河川法 第21条(工事の施行に伴う損失の補償)
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- 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十三条第一項の規定による場合を除き、河川工事の施行により、当該河川に面する土地について、通路、みぞ、かき、さくその他の施設若しくは工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は盛土若しくは切土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、河川管理者(当該河川工事が河川管理者以外の者が行なうものであるときは、その者。以下この条において同じ。)は、これらの工事をすることを必要とする者(以下この条において、「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。この場合において、河川管理者又は損失を受けた者は、補償金の全部又は一部に代えて河川管理者が当該工事を施行することを要求することができる。
- 2.前項の規定による損失の補償は、河川工事の完了の日から一年を経過した後においては、請求することができない。
- 3.第一項の規定による損失の補償については、河川管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
- 4.前項の規定による協議が成立しない場合においては、河川管理者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条の規定による裁決を申請することができる。
この条文の基本情報
工事の施行に伴う損失の補償とは何ですか?
定義工事の施行に伴う損失の補償とは、河川法第21条に定められた規定で、「土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十三条第一項の規定による場合を除き、河川工事の施行により、当該河川に面する土地について、通路、みぞ、かき、さくその…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 河川法第21条(工事の施行に伴う損失の補償)は、日本の河川法に含まれる条文です。
- 河川法第21条の条文原文は「土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十三条第一項の規定による場合を除き、河川工事の施行により、当該河川に面する土地について、通路、みぞ、かき、さくその…」で始まります。
- 河川法第21条は第二節 河川工事等に置かれています。
- 河川法の公布日は昭和39年7月10日です。
- 河川法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 河川法第21条の前の条は河川法第20条です。
- 河川法第21条の次の条は河川法第22条です。
- 河川法第21条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第21条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000167 - 本サイト収録
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第21条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/339AC0000000167/21
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点河川法21条は、河川工事により河川に面する土地で通路・みぞ・かき等の工事が必要になった場合、河川管理者が請求に基づき費用を補償すると定める。請求期限は工事完了から一年。
Q · 堤防工事で家の前の坂や水路を作り直すことになったら、費用は誰が払うの?
請求すれば河川管理者が補償する。期限は工事完了から一年
河川法21条1項により、河川工事のせいで河川に面する土地の通路・みぞ・かき・さく等を作り直したり盛土・切土をしたりするやむを得ない必要が生じた場合、河川管理者(承認工事なら施工者)は請求に基づき費用の全部又は一部を補償しなければなりません。補償金に代えて管理者に工事を施行させることもできます。請求は工事完了の日から一年以内(同条2項)で、協議が成立しなければ収用委員会に裁決を申請できます(同条4項)。
解説
堤防のかさ上げ工事が終わった翌朝、自宅の門から道路へ出る坂が急になっていた。田んぼの排水路が新しい護岸でふさがれていた。土地を一坪も取られていないので、補償の対象外だと諦める人は多い。だが河川法21条にはこうある。河川に面する土地で、河川工事のせいで通路・みぞ・かき・さくなどを作り直したり、盛土・切土(土を盛る・削る造成)をしたりする「やむを得ない必要」が生じた場合、河川管理者はその費用の全部または一部を補償しなければならない。実務では「みぞかき補償」と呼ばれる。ただし、役所が自動で振り込むことはない。あなたが請求して初めて手続が動き、請求できるのは工事完了の日から一年以内に限られる。お金の代わりに「役所の側で工事をしてくれ」と求めることもできる。この仕組みを知っているかどうかで、自腹で払った数十万円が戻ってくるか、そのまま失われるかが決まる。
法的な位置づけ
河川法21条は、いわゆるみぞかき補償を定める規定であり、河川工事の施行により河川に面する土地について通路・みぞ・かき・さく等の施設の新築・修繕・移転又は盛土・切土をするやむを得ない必要が生じた場合に、河川管理者が損失を受けた者の請求に基づき、その費用の全部又は一部を補償する義務を負う旨を定める。土地収用法93条1項が適用される場合は除外される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.工事完了日と請求先を確認する 河川事務所や都道府県の土木事務所に、河川工事の完了日(予定日)と、施工者が河川管理者自身か承認を受けた別の事業者かを確認する。現場の工事看板の発注者名も写真に残す
- 2.損失の現況と費用の証拠をそろえる 作り直しが必要な通路・水路・柵等について、工事前後の写真、現況の記録、施工業者の見積書を集める。自分で着工する前に行う
- 3.河川法21条に基づく補償請求書面を提出する 請求の根拠条文、損失の内容、必要な工事と費用、金銭補償か河川管理者による代行施工かの希望を明記した書面を、工事完了の日から一年以内に提出する。控えと受付日の記録を残す
- 4.協議し、不成立なら収用委員会に裁決申請する 河川管理者との協議(同条3項)で補償額や施工方法を詰める。協議が成立しない場合は、政令の定めに従い収用委員会に土地収用法94条の裁決を申請する(同条4項)
よくある質問 AI による整理
Q1みぞかき補償とは何ですか?
公共工事のせいで隣接地の通路・水路・柵などを作り直す必要が生じたとき、その費用を工事主体が補償する制度の通称です。河川工事では河川法21条が根拠です。
Q2河川工事の補償 いつまで請求できる?
河川工事の完了の日から一年以内です(河川法21条2項)。不便に気付いた日ではなく工事完了日が起算点なので、完了日を工事事務所で確認しておくことが重要です。
Q3土地を取られていなくても河川工事の補償はもらえる?
もらえる可能性があります。河川法21条は土地を収用されずに河川に面したまま残った土地のための規定で、通路や水路の作り直しにやむを得ない必要があれば対象になります。
Q4河川工事の補償はどこに請求する?
原則は河川管理者(国の河川事務所や都道府県の土木事務所など)です。河川管理者以外の者が承認を受けて施工した工事なら、その施工者が請求先になります。
Q5みぞかき補償 金額はどう決まる?
やむを得ない必要のある工事に要する費用が基準で、全部又は一部が補償されます。グレードアップ分や古い施設が新しくなる価値増加分は減額調整されることがあります。
Q6河川工事の補償 協議がまとまらないときは?
河川管理者又は損失を受けた者のどちらからでも、収用委員会に土地収用法94条の裁決を申請できます(河川法21条4項)。いきなり裁判になるわけではありません。
Q7補償の代わりに役所に工事してもらえる?
できます。河川法21条1項後段により、補償金の全部又は一部に代えて河川管理者が工事を施行するよう求めることができ、金銭と現物施工の組み合わせも可能です。
Q8先に自分で直してから請求しても大丈夫?
期限内なら請求自体は可能ですが、工事前の状況や費用の妥当性を後から立証する負担が重くなります。着工前に写真と見積書を添えて請求書面を出すのが安全です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1役所の工事で家の前が不便になったんですけど、向こうから連絡が来るのを待っていればいいですか?
待っていても来ないことが多いです。本条1項は補償を「請求により」行うと定めており、手続はあなたの請求から始まります。しかも期限は工事完了の日から一年です(本条2項)。実務のポイント:工事事務所の職員は、工事に面する全世帯の作り直しの必要性を把握しているわけではありません。請求書面に写真と見積書を付けて出した人から先に協議が進むのが実態です
Q2お金をもらうより、役所にちゃんと直してほしいんですが、そういう頼み方はできますか?
できます。本条1項後段は、損失を受けた者も河川管理者も、補償金の全部または一部に代えて管理者が工事を施工するよう求めることができると定めています。実務のポイント:全部を代わりに施工させるのではなく、「水路は役所が施工、門扉は金銭」のように組み合わせることも条文上可能です。自分で業者を探す手間と、役所の施工品質のどちらを取るかで使い分けると交渉の幅が広がります
Q3提示された補償額が安すぎます。裁判しかないんですか?
いきなり裁判ではありません。まず本条3項の協議があり、協議が成立しなければ収用委員会に土地収用法94条の裁決を申請できます(本条4項)。申請はあなたの側からも可能です。実務のポイント:収用委員会への申請を検討していると書面で伝えた時点で、役所側が見積もりの根拠を見直すことは珍しくありません。第三者機関が算定を検証する場に出ることを、役所は内部的にも避けたいからです
Q4工事をしたのが国じゃなくて民間の会社だったら、誰に請求するんですか?
河川管理者以外の者が河川工事を行った場合は、その施工者が本条の義務を負います(本条1項の括弧書き)。河川法20条の承認を受けて民間や自治体が施工する工事がこれにあたります。実務のポイント:現場の工事看板に出ている発注者名を写真に撮っておくと、請求先を取り違えずに済みます。役所に出すと「うちの工事ではない」と回され、その間も一年の期限は進みます
間違えやすい点 AI による整理
- 土地を収用されていないから補償とは無縁だと思うのは誤りである。本条は、土地を取られずに河川に面したまま残った土地のための規定だ。逆に、土地の一部を収用された場合の同種の工事費は土地収用法93条の守備範囲で、本条はそれを除外している。自分がどちらの枠に入るかで、申し出る窓口と書類が変わる
- 一年という期限は知っていても、その起算点の重さまでは知られていない。起算点はあなたが不便に気付いた日ではなく、河川工事が完了した日である。工事の完了から半年後に排水不良が表に出たケースでは、気付いた時点で残り時間がもう半分しかない
- 「いくらもらえるか」という問いの立て方自体がずれていることがある。本条には、お金の代わりに河川管理者自身に工事を施工させるという選択肢がある。業者の手配も品質管理も役所に負わせたほうが合理的な場面では、問うべきは補償額ではなく「誰がどう直すか」だ
- あなたにとっては工事のせいで壊れたもの全部が損害に見える。だが本条が見るのは、通路・みぞ・かき・さく・盛土・切土などの工事に「やむを得ない必要」があるかどうかだけだ。この機会に門扉を高級品に替えるといった上乗せ部分は対象にならず、古い柵が新しくなる分の価値増加は「全部又は一部」の一部補償で調整されうる。この落差を理解しないまま交渉すると、正当な部分まで疑われる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 補償の原因 | 河川法21条:河川工事の施行に伴う隣接地の工事の必要 | 河川法22条:洪水時等の緊急措置に伴う損失 土地収用法93条:土地収用に伴う残地等の工事の必要 |
| 対象となる土地 | 河川に面する土地(収用されていない土地) | 緊急措置で使用・処分等された土地や物件 収用された土地の残地等 |
| 請求期限 | 河川工事の完了の日から一年 | 条文の定めに従う(別途確認が必要) 土地収用法の手続に従う |
| 争いの解決 | 協議 → 収用委員会への裁決申請(土地収用法94条) | 協議 → 収用委員会への裁決申請 収用委員会の裁決手続内で処理 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾でも水利工事や公共事業に伴う損失補償の規定があるが、日本のように隣接地の通路・水路等の工事費を条文で類型化した規定との対応は個別に確認が必要
事業地外の土地に通路・溝・塀等の工事が必要な場合の費用補償を定め、日本のみぞかき補償と構造が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 護岸工事で自宅前の河川側の道が一段高くなり、車庫から車が出せなくなった。スロープを作り直す見積もりは80万円。これは土地を取られたわけではないが、本条の通路の改築にあたりうる。工事事務所に請求書を出すのが先で、着工するのはその後になる
- 河川改修の完了から11か月が経った。隣家の人から、うちは排水路の付け替え費用を補償してもらったと聞かされる。あなたの水路も同じ工事で詰まったままだ。残りは一か月、今週中に請求の書面を出さなければ権利そのものが消える
- もし役所の提示額が工事費の半分しかなく、協議が平行線のまま終わったらどうなる? 泣き寝入りする必要はなく、あなたの側から収用委員会に裁決を申請できる(本条4項、土地収用法94条)
- あなたが開発会社の担当者で、河川管理者の承認を得て河川工事を自社で施工している。工事の影響で隣地の農家の柵とあぜ道を直す必要が出た。補償を払う義務を負うのは国ではなく、施工者であるあなたの会社だ
- 農業用の取水口付近の河床が下がり、田に水を引くための水路を延長しなければならなくなった。「みぞ」には用排水路も含まれうる。農協経由で話が止まっているなら、自分の名前で請求を出し直す
取るべき行動
被害を受けた側:1. 河川事務所や都道府県の土木事務所に、工事の完了日(予定日)と施工者が河川管理者自身かどうかを確認する2. 工事前後の写真、作り直しが必要な通路・水路・柵の現況、業者の見積書をそろえる3. 本条1項に基づく補償請求の書面を出し、金銭か、管理者による代わりの施工かの希望を明記する4. 協議が成立しなければ、収用委員会に裁決を申請する(本条4項)
訴えられた側:1. 河川管理者や承認工事の施工者の立場なら、工事に面する土地を事前に洗い出し、通路・排水の影響を設計段階で減らす2. 請求を受けたら、「やむを得ない必要」の範囲と、作り直しによる価値増加分を整理して協議する3. 現場に重機があるうちに管理者側で施工することを提案すれば、総コストが下がりやすい4. 協議が決裂したら、記録を整えて収用委員会の裁決に備える
時効(請求できる期限):河川工事の完了の日から一年を経過すると請求できない(本条2項)。起算点は損失に気付いた日ではなく工事完了日である。収用委員会の裁決に不服がある場合は、裁決書の送達から一定期間内に訴えを提起する必要がある(土地収用法94条。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:みぞかき補償は、収用を伴わない公共工事の付随的損失について、公平負担の見地から立法により補償を認めたものと解される。対象は「やむを得ない必要」のある工事費に限られ、価値増加分等は一部補償で調整される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和39年(1964年) 新設:旧河川法(明治29年)に代わる現行河川法の制定に伴い、河川工事に伴う隣接地の工事費補償として本条が設けられた
- 河川法 第8条「河川工事」の定義、本条の発動対象
- 河川法 第20条管理者以外の者の工事、補償義務者の特定
- 河川法 第22条洪水時の緊急措置に伴う損失補償
- 土地収用法 第93条収用に伴う同種の工事費補償、本条の適用除外
- 土地収用法 第94条協議不成立時の収用委員会裁決手続
- 道路法 第70条道路工事に伴う同型のみぞかき補償
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