要点商標法15条の3は、先願に係る他人の類似商標が登録されれば本願が拒絶される旨を、審査官が確定前に出願人へ通知し、意見書提出の機会を与える制度である。
Q · 特許庁から「あなたより前に出された似た商標がある」と通知が来たら、もう登録は無理なの?
拒絶確定ではなく、反論の機会を与える予告通知です
商標法15条の3により、審査官は先願に係る他人の類似商標が登録されれば本願が第15条第1号で拒絶される旨を予告し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えます。これは拒絶査定そのものではありません。相手の出願が取り下げ・拒絶・放置されれば本願は登録され得ます。意見書のほか、相手の先願に穴があれば情報提供で相手の登録自体を阻止する、共存(コンセント)交渉を打診するなど、複数の手が打てる窓口です。
特許庁に商標を出願した。数か月後、見慣れない封筒が届く。中身は「あなたの商標は、あなたより前に出願された他人の似た商標があり、それが登録されればあなたの出願は拒絶される」という通知だ。ここで多くの人が誤解する。これは拒絶査定ではない。まだ相手の商標も登録されていない。審査官は、結論が確定する前にわざわざ先に知らせ、意見書を出す機会を与えている。なぜか。相手の出願が取り下げ・拒絶される可能性も残っているからだ。この段階で動けば、相手との交渉、指定商品の補正、相手出願への情報提供など、まだ打てる手が複数ある。封筒を放置して期間を過ぎれば、その後に相手が登録された瞬間、あなたの出願は拒絶理由通知すら省かれて静かに死ぬ(第2項)。
商標法15条の3は、先願に係る他人の商標に関する予告的通知を定める規定である。審査官は、本願商標が出願日前の他人の出願商標と同一・類似であり、その他人の商標が登録されれば本願が第15条第1号に該当することとなる場合に、その旨を出願人に通知し、相当の期間を指定して意見書提出の機会を与えることができる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
審査官が指定する相当の期間内です。国内出願は実務上おおむね40日、在外者は3か月とされ、延長申請も可能です。徒過し相手が登録されると重複通知なく拒絶へ進みます(最新運用をご確認ください)。
15条の3は「相手が登録されれば拒絶になる」という前倒しの予告です。通常の拒絶理由通知(15条の2)は拒絶事由が確定した段階で出されます。15条の3を出した後に相手が登録された場合、改めての15条の2通知は省略されます。
現時点では相手商標が未登録のため拒絶理由がない旨に加え、相手先願の識別力不足・指定商品の過広・記載不備など弱点を指摘します。書式より「相手の先願をどう攻めるか」の戦略判断が核心です。
相手出願に穴があれば、意見書と並行して情報提供(刊行物等提出)で相手の登録自体の阻止を狙えます。相手が登録された後でも、3年以上不使用なら不使用取消審判(50条)で消せる出口があります。
出願人同士が商品・役務の住み分けや併存に合意する契約です。相手の登録が確定する前は双方とも不安定な立場のため交渉に応じやすく、この数十日が黄金期です。相手登録後は態度が一変します。
特許庁の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で、通知書記載の先願番号から相手商標の指定商品・出願日・審査状況を確認できます。穴の有無を見極めてから意見書か情報提供かを判断します。
登録商標が継続して3年以上、指定商品・役務に使用されていない場合に、その登録を取り消す審判です(50条)。相手の先願が登録された後の長期戦の対抗手段になります。
出願日の先後(先願主義、8条)で優先順位が決まります。先願の他人商標が登録されると本願は第15条第1号で拒絶され得ますが、確定前に15条の3の通知で反論の機会が与えられます。
取れないとは限りません。15条の3の通知は「相手商標が登録されれば拒絶になる」という予告であって、拒絶査定そのものではありません。相手の出願が取り下げ・拒絶・放置されれば、あなたの出願はそのまま登録され得ます。業界裏話ヒント:審査官がこの通知を出すこと自体、相手の登録がまだ不確定な証拠です。意見書で粘るより、相手の先願を情報提供(刊行物等提出)で先に潰す方が、勝率が高い場面が少なくない。
自分でも提出できますが、15条の3の場面は「相手の先願をどう攻めるか」という戦略判断が核心で、書式以上に方針が重要です。意見書だけでなく情報提供・共存交渉・指定商品の補正を組み合わせます。業界裏話ヒント:弁理士は、相手の先願が登録された後でも「3年以上不使用なら不使用取消審判(50条)で消せる」という長期戦の出口まで見ています。今の意見書だけで考えると、この逃げ道を見落とす。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 通知のタイミング | 15条の3:相手登録前の予告(確定前) | — |
| 出願人が取れる対応 | 意見書・情報提供・コンセント交渉が並行可能 | — |
| 放置した場合 | 相手登録時に重複通知なく拒絶査定へ進む(2項) | — |
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