雇用保険法 第12条(公課の禁止)
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租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。
この条文の基本情報
公課の禁止とは何ですか?
定義公課の禁止とは、雇用保険法第12条に定められた規定で、「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 雇用保険法第12条(公課の禁止)は、日本の雇用保険法に含まれる条文です。
- 雇用保険法第12条の条文原文は「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。」で始まります。
- 雇用保険法第12条は第一節 通則に置かれています。
- 雇用保険法の公布日は昭和49年12月28日です。
- 雇用保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 雇用保険法第12条の前の条は雇用保険法第11条です。
- 雇用保険法第12条の次の条は雇用保険法第13条です。
- 雇用保険法第12条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第12条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - 本サイト収録
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第12条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/349AC0000000116/12
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点雇用保険法12条により、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として租税その他の公課を課すことはできない。基本手当は所得税・住民税とも非課税で、確定申告への記載も不要である。
Q · 失業手当って、確定申告に書かなくていいんですか?
書く欄自体がありません。雇用保険法12条で非課税です
雇用保険法12条により、租税その他の公課は失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができません。基本手当、就業促進手当、教育訓練給付、雇用継続給付のいずれも所得税・住民税の対象外で、源泉徴収票も発行されず、確定申告書に記載する欄自体が存在しません。住民税額を基礎に決まる国民健康保険料や保育料が、給付の分だけ上がることもありません。ただし健康保険の被扶養者認定では基本手当日額が収入として扱われ、日額3,612円以上(60歳以上・障害者は5,000円以上)なら非課税のまま扶養から外れます。
解説
ハローワークから振り込まれた基本手当を、確定申告書のどこに書けばいいのか。答えは、書く欄が存在しない。雇用保険法12条が、失業等給付として受け取った金銭を標準とする租税その他の公課を全面的に禁じているからだ。所得税も住民税もかからず、住民税額をもとに決まる国民健康保険料も、保育料も、高等学校等就学支援金の判定も、給付の分だけ上がることはない。ここまでを知っている人は少なくない。だが本当の分かれ目はその先にある。税の世界であなたの給付はゼロ円扱いなのに、健康保険の被扶養者認定では基本手当日額がそのまま収入として数えられ、日額3,612円以上なら非課税のまま扶養から外れる。同じ一本の振込が、窓口ごとに違う顔で現れる。その顔の違いを知らないまま受給を始めると、あとから医療費の返還請求が届く。
法的な位置づけ
雇用保険法12条は公課の禁止を定める規定であり、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として、租税その他の公課を課することを禁止する。対象は同法10条が定める求職者給付・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付であり、所得税法9条の非課税所得規定に対する個別法の特則として機能する。効力は税および公課の賦課に限定される。
手順
- 1.受給資格者証で基本手当日額を確認する 受給資格者証の基本手当日額の欄を写真で残す。3,612円(60歳以上または障害者は5,000円)が健康保険の被扶養者認定の分岐点になるため、受給開始前に数字を確定させる
- 2.健康保険の被扶養者を外れるか判定し、届け出る 配偶者等の健康保険に入っている場合、基本手当日額が基準以上なら受給開始日で扶養を外し、国民健康保険と国民年金第1号への切替を14日以内に行う。待期期間・給付制限期間中は受給していないため扶養に入れるが、保険者ごとに運用差があるので事前照会し、回答を記録に残す
- 3.住民税・国民健康保険料の通知書で算定基礎を点検する 市区町村から届く税額決定通知書・保険料決定通知書を開き、算定基礎になった所得の内訳に失業等給付が混ざっていないか確認する
- 4.混入していれば雇用保険法12条を示して更正を申し出る 市区町村の課税課・国保年金課に対し、雇用保険法12条を明示して賦課の更正を申し出る。証拠は支給決定通知書・受給資格者証・通帳の振込記録の三点。請求できる期間に制限があるため、通知書を受け取った月のうちに動く
- 5.退職した年の翌年、還付申告で払い過ぎた所得税を取り戻す 年末調整を受けていないため所得税が払い過ぎのまま残っている。失業等給付は一行も記載せず、退職後に自分で払った国民年金保険料・国民健康保険料を社会保険料控除に、医療費を医療費控除に計上して申告する
よくある質問 AI による整理
Q1雇用保険法12条とは何ですか?
失業等給付として支給された金銭を標準として、租税その他の公課を課すことを禁じる規定です。所得税・住民税だけでなく、住民税額を基礎に算定される公課全般に及びます。
Q2失業保険に住民税はかかりますか?
かかりません。雇用保険法12条により失業等給付は住民税の課税所得に算入されないため、翌年の住民税が給付の分だけ増えることはありません。前年の給与分の住民税は別途課税されます。
Q3失業手当をもらうと国民健康保険料は上がりますか?
上がりません。国民健康保険料は住民税の課税所得を基礎に算定され、失業等給付はそこに算入されないためです。倒産・解雇による離職なら、さらに保険料軽減の申請ができます。
Q4失業手当は保育料や就学支援金に影響しますか?
影響しません。保育料も高等学校等就学支援金も市町村民税額で判定され、失業等給付は課税所得に載らないためです。給付を受け取ったせいで判定が不利になることはありません。
Q5高年齢求職者給付金や傷病手当も非課税ですか?
非課税です。雇用保険法10条が定める失業等給付であれば12条の非課税が及びます。高年齢求職者給付金、傷病手当、寄宿手当、技能習得手当なども同じ扱いになります。
Q6労災保険の給付も非課税ですか?
非課税です。労働者災害補償保険法12条の6が雇用保険法12条と同旨の公課禁止を置いています。休業補償給付や障害補償給付にも税は課されません。
Q7失業手当は非課税なのに、年金に税金がかかるのはなぜ?
国民年金法25条も公課禁止を定めますが、老齢基礎年金・老齢厚生年金は所得税法上の雑所得として明文で課税対象とされています。目的が生活再建の一時的支援か、恒常的所得の代替かで扱いが分かれます。
Q8不正受給の返還命令にも12条は適用されますか?
適用されません。雇用保険法10条の4の返還命令・納付命令は、給付への課税ではなく不正受給への制裁的な負担であり、公課禁止とは別軌道です。給付の非課税とは無関係に支払義務が生じます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1失業保険でもらった分、確定申告に書かなかったらバレませんか?
書く欄がそもそも存在しない。雇用保険法12条により所得として扱われず、ハローワークから源泉徴収票も発行されない。実務のポイント:退職した年は年末調整を受けていないため、所得税を払い過ぎたままの人が非常に多い。給付を書かないぶん所得は低く、自分で払った国民年金・国民健康保険料の社会保険料控除と医療費控除を積むと、還付が数万円になるのは珍しくない
Q2非課税なら、夫の扶養に入ったまま受給しても大丈夫ですよね?
税と社会保険で答えが割れる。税法上の配偶者控除は合計所得金額で判定し、給付は12条により所得に入らないので影響しない。だが健康保険の被扶養者認定は今後1年間の見込み収入で見るため、非課税の給付も収入として数え、基本手当日額3,612円以上(60歳以上・障害者は5,000円以上)で外れる。実務のポイント:待期期間と給付制限期間は受給していないので扶養に入れる。受給開始で抜け、終了で戻る、この出入りを届け出るのが正しい運用で、黙って据え置くと遡及取消になる
Q3借金があるんですが、失業手当を差し押さえられることはありますか?
受給権そのものは雇用保険法11条で譲渡・担保提供・差押えが禁止されている。問題は振り込まれた後で、預金債権に転じた後も禁止の効力が及ぶかは実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:給付振込専用の口座を作り、他の入金と混ぜないこと。差押えを受けても、その口座の原資が全額失業給付だと通帳で示せれば、差押禁止債権の範囲変更(民事執行法153条)を申し立てる余地が残る
Q4再就職手当や教育訓練給付も税金はかからないんですか?
いずれも雇用保険法10条が定める失業等給付なので、12条の非課税がそのまま及ぶ。就業促進手当、教育訓練給付、高年齢雇用継続給付、介護休業給付も同じ扱いである。育児休業給付は令和2年(2020年)改正で失業等給付から独立した体系に移ったが、非課税は準用により維持されている。実務のポイント:再就職後の賃金が離職前より下がった場合、就業促進定着手当という上乗せがあり、これも非課税。再就職を急ぐか迷ったとき、税引き後で比較する必要がないぶん判断は単純になる
間違えやすい点 AI による整理
- 失業手当が非課税であること自体は、多くの人が知っている。知られていないのはその深刻度だ。「非課税だから収入ゼロ」と考えて配偶者の健康保険の扶養に入ったまま受給を始めると、日額3,612円以上の場合は受給開始日まで遡って資格を取り消され、その間に使った医療費の7割分を一括で返還請求される。非課税であることと、社会保険上の収入がないことは、まったく別の話である
- 「失業手当は確定申告書のどこに書けばいいのか」という問いは、そもそも成り立っていない。雇用保険法12条により所得として扱われない以上、記載欄が用意されていないからだ。立てるべき問いは「給付を書かない結果、その年の所得はいくらになり、どの控除と還付を取り戻せるか」である。問いを立て替えた瞬間、還付という選択肢が視界に入る
- あなたから見れば、口座に着金した瞬間からそれは自分の生活費だ。だが法律から見ると、雇用保険法11条が守っているのは受給権であって、振り込まれて預金債権に転じた後の扱いは実務上、解釈が分かれている。判例は預金への転化を原則として認める一方、事案によっては差押えを権利濫用として制限した裁判例もある。この落差を知らずに借入返済用の口座で受給すると、生活費が消える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 守っている対象 | 雇用保険法12条:給付の金額そのもの(税・公課からの保護) | 雇用保険法11条:受給権そのもの(譲渡・担保提供・差押えの禁止) 雇用保険法10条の4:保護規定ではなく、不正受給者への返還命令・納付命令 |
| 誰に対して効くか | 国および地方公共団体の課税権に対して効く | 私人の債権者・譲受人に対して効く 受給者本人に対して支払義務を課す |
| 口座に振り込まれた後 | 非課税の効力はそのまま維持される | 預金債権に転じた後も禁止が及ぶかは実務上、解釈が分かれている 返還・納付義務は残り、国税滞納処分の例により徴収されうる |
| 他制度への波及 | 税と公課の窓口まで。健康保険の被扶養者認定や生活保護の収入認定には及ばない | 差押えを受けた場合は民事執行法153条の範囲変更申立てで調整する余地がある 非課税とは別軌道の負担であり、12条による免除は主張できない |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾も就業保険給付を所得税の対象外とし、給付の譲渡・差押えも禁じる。日本の12条(非課税)と11条(受給権保護)の二本立てに構造がほぼ対応する
韓国も失業給付として支給された金品に国・地方自治体の公課を課さないと定める。制度全体が日本の雇用保険法を参照して設計されており、条文構造も近い
ドイツも失業手当そのものは非課税だが、税率累進留保により他の所得に適用される税率の計算には算入される。年の途中で再就職した場合、非課税のはずの給付が結果的に手取りを減らす点で日本と大きく異なる
フランスの失業手当は原則として所得税の課税対象であり、社会保障拠出の対象にもなりうる。生活保障給付を非課税とする日本の前提が普遍的でないことを示す代表例
米国では失業補償は総所得に算入され課税される。受給時に源泉徴収を選択できる仕組みがあり、選択しないと翌年に納税義務が発生する。日本と結論が正反対
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、配偶者の健康保険の扶養に入ったまま基本手当の受給を始めたら? 日額が3,612円以上(60歳以上または障害者は5,000円以上)なら、受給開始日に遡って扶養資格が取り消される。次の認定日まであと5日。受給資格者証の日額欄を確認し、外れるなら国民健康保険と国民年金第1号への切替を14日以内に済ませないと、無保険の空白期間が生まれる
- 年の途中で退職し、その年の給与は3か月分だけ。年末調整を受けていないので、毎月天引きされた所得税は払い過ぎのまま眠っている。失業給付は申告書に一行も書かず、還付だけを受け取る
- 経理担当のあなたが、退職した元社員から「失業手当分の源泉徴収票もください」と連絡を受けた。出す必要はないし、出せる書類も存在しない。給付はハローワークが支給する非課税の金銭で、会社の給与所得ではない。ここで曖昧に返すと、元社員は誤った申告書を出し、後で税務署から問い合わせを受けることになる
- 借金の返済が滞り、債権者があなたの預金口座を差し押さえた。その前日、ハローワークから基本手当が振り込まれていた。雇用保険法11条の差押禁止は受給権そのものを守るが、口座に入って預金債権に変わった後まで効力が及ぶかは実務上、解釈が分かれている。給付専用の口座を分けていたかどうかが、そのまま争う材料になる
- 60歳を過ぎて賃金が下がり、高年齢雇用継続基本給付金を受け取り始めた。これも失業等給付なので一円も課税されない。だが同じ月に振り込まれる老齢厚生年金は課税対象で、しかも給付との併給調整で年金額そのものが減る。同じ通帳の二行が、税でも減額でも正反対の扱いを受けている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 住民税の税額決定通知書や国民健康保険料の決定通知書を開き、算定の基礎になった所得の内訳を確認する2. 失業等給付が一円でも混ざっていれば、雇用保険法12条を明示して市区町村の課税課・国保年金課へ申し出る3. 証拠は支給決定通知書と受給資格者証、通帳の振込記録の三点4. 納付済みの分は賦課の更正により還付されるが、請求できる期間には制限があるため、通知書を受け取ったその月のうちに動く
訴えられた側:1. 事業者側は、退職者から求められても失業給付分の源泉徴収票を発行しない。給付は会社が支払った給与所得ではない2. 扶養する側は、非課税でも基本手当日額を収入として保険者に申告し、受給開始日で扶養を外し、受給終了後に再認定を受ける3. 待期期間や給付制限期間中は受給していないため扶養に入れるが、保険者ごとに運用差があるため事前照会する4. 遡及取消は医療費の返還請求に直結するため、受給資格者証の日額欄を写して照会記録を残す
時効(請求できる期限):本条による非課税それ自体に期限はない。誤って課された分を取り戻す側に期限がある。所得税の還付申告はその年の翌年1月1日から5年、申告済みの場合の更正の請求は法定申告期限から5年(国税通則法23条)。国民健康保険料の過納分の還付請求権は、保険料方式の自治体では2年、保険税方式では5年と扱いが分かれる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:失業等給付は再就職までの生活を支える最低限の原資であり、そこから税や公課を徴収すれば給付水準そのものが実質的に切り下げられる。本条は担税力に応じた課税の公平よりも生活保障の実効性を優先した政策的非課税規定であり、所得税法9条の一般的非課税所得規定に対する個別法の特則と解される。
限定解釈説(適用範囲について):本条の文言は「租税その他の公課」であり、名宛人は課税権を行使する国および地方公共団体に限られる。したがって健康保険の被扶養者認定、生活保護の収入認定、養育費算定などの場面で給付を収入として扱うことは本条に反しないと解される。
改正沿革 AI による整理
- 令和2年(2020年)改正 育児休業給付が失業等給付から分離され、独立した給付体系となった。本条の文言自体は変更されていないが、育児休業給付に対する非課税は準用規定を通じて維持されている。本条制定以来の改正回数と各改正の内容は未検証のため、人的確認が必要
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:失業保険法において、失業保険金に対する公課禁止規定が置かれる。生活保障目的の給付を課税ベースから外す立法方針がこの時点で確立した
- 2.昭和49年(1974年) 改正:失業保険法を全面改正して雇用保険法が制定され、公課禁止規定は本条として承継された。給付体系が求職者給付・就職促進給付等に再編されたことで、非課税の及ぶ範囲も拡大した
- 3.令和2年(2020年) 改正:育児休業給付が失業等給付から分離され、独立した給付体系となった。本条の文言自体は変更されていないが、育児休業給付に対する非課税は準用規定を通じて維持されている。制定以来の改正回数と各改正の詳細は未検証であり、人的確認が必要
- 雇用保険法 第10条失業等給付の種類、非課税の対象範囲を画定
- 雇用保険法 第11条受給権の譲渡・担保・差押えの禁止、経済的保護の対
- 雇用保険法 第10条の3未支給の失業等給付の請求、非課税は遺族が受ける分にも及ぶ
- 雇用保険法 第10条の4不正受給時の返還命令・納付命令、非課税とは別軌道の負担
- 労働者災害補償保険法 第12条の6労災保険給付にも同旨の公課禁止を置く並行規定
- 国民年金法 第25条公課禁止の原則だが老齢基礎年金は課税とする対照例
- 所得税法 第9条非課税所得の一般規定、本条は個別法による非課税の特則
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