要点商標法68条の25は、国際登録に基づく商標権者がその権利を放棄できると定める。放棄しても国際登録本体や他の指定国の権利は残り、日本の指定部分のみが消滅する。
Q · マドリッドプロトコルで取った商標、日本の分だけ手放せるの?
はい、日本の指定分だけ放棄でき、海外の登録は残ります
商標法68条の25第1項により、国際登録に基づく商標権者はその商標権を放棄できます。放棄の対象は日本という指定国の効力だけで、ジュネーブの国際登録簿に載った登録本体や他の指定国の権利は存続します。ただし専用使用権者や質権者などの利害関係人がいる場合、その承諾を得なければ放棄の効力は生じません(商標法35条が準用する特許法97条1項)。第2項は国内商標権向けの34条の2をこの種の権利に適用しません。
マドリッド協定議定書を使えば、一枚の願書で世界数十カ国に同時に商標を押さえられる。そのうち日本で効力を持つ部分が、国際登録に基づく商標権だ。事業を畳む、日本だけブランドを捨てる、そんなとき日本の権利だけを手放す根拠がこの条文の1項である。注意すべきは、ここで放棄しても国際登録そのものは消えないという点。日本の指定だけが落ち、他国の権利はジュネーブの台帳の上で生き続ける。2項は、国内の商標権に適用される34条の2を、この種の権利には外している。マドリッド経由の権利は、日本の手続だけで完結しない二重台帳の住人だからだ。
商標法第68条の25は、国際登録に基づく商標権の放棄に関する特例を定める規定である。第1項は当該商標権者に放棄の自由を認め、第2項は国内商標権を対象とする第34条の2の適用をこの種の権利について除外する。マドリッド協定議定書に基づく二重台帳構造との整合を図る趣旨による。
マドリッド協定議定書を使い、一枚の願書で複数国に出願した国際登録のうち、日本を指定国とする部分が日本で効力を持つ商標権です。商標法第7章の2の特例で規律されます。
商標法68条の25第1項に基づき、国際登録に基づく商標権を放棄します。日本の指定だけが消え、国際登録本体や他の指定国の権利は残ります。手続は特許庁に対して行います。
利害関係人がいなければ放棄の意思表示で効力が生じます。専用使用権者や質権者がいる場合は、その承諾を得るまで効力は生じません(商標法35条準用の特許法97条1項)。
引き継いだグローバル商標の日本指定が自社の既存ブランドと衝突することがあります。68条の25で日本の指定だけを放棄すれば、紛争を避けつつ他国の権利価値を守れます。
日本だけブランドを刷新する、海外M&Aで重複商標を整理する、維持コストに見合わない日本指定を更新前に切る、といった指定国単位のポートフォリオ調整の場面で使います。
質権設定が可能で、その場合は利害関係人にあたります。権利者が放棄するには質権者の承諾が必要で、承諾を欠いた放棄は効力を生じません。
国際登録の存続・更新サイクルに連動して指定国ごとの個別手数料が発生し得ます。維持に見合わない日本指定は、更新期限の前に放棄を判断するのが実務上の定石です。
日本の指定部分の放棄は日本の特許庁に対して行います。一方で国際登録本体の更新・名義変更などはWIPOの国際登録簿で別途管理する二重台帳構造になっています。
消えません。国際登録に基づく商標権の放棄(本条1項)は、日本という指定国の効力だけを手放すものです。ジュネーブの国際登録簿に載った登録本体や、他の指定国の権利はそのまま生き続けます。業界裏話ヒント:逆に国際登録の本体が中心的攻撃で5年以内に潰れると、日本を含む全指定国が連鎖的に倒れる。放棄は自分の意思で日本だけを切る行為、中心的攻撃は他人の意思で全体が倒れる行為、この二つは全く別物として整理しておく
勝手にはできません。専用使用権者や質権者がいる場合、その承諾を得なければ放棄できません(商標法35条が準用する特許法97条1項)。承諾なしの放棄は効力を生じません。業界裏話ヒント:ライセンス契約書に放棄禁止や事前通知義務を盛り込んでいないと、ライセンシーは権利者の放棄を止めきれないことがある。商標を借りる側は、契約段階でこの承諾要件を契約上の通知義務に格上げしておくのが定石
結果はどちらも権利の消滅ですが、タイミングと費用が違います。放棄は今すぐ効力を消せるのに対し、放置は更新期限が来るまで権利が残り、その間に個別手数料の支払い義務が発生し得ます。業界裏話ヒント:第三者に「この権利はもう手放した」と明確に示したい局面(並行交渉や和解)では、期限切れを待つ放置より、意思表示としての放棄の方が消滅の時期を自分でコントロールできる。交渉カードとして時点を特定できるのが強みだ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 消滅させる対象 | 68条の25:日本の指定(国際登録に基づく権利)だけ | — |
| 効力が消えるタイミング | 放棄の意思表示時(利害関係人の承諾後) | — |
| 国際登録本体への影響 | なし。国際登録簿の本体・他指定国は存続 | — |
| 34条の2の適用 | 適用なし(68条の25第2項で除外) | — |
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