要点法人税法 63 条は、政令基準以上かつ工期 1 年以上の長期大規模工事について工事進行基準を強制し、代金入金前でも工事の進捗度に応じて利益に課税すると定める。
Q · 大きな工事を受注したら、代金が入る前でも税金を払わないといけないの?
10 億円以上・工期 1 年以上の大型工事なら強制適用です
法人税法 63 条により、長期大規模工事(請負金額が政令基準以上かつ工期 1 年以上)を請け負うと、着手事業年度から引渡し前の各事業年度で、工事の進捗度に応じて計算した収益を益金に算入します。したがって代金入金が数年後でも、その間の各決算で利益が立ち法人税がかかります。しかも選択ではなく強制です。一方、これ未満の工事なら進行基準と完成基準を自分で選べます(63 条 2 項)。この『線』の内側か外側かで資金繰りの設計が大きく変わります。
決算書は黒字なのに、納税の時期になると手元の現金が足りない。その落差を生む張本人が、法人税法63条の工事進行基準だ。通常、税金は利益が現金として実現してから払うイメージがある。ところがこの条文は、10億円以上かつ工期1年以上の『長期大規模工事』を請け負った瞬間、完成して代金を受け取る前から、工事の進み具合に応じて利益を先取り計上させ、そこに課税する。しかも選択ではなく強制だ。あなたの会社が大型の建設、プラント製造、あるいは大規模なシステム開発を長期で受注したなら、代金が入る何年も前に、紙の上の利益にかかる税金を現金で納めなければならない。一方、規模や工期がこの線を下回る工事なら、進行基準か完成基準かを自分で選べる。この『線』の内と外を知っているかどうかで、資金繰りの設計がまるで変わる。
法人税法 63 条は工事進行基準の適用を定める規定であり、長期大規模工事については着手から引渡し前の各事業年度に工事の進捗度に応じた収益・費用の益金損金算入を強制し、それ以外の工事については進行基準と完成基準の選択を認める。収益計上時期の期間帰属を規律する法人税法上の特則である。
工事の進捗度に応じて各事業年度に収益と費用を配分し、益金・損金に算入する方法です。完成前でも利益が計上され課税されます(法人税法 63 条)。
着手から引渡しまでの工期が 1 年以上で、請負金額が政令で定める基準以上の工事・製造・ソフトウエア開発が該当します。工事進行基準が強制されます。
代表的には原価比例法を使い、累計発生原価を見積総工事原価で割って進捗度を算定し、その割合を請負金額に乗じて当期の収益を求めます。
進行基準は工期の途中で進捗に応じて利益を計上し、完成基準は引渡し時に一括計上します。長期大規模工事は進行基準が強制されます。
長期大規模工事を請け負った着手事業年度から、目的物の引渡しの日の属する事業年度の前事業年度まで各年度で強制適用されます。
長期大規模工事の要件(金額・工期)と工事進行基準の計算方法は法人税法施行令 129 条に定められています。判定はこの政令基準で行います。
現金が入る前に未実現の利益へ課税されるため、帳簿は黒字でも納税で資金が不足しやすく、黒字倒産の引き金になり得る点です。
代金の入金が引渡し後の一括でも、進捗に応じて毎期利益が立ち法人税を先払いするため、入金前に税金だけが出ていく構造になるからです。
現金が入る前に税金がかかる点です。工事の進み具合(原価の消化割合)に応じて利益を先取りで計上するので、代金を受け取るのが数年後でも、その間の各決算で益金が立ち法人税がかかります(63条1項)。業界裏話ヒント:黒字倒産の隠れた原因の上位がこれ。銀行は決算書の黒字しか見ないので、進行基準で現金が先に出ていく構造を数字で説明できる経営者は、融資交渉で運転資金を確保しやすい
強制されるのは『長期大規模工事』、つまり請負金額10億円以上かつ工期1年以上のものだけです(63条1項、法人税法施行令129条)。それ未満なら進行基準と完成基準を自分で選べます(63条2項、金額基準は最新の改正状況をご確認ください)。業界裏話ヒント:選べるということは利益の計上年度を動かせるということ。将来赤字が見込まれる年度に利益を寄せる期間調整が、決算を締める前なら合法的にできる
本当です。63条は括弧書きで『工事(製造及びソフトウエアの開発を含む)』と明記しています。大規模で長期のシステム開発を受注したIT企業は、建設会社と同じ課税ルールの対象になります(63条1項)。業界裏話ヒント:自社を建設業と思っていないSaaSやSIerほどこの落とし穴を見落とす。大型の受託開発を長期で契約する前に、金額と工期のラインを経理と税理士に確認させる会社は資金繰り事故を起こさない
会計上は2021年適用の『収益認識に関する会計基準』で、工事進行基準という言葉自体は『一定の期間にわたり充足される履行義務』の考え方に置き換わりました。ただし法人税法63条の枠組みは残っており、税務上の取扱いは別に確認が必要です。業界裏話ヒント:会計と税務のズレ(申告調整)が生じる論点で、会計基準だけ見て税務を判断すると足をすくわれる。新基準を適用した企業は必ず税理士に会計と税の橋渡しを確認する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律対象 | 63 条:長期大規模工事・工事の収益費用の帰属時期 | — |
| 計上時期の考え方 | 工事の進捗度に応じて各期に配分(進行基準) | — |
| 適用の強制/選択 | 長期大規模工事は強制、それ未満は選択(2 項) | — |
| 主な適用場面 | 大型建設・プラント・長期システム開発の請負 | — |
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