社会保険労務士法 第36条
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法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三十二条、第三十二条の二第一項第三号、第四号(第二十五条の二十四第一項に係る部分に限る。)若しくは第六号又は第三十三条から前条までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 社会保険労務士法第36条は、日本の社会保険労務士法に含まれる条文です。
- 社会保険労務士法第36条の条文原文は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三十二条、第三十二条の二第一項第三号、第四号(第二十五条の二十四第…」で始まります。
- 社会保険労務士法第36条は第六章に置かれています。
- 社会保険労務士法の公布日は昭和43年6月3日です。
- 社会保険労務士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 社会保険労務士法第36条の前の条は社会保険労務士法第35条です。
- 社会保険労務士法第36条の次の条は社会保険労務士法第37条です。
- 社会保険労務士法第36条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第36条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC1000000089 - 本サイト収録
社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第36条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/343AC1000000089/36
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点社会保険労務士法第36条は、法人の代表者や従業者が業務に関し第32条等の違反をしたとき、行為者に加え法人・事業主にも各本条の罰金刑を科す両罰規定である。
Q · 社員が無資格で社保手続を代行したら、会社も罰せられるの?
業務に関する違反なら会社も罰金の対象になる
社会保険労務士法36条により、従業者が会社の業務に関して第32条(第27条違反の無資格業務など)や第33条から第35条までの違反をした場合、行為者本人に加えて会社にも各本条と同じ罰金刑が科されます。判例は両罰規定を事業主の過失を推定する規定と解しており、会社が選任・監督に必要な注意を尽くしたことを証明できれば免責されます。
解説
罰せられるのは手を動かした社員だけ、という常識は本条で崩れる。本条は社会保険労務士法の両罰規定である。法人の代表者や従業員が業務として違反をすると、行為者本人に加えて、会社や雇い主にも罰金刑が科される。対象は第32条、第32条の2第1項の一部の号、第33条から第35条までの違反だ。典型は、社労士でない者が報酬を得て労働社会保険の書類作成や提出代行を業として行うケースである(第27条違反、罰則は第32条)。罰金の額は各本条と同じで、会社だけ重くなるわけではない。とはいえ、会社名の載った有罪判決が残る。危ないのは、給与計算代行会社、HR系SaaS、手続代行をサービスの付録として売る人材会社だ。会社が免責されるのは、従業員の選任や監督で必要な注意を尽くしたと示せた場合に限られる(最大判昭和32.11.27、法人につき最判昭和40.3.26)。社内に独占業務の線引きルールと研修記録があるかどうかで結論が変わる。
法的な位置づけ
社会保険労務士法36条は、法人の代表者または法人・人の代理人、使用人その他の従業者が、その業務に関し同法第32条、第32条の2第1項の一部の号、第33条から第35条までの違反行為をした場合に、行為者を罰するとともに、その法人または人に対しても各本条の罰金刑を科すことを定める両罰規定である。
よくある質問 AI による整理
Q1社労士法の両罰規定とは何ですか?
従業者が業務に関して社労士法の一定の罰則に違反したとき、行為者だけでなく法人や事業主にも同じ罰金刑を科す仕組みです。社会保険労務士法36条が定めています。
Q2社労士法36条の対象になる違反は?
第32条、第32条の2第1項第3号・第4号(第25条の24第1項に係る部分)・第6号、第33条から第35条までの違反です。それ以外の号は両罰の対象外です。
Q3両罰規定で法人に拘禁刑は科される?
科されません。法人は身体を拘束できないため、法人や事業主に科されるのは各本条に定められた罰金刑のみです。行為者個人には拘禁刑が科されうる点と区別が必要です。
Q4個人事業主も両罰規定の対象になる?
なります。条文は「法人又は人」と定めており、個人事業主が使用人や代理人を使って事業をしている場合、その使用人の違反について事業主個人にも罰金刑が科されえます。
Q5両罰規定で会社が免責されるのはどんな場合?
判例上、従業者の選任・監督について必要な注意を尽くしたことを会社側が証明した場合です。社内規程、研修記録、承認フローなど客観的な証拠が重視されます。
Q6給与計算代行は社労士法違反になる?
給与計算そのものは独占業務ではありませんが、報酬を得て社会保険の届出書類の作成・提出代行まで業として行うと第27条違反の可能性があり、会社も36条の対象になりえます。
Q7社労士法違反の公訴時効は何年?
各本条の法定刑を基準に判断されます。長期5年未満の拘禁刑または罰金にあたる罪は刑事訴訟法250条2項により3年です。継続的な代行は最終行為時から起算すると考えるのが安全です。
Q8両罰規定で罰金を払うと前科になる?
法人に罰金刑が確定すれば有罪判決として記録に残ります。行政処分ではなく刑事罰であるため、取引先の与信審査や上場審査のコンプライアンス確認で問題になりえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちのSaaS、算定基礎届を自動で作って電子申請まで代行してるんだけど、アウト?
書類を作るのも出すのも利用企業自身で、ツールが補助しているだけなら、一般に第27条の問題になりにくい。しかし、他社の求めに応じて報酬を得ながら、あなたの会社が作成・提出を代行しているなら抵触の可能性があり、本条で会社も罰金の対象になる。実務のポイント:同業他社の多くは、グレーゾーン解消制度で照会した回答や社労士との提携スキームを盾にしている。何もせずに「みんなやっている」と考えるのが一番危ない
Q2社員が勝手に代行料を取ってた。会社は本当に責任を問われる?
その代行が会社の業務に関して行われたものなら、本条で会社も罰金の対象になりうる。判例は事業主の過失を推定する立場なので、会社は選任と監督に注意を尽くしたことを示さなければならない。完全に私的な小遣い稼ぎなら「業務に関し」の要件から外れる余地がある。実務のポイント:決め手になりやすいのは、日付入りの研修資料と受講記録である。口頭で注意したという主張は、ほとんど評価されない
Q3罰金だけで済むなら、払って終わりでいいんじゃない?
法人に科される罰金の額は各本条と同じで、第32条違反なら100万円以下と高額ではない(最新の改正状況をご確認ください)。ただし有罪判決は法人に残り、報道や取引先の与信審査、上場審査のコンプライアンス確認で問題になりうる。実務のポイント:本当の打撃は罰金そのものより、主力サービスの提供モデルを一から作り直す費用と、その間に競合へ流れる顧客である
間違えやすい点 AI による整理
- 「違反したのは現場の社員で、会社は知らなかった」と言えば会社は無関係だと思われがちだが、そうはならない。判例は、両罰規定を事業主の選任監督上の過失を推定する規定と解している。「知らなかった」では足りず、注意を尽くしたことを会社側が示さなければ免責されない
- 社労士法の罰則なら何でも会社に及ぶわけではない。条文が両罰の対象に挙げているのは、第32条の2第1項のうち第3号、第4号(第25条の24第1項に係る部分)、第6号だけで、その他の号は外れている。個人だけが罰せられる違反と、会社まで巻き込む違反がある。この区別を知らずにリスク評価をすると、優先順位を誤る
- 社労士の業務独占は資格者同士の縄張り争いだと、IT企業の経営陣には他人事に見えている。しかし法律から見れば、プロダクトの機能設計そのものが第27条の「業として」に当たるかどうかの判断材料になる。仕様書の一行が刑事リスクの源になりうる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 36条:両罰規定(法人・事業主への罰金の転嫁規定) | 27条:非社労士の業務制限(禁止規範) 32条:27条違反等の罰則本体 |
| 処罰される者 | 行為者に加え、その法人または人(事業主) | 罰則規定ではなく、行為の禁止を定める 違反行為をした個人(行為者) |
| 刑の種類 | 法人・事業主には各本条の罰金刑のみ | なし(罰則は32条に委ねる) 拘禁刑または罰金(最新の改正状況を要確認) |
| 免責の可能性 | 選任・監督上の注意を尽くしたことの証明で免責(判例) | 他の法律に別段の定めがある場合等の除外あり 刑法総則(故意・違法性阻却等)による |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には社労士に相当する国家資格はないが、労動基準法など特別法に法人・事業主への罰金を定める両罰規定が個別に置かれている点は日本と共通する
韓国は日本の社労士に近い公認労務士制度を持ち、同法にも양벌규정が置かれている。양벌규정に事業主の注意義務による免責ただし書を置く立法が一般化している
ドイツは法人の刑事責任を認めず、秩序違反法上の過料(Geldbuße)で法人に制裁を科す。日本の両罰規定とは制裁の性質が異なる
米国は使用者責任(respondeat superior)の考え方で法人の刑事責任を広く認め、日本のような注意義務による免責は原則として予定していない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社は給与計算代行が本業だ。顧客に頼まれて、社員が算定基礎届や資格取得届を作り、年金事務所に出すところまで請け負い、月額料金に含めている。社員本人だけでなく、会社にも罰金刑が及びうる構図である
- HR系SaaSの営業担当が受注を急いで、ツール提供だけのはずの契約に「手続代行込み」と書いてしまった。会社の承認フローを通っていなかったとしても、「業務に関し」の要件は満たされうる
- 社労士会から照会文書が届いた。回答期限は2週間後。代行業務の実態、料金体系、関わった社員の名前を問われている。ここで社内調査をせずに曖昧な回答を出すと、それが後で監督体制の不備を示す証拠になる
- もし取引先の人材会社が無資格で社保手続を代行していて、届出ミスであなたの会社の従業員の被保険者資格に空白ができたら、どうなる? 刑事責任は相手側の問題だが、あなたには契約の解除と損害賠償という民事の手段が残る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 無資格業者に手続を委託していて届出ミスが見つかったら、まず年金事務所やハローワークで実際の届出状況を確認し、資格の空白を急いで埋める2. 委託契約書、請求書、やり取りの記録を保全する3. 損害が出ていれば、債務不履行(民法415条)や不法行為(民法709条)を根拠に賠償を請求する4. 刑事面は、都道府県社会保険労務士会への情報提供や捜査機関への告発を検討する
訴えられた側:1. 照会が届いたらすぐに該当業務を止め、提供範囲と料金体系を洗い出す2. 社員の行為が会社の「業務に関し」たものか、担当者の私的な行為かを事実で切り分ける3. 選任・監督の証拠になる社内規程、研修記録、承認フローを時系列で揃える4. 社労士と業務提携する形に作り替え、是正の記録を残す5. 刑事事件の経験がある弁護士に早めに相談する
時効(請求できる期限):各本条の法定刑は罰金、または長期1年以下の拘禁刑と罰金の選択刑(第32条など、最新の改正状況をご確認ください)。このため公訴時効は犯罪行為が終わった時から3年である(刑事訴訟法250条2項)。継続的な代行業務は、最後の行為の時点から起算されると考えておくのが安全である
学説
過失推定説(判例・通説):両罰規定は事業主の選任・監督上の過失を推定するものであり、事業主は注意を尽くしたことを立証すれば免責される。責任主義と行政取締目的の調和を図る立場。
無過失責任説(旧説):事業主は従業者の行為について過失の有無を問わず責任を負うとする立場。責任主義に反するとの批判を受け、現在は支持されていない。
純過失説:事業主の過失は推定されず、検察官が積極的に立証すべきとする立場。責任主義を徹底するが、取締の実効性が弱まるとの指摘がある。
- 社会保険労務士法 第27条非社労士の業務制限、主な違反類型
- 社会保険労務士法 第32条第27条違反の罰則、両罰の本体
- 社会保険労務士法 第32条の2号別に両罰対象と対象外が分かれる
- 社会保険労務士法 第26条名称使用制限、罰則の対象となる義務
- 刑法 第8条刑法総則を特別刑罰法規に適用
- 刑事訴訟法 第250条罰金相当の罪の公訴時効3年
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