雇用保険法 第10条の4(返還命令等)
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- 偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。
- 2.前項の場合において、事業主、職業紹介事業者等(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第二条に規定する職業紹介機関又は業として職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第四条第四項に規定する職業指導(職業に就こうとする者の適性、職業経験その他の実情に応じて行うものに限る。)を行う者(公共職業安定所その他の職業安定機関を除く。)をいう。以下同じ。)、募集情報等提供事業を行う者(同条第六項に規定する募集情報等提供を業として行う者をいい、同項第三号に掲げる行為(労働者になろうとする者の依頼を受けて行う場合に限る。)を行う者に限る。以下この項及び第七十六条第二項において同じ。)又は指定教育訓練実施者(第六十条の二第一項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練を行う者をいう。以下同じ。)が偽りの届出、報告又は証明をしたためその失業等給付が支給されたものであるときは、政府は、その事業主、職業紹介事業者等、募集情報等提供事業を行う者又は指定教育訓練実施者に対し、その失業等給付の支給を受けた者と連帯して、前項の規定による失業等給付の返還又は納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ずることができる。
- 3.徴収法第二十七条及び第四十一条第二項の規定は、前二項の規定により返還又は納付を命ぜられた金額の納付を怠つた場合に準用する。
この条文の基本情報
返還命令等とは何ですか?
定義返還命令等とは、雇用保険法第10条の4に定められた規定で、「偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、ま…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 雇用保険法第10条の4(返還命令等)は、日本の雇用保険法に含まれる条文です。
- 雇用保険法第10条の4の条文原文は「偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、ま…」で始まります。
- 雇用保険法第10条の4は第一節 通則に置かれています。
- 雇用保険法の公布日は昭和49年12月28日です。
- 雇用保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 雇用保険法第10条の4の前の条は雇用保険法第10条の3です。
- 雇用保険法第10条の4の次の条は雇用保険法第11条です。
- 雇用保険法第10条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第10条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - 本サイト収録
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第10条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/349AC0000000116/10_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点雇用保険法10条の4は、不正受給者に失業等給付の返還と、その2倍以下の額の納付を命じることができると定める。偽りの届出をした事業主も連帯して責任を負う。
Q · 失業保険の不正受給がバレたら、返せば済むんですか?
返還に加え2倍以下の納付、最大で受給額の3倍を負担します
雇用保険法10条の4第1項により、政府は不正受給者に対し支給した失業等給付の全部又は一部の返還を命じ、さらに厚生労働大臣の定める基準により不正受給額の2倍以下の納付を命じることができます。返還1に納付2が加わるため、負担は最大で受給額の3倍になります。同条2項では偽りの届出・報告・証明をした事業主や指定教育訓練実施者も連帯して納付を命じられ、3項の徴収法27条準用により、納付を怠れば督促のあと国税滞納処分の例で給与や預金が直接差し押さえられます。
解説
ハローワークの失業認定申告書に、アルバイトをした1日を書き忘れた。それだけで動き出すのがこの条文である。政府はまず支給した失業等給付の返還を命じ、さらに厚生労働大臣の定める基準に従って、不正に受けた額の2倍以下の金額の納付を命じることができる。返還1に納付2が乗るので、手元から出ていくのは最大で受給額の3倍。世間で「3倍返し」と呼ばれるものの正体がここにある。効いてくるのは2項も同じだ。離職理由や賃金額について偽りの届出や証明をした事業主、受講を偽証した指定教育訓練実施者は、受給者と連帯して払わされる。元従業員に頼まれて離職票に嘘を書いた側なら、あなたも債務者である。そして3項が労働保険の保険料の徴収等に関する法律27条を準用する結果、この債権は督促のあと国税滞納処分の例で給与や預金を直接差し押さえられる。訴訟も判決も経由せずに、である。
法的な位置づけ
雇用保険法10条の4は、不正受給に対する返還命令・納付命令および連帯納付命令を定める規定である。1項が受給者への返還と不正受給額の2倍以下の納付、2項が偽りの届出等をした事業主・職業紹介事業者等・募集情報等提供事業を行う者・指定教育訓練実施者の連帯納付責任、3項が徴収法27条・41条2項の準用による強制徴収と時効更新を規律する。
よくある質問 AI による整理
Q1ハローワークから呼び出されたらどうすればいい?
呼び出しは事業主照会や被保険者記録の突合を終えた段階で来ることが多いため、記憶で答えず、就労日・金額・支払元を通帳とアプリ履歴から時系列で再構成してから臨みます。
Q2失業保険の不正受給はどうやって発覚する?
通報より多いのは記録の突合です。次の勤務先が雇用保険の加入手続をした瞬間に被保険者期間が合わなくなり、事業主照会や確定申告データとの照合で就労の事実が浮かびます。
Q3不正受給の返還金は分割払いできる?
一括納付が困難な場合は分納の相談が実務上の窓口になります。放置すると督促を経て3項準用の滞納処分に進み、給与や預金が直接差し押さえられます。
Q4不正受給がバレたら失業保険はもう受け取れない?
雇用保険法34条により、不正受給者にはその後の求職者給付・就職促進給付が支給されません。返還・納付とは別に、残っていた受給資格そのものが失われます。
Q5不正受給の返還金に時効はある?
雇用保険法74条により徴収権は2年で時効消滅します。ただし3項が準用する徴収法41条2項で告知と督促に時効更新の効力があり、督促状で2年が振り出しに戻ります。
Q6不正受給で逮捕されることはある?
あります。行政上の返還・納付命令とは別に、額が大きい事案や計画性のある継続的な事案は詐欺罪(刑法246条)で立件されることがあります。両者は併存します。
Q7自分から申し出たら納付命令は軽くなる?
納付命令は「2倍以下」という幅の中で厚生労働大臣の定める基準により決まり、実務では悪質性と自主的な申し出の有無が額を左右します。調査完了後の申告では幅を使う余地が減ります。
Q8教育訓練給付の不正受給も同じ扱い?
同じです。教育訓練給付も失業等給付に含まれ、虚偽の受講証明をした指定教育訓練実施者は2項により連帯して納付を命じられ、講座指定を失うリスクも負います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1バイト1日を申告し忘れただけでも、本当に不正受給になるんですか?
なります。失業認定申告書に事実と異なる記載をすること自体が10条の4第1項の「偽りその他不正の行為」に当たり、金額の大小は要件ではありません。ただし単純な記入漏れで自ら申し出た場合、実務上は返還のみで納付命令を行わない扱いもあります。実務のポイント:発覚経路で最も多いのは通報ではなく、次の勤務先が雇用保険の加入手続をした瞬間に被保険者記録の期間が合わなくなるパターンです。隠し通せる前提の判断は、そもそも成り立たない。
Q2自己破産すれば、この返還金も消えますか?
原則として消えません。10条の4第3項が労働保険の保険料の徴収等に関する法律27条を準用するため、この債権は国税滞納処分の例により徴収でき、破産法253条1項1号の租税等の請求権として非免責債権に当たると解されています。実務のポイント:破産の初回面談で、この債務を「役所への未払い」とだけ伝えて済ませる人がいます。書き分けないと、破産後も差押えが続いて生活再建の計画そのものが崩れる。名称と根拠条文まで正確に伝えること。
Q3会社が離職票に嘘を書いた場合でも、責任を負うのは受け取った本人だけですよね?
違います。2項により、偽りの届出・報告・証明をしたために給付が支給されたときは、政府は事業主や職業紹介事業者等、指定教育訓練実施者に対し、受給者と連帯して返還・納付を命じることができます。連帯債務なので、資力のある側から全額回収されます。実務のポイント:退職者から会社都合への書き換えを頼まれたとき、断る理由を「10条の4第2項で会社が連帯債務を負うから」と明示すると交渉がその場で終わります。総務担当者がこの条番号を言えるかどうかで、会社が数十万円を負うかが決まる。
間違えやすい点 AI による整理
- 返せば済むという理解は、多くの人が持っている。だがその深刻度が見えていない。3項が労働保険の保険料の徴収等に関する法律27条を準用するため、返還金と納付金は督促のあと国税滞納処分の例により徴収される。支払督促も判決も不要で、給与や預金が直接差し押さえられる。しかも国税徴収の例により徴収できる請求権は破産法253条1項1号の租税等の請求権に当たると解されており、自己破産しても原則として免責されない。普通の借金と同じつもりで破産を選ぶと、その判断ごと空振りになる。
- 「いくら返せばいいのか」という問いを立てる人が多いが、問いの立て方が誤っている。返還の対象は隠した8千円ではなく、支給した失業等給付の全部又は一部であり、実務では不正のあった認定日以降の給付全額が原則となる。加えて34条により、それ以後の求職者給付・就職促進給付は支給されない。少額の申告漏れが、残っていた受給資格そのものを消す構造になっている。
- 離職票に嘘を書いた事業主から見れば「自分は1円も受け取っていない」。法律から見れば、あなたは連帯債務者である。連帯債務なので、政府は資力のある側から全額を回収してよい。受給者本人が無職で無資力なら、現実に取り立てが来るのは会社の口座の方だ。この落差が、善意で判子を押した総務担当者を潰す。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の内容 | 10条の4:返還命令+2倍以下の納付命令+事業主等の連帯納付 | 34条:不正受給者に対する以後の求職者給付・就職促進給付の不支給 74条:返還金・納付金を徴収する権利の消滅時効 |
| 名宛人 | 受給者本人+事業主・職業紹介事業者等・募集情報等提供事業を行う者・指定教育訓練実施者(連帯債務) | 受給者本人のみ 徴収権者である政府(権利の存続期間を画する規定) |
| 効果の性質 | 金銭給付義務の発生(不当利得返還を超える制裁的加重を含む) | 受給資格に基づく将来の給付の停止 2年経過による権利消滅。告知・督促で更新(徴収法41条2項準用) |
| 実現手段 | 3項の徴収法27条準用により、督促後は国税滞納処分の例で強制徴収(判決不要) | 行政庁の処分として給付を行わないことで直接実現 時効完成により徴収手続そのものが打ち切られる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も追回(返還)と2倍の罰鍰を組み合わせる点で日本と同じ設計。ただし台湾は行政罰(罰鍰)として構成し、日本の「納付命令」のような給付法内の措置ではない点が異なる
韓国も反還命令に加えて追加徴収を認め、虚偽の届出をした事業主の連帯責任を置く。日本の2項と同型の構造で、継受関係が明瞭に残る領域
ドイツは制裁的な倍額徴収を給付法内に置かず、違法な給付決定の職権取消しと不当受給額の返還(原状回復)に一本化し、制裁は過料(Ordnungswidrigkeit)や刑法263条の詐欺で別建てする
米国は連邦法が州に対し、不正受給の過払額に最低15% のペナルティ加算を課すことを義務づける。上乗せ率は日本の2倍以下より低いが、州法により失権期間(disqualification)が長期に及ぶ
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 失業認定日の前日に入った単発バイト、日当8千円。申告書の就労欄に書かなかった。この一行で、その認定日以降に受け取った基本手当が丸ごと返還対象になり、さらにその2倍以下の納付命令が上乗せされる。
- もし、元部下から「離職票の理由を会社都合にしてほしい」と頼まれ、情に負けて応じてしまったとしたら? 給付制限の有無も所定給付日数も変わるため、その差額は不正受給になる。2項により、政府は会社に対して元部下と連帯して返還と納付を命じることができる。頼まれただけという事情は、法律上の抗弁にならない。
- ハローワークから「確認したいことがあるので来所を」と電話が入り、指定された日まであと3日。この段階の連絡は、事業主への照会や被保険者記録の突合がすでに終わってから来ることが多い。自主的に申し出るなら実質的にこの3日が最後の窓で、納付命令を科すか否か、額を2倍まで引くかは実務上ここで方向が決まる。
- 教育訓練給付を取るために、実際には通っていない講座の受講証明をスクールに出してもらった。負担を負うのはあなただけではない。証明した指定教育訓練実施者も2項で連帯して納付を命じられ、さらに厚生労働大臣の講座指定そのものを失うリスクを抱える。スクール側があなたの依頼を断る本当の理由がこれである。
取るべき行動
被害を受けた側:事業主や教育訓練実施者として連帯納付命令を受けた場合。1. 2項の要件は「偽りの届出、報告又は証明をしたため」支給されたこと。自社が作成したのか、退職者が偽造したのかを、作成日・作成者・押印経路まで文書で特定する。2. 関与がないなら、命令の前提事実を争う意見を書面で提出する。3. 争えない部分は納付し、受給者本人に対しては連帯債務者としての求償権(民法442条)を確保する。4. 同種の依頼が来た経緯を洗い、離職証明書の作成フローに二重チェックを入れる。
訴えられた側:1. 記憶で答えない。就労した日、金額、支払元を通帳とアプリ履歴から時系列で再構成する。2. 呼び出し前なら自主的に申し出る。納付命令の幅(2倍以下)が動く実務上の唯一の余地がここにある。3. 返還額・納付額・給付制限(34条)の3点を分けて確認し、命令書の記載と自分の集計を突き合わせる。4. 一括納付が困難なら分納の相談を先にする。放置すると督促を経て滞納処分に進み、給与と預金が直接差し押さえられる。5. 額が大きい、または継続的で計画性がある事案は詐欺罪(刑法246条)で立件されうるため、その段階で弁護士に相談する。
時効(請求できる期限):返還又は納付を命ぜられた金額を徴収する権利は、雇用保険法74条により2年で時効消滅する。実務上の起算点は命令で定められた納期限の翌日。ただし3項が準用する労働保険の保険料の徴収等に関する法律41条2項により、告知と督促には時効更新の効力があるため、督促状が届いた時点で2年が振り出しに戻る。刑事責任として詐欺罪で立件される場合の公訴時効は7年(刑事訴訟法250条2項4号)。(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:1項後段の納付命令は、支給済み給付の返還(不当利得の清算)を超える制裁的性格を持つ行政上の措置と解される。刑罰ではないため、同一事実について詐欺罪が成立する場合でも併科が可能であり、憲法39条の二重処罰の禁止には抵触しないとされる。
実務上の理解:納付命令は「命ずることができる」という裁量規定であり、額も2倍以下の幅を持つ。単純な記入漏れで自主的な申し出がある事案では返還のみにとどめ、計画性・反復性のある事案で上限に近づける運用がとられていると理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)職業安定法改正関連 連帯納付命令の名宛人に「募集情報等提供事業を行う者」が加えられ、求人メディア側の偽りの情報提供にも連帯責任が及ぶ構造になった。改正年次と施行日は要検証
改正の年表
- 1.昭和49年(1974年) 新設:失業保険法を全面改正して雇用保険法が制定され、不正受給に対する返還命令・納付命令および事業主等の連帯納付責任、徴収法準用による強制徴収を定める規定が置かれた
- 2.令和4年(2022年) 改正:職業安定法改正により募集情報等提供事業の定義(同法4条6項)が整備されたことに伴い、2項の連帯納付命令の名宛人に「募集情報等提供事業を行う者」が加えられ、求人メディア側の偽りの情報提供にも連帯責任が及ぶ構造となった(施行日は要検証)
- 雇用保険法 第34条不正受給者への給付制限、返還と並ぶ制裁
- 雇用保険法 第74条返還金・納付金を徴収する権利の2年時効
- 雇用保険法 第76条偽りの届出の前提となる事業主等の報告義務
- 雇用保険法 第60条の2指定教育訓練実施者の定義の根拠規定
- 雇用保険法 第10条返還命令の対象となる失業等給付の範囲を画定
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第27条準用により国税滞納処分の例で強制徴収
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第41条準用により督促が時効更新の効力を持つ
- 刑法 第246条不正受給の刑事責任、行政上の返還と併存
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