国税と国に対する債権で金銭の給付を目的とするものとは、法律の別段の規定によらなければ、相殺することができない。還付金等に係る債権と国に対する債務で金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
要点国税通則法 122 条は、国税と国に対する金銭債権は法律の別段の定めがない限り相殺できないと定める。還付金等と国への債務も同様で、納税者側からの相殺は原則封じられる。
Q · 国が代金を払ってくれないんだから、その分だけ税金を相殺して納めればいいですよね?
できません。国への債権と国税は原則相殺できません(122 条)
国税通則法 122 条により、国税と国に対する金銭債権は、法律に別段の定めがない限り相殺できません。国への工事代金や給付金の請求権を持っていても、それで納税を止めることはできず、税は税として現金で納めるしかありません。一方、逆方向では国は 57 条の充当により、あなたの還付金を滞納税へ先に差し引けます。相殺で納税を止めれば延滞税と滞納処分が同時に走るため、資金難のときは 46 条の納税の猶予を納期限前に申請するのが正解です。
あなたが役所の委託事業で成果物を納めたのに、代金数百万円の入金が半年遅れている。そこへ法人税の納期が来た。「国が払ってくれないんだから、その分だけ税金を差し引いて納めればいい」。そう電卓を叩いた瞬間、国税通則法122条があなたの前に立ちはだかる。国税と、国に対する金銭債権は、法律に特別の定めがない限り相殺できない。あなたの側からの相殺は原則として封じられている。ところが逆はどうか。あなたに還付金が出て、同時に滞納税があれば、国は57条の「充当」で相殺同然のことを勝手にやってのける。つまりこの条文が守っているのは、あなたと国の対等な帳尻合わせではない。税金だけは何があっても現金で先に取る、という国の徴収秩序だ。この非対称を知らずに相殺で納税を止めれば、延滞税と滞納処分が同時に襲ってくる。
国税通則法 122 条は、国税と国に対する金銭給付を目的とする債権との相殺、および還付金等に係る債権と国に対する金銭給付を目的とする債務との相殺を、法律に別段の定めがある場合を除き禁止する規定である。国庫の徴収秩序を確保するため、民法 505 条の相殺権を制限する特則として機能する。
国税と国に対する金銭債権を、法律に特別の定めがない限り相殺できないとする制限です。国税通則法 122 条が根拠で、納税者側からの相殺を原則封じ、税は現金で納めさせる仕組みです。
還付金等がある人に滞納があると、国が滞納税へ先に差し引く処理です(国税通則法 57 条)。納税者の同意は不要で、手元には差額のみが戻ります。相殺に似た一方向の調整です。
納期限前に税務署へ納税の猶予申請書を提出します(国税通則法 46 条)。認められれば延滞税の軽減や滞納処分の停止が受けられ、相殺で止めるより有利になる場合があります。
民法 505 条の相殺は当事者間で成立しますが、相手が国税や国への債権になると 122 条で原則封じられます。民間では常識の相殺が、対国では例外扱いになります。
納税の猶予(46 条)は災害等の事由で納付を猶予する制度、換価の猶予は差押財産の換価を猶予する制度です。いずれも延滞税軽減の余地があり、相殺の代替手段になります。
還付金等の請求権は、その請求ができる日から 5 年で時効消滅します(国税通則法 74 条)。放置すると請求権そのものが消えるため、早めの確認が重要です。
法定納期限の翌日から日々加算されます。相殺で納税を止めても延滞税は止まらず、滞納処分と同時に負担が膨らみます。最新の税率は国税庁で確認してください。
法律に別段の定めがある場合に限られます。倒産手続の相殺規定(破産法 67 条等)が『別段の規定』に当たるかは解釈が分かれる論点で、安易に相殺できると見込むのは危険です。
できません。国への金銭債権と国税は、法律に特別の定めがない限り相殺できません(国税通則法122条)。代金は代金として請求し、税は税として現金で納めるしかありません。業界裏話ヒント:入金遅れで納税が苦しいなら、相殺ではなく『納税の猶予』(46条)を納期限前に申請するのが正解です。相殺で止めれば延滞税が乗りますが、猶予なら延滞税の一部免除まで狙える。同じ資金難でも、選ぶ手続で最終負担が数割変わります
過去の滞納があると、国が57条の『充当』で還付金を滞納分に先に充てるため、手元に来るのは差額だけになります。あなたの同意は要りません。業界裏話ヒント:充当には順序のルールがあり、本税・延滞税・加算税のどれに充てるかで最終的な残債が変わります。充当の通知が来たら順序を必ず確認し、おかしければ再調査の請求や審査請求で争える。黙って受け取ると、有利な充当順を主張する機会を失います
原則122条で相殺は封じられますが、倒産手続では破産法などの相殺規定が122条のいう『法律の別段の規定』に当たるかが争点になり、実務上、解釈が分かれています。業界裏話ヒント:税債権は倒産手続で財団債権や優先債権として強い立場を持つことが多く、安易に『相殺でチャラ』と見込むと資金計画が崩れます。倒産法と税法の両方に強い専門家でないと判断を誤る領域なので、税理士だけでなく倒産に詳しい弁護士も入れるのが定石です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 方向と主体 | 122 条:納税者→国の相殺(原則禁止) | — |
| 効果 | 相殺で納税を止められない、現金納付が必要 | — |
| 同意の要否 | そもそも相殺できないため問題外 | — |
| 使いどころ | 国からの入金遅れでも相殺は不可と知る | — |
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