要点労働安全衛生法 91 条は、労働基準監督官が事業場に立ち入り、関係者への質問・帳簿の検査・作業環境測定を行う権限を定める。この立入検査は犯罪捜査のためのものではない。
Q · 労働基準監督官が予告なく来たら、検査を断れる?
原則拒めない。正当な理由なき拒否は罰則対象です
労働安全衛生法 91 条により、労働基準監督官は事業場に立ち入り、質問・帳簿検査・作業環境測定・必要な限度での収去を行えます。正当な理由のない拒否・妨害・忌避は 120 条で罰金の対象となり、「社長が不在」「今は忙しい」は正当な理由になりません。一方で 4 項はこの検査が犯罪捜査のためのものではないと明言します。求められた範囲を超える要求には根拠を確認してよく、刑事捜査(92 条)へ切り替わった気配があれば早期に弁護士へ相談すべきです。
ある朝、製造現場に労働基準監督官が予告なく現れる。社員に質問し、出勤簿や安全衛生委員会の議事録を求め、粉じんや騒音を測定し、原材料のサンプルまで持ち帰る。労働安全衛生法 91 条が、この一連の行為すべての根拠だ。あなたが押さえるべき核心は二つ。第一に、この検査を正当な理由なく拒めば、それ自体が処罰対象になる(120 条)。「今日は忙しい」「弁護士が来てから」では断れない。第二に、第 4 項が「この検査は犯罪捜査のためのものではない」と明言している点だ。だからこそ令状なしであなたの事業場に入れる。逆に言えば、ここで集めた資料をそのまま刑事事件の証拠に使うことには、憲法上のブレーキがかかる。しかも監督官は別人格として司法警察員の権限も併せ持つ(92 条)。同じ人物が、行政調査の帽子と刑事捜査の帽子を被り分けている。その境目を知る者だけが、適切な対応線を引ける。
労働安全衛生法 91 条は労働基準監督官の立入検査権限を定める規定であり、事業場への立入り、関係者への質問、帳簿書類等の検査、作業環境測定、検査に必要な限度での製品等の無償収去を認める。医師である監督官は就業禁止対象疾病の疑いがある労働者の検診を行える。監督官は身分を示す証票の携帯・提示を要し、この立入検査は犯罪捜査のために認められたものと解釈されない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
労働基準監督官が法の施行に必要なとき、事業場に立ち入り、質問・帳簿検査・作業環境測定・必要な限度での収去を行える立入検査権限を定めた規定です。
帳簿、書類その他の物件です。出勤簿、安全衛生委員会の議事録、定期自主検査記録、作業環境測定結果などが対象になり、検査に必要な限度で製品や原材料を無償で持ち帰れます。
粉じん、騒音、有害物質などの作業環境の状態を測定することです。監督官は立入検査の一環として現場で直接これを行うことができます。
検査に必要な限度で、製品・原材料・器具を無償で持ち帰ることです。91 条 1 項が明文で認めており、対価の支払いは生じません。
予告なしの臨検が原則です。ただし実務では事前連絡のある定期監督も多く、予告なしで来た場合は申告や労災が端緒の可能性が高いと読めます。
3 項は監督官に証票の携帯と提示を義務づけています。提示がない立入りには、まず証票の提示を求めてよく、本物の監督官か確認する最初の関門になります。
あります。2 項により、医師である監督官は 68 条の就業禁止対象疾病にかかった疑いのある労働者の検診を行うことができます。
記録の不備や違反が見つかれば是正勧告、悪質な場合は 98 条の使用停止等命令に進みます。刑事性が認められれば 92 条の権限で送検されることもあります。
正当な理由のない拒否・妨害・忌避は、労働安全衛生法 120 条により罰則(罰金)の対象です。「社長が不在」「今は忙しい」は正当な理由になりません。業界裏話ヒント:監督官は予告なしの臨検が原則ですが、実務では事前連絡のある定期監督も多い。連絡が来た時点で記録を整える猶予があります。逆に予告なしで来たら、誰かの申告や労災が端緒の可能性が高いと読める
91 条 4 項は、立入検査の権限は犯罪捜査のために認められたものではないと明言します。行政調査で得た供述をそのまま刑事の証拠に流用することには、憲法 38 条(自己負罪拒否特権)上の制約があります。業界裏話ヒント:ただし同じ監督官は 92 条で司法警察員の権限も持つ。途中で「これは刑事案件だ」と切り替わった瞬間からあなたには黙秘権が生じる。その切替の気配(調書への署名要求、令状の話)を察したら、その場で弁護士を呼ぶのが分水嶺
労働基準監督署は厚生労働省の出先機関、労働基準監督官はそこに所属する公務員で、労働法令違反については 92 条により警察官と同じ司法警察員の権限を持ちます。業界裏話ヒント:つまり労基署は労働分野専門の警察機能も併せ持つ役所です。一般の警察は労基法・安衛法違反を積極的に扱わないため、労働事件はまず監督署が窓口になり、深刻なケースでは監督官が直接送検する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 権限の性質 | 91 条:立入検査(質問・帳簿検査・作業環境測定・収去) | — |
| 目的 | 行政上の安全確保(4 項:犯罪捜査のためではない) | — |
| 令状の要否 | 不要(行政調査、無令状の立入りが認められる) | — |
| 拒否・違反時 | 拒否・妨害・忌避は 120 条で罰則(罰金) | — |
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