都市計画法 第68条(土地の買取請求)
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- 事業地内の土地で、次条の規定により適用される土地収用法第三十一条の規定により収用の手続が保留されているものの所有者は、施行者に対し、国土交通省令で定めるところにより、当該土地を時価で買い取るべきことを請求することができる。ただし、当該土地が他人の権利の目的となつているとき、及び当該土地に建築物その他の工作物又は立木に関する法律第一条第一項に規定する立木があるときは、この限りでない。
- 2.前項の規定により買い取るべき土地の価額は、施行者と土地の所有者とが協議して定める。
- 3.第二十八条第三項の規定は、前項の場合について準用する。
この条文の基本情報
土地の買取請求とは何ですか?
定義土地の買取請求とは、都市計画法第68条に定められた規定で、「事業地内の土地で、次条の規定により適用される土地収用法第三十一条の規定により収用の手続が保留されているものの所有者は、施行者に対し、国土交通省令で定めるところに…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 都市計画法第68条(土地の買取請求)は、日本の都市計画法に含まれる条文です。
- 都市計画法第68条の条文原文は「事業地内の土地で、次条の規定により適用される土地収用法第三十一条の規定により収用の手続が保留されているものの所有者は、施行者に対し、国土交通省令で定めるところに…」で始まります。
- 都市計画法第68条は第二節 都市計画事業の施行に置かれています。
- 都市計画法の公布日は昭和43年6月15日です。
- 都市計画法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 都市計画法第68条の前の条は都市計画法第67条です。
- 都市計画法第68条の次の条は都市計画法第69条です。
- 都市計画法第68条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第68条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000100 - 本サイト収録
都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第68条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/343AC0000000100/68
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点都市計画法68条は、収用手続が保留された事業地内の土地の所有者が、施行者に時価での買取りを請求できると定める。ただし他人の権利、建築物、立木がある土地は対象外である。
Q · 事業地に入ったまま何年も動かない土地、こちらから「買ってくれ」と言えますか?
収用手続が保留中なら請求できる。ただし抵当権や建物があると不可
都市計画法68条1項により、事業地内の土地で土地収用法31条に基づき収用の手続が保留されているものの所有者は、施行者に対し時価での買取りを請求できます。価額は施行者と所有者の協議で定め(同条2項)、協議が成立しないときは28条3項が準用され収用委員会の裁決を申請できます(同条3項)。ただし土地が他人の権利の目的となっているとき、建築物その他の工作物または立木法1条1項の立木があるときは請求できません。
解説
事業地に入ったと告知された土地は、その日から奇妙な宙吊り状態に置かれる。建て替えようとすれば都道府県知事の許可が必要(65条)、売ろうとすれば施行者への届出義務がかかる(67条)、それなのに収用の手続は保留されたままで、補償金が振り込まれる日はまだ来ない。固定資産税の納付書だけは毎年きちんと届く。68条は、この宙吊りを所有者の側から終わらせるための数少ないレバーである。収用手続が保留されている事業地内の土地の所有者は、施行者に対し、時価で買い取るべきことを請求できる。買取りを待つ側から、買取りを起動させる側に回れるということだ。ただし関門がある。他人の権利の目的となっている土地、建築物その他の工作物が建っている土地、立木法上の立木がある土地は対象外。つまり住宅ローンの抵当権が残った自宅の敷地は、そのままでは請求が成立しない。
法的な位置づけ
都市計画法68条は、都市計画事業の事業地内にあって土地収用法31条により収用手続が保留された土地について、所有者から施行者に対する時価買取請求権を定める規定である。価額は当事者の協議により決定され、協議不成立の場合は同法28条3項の準用により収用委員会の裁決手続に移行する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.収用手続が保留されているかを確認 施行者に対し、事業認可の告示日と、都市計画法69条により適用される土地収用法31条に基づく収用手続の保留の有無を確認する。保留中でなければ68条の請求は成立せず、収用手続内の補償に移る
- 2.登記簿の権利部でただし書の該当性を判定 登記事項証明書の権利部を取得し、抵当権・地上権・賃借権・仮登記の有無を確認する。あわせて現況で建築物その他の工作物、立木法上の立木の有無を確認する。いずれかがあればその処理の順序を先に決める
- 3.請求様式と収用証明書の区分を確認 施行者の用地担当に、国土交通省令(都市計画法施行規則)所定の買取請求の様式と、租税特別措置法上の特例判断に必要な収用証明書が発行されるか、どの区分に当たるかを請求前に確認する
- 4.独立の不動産鑑定で時価の根拠を用意 協議に入る前に、所有者側で独立の不動産鑑定評価書を取得する。施行者は自前の鑑定を一本持参することが多く、先に対抗する評価を出しておくと協議の着地点が動く
- 5.買取請求書を提出し協議の経過を書面化 所定様式で施行者に買取請求書を提出する。協議の各回について、提示額、根拠、回答期限を書面で残す。年度をまたぐ場合はその理由も記録させる
- 6.協議不成立なら収用委員会へ裁決申請 価額の協議が成立しない場合、68条3項が準用する28条3項に基づき、収用委員会に裁決を申請する。申請の可能性に触れること自体が協議段階の提示額を動かす場合がある
よくある質問 AI による整理
Q1都市計画法68条の買取請求とは何ですか?
事業地内で収用手続が保留された土地の所有者が、施行者に時価での買取りを請求できる権利です。所有者側から取得時期を前倒しさせる仕組みで、待つ側から動かす側に回れます。
Q2買取請求はいつまでにすればよいですか?
68条自体に期限の定めはありません。ただし請求できるのは収用手続が保留されている間に限られ、手続開始の告示後は収用手続内の補償に移行します。事業施行期間(60条)が実質的な枠です。
Q3抵当権が残っていても買取請求できますか?
できません。68条1項ただし書の「他人の権利の目的となつているとき」に抵当権も含まれます。請求の前に抹消登記を終えておく必要があります。
Q4買取価額はどうやって決まりますか?
施行者と所有者の協議で定めます(68条2項)。協議が成立しない場合は28条3項の準用により収用委員会に裁決を申請できます(68条3項)。
Q556条の買取りと68条は何が違いますか?
56条は事業認可前、都市計画施設等の区域内での買取りで「特別の事情がない限り」という留保があります。68条は認可後、収用手続保留中の事業地内の土地が対象です。
Q6土地区画整理でも68条を使えますか?
使えません。68条は収用手続が保留された事業地内の土地が対象です。土地区画整理事業は換地処分で進む別の仕組みなので、まず事業類型の確認が先です。
Q7建物を解体すれば買取請求できますか?
条文上、工作物がなければ要件は満たす方向に動きます。ただし自主解体だと除却費が自己負担になりかねないため、施行者に手続開始の見込みと移転補償の扱いを先に確認してください。
Q8施行者は買取りを断れますか?
68条1項には56条のような「特別の事情がない限り」の文言がなく、要件を満たす限り施行者に買取義務が生じると解されています。予算年度の都合は義務の消滅事由ではありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1市に買ってくれと言ったら断られました。断れるものなんですか?
56条の買取りには「特別の事情がない限り」という文言があるが、68条1項にはそれがなく、要件を満たす限り施行者に買取義務が生じると解されている。まず根拠条文を68条に特定させることが出発点になる。実務のポイント:窓口では「予算年度の都合で来年度以降」と説明されることが多い。予算の不足は買取義務の消滅事由ではない。年度をまたぐなら、協議の経過と回答期限を書面で残す。記録の有無で翌年度の枠取りの順位が変わる
Q2時価って、結局誰がどうやって決めるんですか?
施行者と所有者の協議で定める(68条2項)。協議が成立しなければ、68条3項が準用する28条3項により収用委員会の裁決を申請できる(土地収用法94条2項)。収用手続で使う価格固定のルール(同法71条)とは考え方が異なり、ここは協議時点の時価が基準になる。実務のポイント:施行者は自前の鑑定を一本だけ持って来ることが多い。所有者側が先に独立の鑑定書を出しておくと、協議は二本の鑑定の中間で着地しやすくなる
Q3建物があると請求できないなら、先に壊せばいいんですか?
条文上は工作物が存在しないことが要件なので、除却すれば要件は満たす方向に動く。ただし建物の除却費や移転に伴う補償は、収用手続の中であれば補償の対象になり得るのに、自主的な解体では自己負担になりかねない。実務のポイント:解体を決める前に、施行者へ手続開始の見込み時期と移転補償の扱いを確認する。開始が近いなら、待って収用手続に乗せた方が手取りが増えることがある
Q4受け取った代金に、普通の譲渡所得税がかかるんですか?
収用等に該当すれば租税特別措置法33条の代替資産の特例や33条の4の特別控除の対象になり得るが、適用の可否は施行者が発行する収用証明書の区分で判断される。買取請求による買取りがどの区分に当たるかは個別確認が必要である(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:請求書を出す前に、用地担当へ収用証明書が出るか、どの区分かを確認する。順序が逆になると、特例の要件を満たさない形で契約を締結してしまう
間違えやすい点 AI による整理
- ただし書の存在は知っていても、その射程の広さを見落としている人が多い。「他人の権利の目的となつているとき」には、地上権や賃借権だけでなく抵当権も含まれる。住宅ローンが残っているだけで請求は成立しない。つまり請求できるかどうかは、交渉力ではなく登記簿一枚で先に決まっている
- 「いくらで買ってくれるのか」から考え始めるのは、問いの順番が逆である。先に確定するのは「請求が成立する土地かどうか」。要件を欠く土地では価額の議論は始まらないし、要件を満たせば価額は協議で決まり、協議が壊れれば収用委員会の裁決に進む(68条3項)。金額は最後の論点だ
- 56条の買取りと同じものだと理解されがちだが、段階が違う。56条は事業認可の前、都市計画施設等の区域内で建築制限を受けた土地の救済であり、条文上「特別の事情がない限り」という逃げ道が残る。68条は認可後、収用手続が保留された事業地内の話で、その逃げ道の文言がない。どちらの段階にいるかで、持ち出す条文も相手の反論も変わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される段階 | 68条:事業認可後、収用手続が保留されている事業地内の土地 | 56条:事業認可前、都市計画施設等の区域内で建築制限を受ける土地 67条:事業地内の土地を有償譲渡しようとする段階(届出と先買い) |
| 誰が動かすか | 所有者が施行者に買取りを請求する | 所有者が申し出て都道府県知事等が買い取る 所有者が届け出て、施行者が買い取るかを選ぶ |
| 施行者側の逃げ道 | 「特別の事情」の留保なし。要件を満たせば買取義務が生じると解される | 「特別の事情がない限り」の留保が条文上残る 先買いは施行者の選択であり義務ではない |
| 請求できない土地 | 他人の権利の目的、建築物その他の工作物、立木法上の立木がある土地 | 条文上の除外要件の構成が異なる 除外要件なし(届出義務は土地一般に及ぶ) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は公共設施保留地について私有地所有者からの収買請求を認める。保留期間の長期化が争点となってきた点は日本の手続保留と同型の問題構造
韓国は事業認定後、土地所有者が事業施行者に매수청구(買収請求)できる制度を持つ。使用期間が長期化した場合の請求権という設計思想が近い
ドイツは計画により利用が制約された土地について Übernahmeverlangen(引取要求)を認める。所有者が自治体に取得を求める点で本条と機能的に対応する
米国には条文上の買取請求権がなく、規制が実質的収用に当たるとして inverse condemnation 訴訟で補償を求める判例法理の枠組みで処理される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 都市計画道路の拡幅で自宅の前庭が事業地に入った。認可の告示は3年前、しかし収用手続は保留されたまま。建て替えには65条の許可、売却には67条の届出。そのあいだに相続が発生し、兄弟は現金化を求めている。更地で権利負担のない部分があるなら、待つ理由はない
- もし施行者が手続保留のまま10年動かなかったら、ただ待つしかないのか。権利負担も建物もない土地なら、68条で買取りを請求できる。時計を動かす引き金は所有者の側にもある
- あなたが市の用地担当で、買取請求書が届いた側だとする。予算年度の枠はもう埋まっている。だが条文は「請求することができる」と書き、要件を満たす限り施行者に買取義務が生じると解されている。第一動作は、ただし書の該当性を登記簿と現況で確認することだ
- 認可で定められた事業施行期間の終期が来年3月に迫っている。期間内に手続が開始されなければ、事業計画の変更か期間の延長になり、土地はさらに数年宙吊りになる。残り数か月で請求を出すか、延長後の相場変動を飲むかの判断が要る
- 友人から「区画整理で土地が引っかかっているのに、市が買ってくれない」と相談される。土地区画整理事業は換地処分で動く仕組みで、収用手続の保留という構造とは違う。68条が使えるのは収用手続が保留された事業地内の土地。まず事業類型を聞き分けるところから始まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 事業認可の告示と、収用手続が保留されている旨を施行者に確認(都市計画法69条、土地収用法31条) 2. 登記簿の権利部を取得し、抵当権・用益権・仮登記の有無を確認。建築物や工作物、立木があれば請求は成立しないので処理の順序を先に決める3. 施行者の用地担当に、国土交通省令(都市計画法施行規則)所定の請求様式と、収用証明書の発行区分を確認4. 時価の根拠として独立の不動産鑑定を先に用意5. 協議が不成立なら収用委員会への裁決申請へ(68条3項、28条3項)
訴えられた側:施行者として請求書を受けたら、まずただし書の該当性を登記簿と現況で照合する。他人の権利、建築物その他の工作物、立木法上の立木のいずれかがあれば請求は成立しない。該当しなければ買取義務を前提に、複数の鑑定で時価の幅を押さえ、協議の経過を書面で残す。協議不成立時に裁決へ進む前提で、年度をまたぐ予算調整を先に組んでおく
時効(請求できる期限):68条自体に請求期限の定めはない。ただし請求できるのは収用手続が保留されている期間に限られ、手続開始の告示後は収用手続の中での補償に移る。都市計画事業には認可で定められた事業施行期間(都市計画法60条)があり、実質的な時間枠はこれに縛られる。協議成立後の代金請求権には一般の消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される
学説
通説:68条1項には56条のような「特別の事情がない限り」という留保がなく、要件を満たす請求に対して施行者は買取義務を負うと解される。予算措置の不足は義務の消滅事由とならない
通説:ただし書の「他人の権利の目的となつているとき」には、地上権・賃借権などの用益権のみならず抵当権等の担保物権も含まれる。権利関係が錯綜する土地は個別の買取協議ではなく収用手続で処理する趣旨と理解されている
改正沿革 AI による整理
- 昭和43年(1968年)新都市計画法制定 新法制定時から、収用手続が保留された事業地内の土地について所有者側からの買取請求権として置かれた条文である
- 平成13年(2001年)中央省庁等改革 請求手続の委任先が「建設省令」から「国土交通省令」に改まった。請求の実体的要件は変わっていない
改正の年表
- 1.昭和43年(1968年) 新設:新都市計画法の制定により、収用手続が保留された事業地内の土地について、所有者側からの時価買取請求権として置かれた
- 2.平成13年(2001年) 改正:中央省庁等改革に伴い、請求手続の委任先が「建設省令」から「国土交通省令」に改められた。実体的要件に変更はない
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