要点労働安全衛生法 21 条は、掘削・荷役・伐木等の作業や、墜落・土砂崩壊のおそれがある場所の危険を防止する必要な措置を、事業者に義務づける規定である。
Q · 現場で大怪我をして労災が下りたら、もう会社には何も請求できないの?
いいえ、労災とは別に会社へ賠償請求できます
労働安全衛生法 21 条は、危険を生まない一次的な措置義務を事業者に課しています。会社がこの措置を怠って事故が起きた場合、労災給付(慰謝料を含まず、休業補償は約 6 割)とは別に、安全配慮義務違反(労働契約法 5 条・民法 415 条)として、不足する休業損害・逸失利益・慰謝料を会社へ直接請求できます。労災と損害賠償は二重取りではなく上乗せの関係であり、労災が下りても会社の責任は消えません。
足場の二階から転落して腰を骨折した、掘削現場で崩れた土砂に下半身を埋められた、トラックの荷台から重い荷を降ろす最中に荷崩れで指を潰した。こうした事故で会社はよく「本人が手順を守らなかった」と言う。だが労働安全衛生法 21 条は、危険そのものを生まないよう先回りして措置を講じる義務を、労働者ではなく事業者に課している。墜落しそうな場所には作業床や手すり、崩れそうな土には土止め支保工。これを怠った会社は、労災保険の給付とは別に、安全配慮義務違反として治療費、休業損害、慰謝料を直接賠償する責任を負いうる。あなたが知るべきは、労災が下りても会社の責任が消えるわけではないという一点だ。労災は最低限の生活補償であり、足りない差額と慰謝料は、会社から取りに行ける。
労働安全衛生法 21 条は、事業者の危険防止措置義務を定める規定である。1 項は掘削・採石・荷役・伐木等の業務における作業方法から生ずる危険について、2 項は労働者が墜落するおそれや土砂等が崩壊するおそれのある場所に係る危険について、それぞれ必要な措置を講じる義務を事業者に課す。具体的な措置の水準は労働安全衛生規則等の下位規範に委ねられる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
掘削・採石・荷役・伐木等の作業や、墜落・土砂崩壊のおそれのある場所の危険を防止するため、必要な措置を講じる義務を事業者に課す規定です。1 項が作業方法、2 項が危険な場所を対象とします。
労災給付で填補されない休業損害の差額、逸失利益、慰謝料を請求できます。後遺障害が残れば逸失利益と後遺障害慰謝料が加わり、金額は数百万〜数千万円に及ぶこともあります。
両方請求できます。労災は最低限の生活補償で慰謝料を含まず、上乗せ分は会社へ請求します。ただし損害賠償から既受給の労災給付分は調整(控除)されます。
あります。21 条の義務は労働者を雇う事業者それぞれにかかります。元請けに統括責任(30 条)があっても、下請け自身の 21 条義務は消えません。
事故直後の現場写真、安全設備の有無が分かる写真、作業手順書、ヒヤリ記録、同僚の証言を確保します。時間が経つと現場が改変され証拠が散逸します。
債務不履行構成なら権利行使可能時から 5 年または 10 年、不法行為構成なら知った時から 5 年(人の生命・身体侵害、民法 724 条の 2)です。構成で起算点が変わります。
事故の状況と会社の措置不備を、管轄の労働基準監督署へ申告します。是正勧告や書類送検が出れば、民事賠償で会社の過失を裏づける証拠になります。
あります。21 条の措置義務違反は労働安全衛生法 119 条の罰則対象です。死亡事故では業務上過失致死(刑法 211 条)が並走する場合もあります。
いいえ、訴えられます。労災給付には慰謝料が含まれず、休業補償も給付基礎日額の約 6 割です。21 条の措置義務違反が認められれば、安全配慮義務違反(民法 415 条)として差額と慰謝料を会社に請求できます。業界裏話ヒント:労災の休業補償(6 割)と休業特別支給金(2 割)を足しても賃金満額には届きません。残りの 2 割と慰謝料は会社から取りに行くのが定石で、ここを知らずに泣き寝入りする人が驚くほど多い。
21 条は危険を生まない一次的な措置義務を事業者に課しているので、本人の不注意があっても会社の責任は過失相殺で減るだけで、全額免責はまず認められません。安全設備や手順を会社が整えていたかが先に問われます。業界裏話ヒント:会社の「本人の不注意」論には、労基署の災害調査復命書や是正勧告書が効きます。これらは弁護士会照会などで取得できることがあり、会社の措置不備が公的に裏付けられる。
あります。21 条違反は労働安全衛生法 119 条で罰則の対象となり、死亡事故では業務上過失致死(刑法 211 条)も並走しえます。労基署が書類送検する例は珍しくありません(最新の刑罰水準をご確認ください)。業界裏話ヒント:刑事の書類送検と民事の損害賠償は別軌道です。刑事が不起訴でも民事責任は残り、逆に労基署の送検事実は民事で会社の過失を裏付ける材料になる。一つの事故が行政・刑事・民事の三方向に分岐すると覚えておく。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する危険 | 21 条:作業方法(掘削・荷役等)と危険な場所(墜落・土砂崩壊) | — |
| 義務の主体 | 事業者(措置を講じる) | — |
| 対になる労働者側の義務 | 26 条:労働者は必要な事項を守らなければならない | — |
| 緊急時の扱い | 25 条:急迫した危険時は作業中止・退避 | — |
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