事業者は、潜水業務その他の健康障害を生ずるおそれのある業務で、厚生労働省令で定めるものに従事させる労働者については、厚生労働省令で定める作業時間についての基準に違反して、当該業務に従事させてはならない。
要点労働安全衛生法 65 条の 4 は、事業者が潜水業務など健康障害のおそれがある業務で、高気圧作業安全衛生規則の作業時間基準を超えて労働者を働かせることを禁じる。賃金や同意では延長できない。
Q · 潜水の仕事は、残業代を払えば長く潜らせてもいいんですか?
いいえ、作業時間は賃金や同意では延長できません
労働安全衛生法 65 条の 4 により、事業者は潜水業務など健康障害のおそれがある業務で、高気圧作業安全衛生規則が定める作業時間の基準を超えて労働者を従事させてはなりません。これは労働基準法の残業規制とは別物で、割増賃金を払っても、労働者本人が同意しても超えられない絶対的な上限です。基準を超えさせた事業者は 119 条の刑事罰の対象となり得ます。減圧症は浮上後に遅れて現れるため、その場の体調ではなく作業時間の記録が唯一の防御線になります。
水中で作業を終えて浮上した数時間後、関節に激痛が走り、最悪の場合は意識を失う。減圧症(潜水病、体内の窒素が気泡化して血管や関節を傷つける障害)は、潜りすぎ・長すぎが引き起こす不可逆の健康被害だ。労働安全衛生法 65 条の 4 は、この危険を「会社の自主ルール」ではなく国の強制にした。事業者は、潜水業務や高圧室内作業など、厚生労働省令(高気圧作業安全衛生規則)が定める作業時間の基準を破って、労働者を働かせてはならない。ここで効くのは、これが労働基準法の残業規制とは別物だという点だ。残業は割増賃金を払えば延長できるが、こちらは金で買えない。基準を超えた瞬間、事業者は刑事罰の対象になりうる。あなたが潜水士でも、潜函工事の作業員でも、養殖場で素潜りする漁業者でも、この一条があなたの体を守る最後の境界線として立っている。
労働安全衛生法 65 条の 4 は、潜水業務その他の健康障害を生ずるおそれのある業務のうち厚生労働省令で定めるものについて、事業者が省令の定める作業時間の基準に違反して労働者を従事させることを禁ずる規定である。賃金や本人の同意では緩和できない強行的な上限を設定する点に特徴がある。
潜水業務など健康障害のおそれがある業務で、厚生労働省令の定める作業時間を超えて働かせることを禁じる制度です。労働安全衛生法 65 条の 4 が根拠で、義務を負うのは事業者です。
高気圧作業安全衛生規則に水深や滞底時間、反復潜水に応じた基準が定められています。e-Gov 法令検索で省令本文を確認できます。事業者は配置前に基準を文書で示すべきです。
業務に起因する減圧症は労災保険の対象になり得ます。作業日報・潜水記録・減圧表が業務起因性の証拠となります。療養・休業給付の請求権には時効があるため早めの申請が重要です。
労働安全衛生法 119 条により刑事罰の対象となり得ます。義務者は労働者ではなく事業者で、本人が同意していたという主張は抗弁になりません。
対象です。シールド工事や潜函工事など高圧室内作業も高気圧作業安全衛生規則の作業時間規制を受けます。海に潜らない建設現場でも同じ法律の枠が適用されます。
作業時間の管理義務は事業者にあります。ただし事故後に記録が出てこない例も多いため、労働者自身が当日の潜水時間と回数を手元に控えておくと立場が大きく変わります。
速やかに受診し、潜水記録・作業日報・減圧表のコピーを確保してください。記録が修正される前の確保が決定的です。その後、労災申請と必要に応じて損害賠償を検討します。
高気圧作業安全衛生規則は反復潜水について別途制限を設けています。一日の潜水回数を増やす工期短縮は基準超過になりやすく、65 条の 4 違反のリスクが高まります。
問題あります。65 条の 4 が義務を課すのは事業者で、資格の有無は関係ありません。高気圧作業安全衛生規則が水深と滞底時間に応じた作業時間や反復潜水の制限を細かく定めており、これを超えさせれば事業者の違反です。業界裏話ヒント:減圧症は浮上後数時間してから出ることが多く、その日は元気でも翌朝動けなくなる。その日大丈夫だったから守られているは錯覚で、記録上の作業時間が基準内かどうかが唯一の防御線になる
報酬を得て業として行う潜水なら、素潜りでも潜水業務に含まれ得ます。スキューバ器材を使うかどうかが基準ではなく、業として行うかが分かれ目です(労働安全衛生法 65 条の 4、高気圧作業安全衛生規則)。業界裏話ヒント:小規模な漁業・養殖の現場ほど作業時間管理が緩く、記録すら付けていないことが多い。事故後に記録がないと事業者が言い出すと立証が難航する。自分でその日の潜水時間と回数をメモするだけで立場が大きく変わる
できます。労災保険は治療費と休業補償をカバーしますが、慰謝料は含みません。事業者が 65 条の 4 や安全配慮義務に違反していれば、民法 709 条・415 条で慰謝料や逸失利益を別途請求できます(最新の改正状況をご確認ください)。業界裏話ヒント:労災認定が出ると業務上の災害が公的に確定するため、その後の民事賠償交渉で事業者の過失を立証する負担が大きく下がる。先に労災、それから民事という順番が、実は回収額を最大化する定石です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 65 条の 4:潜水業務等の作業時間の上限 | — |
| 義務の性質 | 賃金・同意で緩和できない強行的な時間上限 | — |
| 違反時の効果 | 119 条の刑事罰 + 安全配慮義務違反の決定的証拠 | — |
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