商標法 第59条(再審により回復した商標権の効力の制限)
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- 取り消し、若しくは無効にした商標登録に係る商標権が再審により回復したときは、商標権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。
- 一当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前における当該指定商品又は指定役務についての当該登録商標の善意の使用
- 二当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前に善意にした第三十七条各号に掲げる行為
この条文の基本情報
再審により回復した商標権の効力の制限とは何ですか?
定義再審により回復した商標権の効力の制限とは、商標法第59条に定められた規定で、「取り消し、若しくは無効にした商標登録に係る商標権が再審により回復したときは、商標権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商標法第59条(再審により回復した商標権の効力の制限)は、日本の商標法に含まれる条文です。
- 商標法第59条の条文原文は「取り消し、若しくは無効にした商標登録に係る商標権が再審により回復したときは、商標権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。」で始まります。
- 商標法第59条は第六章に置かれています。
- 商標法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 商標法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商標法第59条の前の条は商標法第58条です。
- 商標法第59条の次の条は商標法第60条です。
- 商標法第59条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第59条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 - 本サイト収録
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第59条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000127/59
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商標法59条は、再審で回復した商標権の効力が、取消・無効の確定後から再審請求の登録前までの善意の使用には及ばないと定める規定である。
Q · 取り消されて自由になったはずの商標を使っていたら、再審で権利が復活した。過去の使用は全部侵害になる?
確定から再審請求登録までの善意使用は侵害になりません
商標法59条により、取消決定・無効審決が確定してから再審請求が登録されるまでの空白期間に、善意でその登録商標を使用した行為や37条の侵害とみなす行為には、再審で回復した商標権の効力が及びません。つまりこの間の善意使用は免責され、再審請求の登録後に続けた使用だけが侵害になりえます。鍵は「善意」と「空白期間」の二語で、自分の使用が登録日より前か後かで結論が分かれます。
解説
競合他社の商標が不使用を理由に取り消された。あなたはその表示が自由になったと信じ、自社の新商品に使い、広告費を投じ、パッケージを刷新した。ところが数か月後、元の権利者が再審を起こして勝ち、商標権が生き返る。この瞬間、あなたは過去にさかのぼって侵害者にされるのか。商標法59条はそこに線を引く。取消や無効の審決が確定してから、再審請求が登録されるまでの空白期間に、あなたが善意で(つまり再審で覆ることを知らずに)その登録商標を使った行為、そして37条の侵害とみなす行為については、生き返った商標権の効力は及ばない。死んだはずの商標を信じて動いた者を、後出しの復活で罰しない、という制度だ。鍵は「善意」と「空白期間」の二語。これを理解しているかどうかで、過去の使用が免責されるか侵害になるかが分かれる。
法的な位置づけ
商標法59条は、再審により回復した商標権の効力の制限を定める規定である。取消決定または無効審決の確定後、再審請求の登録前に、善意でなされた当該登録商標の使用および37条所定の行為に対しては、回復した商標権の効力が及ばない旨を規定し、公示の空白期間における取引の安全を保護する。
よくある質問 AI による整理
Q1回復した商標権とは何ですか?
取消・無効が確定した商標権が再審で取り消され、再び有効になったものです。商標法59条は、この回復した権利の効力が空白期間の善意使用に及ばないよう制限します。
Q2商標の善意使用はいつまで保護されますか?
保護されるのは、取消・無効の確定後から再審請求が登録されるまでの空白期間の使用だけです。登録後も使い続ければ、そこからは侵害になりえます(商標法59条)。
Q3再審請求の登録日はどこで確認できますか?
特許庁の商標登録原簿で確認できます。商標法59条の空白期間はこの登録日で終わるため、自分の使用がそれ以前か以後かを切り分ける起点になります。
Q4商標の善意使用は誰が証明しますか?
善意は使用した側が示します。相手は『再審の動きを知っていた』と悪意を主張するため、自由だと判断した根拠(原簿閲覧記録・調査報告)を残すことが重要です。
Q5商標法60条の中用権とは何ですか?
空白期間に善意で使用した者に、回復後も継続使用を認める権利です。59条で過去が免責され、60条で将来の使用が確保される二段構えになります。
Q6特許法175条と商標法59条の違いは?
どちらも再審で回復した権利の効力を空白期間の善意行為に及ぼさない規定です。対象が特許発明か登録商標かが異なるだけで、構造はほぼ同じです。
Q7不使用取消で消えた商標を使うリスクは?
取消が再審で覆ると商標権が復活します。空白期間の善意使用は59条で免責されますが、再審請求の登録後の使用は侵害となるため、投資前に再審期間の満了確認が必要です。
Q8回復した商標権で賠償はどこまで請求できますか?
再審請求の登録後の使用が対象です。登録前の善意使用は59条で効力が及ばず、賠償の射程から外れます。登録日を境に請求範囲が大きく変わります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取り消された他社の商標を使い始めたんですが、もし再審で復活したら、今までの分も全部賠償しないといけませんか?
全部ではありません。商標法59条により、取消・無効の審決が確定してから再審請求が登録されるまでの空白期間の善意使用には、復活した商標権の効力が及びません。その間の使用は免責され、登録後の使用だけが侵害になりえます。実務のポイント:弁護士はまず登録原簿で『再審請求の登録日』を押さえる。相手はこの日付を曖昧にしたまま全期間の賠償を求めがちで、線を引くだけで請求額が大きく減ることがある
Q2ここで言う『善意』って何ですか?知らなかったと言えば通りますか?
ここでの善意は道徳の善し悪しではなく、『取消・無効が再審で覆ることを知らなかった』という意味です(商標法59条)。単に使っていいと思っていた、では足りない場面があり、再審の動きを知りうる立場だったかが問われます。実務のポイント:善意は使う側が示す必要があり、相手は『あなたは再審請求を知っていた』と悪意を主張してくる。いつ何を見て自由だと判断したかの記録を残せば、後で善意の証拠になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「再審で商標権が復活したら、過去の使用も全部さかのぼって侵害になる」と思われがちだが、59条はそれを正面から否定する。確定から再審請求登録までの空白期間の善意使用には、復活した権利の効力は及ばない
- 「善意でさえあれば永久にセーフ」と理解している人がいるが、守られるのは空白期間中の使用だけだ。再審請求が登録された後も使い続ければ、そこからは普通に侵害になる。善意に有効期限があることを知らないと、免責のつもりで侵害を積み上げる
- 「自分は善意だから当然守られる」と考える人は、立証責任の所在を見落としている。善意は使用者側が示すもので、相手は『あなたは再審の動きを知っていた』と悪意を主張してくる。本当の問いは『善意か』ではなく『善意を証明できるか』だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 守る対象 | 商標法59条:回復した商標権者の効力を制限し、過去の善意使用を免責 | 商標法60条:善意使用者に中用権を付与し、将来の継続使用を確保 商標法37条:侵害とみなす行為を定義し、効力制限の対象範囲を画定 |
| 時間軸 | 確定後〜再審請求の登録前の使用(過去) | 再審請求の登録後の継続使用(将来) —(行為類型の定義) |
| 効果 | 回復した商標権の効力が及ばない(免責) | 対価を条件に使用継続が可能 直接侵害に準じ差止・賠償の対象 |
他国ではどう定めているか 2 か国
再審回復後の善意使用を一律免責する明文は乏しく、行政救済と中用権法理で個別に処理される(要確認)
権利回復に伴う中用権の法理が、空白期間の善意使用保護に類似の機能を果たす
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 競合の商標が不使用取消で消え、あなたはその名で半年間商品を売り、広告も打ってきた。ある朝、元権利者の代理人から「再審で商標権が回復した、過去の使用は全て侵害だ」と内容証明が届き、回答期限はあと14日。だが商標法59条を読めば、空白期間中の善意使用には復活した権利の効力が及ばない可能性がある。今夜のうちに、自分の使用開始日と相手の確定日・再審請求登録日を並べて線を引く作業が要る
- もし取り消されたはずの商標を使い始めた後、それが再審で復活したら、どこまでが免責でどこからが侵害か。境目は「再審で勝った日」ではなく「再審請求が登録された日」だ。この一点を取り違えると、守られるはずの期間まで自分から差し出すことになる
- 不正な証拠で取り消されたあなたの商標を、再審で取り戻した。だが取り戻した瞬間に過去の他人の使用を全部叩けるわけではない。空白期間の善意使用者には59条の壁があり、さらに60条でその相手に中用権(継続して使い続けられる権利)まで生じうる
- OEM 先から「この名前、最近まで他社の登録商標だったが取り消されたので使えますよ」と勧められ、製造を発注した。後にその取消が再審でひっくり返ったとき、あなたの善意は誰がどう証明するのか。勧めた相手の言葉だけでは足りないかもしれない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 再審で商標権を回復させたら、まず登録原簿で「再審請求の登録日」を確定させる。59条の空白期間はこの日で終わる2. 相手の使用を、登録日より前の善意使用(効力が及ばない)と登録日以後の使用(侵害になりうる)に分ける3. 前者を攻めたいなら、相手が再審の動きを知っていた(悪意)ことを示す証拠を集める4. 相手には60条の中用権が生じる場合があるため、差止一辺倒ではなく対価を取る交渉も同時に設計する
訴えられた側:1. 内容証明が来たら反射的に謝らず、まず商標法59条を確認する2. 自分の使用開始日と、相手の取消・無効審決の確定日、再審請求の登録日を並べ、自分の使用が空白期間内かを切り分ける3. 空白期間内の使用なら、自由だと判断した根拠(登録原簿の閲覧記録、調査報告、取引先の案内)を保全し善意を立証する4. 継続して使い続けたいなら、60条の中用権の成立可能性を弁理士・弁護士と検討する
時効(請求できる期限):59条が画する空白期間は、取消決定・無効審決の確定時に始まり、再審請求の登録時に終わる。この二点の特定が全てを決める。なお侵害に基づく損害賠償請求自体は、被害者が損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年で時効(民法724条)。再審請求にも期間の制限がある(商標法58条が準用する特許法173条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:再審の遡及効を原則として認めつつ、公示が『その商標は死んでいる』と告げていた空白期間の善意使用に限り遡及を遮断する。回復する権利者の正当な利益と、公示を信頼した取引の安全とを調和させる趣旨と解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行商標法の制定時に、再審で回復した商標権の効力制限規定として整備された。特許法175条と並行する構造を持つ。
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