受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

雇用保険法 第11条(受給権の保護)

クイックジャンプ

失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。

この条文の基本情報

受給権の保護とは何ですか?

定義受給権の保護とは、雇用保険法第11条に定められた規定で、「失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 雇用保険法第11条(受給権の保護)は、日本の雇用保険法に含まれる条文です。
  2. 雇用保険法第11条の条文原文は「失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」で始まります。
  3. 雇用保険法第11条は第一節 通則に置かれています。
  4. 雇用保険法の公布日は昭和49年12月28日です。
  5. 雇用保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 雇用保険法第11条の前の条は雇用保険法第10条の4です。
  7. 雇用保険法第11条の次の条は雇用保険法第12条です。
  8. 雇用保険法第11条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第11条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116
  • 本サイト収録雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第11条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/349AC0000000116/11

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点雇用保険法11条は、失業等給付を受ける権利の譲渡・担保提供・差押えを禁止する。本人が同意しても譲渡は無効だが、振り込まれて預金になった後は保護が及ばない。

Q · 失業給付って、借金の返済のために差し押さえられたり、担保に入れたりできるんですか?

受給権は守られるが、振り込まれた後の預金は守られない

雇用保険法11条により、失業等給付を受ける権利は譲渡・担保提供・差押えのいずれもできません。債権者が裁判所で差押命令を取ろうとしても、受給権そのものには手が届かず、本人が同意して念書を書いても譲渡は効力を生じません。ただし保護されるのは受給権に限られ、給付が振り込まれて預金債権になった後は、一般の預金として差押えの対象になりうるというのが実務の一般的な理解です。守られているのは「入ってくるはずの給付」であって「入ってきた後のお金」ではありません。

解説

会社を辞めて失業給付を待っている間、生活費が尽きて消費者金融に「これから入る給付金を担保にするから貸してほしい」と持ちかけたとする。相手が承諾しても、その担保設定は法律上、最初から効力を持たない。雇用保険法11条は、失業等給付を受ける権利について、他人への譲渡、担保への提供、差押えの三つをまとめて封じている。ここで押さえるべきは、封じられているのは「受給する権利そのもの」だという点だ。借金を滞納して債権者が裁判所で差押命令を取ろうとしても、まだ受け取っていない給付を受ける地位には手が届かない。ただし、いったん振り込まれて口座の預金残高になった後は話が変わる。預金債権は別物として扱われ、差押えの対象になりうるというのが実務の一般的な理解である。守られているのは「入ってくるはずの給付」であって、「入ってきた後のお金」ではない。この境界線を知っているかどうかで、失業中に口座をどう管理するかの判断が変わる。

法的な位置づけ

雇用保険法11条は失業等給付の受給権の保護を定める規定であり、失業等給付を受ける権利について譲渡、担保供与、差押えを一律に禁止する。基本手当等の受給権は債権者の回収対象から除外され、受給者本人の合意があっても譲渡・担保設定は効力を生じない。保護の対象は受給権そのものであり、支給後に預金債権へ転化した金銭には及ばないと解される。

手順

  1. 1.給付の譲渡・担保を求める書面には署名せず記録する 債権者から「給付金が出たら回してほしい」と念書や合意書を求められたら、その場で署名せず、書面の全ページを写真に残す。受給権の譲渡・担保設定は雇用保険法11条で効力を生じない旨をその場で伝え、無効な合意を積み重ねないようにする
  2. 2.すでに署名した合意の効力をハローワーク・法テラスで確認する 署名済みの書面がある場合でも、受給権の譲渡としては効力がない。公共職業安定所(ハローワーク)の給付窓口または法テラスに書面を持参し、受給に影響がないこと、相手方に説明すべき内容を確認する
  3. 3.差押命令が届いたら対象が受給権か預金債権かを特定する 裁判所から送達された差押命令の「差押債権目録」を読み、対象が失業等給付の受給権と書かれているのか、金融機関に対する預金債権と書かれているのかを確認する。受給権であれば11条を根拠に争う余地があり、預金債権であれば別の対応が必要になる
  4. 4.給付専用口座を分けて入金の由来を説明できるようにする 失業給付の振込先を他の入出金と混ざらない口座にし、通帳やアプリの明細で残高が給付由来であることを示せる状態にしておく。生活費や他の入金が混在すると、どこまでが給付分か立証できず不利になりやすい

よくある質問 AI による整理

Q1雇用保険法11条とは何ですか?

失業等給付を受ける権利について、譲渡・担保への提供・差押えの三つをまとめて禁止する規定です。生活再建の原資を債権回収から切り離す趣旨で置かれています。

Q2失業給付の振込口座は本人名義でないとだめですか?

受給権は本人のものであり他人に譲れないため、振込口座も原則として本人名義に限られます。親族名義の口座を使うと手続が通らず、名義を貸した側にも面倒が及ぶことがあります。

Q3失業給付を家族が代わりに受け取れますか?

受給権の譲渡は11条で禁じられているため、家族に権利を移すことはできません。本人が受給要件を満たし、本人名義で受け取るのが原則です。

Q4養育費の合意で「失業給付から毎月払う」と約束できますか?

給付そのものを引き渡す約束は受給権の譲渡に当たり、法的には通りません。支払義務を負うこと自体は別問題ですが、給付を引当てにする条項は効力を生じません。

Q5受給権の譲渡を約束する念書に署名してしまったらどうなりますか?

11条により譲渡としての効力は生じないため、相手に給付を取り上げる権利は発生しません。ハローワークまたは法テラスに相談し、無効である旨を確認するのが確実です。

Q6差押命令が届いたとき、まず何を確認すればいいですか?

対象が受給権なのか、振込先の預金債権なのかを書面上で特定します。受給権なら11条を根拠に争える余地がありますが、預金債権なら別の対応が必要です。

Q7失業給付に税金はかかりますか?

失業等給付は課税されません。雇用保険法12条が公課の禁止を定めており、11条の受給権保護と並んで受給者を守る仕組みになっています。

Q8失業給付を受ける権利に期限はありますか?

支給を受ける権利は2年で時効消滅します(雇用保険法74条)。また基本手当は原則として離職日の翌日から1年の受給期間内に受け終える必要があります(同法20条)。

この条文についての質問 AI による整理

Q1給付金が振り込まれた後の口座って、差押えされちゃうんですか?

受給権そのものは雇用保険法11条で差押えが禁じられているが、振り込まれて預金債権になった後は、一般の預金として差押えの対象になりうるというのが実務の一般的な理解である。ただし個別事情によって判断が分かれることもある。実務のポイント:給付専用の口座を分けておくと、その残高が給付由来であることを説明しやすくなる。生活費と他の入金が混ざった口座では、どこまでが給付分か立証できず不利になりやすい。

Q2闇金に「失業給付を担保に貸す」と言われました。返さないとまずいですか?

担保設定自体が11条により効力を持たないため、給付を担保として取り上げる権利は相手に発生しない。借りた元本の返済義務がどうなるかは貸金業法や利息制限法の問題として別に検討する必要がある。実務のポイント:給付を担保に取る形の貸付は、そもそも違法な業者である可能性が高い。無効な担保を根拠に取立てを続ける行為は、貸金業法上の取立て規制違反として警察や金融庁への通報材料になる。

Q3自己破産したら失業給付も取られますか?

差押禁止債権は破産手続において原則として自由財産として扱われ、破産財団に組み込まれない。したがって受給権は手元に残り、生活再建の原資になる。実務のポイント:破産申立ての時期と給付の受給時期をどう組み合わせるかで、手元に残る現金の額が変わる。申立て前に弁護士へ受給予定を正確に伝えると、タイミングの設計をしてもらえる。伝えないまま進めると、残せたはずの資金を失うことがある。

間違えやすい点 AI による整理

  • 受給権が差押えできないことは知っていても、その保護がいつまで続くかを知らない人が多い。振り込まれた後の預金は原則として一般の財産と同じ扱いになり、差押えの対象になりうる。「差押え禁止だから安心」と考えて給付専用口座を放置すると、他の債権で口座を押さえられたとき、保護されるはずだった生活費が失われる可能性がある。
  • 「本人が同意すれば譲渡できる」と考えるのは、問いの立て方そのものが誤っている。11条は本人の意思を保護するための規定ではなく、本人が同意しても効力を認めない構造の規定である。本人が納得ずくで念書を書いても、法律上その譲渡は成立しない。
  • 債権者の側から見れば「取れるはずの財産を隠されている」ように映るが、法律から見れば失業給付は生活再建のために国が支給する社会保障給付であり、そもそも債権回収の引当てとして予定されていない。この視点の落差を理解しないまま強気に回収を迫ると、無効な合意を積み重ねて時間を失う。
比較の観点この条文ほかの条文
保護の内容雇用保険法11条:受給権の譲渡・担保供与・差押えを禁止雇用保険法12条:失業等給付に租税その他の公課を課すことを禁止
雇用保険法74条:給付を受ける権利は2年で時効消滅
誰から守るか債権者(回収・担保取得を試みる第三者)課税権者(国・地方公共団体)
守る規定ではなく、権利行使の期限を画する規定
本人の同意で覆せるか覆せない。本人が同意しても譲渡・担保設定は効力を生じない覆せない。当事者の合意で課税関係を作り出すことはできない
時効の完成猶予・更新の一般法理によるほかは、合意で延長できない
保護・効力の限界保護は受給権に限られ、振込後の預金債権には及ばないと解される非課税は給付そのもの。給付を原資とする他の所得までは免れない
起算点は各給付の支給を受けることができる日。受給期間(20条)とは別枠

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
就業保險法第22條

台湾も失業給付の領取権について譲与・相殺・扣押・担保供与を明文で禁止し、日本と同一構造。労工保険条例29条にも並行規定がある

韓国
고용보험법 제38조(수급권의 보호)

韓国も失業給付を受ける権利の譲渡・差押え・担保供与を禁止しており、日本法とほぼ同一の条文構造をとる

ドイツ
SGB I §§ 53, 54

ドイツは社会給付を一律禁止とせず、Arbeitslosengeld について賃金に準じた差押可能限度を定める段階的保護。生活最低限を確保する発想は共通だが技術は異なる

アメリカ
Social Security Act § 207(42 U.S.C. § 407)

連邦の社会保障給付には譲渡・差押禁止の明文があるが、失業保険は州が運営し、保護の範囲は州法により異なる

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • リストラされて失業給付の手続き中、カードローンの返済が滞った。債権者から「給付金が出たら全額こちらに回す約束をしてほしい」と念書を求められる。その念書に署名しても、受給権の譲渡としては無効である。相手が知っていて求めているのか、知らずに求めているのかは、こちらの対応を変えない。
  • もし裁判所から差押命令が届いたら、失業給付はどうなるのか。受給権そのものは11条で差押えが禁じられているため、対象にならない。だが給付が振り込まれる口座の預金債権が差押えの対象とされているのなら、話は別である。届いた書面のどこに何が書かれているかを読み分ける必要がある。
  • 自己破産を申し立てた人が失業給付を受けている。破産手続では差押禁止債権は原則として自由財産の扱いになるため、受給権は破産財団に組み込まれない。生活再建の原資が残る仕組みになっている。
  • 求職活動中の友人から「親名義の口座で給付を受け取っていいか」と相談された。あと数日で最初の認定日だという。受給権は本人のものであり、他人に譲れない。振込口座も原則として本人名義に限られる。名義を貸した側にも面倒が及ぶ可能性があると三分で説明できる。
  • 離婚の財産分与や養育費の取り決めで、相手が「あなたの失業給付から毎月いくら払え」と合意書に入れようとしてきた。給付そのものを引き渡す約束は受給権の譲渡に当たり、法的には通らない。

取るべき行動

被害を受けた側:1. 給付金の譲渡や担保提供を求める書面に署名を求められたら、その場で署名せず内容を写真に残す2. すでに署名していても、受給権の譲渡としては効力がない旨をハローワーク(公共職業安定所)または法テラスに相談して確認する3. 差押命令が届いたら、対象が受給権か預金債権かを書面上で特定する4. 給付の振込口座は他の入出金と混ざらない口座にしておき、入金直後の残高がどう扱われるかを弁護士に確認しておく

訴えられた側:1. 債権回収の立場で失業給付を引当てにしようとしている場合、受給権への差押えは11条で封じられているため、その方向の手続は空振りに終わる2. 回収の対象になりうるのは受給権ではなく、本人名義の預金その他の一般財産である3. 無効な譲渡合意を取り付けても回収は実現せず、かえって不当な取立てと評価されるおそれがある4. 回収可能性の見積もりを、受給権を除外した前提で組み直す

時効(請求できる期限):本条自体に期限の定めはない。関連する時間制限として、失業等給付の支給を受ける権利は2年で時効消滅する(雇用保険法74条)。起算点は各給付の支給を受けることができる日である。また受給資格に基づく給付は原則として離職日の翌日から1年の受給期間内に受け終える必要があり、この期間を過ぎた分は受け取れない(同法20条、最新の改正状況をご確認ください)。

学説

通説・実務の一般的理解:11条の保護は失業等給付の受給権という地位そのものに及び、本人の同意があっても譲渡・担保設定は無効と解される。他方、給付が現実に支払われて預金債権に転化した後は一般財産として扱われ、原則として差押えの対象になりうるとされる。

社会保障法学における趣旨論:本条は受給者個人の意思保護ではなく、失業中の生活保障と求職活動の継続という制度目的そのものを守るための規定であり、私的自治による放棄を許さない強行規定と位置づけられる。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和49年(1974年) 新設:失業保険法に代わる雇用保険法(昭和49年法律第116号)の制定に伴い、失業等給付の受給権について譲渡・担保供与・差押えを禁止する規定として置かれた

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

雇用保険法の全文を見る所属する編章節を開く:第一節 通則

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›