談し、保全のうえ廃棄手続を踏むのが正攻法
間違えやすい点 AI による整理
- 「完成品を売っていないから、部品や金型を作っただけの自分は無関係」という思い込みが最も危険。38条は、登録意匠の物品の生産にのみ用いる物の製造・譲渡を侵害とみなし、69条の2はそれを刑事罰の対象にする。供給した側も処罰されうる
- 意匠権侵害は「お金を払えば済む民事の問題」だと多くの事業者は考えているが、それは罪の深刻度を見誤っている。69条の2は拘禁刑という前科のつく刑事罰であり、しかも法人にも両罰規定で罰金が科されうる。民事の損害賠償とは別の軌道で、刑事手続が動く
- 「故意がなければ罪にならないだろう」と楽観する人がいるが、問いの立て方がずれている。問題は『侵害品だと知っていたか』ではなく『侵害品である可能性を確認する手立てを取ったか』に実務上の焦点が移る。確認を怠った経緯そのものが、故意・未必の故意の認定材料になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制する行為 | 69条の2:38条のみなし侵害(専用品の製造・譲渡、譲渡目的の所持等) | 69条:登録意匠の物品そのものの無断製造・販売(直接侵害) 38条:何がみなし侵害に当たるかを定義する規定(罰則ではない) |
| 条文の性質 | 間接侵害に対する刑事罰 | 直接侵害に対する刑事罰 刑事・民事の前提となる侵害概念の定義 |
| 法定刑 | 五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金、若しくは併科 | より重い法定刑(本体類型) 刑罰なし(侵害の擬制のみ) |
| 典型的な対象者 | 専用部品・金型の供給者、譲渡目的の在庫保有者 | 模倣品そのものの製造・販売者 —(侵害の射程を画定する基準) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は特許・意匠(設計特許)侵害を非犯罪化しており、現在は差止・損害賠償等の民事責任のみ。日本のように間接侵害を刑事罰で抑止する仕組みは持たない点が大きく異なる。
韓国はデザイン保護法に侵害罪を置き、刑事罰でデザイン権を保護する点で日本に近い。間接侵害的行為の扱いには差異がある。
ドイツは意匠法(DesignG)に罰則規定を置き、故意の侵害を刑事罰の対象とする。EU 共同体意匠制度と併存する。
米国の意匠特許侵害は原則として民事責任にとどまり、侵害者の利益相当額の賠償が認められる。日本のような独立した刑事罰規定は持たない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、取引先から「他社のヒット商品とそっくりな外観のケースを作って」と頼まれたら、どうなる? 完成品を売るのは取引先でも、その外観を実現する専用金型を作ったあなたは、38条のみなし侵害を実行した者として69条の2の射程に入る。「言われた通り作っただけ」は免罪符にならない
- EC で安く仕入れた雑貨を、それが登録意匠の模倣品と知りながら倉庫に大量に積み、ネット転売しようとしていた。まだ一個も売っていない。それでも「譲渡目的の所持」が38条のみなし侵害に当たり、刑事責任が生じうる。売る前の在庫の段階で、すでに線を越えている
- 下請けとして、元請けの指示で特定形状の交換部品だけを量産していた。元請けが摘発され、芋づる式に部品供給元のあなたにも捜査が及ぶ。専用品の製造は、製品全体を作っていなくても処罰対象になる
- あなたの会社に意匠権者の代理人弁理士から警告書が届いた。残された猶予は、回答期限まであと7日。ここで在庫を慌てて処分すると証拠隠滅を疑われ、放置すれば製造・所持の継続として刑事リスクが積み上がる。今夜のうちに、製造ラインを止めるか弁理士に相談するかを決めなければならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 侵害品と、それを作る専用部品・金型の存在を写真・サンプル・流通経路で証拠化する、製造者と供給者の両方を特定2. 自社の意匠登録(登録番号、登録意匠公報)を揃え、権利範囲が侵害品に及ぶことを弁理士と確認3. 民事の差止・損害賠償請求(意匠法37条、39条)と並行して、刑事告発を検討、69条の2は供給者側にも及ぶことを警告書で明示4. 相手が在庫処分や証拠隠滅に走る前に、証拠保全と仮処分のスピードで先手を打つ
訴えられた側:1. まず製造・所持を直ちに中止し、弁理士・弁護士(知財刑事に強い者)に相談、自己判断で在庫を処分しない(証拠隠滅を疑われる) 2. 当該物品が『登録意匠の物品の生産にのみ用いる』専用品か、汎用品かを争点として精査、汎用品ならみなし侵害に当たらない余地がある3. 発注元との契約・指示書を保全し、自社が侵害を認識し得なかった経緯(非侵害保証を取得していた等)を立証する4. 意匠権者との和解(実施料相当額の支払、在庫廃棄)を早期に進め、刑事の情状を有利にする
時効(請求できる期限):公訴時効は5年(五年以下の拘禁刑にあたる罪、刑事訴訟法250条2項)。起算点は犯罪行為が終了した時、継続的な製造・所持は最後の行為時から起算。民事の差止請求権・損害賠償請求権(意匠権侵害を知った時から3年、不法行為時から20年、民法724条、724条の2)とは別軌道で進行する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:意匠法38条のみなし侵害として処罰されるのは、登録意匠の物品の生産にのみ用いる専用品に限られる。汎用品の製造・譲渡は『のみ』要件を満たさず対象外とするのが通説であり、69条の2の成否はこの専用性の認定に依存する。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法の懲役・禁錮統合に伴い、本条の自由刑の名称が「懲役」から「拘禁刑」に統一された。法定刑の上限・下限自体に変更はない
改正の年表
- 1.令和4年(2022年)公布/令和7年(2025年6月1日)施行 改正:刑法における懲役・禁錮の拘禁刑への統合に伴い、本条の自由刑の名称が『懲役』から『拘禁刑』へ変更された。上限五年という法定刑の重さ自体に変更はない。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める