河川法 第22条(洪水時等における緊急措置)
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- 洪水、津波、高潮等による危険が切迫した場合において、水災を防御し、又はこれによる被害を軽減する措置をとるため緊急の必要があるときは、河川管理者は、その現場において、必要な土地を使用し、土石、竹木その他の資材を使用し、若しくは収用し、車両その他の運搬具若しくは器具を使用し、又は工作物その他の障害物を処分することができる。
- 2.河川管理者は、前項に規定する措置をとるため緊急の必要があるときは、その附近に居住する者又はその現場にある者を当該業務に従事させることができる。
- 3.河川管理者は、第一項の規定による収用、使用又は処分により損失を受けた者があるときは、その者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
- 4.前項の規定による損失の補償については、河川管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
- 5.前項の規定による協議が成立しない場合においては、河川管理者は、自己の見積つた金額を損失を受けた者に支払わなければならない。この場合において、当該金額について不服がある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に、収用委員会に土地収用法第九十四条の規定による裁決を申請することができる。
- 6.第二項の規定により業務に従事した者が当該業務に従事したことにより死亡し、負傷し、若しくは病気にかかり、又は当該業務に従事したことによる負傷若しくは病気により死亡し、若しくは障害の状態となつたときは、河川管理者は、政令で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によつて受ける損害を補償しなければならない。
この条文の基本情報
洪水時等における緊急措置とは何ですか?
定義洪水時等における緊急措置とは、河川法第22条に定められた規定で、「洪水、津波、高潮等による危険が切迫した場合において、水災を防御し、又はこれによる被害を軽減する措置をとるため緊急の必要があるときは、河川管理者は、その現場におい…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 河川法第22条(洪水時等における緊急措置)は、日本の河川法に含まれる条文です。
- 河川法第22条の条文原文は「洪水、津波、高潮等による危険が切迫した場合において、水災を防御し、又はこれによる被害を軽減する措置をとるため緊急の必要があるときは、河川管理者は、その現場におい…」で始まります。
- 河川法第22条は第二節 河川工事等に置かれています。
- 河川法の公布日は昭和39年7月10日です。
- 河川法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 河川法第22条の前の条は河川法第21条です。
- 河川法第22条の次の条は河川法第22条の2です。
- 河川法第22条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第22条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000167 - 本サイト収録
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第22条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/339AC0000000167/22
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点河川法22条は、洪水等の危険が切迫し緊急の必要があるとき、河川管理者が現場で土地・資材・車両を使用・収用し障害物を処分できると定め、損失には通常生ずべき損失の補償を義務づける。
Q · 洪水のときに国や県に畑や資材を勝手に使われたら、補償はもらえるの?
使われても補償請求でき、見積額に不服なら30日以内に裁決申請
河川法22条3項により、河川管理者は緊急措置としての収用・使用・処分で損失を受けた人に「通常生ずべき損失」を補償しなければなりません。補償額はまず協議で決め、協議が成立しなければ河川管理者が自ら見積もった金額を支払います(5項)。その額に不服があれば、支払を受けた日から30日以内に収用委員会へ土地収用法94条の裁決を申請できます。作業に従事させられてけがをした場合も6項で補償の対象になります。
解説
堤防が切れかけている夜、国や県の職員があなたの畑に重機を入れ、倉庫の材木や砂利を運び出し、ブロック塀を壊していく。これは違法ではない。河川法22条は、洪水・津波・高潮などの危険が切迫し、被害を防ぐ緊急の必要があるとき、河川管理者(一級河川は原則として国土交通大臣、二級河川は都道府県知事)に強い権限を与えている。その場で土地を使い、資材を使ったり収用(強制的に取り上げること)したりし、車両を使い、邪魔になる工作物を処分できる。近くの住民や居合わせた人を作業に就かせることもできる。ただ、本当に覚えておくべきなのは後半である。収用・使用・処分で損をした人には、「通常生ずべき損失」を補償する義務がある。協議がまとまらなくても、河川管理者はまず自分が見積もった額を支払わなければならない。その額に不満があれば、受け取った日から30日以内に収用委員会へ裁決を申請できる。作業中にけがをした場合にも補償がある。水が引いた後に黙っていれば、何も戻ってこない。
法的な位置づけ
河川法22条は、洪水・津波・高潮等の危険が切迫した際に河川管理者が行う緊急措置を定める規定であり、現場における土地・資材・運搬具の使用または収用、障害物の処分、付近住民等への従事命令を認めるとともに、これらによって生じた損失の補償、協議不成立時の見積額支払、収用委員会への裁決申請、従事者の災害補償を定める公用負担と損失補償の規定である。
手順
- 1.措置をした機関と根拠法を確認する 現場で土地の使用や資材の持ち出しをしたのが、国の河川事務所、都道府県、市町村・水防管理者のどれかを確認し、担当者の所属と氏名を控える。河川管理者の措置なら河川法22条、水防管理者等の措置なら水防法が根拠となり、請求先が変わる
- 2.損失の証拠を記録する 使われた土地、持ち出された資材、壊された工作物を写真で撮影し、品目・数量・状態を一覧にする。購入時の領収書、伝票、在庫台帳など時価の根拠となる資料も集める
- 3.河川管理者に補償協議を申し入れる 損失額を項目別(資材の価額、工作物の再築費用、休業損害など)に分けた請求書を作成し、河川管理者に書面で補償協議を申し入れる(22条3項・4項)
- 4.見積額の支払日を記録し、30日以内に裁決を申請する 協議が成立せず河川管理者の見積額が支払われたら、支払日を記録する。金額に不服があれば、その日から30日以内に収用委員会へ土地収用法94条の裁決を申請する(22条5項)
- 5.従事中のけがは別ルートで請求する 従事命令に基づく作業でけがや病気をした場合は、診断書と、誰の指示でどの作業をしたかの記録をそろえ、22条6項による損害補償を河川管理者に請求する
よくある質問 AI による整理
Q1河川法22条とは?
洪水・津波・高潮などが切迫したとき、河川管理者が現場で土地や資材を使い、障害物を処分し、住民を作業に就かせることを認める規定です。損失補償の手順も定めています。
Q2洪水で土地を勝手に使われたら補償はもらえる?
もらえます。河川法22条3項は、収用・使用・処分で損失を受けた人に通常生ずべき損失を補償するよう河川管理者に義務づけています。
Q3「通常生ずべき損失」には何が含まれる?
持ち出された資材の価額や壊された工作物の再築費用など、措置によって通常発生する損失が中心です。休業損害をどこまで含めるかは個別の争点になります。
Q4河川管理者とは誰のこと?
一級河川は原則として国土交通大臣、二級河川は都道府県知事です(河川法9条・10条)。補償の請求先も、原則としてこの河川管理者になります。
Q5緊急措置で壊された塀は元に戻してもらえる?
条文が定めるのは原状回復ではなく金銭による損失補償です。再築費用を損失額として算定し、協議で請求するのが基本的な流れです。
Q6土嚢積みを手伝ってけがをしたら補償される?
河川管理者の従事命令に基づく作業でけがをしたなら、22条6項の損害補償の対象になりえます。指示を受けた経緯を記録しておくことが重要です。
Q7河川法22条と憲法29条の関係は?
憲法29条3項は、私有財産を公共のために用いる場合の正当な補償を定めています。河川法22条3項から5項は、災害時についてこれを具体化した規定といえます。
Q8河川法22条の補償請求に時効はある?
本条に請求期限の定めはありませんが、国・地方公共団体に対する金銭債権には5年の消滅時効がかかりえます(会計法30条、地方自治法236条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1洪水のとき「手伝え」と言われたけど、断ってもいいの?
22条2項では、緊急の必要があるとき、河川管理者は付近の住民や現場にいる人を作業に就かせることができる。拒否した場合の罰則の有無は、河川法の罰則規定(第102条以下)を確認する必要がある(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:従事したなら、誰の指示で何をしたかを必ずメモしておく。6項の損害補償は「従事命令に基づく業務」であったことが前提になるため、自主的なボランティアと区別できる記録があるかどうかで、けがをしたときの扱いが分かれうる
Q2振り込まれた補償金が安すぎる。受け取ったらもう文句は言えないの?
言える。22条5項は、支払を受けた日から30日以内に、収用委員会へ土地収用法94条による裁決を申請できると定めている。受け取ることは同意を意味しない。実務のポイント:争点は「通常生ずべき損失」の範囲である。資材の再調達価格、休業による逸失利益、撤去された工作物の再築費用のうち、どれを含めるかで金額が大きく変わる。項目ごとに分けた請求書を作ると、裁決の場でも交渉の場でも強い
Q3市の消防団に倉庫の物を使われた。これも河川法で請求するの?
措置をした主体によって根拠法が変わる。河川管理者による措置なら河川法22条、市町村などの水防管理者側による措置なら水防法28条の公用負担と、それに伴う損失補償の規定が根拠になる。実務のポイント:洪水現場には国、県、市、消防団が入り混じる。請求先を誤ると、たらい回しにされているうちに証拠が散逸する。最初の電話で「どの法律に基づく措置だったか」を確認するのが近道である
間違えやすい点 AI による整理
- 「災害時だから仕方ない」と諦める人は多い。しかし、強制的に使われたことと、補償がなくなることは別の話である。22条3項は、収用・使用・処分で損失を受けた人への補償を河川管理者に義務づけている。我慢するのが美徳とされる場面でも、法律上の請求権は消えていない
- 見積額を受け取ると金額に同意したことになる、と考えて受け取りをためらう人がいる。条文の仕組みは逆である。5項は「補償金の支払を受けた日から三十日以内」に収用委員会へ裁決を申請できるとしており、受け取ることが不服申立ての起点になっている。受け取りを拒み続けても、有利になるとは限らない
- 「市役所に請求すればいい」と考える人も多いが、そもそもその問いの立て方が危うい。河川管理者による措置なら補償するのは国や都道府県であり、市町村などが水防法に基づいて行った措置なら別の補償ルートになる。現場で誰が、どの法律に基づいて動いたのかを最初に確認しないと、請求先を誤って時間を失う
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾でも災害時の緊急応変措置として民間の物資・人力の徴用・徴調が認められ、事後の補償が予定されている。条番号と補償手続の詳細は最新条文で要確認
災害時の応急負担として土地・建物・物資の一時使用や収用を認め、損失補償の規定を別に置く構造は日本と類似する
緊急防汛期に防汛指揮機構が物資・設備・運輸工具・人力を調用し、取土占地や阻水障害物の除去をできる。使用後は返還し、損壊や返還不能の場合は適当な補償を行う
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 台風の夜、たまたま堤防近くの実家に帰省していたら、河川事務所の職員に「土嚢積みを手伝ってほしい」と言われた。消防団員でもない自分が、なぜ? 22条2項は、付近に住む人や現場にいる人を作業に就かせることを認めている。作業中に腰を痛めたなら、6項による損害補償の対象になりうる。善意の手伝いとして終わらせてはいけない
- 建材店を営むあなたの資材置き場から、氾濫を防ぐためとして鋼材と砂利がトラック5台分運び出された。代金はいつ、誰から払われるのか。3項によって補償義務を負うのは河川管理者である。持ち出された品目・数量・時価を示す伝票と写真が、あとの協議ですべての土台になる
- 収穫まであと二週間の田んぼに重機が入り、仮堤防が築かれた。稲は全滅した。
- 協議がまとまらず、河川管理者の見積額が口座に振り込まれた。明らかに安い。振込日から数えて、残された時間は30日しかない。この期間内に収用委員会へ裁決を申請しなければ、金額を争う法定ルートは閉じてしまう
- あなたが県の河川課の職員で、出水時に民家の物置を撤去する判断をしたとしたら? 水が引いた後に待っているのは、所有者との補償協議である。協議が決裂しても、5項によって県はまず自分の見積額を支払わなければならない。現場判断の記録を残していない担当者ほど、この段階で苦しむ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 現場で措置をした機関(国の河川事務所か、都道府県か、市町村などの水防管理者か)と担当者名を確認する2. 使われた土地、持ち出された資材、壊された工作物を写真・伝票・購入時の領収書で記録する3. 河川管理者に補償協議を申し入れ、損失額の内訳を書面で出す4. 協議が決裂して見積額が支払われたら、支払日を記録し、30日以内に収用委員会へ裁決を申請する5. 従事中にけがをした場合は、診断書と従事を指示された経緯を記録し、6項の補償を請求する
訴えられた側:河川管理者の側(国や都道府県の担当職員)として補償を求められた場合:1. 措置の時刻、危険の切迫度、処分した物の状態を記録で裏付け、緊急性の要件を満たしていたことを示せるようにする2. 損失額は「通常生ずべき損失」に絞って算定根拠を整え、協議に臨む3. 協議が決裂したら、速やかに見積額を支払う(5項の義務) 4. 裁決申請に備え、算定資料を保存しておく
時効(請求できる期限):見積額に不服がある場合、補償金の支払を受けた日から30日以内に収用委員会へ裁決を申請する(河川法22条5項、土地収用法94条)。協議の開始時期や6項の損害補償の請求について本条に特定の期限はないが、国や地方公共団体に対する金銭債権には会計法30条・地方自治法236条の5年の消滅時効がかかりうる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:河川法22条の緊急措置は、危険の切迫と緊急の必要を要件とする応急公用負担であり、事前手続を省く代わりに事後の損失補償で財産権との調整を図る。補償の範囲は「通常生ずべき損失」に限られ、措置と相当因果関係のある損失が対象となる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和39年(1964年) 新設:旧河川法(明治29年)を全面的に改めた現行河川法の制定に伴い、洪水時等の緊急措置と損失補償の規定として置かれた
- 河川法 第1条洪水等の災害防止という法目的
- 河川法 第7条措置主体たる河川管理者の定義
- 河川法 第9条一級河川の管理者は国土交通大臣
- 河川法 第10条二級河川の管理者は都道府県知事
- 水防法 第28条水防管理者等の公用負担と並行する権限
- 災害対策基本法 第64条市町村長の応急公用負担の一般規定
- 土地収用法 第94条損失補償の裁決申請の手続
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