商標法 第28条の2
クイックジャンプ
- 特許庁長官は、裁判所から商標権の効力について鑑定の嘱託があつたときは、三名の審判官を指定して、その鑑定をさせなければならない。
- 2.特許法第七十一条の二第二項の規定は、前項の鑑定の嘱託に準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商標法第28条の2は、日本の商標法に含まれる条文です。
- 商標法第28条の2の条文原文は「特許庁長官は、裁判所から商標権の効力について鑑定の嘱託があつたときは、三名の審判官を指定して、その鑑定をさせなければならない。」で始まります。
- 商標法第28条の2は第一節 商標権に置かれています。
- 商標法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 商標法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商標法第28条の2の前の条は商標法第28条です。
- 商標法第28条の2の次の条は商標法第29条です。
- 商標法第28条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第28条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 - 本サイト収録
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第28条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000127/28_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商標法28条の2は、裁判所が商標権の効力について特許庁に鑑定を嘱託でき、特許庁長官が三名の審判官を指定して鑑定させると定める。鑑定は専門的意見であり裁判所を拘束しない。
Q · 商標の裁判で、判事が商標に詳しくなかったらどうなるの?
裁判所は特許庁に鑑定を嘱託でき、審判官三名が専門判断します
商標法28条の2により、裁判所は商標権の効力について特許庁に鑑定を嘱託できます。嘱託を受けた特許庁長官は三名の審判官を指定して鑑定させなければなりません(1項)。判事が商標の専門家でなくても、特許庁の専門知を訴訟に取り込めます。ただしこの鑑定は効力についての専門的意見であって、裁判所を法的に拘束するものではなく、登録を無効にする処分でもありません。登録そのものを潰すなら無効審判(46条)という別ルートが必要です。
解説
商標権をめぐる裁判で、判事は必ずしも商標の専門家ではない。あなたのロゴや店名が、相手の登録商標の効力範囲に本当に入るのか。その判断は高度に専門的で、一般の裁判官が単独で正確に下すのは難しい。ここで効いてくるのが28条の2である。裁判所は、商標権の効力について特許庁に「鑑定」を嘱託できる。嘱託を受けた特許庁長官は、三名の審判官を指定して専門的な鑑定をさせなければならない。つまり判事は、商標の効力という難所を特許庁の専門家チームに外注できる。あなたが知っておくべきは、この鑑定意見が判決に強い影響を与えうるが、裁判所を法的に縛るわけではないという点だ。さらに、当事者が自ら求める「判定」(28条)や、登録そのものを潰す「無効審判」(46条)とは別ルートで、これは裁判所が動かす。三つのルートの違いを知っている側が、訴訟戦略で先手を取る。
法的な位置づけ
商標法28条の2は、商標権の効力に関する鑑定の嘱託について定める規定である。裁判所が商標権の効力について特許庁に鑑定を嘱託した場合、特許庁長官は三名の審判官を指定して鑑定をさせる義務を負う。その鑑定手続には特許法71条の2第2項が準用される。鑑定意見は専門的知見の補充であり、裁判所の最終判断権を法的に拘束するものではない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.効力の争点を切り分ける 侵害が問題になったら、相手の登録商標の指定商品・役務と自分の使用態様を照合し、本当に効力が及ぶのかを弁理士と確認する。争点が「効力の有無」に絞れるかを最初に見極める
- 2.ルートを三択で設計する 当事者請求の判定(28条)、裁判所嘱託の鑑定(28条の2)、登録を潰す無効審判(46条)のどれを使うかを設計する。一本に絞らず並行ルートも検討し、後手に回らないようにする
- 3.鑑定嘱託を促すタイミングを計る 判事が商標の専門判断に迷い、争点が効力に絞られた段階で、弁護人を通じて裁判所に28条の2の鑑定嘱託を働きかける。判事の心証が固まった後では覆しにくい
- 4.並行して無効審判・無効の抗弁を組む 鑑定嘱託だけに頼らず、特許庁への無効審判(46条)や侵害訴訟内の無効の抗弁(39条準用の特許法104条の3)を同時に組み、相手の選んだ土俵で戦わされないようにする
よくある質問 AI による整理
Q1鑑定の嘱託とは?
商標権の効力について裁判所が特許庁に専門的判断を求める手続です。商標法28条の2が根拠で、特許庁長官が三名の審判官を指定して鑑定させます。
Q2商標法28条の2の審判官は何人?
三名です。特許庁長官が指定し、商標権の効力について専門的な鑑定を行います。条文上「三名」と明記されており、人数は裁判所の裁量ではありません。
Q3鑑定嘱託と無効審判の違いは?
鑑定嘱託(28条の2)は裁判所が特許庁に効力の意見を求める手続、無効審判(46条)は登録そのものを遡及的に消滅させる手続です。前者は意見、後者は処分です。
Q4商標の鑑定は裁判所を拘束する?
拘束しません。28条の2の鑑定は効力についての専門的意見であり、最終判断は裁判官が判決で行います。鑑定後も結論を覆す主張の余地は残ります。
Q5商標権侵害で訴えられたらどうする?
まず相手の登録商標の指定商品・役務と自分の使用態様を弁理士と照合します。効力に疑義があれば無効の抗弁(39条準用の特許法104条の3)や無効審判を検討します。
Q6判定と鑑定嘱託はどう違う?
判定(28条)は当事者が特許庁に請求する効力の見解、鑑定嘱託(28条の2)は裁判所が特許庁に求める鑑定です。請求の主体が当事者か裁判所かで分かれます。
Q7特許法71条の2とは?
特許権の効力に関する鑑定嘱託を定めた規定で、その第2項が商標法28条の2第2項により準用されます。鑑定手続の細目を補う条文です。
Q8商標の効力争いのルートは何種類?
主に三つです。当事者請求の判定(28条)、裁判所嘱託の鑑定(28条の2)、登録を潰す無効審判(46条)。侵害訴訟内の無効の抗弁も加わります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1鑑定を頼めば、特許庁が裁判所の代わりに勝ち負けを決めてくれるんですか?
決めません。28条の2の鑑定は商標権の効力についての専門的意見であって、裁判所を法的に拘束する判断ではありません。鑑定は三名の審判官が行いますが、最終的な勝敗は裁判官が判決で下します。実務のポイント:実務ではこの鑑定嘱託が使われる場面は限られ、多くの効力争いは特許庁の無効審判(46条)や、侵害訴訟内の無効の抗弁(商標法39条準用の特許法104条の3)で処理される。鑑定嘱託と聞いて身構える前に、相手がどのルートを選んでいるかを見極めるのが先
Q2個人の副業レベルでも、商標の効力で特許庁の審判官が出てくることなんてあるんですか?
理屈の上ではあります。裁判所が効力について鑑定を嘱託すれば、特許庁長官は三名の審判官を指定する義務を負い(28条の2第1項)、相手が法人か個人かは関係ありません。実務のポイント:ただし、そもそも訴訟前の警告段階で決着するのが大半。鑑定嘱託まで進む案件は氷山の一角で、ほとんどは弁理士同士の交渉や、使用差し控え・ブランド変更で終わる。通知が来た時点で『裁判で特許庁が』と恐れるより、まず効力が本当に及ぶかを弁理士に確認するのが現実的な第一手
間違えやすい点 AI による整理
- 「商標の有効・無効は裁判所が自分だけで判断する」と思われがちだが、商標法は裁判所が特許庁に専門的鑑定を嘱託できる仕組みを置いている。判事が商標の専門家でなくても、審判官三名の意見を訴訟に取り込める
- 「鑑定を頼めば特許庁が登録を取り消してくれる」という問いの立て方が、そもそも誤っている。28条の2の鑑定は効力についての専門的意見であって、登録を無効にする処分ではない。登録を潰したいなら無効審判(46条)という全く別の手続を踏む必要がある
- 鑑定嘱託の存在は知っていても、その意見が裁判所を法的に拘束しない点まで理解している人は少ない。鑑定は強い影響力を持つが、最終判断はあくまで裁判所。だからこそ、鑑定結果が出た後も覆す主張の余地は残っている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰が動かすか | 鑑定嘱託(28条の2):裁判所が特許庁に嘱託 | 判定(28条):当事者が特許庁に請求 無効審判(46条):当事者が特許庁に請求 |
| 結果の性質 | 効力についての専門的鑑定意見(裁判所を拘束しない) | 効力についての特許庁の見解(拘束力なし) 登録を遡及的に消滅させる審決(処分) |
| どこで効くか | 侵害訴訟など裁判の中で、判事の心証形成を専門家の土俵に移す | 訴訟前後に当事者が効力の見通しを得る 登録そのものを潰し、侵害の前提を崩す |
| 担当者 | 特許庁長官が指定する審判官三名 | 審判官の合議体 審判官の合議体(審決) |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は智慧財產及商業法院に技術審査官を配置し、専門知を法廷内に取り込む。特許庁への外部嘱託ではなく裁判所内部での補充である点が日本と異なる。
米国の連邦裁判所は商標の有効性を自ら判断するのが原則で、USPTO への効力鑑定の嘱託という枠組みは取らない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社のロゴが、競合の登録商標に似ていると訴えられたら? 判事が商標の専門家とは限らない。弁護人を通じて裁判所に鑑定嘱託を促せば、特許庁の審判官三名の専門的意見を引き出せる。素人判事の心証一発勝負を避ける一手になりうる
- あなたは商標権者として侵害訴訟を起こした側。相手が「この商標は自分の使用に効力が及ばない」と争ってきた。裁判所が特許庁に鑑定を嘱託すれば、専門家三名の判断という重みが加わる
- 侵害訴訟で相手が無効の抗弁(商標法39条が準用する特許法104条の3)を出してきた。あなたに残された時間は次回期日まで。鑑定嘱託を促すか、特許庁に別途無効審判を起こして対抗するか、ルート選択を今週決めないと主導権を失う
取るべき行動
被害を受けた側:1. 侵害が疑われたら、自分の登録商標の指定商品・役務と相手の使用態様を照合し、効力が本当に及ぶか弁理士と確認2. 侵害訴訟を提起したら、相手の無効主張に備え訂正や反証を準備3. 効力判断が専門的で判事の心証が読めないなら、弁護人を通じ裁判所に28条の2の鑑定嘱託を働きかける選択肢を検討4. 並行ルートを一本に絞らず、無効審判への対応も同時に組む
訴えられた側:1. 警告状や訴状が来たら、相手の登録商標が本当に自分の使用に効力を及ぼすか、指定商品・役務の類否を弁理士と精査2. 効力に疑義があれば、侵害訴訟内で商標法39条が準用する特許法104条の3の無効の抗弁、または特許庁への無効審判(46条)を検討3. 効力判断が専門的なら鑑定嘱託で専門家の土俵に持ち込む余地4. 使用中止コストと係争コストを早期に試算、ブランド変更が安いケースもある
時効(請求できる期限):28条の2の鑑定嘱託そのものに期限はなく、訴訟係属中に裁判所が判断する。ただし関連して、商標登録無効審判には一部の無効理由につき設定登録から5年の除斥期間(商標法47条)があり、侵害による損害賠償請求権は民法724条(知った時から3年、不法行為時から20年)に服する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:28条の2の鑑定は商標権の効力に関する専門的知見の補充であり、裁判所を法的に拘束する判断ではない。鑑定意見は強い影響力を持つが、最終的な効力判断はあくまで裁判所が行うと解されている。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める