社会保険労務士法 第21条(秘密を守る義務)
クイックジャンプ
開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員でなくなつた後においても、また同様とする。
この条文の基本情報
秘密を守る義務とは何ですか?
定義秘密を守る義務とは、社会保険労務士法第21条に定められた規定で、「開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 社会保険労務士法第21条(秘密を守る義務)は、日本の社会保険労務士法に含まれる条文です。
- 社会保険労務士法第21条の条文原文は「開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。」で始まります。
- 社会保険労務士法第21条は第三章に置かれています。
- 社会保険労務士法の公布日は昭和43年6月3日です。
- 社会保険労務士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 社会保険労務士法第21条の前の条は社会保険労務士法第20条です。
- 社会保険労務士法第21条の次の条は社会保険労務士法第22条です。
- 社会保険労務士法第21条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第21条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC1000000089 - 本サイト収録
社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第21条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/343AC1000000089/21
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点社会保険労務士法21条は、開業社労士と社労士法人の社員に対し、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らすことや盗用することを禁じ、資格を離れた後も義務が続くと定める。
Q · 顧問の社労士が会社の情報を外に話したり、自分の商売に使ったりしたら違法?
正当な理由がない限り、漏らすことも盗用することも違反です
社会保険労務士法21条は、開業社労士と社労士法人の社員が、正当な理由なく業務上知り得た秘密を他に漏らすこと、または盗用することを禁じています。顧問契約の終了後や廃業後も義務は続きます。違反した場合は同法32条の2により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となりますが、親告罪のため、被害者が犯人を知った日から6か月以内に告訴する必要があります。懲戒や民事上の損害賠償も別途問題になります。
解説
会社が顧問の社労士に渡しているのは「手続書類」だけではない。従業員の給与額、病名が書かれた傷病手当金の申請書、障害年金の診断書、マイナンバー、来月予定している解雇の名簿、労基署から受けた是正勧告。社労士の机には、会社の内側と社員の私生活がまとめて置かれている。社会保険労務士法21条は、開業社労士と社労士法人の社員に対して、正当な理由なくその秘密を「漏らす」ことも、「盗用」することも禁じている。見落とされやすい点が三つある。第一に、禁止されているのは外へ漏らすことだけではない。顧客の情報を自分の利益のために使うことも違反になる。第二に、義務は廃業後も、顧問契約が終わった後も消えない。第三に、刑法134条の秘密漏示罪は社労士を対象にしていない。だからこそ本条とその罰則(同法32条の2)が、刑事責任を問うための独立した根拠になっている。あなたが会社側なら、「先生に任せているから安心」で済ませるか、本条を前提に契約と情報の渡し方を設計するかで、漏えいが起きたときに取れる手が変わる。
法的な位置づけ
社会保険労務士法21条は、社会保険労務士の秘密保持義務を定める規定である。開業社会保険労務士および社会保険労務士法人の社員は、正当な理由なく、業務に関して知り得た秘密を他に漏示し、または盗用してはならない。この義務はその地位を失った後も存続し、違反は同法32条の2により親告罪として処罰される。
手順
- 1.漏えいの事実関係を時系列で記録する 漏れた情報の内容、その情報を知りえた人物、漏えいに気付いた日を時系列で整理する。メール、送付記録、SNS 投稿のスクリーンショットなど客観的な証拠を保全する
- 2.犯人を特定した日を確定し告訴期限を逆算する 本条違反は親告罪で、告訴期間は犯人を知った日から6か月。特定日を記録し、懲戒や民事の手続と並行して刑事告訴の要否を早めに判断する
- 3.社会保険労務士会への相談と懲戒の申出を検討する 都道府県の社会保険労務士会に相談し、厚生労働大臣による懲戒(戒告・業務停止・失格処分)の申出を検討する
- 4.弁護士と刑事・民事の方針を決める 刑事告訴(社労士法32条の2)、債務不履行(民法415条)・不法行為(民法709条)に基づく損害賠償を弁護士と検討する。従業員の個人データが含まれる場合は個人情報保護委員会への報告義務も確認する
よくある質問 AI による整理
Q1社労士の守秘義務とは?
社会保険労務士法21条が定める義務で、開業社労士と社労士法人の社員は、業務上知った秘密を正当な理由なく漏らすことも盗用することもできません。
Q2社労士の守秘義務違反の罰則は?
同法32条の2により、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。親告罪のため、被害者が告訴しないと起訴されません。
Q3社労士の守秘義務はいつまで続く?
期限はありません。21条後段は、開業社労士や法人社員でなくなった後も同様とすると定めており、廃業後や契約終了後も義務は続きます。
Q4社労士は刑法の秘密漏示罪の対象?
対象外です。刑法134条は医師や弁護士などを列挙していますが、社労士は含まれません。刑事責任の根拠は社会保険労務士法32条の2です。
Q5勤務社労士にも守秘義務はある?
21条の名宛人は開業社労士と法人社員なので、勤務社労士には直接及びません。勤務先との雇用契約や就業規則上の義務で縛られます。
Q6社労士の情報漏洩はどこに相談する?
都道府県の社会保険労務士会に相談でき、厚生労働大臣への懲戒の申出も検討できます。刑事告訴や損害賠償請求は弁護士に相談します。
Q7社労士が顧問先情報を営業に使うのは違法?
違法になりえます。21条は外へ漏らすことだけでなく「盗用」も禁じており、業務で得た情報を自分の利益に転用すれば違反の対象です。
Q8守秘義務違反の告訴期間は?
親告罪なので、犯人を知った日から6か月以内です(刑事訴訟法235条)。社内調査に時間をかけすぎると期限を過ぎるおそれがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1顧問の社労士さんが辞めたあと、うちの情報を別の会社で使ってたら違反になる?
なりうる。社会保険労務士法21条後段により、開業社労士や法人社員でなくなった後も守秘義務は続く。漏らすことに加え、得た情報を自分のために使う「盗用」も禁じられている。実務のポイント:法律上の義務は残っていても、退職後や契約終了後の漏えいを立証するのは難しい。契約終了時に資料の返還と削除を確認する書面を一枚もらっておくと、後で何かあったときに効く
Q2労基署に聞かれたら、社労士はうちの情報を話しちゃうんですか?
法令に基づく調査への対応は、本条の「正当な理由」に当たりうるが、何でも話してよいわけではない。必要な範囲を超えた開示は別の問題になる。実務のポイント:民事訴訟法197条1項2号の証言拒絶権の列挙には、弁護士や医師は入っているが社労士は入っていない。裁判で証言を拒めるかは3号の「職業の秘密」で判断されることになり、実務上、解釈が分かれる。本当に守りたい情報は、最初から弁護士を通す設計の方が安全だ
Q3社労士事務所の事務スタッフが漏らした場合、誰の責任になりますか?
本条の名宛人は開業社労士と法人社員なので、補助者本人には21条が直接は及ばない。ただし監督する社労士は、管理が不十分であれば懲戒(同法25条)や民事上の使用者責任(民法715条)を問われうる。実務のポイント:相手にすべきなのはスタッフ個人より事務所の長である。賠償の資力も、懲戒による圧力も、そちらの方が大きい
間違えやすい点 AI による整理
- 「秘密を守る」とは外へ漏らさないことだけだと思われがちだが、本条は「盗用」も明文で禁じている。誰にも話していなくても、顧問先の情報を使って自分のビジネスを有利にすれば、それだけで違反になりうる
- 顧問社労士の守秘義務は、弁護士や医師と同じように刑法で守られていると多くの人が思っている。実際には刑法134条の対象に社労士は入っておらず、刑事責任の根拠は社会保険労務士法32条の2である。しかも親告罪なので、被害者側が期限内に告訴しなければ、刑事手続は始まらない
- 「社労士の資格を持つ人なら全員この義務を負う」という前提そのものがずれている。条文の名宛人は開業社労士と社労士法人の社員に限られる。企業内で働く勤務社労士や事務所の補助者には本条が直接は及ばず、雇用契約上の義務や不正競争防止法など別の筋で縛ることになる。誰に情報を渡しているのかを分けて考えないと、守られていない穴が残る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の内容 | 社労士法21条:業務上知り得た秘密の漏示・盗用の禁止 | 社労士法16条:信用・品位を害する行為の一般的禁止 社労士法32条の2:21条違反に対する刑事罰 |
| 名宛人 | 開業社労士・社労士法人の社員(地位喪失後も含む) | 社会保険労務士全般 21条の義務に違反した者 |
| 違反時の効果 | 罰則・懲戒・民事責任の根拠となる | 主に懲戒(戒告・業務停止・失格処分) 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、親告罪 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾には社労士に相当する国家資格がなく、業務上知悉した秘密の漏洩は刑法の一般規定と個人資料保護法で規律される
ドイツは職業上の秘密漏示を刑法典で一括して処罰する方式をとり、職種を列挙して規律する
フランスは職業上の秘密の侵害を刑法典で一般的に処罰し、職務の性質から秘密保持義務を負う者を広く対象とする
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 顧問契約を解除した元社労士が、半年後に同じ業界の競合他社と顧問契約を結んだ。あなたの会社の賃金テーブルや退職金規程を知り尽くした人物である。契約が終わっても本条の義務は続く。「元」顧問だから自由に使えるという理屈は通らない
- もし顧問社労士が保険代理店も兼業していて、あなたの会社の従業員名簿と家族構成をもとに、社員に個別で生命保険の営業をかけてきたら? 外部に漏らしていなくても、業務で得た情報を自分の利益に転用すれば「盗用」にあたりうる
- あなたが開業社労士で、SNS に「今日の顧問先、パワハラで揉めてる社長がひどかった」と匿名で投稿した。業種・地域・規模を書いた時点で、読む人が読めば会社は特定できる。名前を伏せたから大丈夫という感覚は、本条の前では通用しない
- メンタル不調で休職中の社員が、職場の誰も知らないはずの自分の病名を同僚が知っていると気付いた。傷病手当金の申請書を見られる立場の人は限られている。漏えいの経路をたどると、社労士事務所に行き着くこともある
- 情報漏えいに気付いてから、刑事告訴を検討できる期間は残り少ない。本条違反は親告罪で、告訴期間は犯人を知った日から6か月。社内調査に4か月かかれば、残りは2か月しかない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 漏れた情報の内容、それを知りえた人物、漏えいに気付いた日を時系列で記録する2. 漏えい元を特定した日を必ず残す。本条違反は親告罪で、告訴期間はそこから進む3. 都道府県の社会保険労務士会に相談し、厚生労働大臣による懲戒(戒告、業務停止、失格処分)の申出も検討する4. 民事では顧問契約の債務不履行(民法415条)と不法行為(民法709条)の両方から損害賠償を検討する5. 従業員の個人データが含まれていれば、個人情報保護委員会への報告義務が会社側に生じていないかも確認する
訴えられた側:1. 開示に「正当な理由」があったかを検証する。依頼者の同意、法令に基づく行政機関への提出、本人の生命保護などが典型である2. 情報がそもそも秘密だったか(すでに公知だったか)を確認する3. 開示や使用の経緯を示すメールや業務記録を保全する4. 自分が本条の名宛人(開業社労士・法人社員)に当たるかを確認する5. 刑事・懲戒・民事の三方向で同時に動かれる可能性があるため、早い段階で弁護士に相談する
時効(請求できる期限):本条違反の罰則(社会保険労務士法32条の2)は親告罪で、告訴期間は犯人を知った日から6か月(刑事訴訟法235条)。民事は不法行為なら損害と加害者を知った時から3年、行為時から20年(民法724条)、契約責任なら権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年(民法166条)。法定刑は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説的理解:本条は依頼者が安心して内部情報を開示できる信頼関係を制度的に担保する規定であり、「秘密」は非公知性と秘匿の利益を要する。依頼者の同意や法令に基づく提出は「正当な理由」に当たると解される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和43年(1968年) 新設:社会保険労務士法の制定に伴い、社会保険労務士の秘密保持義務として新設
- 2.平成14年(2002年) 改正:社会保険労務士法人制度の創設に伴い、名宛人に社会保険労務士法人の社員を加える改正
- 社会保険労務士法 第32条の2本条違反の刑事罰、親告罪
- 社会保険労務士法 第25条戒告・業務停止・失格処分の懲戒
- 社会保険労務士法 第16条信用失墜行為の禁止と補完関係
- 社会保険労務士法 第2条秘密を知る業務範囲の画定
- 刑法 第134条秘密漏示罪、社労士は列挙外
- 個人情報の保護に関する法律 第27条個人データ第三者提供の制限と重畳
- 民事訴訟法 第197条証言拒絶権、社労士は2号列挙外
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める